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見づぎ申べしと。ことうけすれば。其時和尚もきげんよく 〳〵去。菊は したれども に しければ。命をさそふるたよりなし。爾るに かれを さするならば。 くの人の なるへし。なに とぞ命を けたく思ふに。 も のあらば 一つあてとらせよ。我も一つはおくるべし。さて方丈の御 米をかゆにたかせあたへたく思ふなどして に り給ふ時 方丈はらうかにたちやすらひ。此事を聞し召 を 仰せられしは。 にもかのものゝいふごとく。此女のいのち は大切なるぞや。それ〳〵の してつかはせ。さて是をは だにきせよとてかたしけなくも上にめされしさやの御 を。ぬがせたまひ下しつかはされける時。名主年寄 兩人を急度めし られ。 に仰らるゝは。汝らよく して。菊が命を るべし。 ゆへは我〻 をつ たへて。 すれども。 の にし て。いまだ を さず。爾るに此女は。直に を見てよく を顕す者なれば。 人 の なり。 大 に せよ。なをざりにもてなし なせたるなど聞ならば。此 が らにかゝる べし。とはげしく したまへば。二人の者どもなみだ をながし。 て御前を立。急き羽生へ帰りつゝ。方丈
ぎ寺に りつゝ。すぐに へ行たまひ。 に近付。 の はいよ