Page:成沢玲川『米国物語』.djvu/77

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ーレー」と云つたやうな挨（あい）拶（さつ）をする。オノラブル好（ず）きの日本人にはサーとでも言（い）へば氣に入（い）るが、チヤーレーと言（い）はれると小（こ）僧（ぞう）とでも言（い）はれたやうに腹が立つ。私の友人に少し短（たん）氣（き）な男があつた。一日（じつ）白（はく）人（じん）の店に洋服を買ひに行（い）つた。店員が「何か御（ご）用（よう）ですかチヤーレーさん」とやつた。彼（かれ）は烈（れつ）火（くわ）の如く怒（いか）つて「己は洋（やう）服（ふく）を買ひに來たんだ併かし己の名（な）はチヤーレーてえんぢやないんだぞ」と言つて驚く店員を尻（しり）目（め）に掛（か）けてトツトと歸つて仕舞つた。取（とり）殘（のこ）された店員は鳩（はと）が豆（まめ）鐵（でつ）砲（ぱう）を喰（く）つたやうに、目をパチクリさせ乍（なが）ら「不思議な國民だ」と呟（つぶや）いたことであらう。