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むりやうなり。何そ是をこと〴〵く存じ申さんや。しかれとも同国同所のよしみなるか。當村の人〻あらましは覚（おぼ）へたり。なを其中に知らぬもあらんかといえは。名主がいわく本より知らぬ人は其分。知りたるばかり答へよ。まづそれがしが。しうとふうふの人はいかにとたづぬれは。かさねこたへていわく。かまへて腹（はら）ばしたゝせたまふな御兩人ながらかやう〳〵の科（とが）にて。そこ〳〵の地獄（ぢごく）におわすと云。次に年寄問へば此兩親（りやうしん）もそのとがこのとがゆへかなたこなたの地（ぢ）獄（ごく）と答ふ次にとへば是も地獄又とへばそれも地獄とかくのごとく大方地獄〻〻と答る中に。ある若き男腹（はら）を立て。おのれいつわりをたくみ出し。人〻の親を。みなぢごくの罪（ざい）人といふて。子共のつらをよごす事きくわいなり。よしみな〳〵はともかくもあれ。我が親におゐては。かくれなき善人なり。かならず墮獄（だごく）が定（でう）ならば。其科（とが）を出すへし。證拠（せうこ）もなきそらごとをいわば。おのれ聖灵（せうれう）口ひつさくぞといかりける。かさねがこたへていわく。まづ〳〵しづまりたまへさるほどに。今朝（けさ）より腹（はら）ばし立なと理（ことわ）りおく。されば汝が親にかきらず。地獄（ぢごく）へおつるほどの者。罪（つみ）の證拠たゞしからぬはなきぞとよ。取分て㝡前（さいぜん）より。我こたふる所の。罪（ざい）人達（たち）のつみとが。みなこと〴〵く明白（めいはく）に。此座中にも知（し）る人有て。互（たがひ）にそれぞとうちうなづく。本より汝が父（ちゝ）にも。正しき罪（つみ）の證拠あり。その人この人よく