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なり。今の​蒙古語​​モウココトバ​にては​你古察​​ニグチヤ​​nigucha​となり、​元史 語解​​ゲンシ ゴカイ​に「​尼古察​​ニグチヤハ​、​祕密也​​ヒミツナリ​」とあり。​脫卜察安​​トブチヤアン​​tobchaan​は、​正​​タヾ​しくは​脫卜赤​​トブチヤン​​tobchiyan​にて、​元史​​ゲンシ​には​脫卜赤顏​​トブチヤン​とも​脫必赤顏​​トビチヤン​とも​書​​カ​き、​元史 語解​​ゲンシ ゴカイ​に「​托卜齊延​​トブチヤンハ​、​總綱 也​​ソウコウ ナリ​」とあり。​綱要​​カウヤウ​を​總錄​​ソウロク​したるものにして、卽ち​實錄​​ジツロク​なり。​三語​​ミコトバ​にて「​蒙古​​モウコ​の​祕密​​ヒミツ​なる​實錄​​ジツロク​」卽ち​蒙古 祕史​​モウコ ヒシ​なり。

 此書の原本の​成​​ナ​れるは、​元​​ゲン​の​太宗​​タイソウ​の​時​​トキ​なり。此書の​最末​​サイマツ​に「​大聚會​​タイシウクワイ​に​會​​クワイ​して、​鼠​​ネズミ​の​年​​トシ​ ​七月​​シチグワツ​に、​客魯嗹​​ケルレン​​Keluren​​河​​ガハ​の​闊迭額 阿喇勒​​コデエ アラル​​Khodee aral​の​朶羅安 孛勒答黑​​ドロアン ボルダク​​Doloan boldakh​、​失勒斤扯克​​シルギンチエク​​Shilghinchek​ ​兩地​​リヤウチ​の​閒​​アヒダ​なる​斡兒朶​​オルド​​ordo​に​下馬​​ゲバ​して​居​​ヲ​る​時​​トキ​、​書​​カ​きて​畢​​ヲ​へたり」とあり。​鼠​​ネズミ​の​年​​トシ​は、​元​​ゲン​の​太宗​​タイソウ​の​十二年​​ジフニネン​ ​庚子​​カノエネ​の​歲​​トシ​にして、​我​​ワ​が​四條 天皇​​シデウ テンワウ​ ​仁治​​ニンヂ​ ​元年​​グワンネン​、​宋​​ソウ​の​理宗​​リソウ​ ​嘉熙​​カキ​ ​四年​​ヨネン​、​西紀​​セイキ​ ​一二四〇年​​センニヒヤクシジフネン​、​今年​​コトシ​ ​丙午​​ヒノエウマ​より​六百六十六年​​ロツピヤクロクジフロクネン​ ​前​​マヘ​なり。​阿喇勒​​アラル​とは、​河中島​​カハナカジマ​を​云​​イ​ふ。​闊迭額洲​​コデエジマ​は、​客魯嗹​​ケルレン​の​河中島​​カハナカジマ​なり。​斡兒朶​​オルド​は、​合罕​​カガン​​Khaghan​の​帳殿​​チヤウデン​なり。​闊迭額洲​​コデエジマ​の​斡兒朶​​オルド​は、​元​​ゲン​の​太祖︀​​タイソ​の​四​​ヨ​つの斡兒朶の​中​​ウチ​の​大斡兒朶​​ダイオルド​にして、蒙古の​國會​​コククワイ​の​常​​ツネ​に​開​​ヒラ​かれたる​處​​トコロ​なり。​國會​​コククワイ​に​參列​​サンレツ​して大斡兒朶にて書けりと云へば、​當時​​タウジ​ ​文筆​​ブンピツ​を​能​​ヨ​くする​委兀兒​​ウイウル​​Uiur​​人​​ジン​などの​勅命​​チヨクメイ​を​受​​ウ​けて書ける​者︀​​モノ​なるべし。

 此書は、十二​卷​​クワン​に​分​​ワカ​れ、​卷​​マキ​の一より​卷​​マキ​の十までは、​太祖︀​​タイソ​の​祖︀先​​ソセン​より​始​​ハジ​めて、太祖︀ ​卽位​​ソクヰ​の​後​​ノチ​、​金國​​キンコク​ ​征伐​​セイバツ​の​前​​マヘ​までの​事蹟​​ジセキ​を​敍​​ノ​べ、​第​​ダイ​十一二​卷​​クワン​は、​續集卷​​ゾクシフマキノ​一、​續集​​ゾクシフ​卷二と​題​​ダイ​して、​羊​​ヒツジ​の年元の太祖︀ 六年 辛未、太祖︀ 崩御の前 十六年、我が順德 天皇 建曆 元年、西紀 一二一二年の​金國​​キンコク​ ​征伐​​セイバツ​より​始​​ハジ​め、太祖︀の金國を​平​​タヒラ​げたる