Page:成沢玲川『米国物語』.djvu/116

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はせるかと云ふと、朝ならばオートミル、トースト付けいらん二個(このみのスタ イルに料理する)パンケーキ等で、テーブルの上にはパンがやまのやうにんで あつてひ次第、バタは一食に一さらく、たうもテーブルの上に出て居て使用 次第、このほかにパンケーキに掛けるシラツブが出るのみものは、コーヒー、紅茶、牛 乳(一合位)の內このみ次第。之で十仙とはうしてまうかるかと思ふやうである が、じゆんりやうしよくれうひんとりしまりそくが八ケ間敷いから、やすいとて不良なものは喰はせる やうなことは無い。イツの水はビールで、米國の水はぎうにうと云はれる位牛乳の ほうな米國では、水やお茶のかはりに牛乳をむので、日本人が五勺や一合の牛 乳をやうだなど言つてんで居るのが可笑をかしくなる。曾て米國の田舍ゐなかで火事が あつた、水の手がわるくて、とつの場合百ガロン(二石五斗)の牛乳をぶつけて せうばうに及んだと云ふ話は、牛乳が米國の水だといふことをしようめいして居る。