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れも肉は鹽付となし食す、又皮及油等を用ゐるなり。


一九、一結婚、二離婚、三誕生、四葬儀

 アイヌ人の結婚は、男子は十七八歲、女子は十五六歲位の年齡(以上)は早婚者である。大凡は二十歲位より、女子は十七八歲に達すれば結婚するを通常とす。又結婚の一例を述べんに先づ嫁入、聟入の二ツに分け、嫁入の際は新郞方の兩親の一人又は近親者が新婦の宅に至り兩親に結婚を申込む。而して兩親の承護を受くる後新郞方より、刀劍及鐔、滿洲錦等の物を新婦へ贈る。其後新郞が兩親又は近親者と同伴して新婦方に至り山海の珍味で御馳走を受け其夜同所に一夜の夢を結び二三日を經て新郞、新婦が、新郞宅に至るを以て嫁入が濟み終生の夫婦となるのである。次は聟入の際は前と反對に今度は新婦の兩親又は近親者が新郞方に至り申込む。併して後に贈物(滿洲錦)を除き、新郞方へ贈る。其後新婦が兩親又は近親者と新郞方に同道なし一同は種々の御馳走に惠まれ其夜は同所に一同は宿し、新郞新婦が一夜の夢を結ばれ二三日宿りて新婦宅に歸るのである。又之はチレシケマハ(內地にて結名付の事)と稱するあれ共是は幼時其子等の(兩親)間にて緣を結ばれる故に小供の兩者生長するに從