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績も今では、內地兒童と大差なきに至るなり。


一八、東海岸のアザラシ

 東海岸のアイヌ人はアザラシ類を食用とす。アザラシ類を總名して「カムイ」と云ふ。カムイの種類、ボロホはアザラシの大なる物にして大なるは、八九尺位ある。多く氷上二里以上も沖合に徒步してゐる。往昔は銃を用ゐずキテ(もり)一寸五分位にして竿の先に付ける長さ一丈位の長き竿を何本も、つなぐ其場所によつて長短あれ共大凡アザラシの居所に達する處迄之を、つなぎ其先にはキテ俗にもりと云ふを付け、アザラシ目掛て突入すれば皮の間にて止め有るを以て其皮綱を引寄て、アザラシを捕獲するのである。二アムシベは前者の子にして親子共に斑點なし、三バアクイ前者に比し少しく小さく斑點あつて別種類なり、四ボンベは三者の子なり。右二、三、四、は五月頃舟に乘て捕獲す。五オンネカムイは別種類にして斑點なし、大は五六尺位、六コヌシベは五者の子にて毛は、毛糸に造り然して、一二者は靴の底皮にす、三者は靴の上皮に用いる、又婦人用の外套にも用ゆるなり。

 其他の海獸あれ共東海岸に於ては至つて稀にして右の海獸は東海岸のアイヌ人が食用に供する、何