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(經て)ウタシバ(互に)ウトヤシカラアン(親しくなつた)タンシネアント(或日)ネヤテタラセタ(其白犬が)ナアケネタカオマン(何處へか行つて)ナニホシビ(直ぐ歸つて來た)トラエヘアンベアヌカラーコ(持つて來たものを見た處が)イカラオルンベ(はた織機具)スイ(又)ニイカハナー(木の皮等を)トラエヘ(持て來た)ネアンベアニ(それを持つて)アハルシシタイキアン(あつしを織りて)アンミー(着た)ウオヤアン(色々な)キムン(山は)イベナー(食物等)アネーテ(食して)オカヤナイネ(居る中に)ウムーレカナハチ(夫婦になつた)ネヤオロワノ(それより)ボーナ(子供が)ネヤセタ(其犬が)ナアケネタカ(何處へか)オマンテ(行つて)クリヘカ(影も)イサン(ない)タアーオロ(それより)ヘトクベ(生れたのか)アイヌネーマヌイ(アイヌ、人間と言ふ事)ネーテ(それで)ネヤ(其の)テタラ、セタネアンベ(白い犬と言うのは)カムヨロケ、ウボ(神の美男子)ポンモロ、マハボネ、アンベ(其の少女と言うのは)カムイ、モロマハボ(神の少女と言ふ事)ヘマカ(終り)

 以上の一說はナイブチ(內淵部落)に於て明治四十一年十二月當地の熊祭を終へて九十歲の高齡を以て沒したるケーランケ、アイヌの傳說なり。