索モトめに往ユけば、七人ナヽタリの晃豁壇コンゴタンに、こゝよりそこより圍カコみて懺悔︀サンゲせしめて、帖卜騰格哩テブテンゲリの後シリヘより跪ヒザマヅかせられたり」と云イひ哭ナきたり。成吉思 合罕チンギス カガン、聲コヱを出イダさざるに、
孛兒帖 兀眞ボルテ ウヂンの慨︀ウタレみ言ゴト
孛兒帖 兀眞ボルテ ウヂンは、寢床ネドコの內ウチに起オきて坐スワりて、衾フスマの領エリにて胷ムネを蔽オホひて、斡惕赤斤オツチギンの哭ナけるを見ミて、涙ナミダを墮オトして言イはく「何ナニをかする晃豁壇コンゴタンぞ。彼等カレラは、先頃サキゴロ 合撒兒カツサルをも黨イチミして打ウちてありき。今イマ 又マタこの斡惕赤斤オツチギンをいかんぞ後シリヘより跪ヒザマヅかせたる。いかなる道理ダウリか有アりし。況マシテこの檜松ヒノキマツの如ゴトき爾ナが弟オトヽだちをかく害ソコナひ合アへり。實マコト兀年に又マタ 久後ユクスヱ 老木オイキ揑兀列の如ゴトき爾ナが身ミ 傾カタム捏古思き去サらば、麻穰アサガラ捏惕客勒の如ゴトき爾ナが國民クニタミを誰タレにか知シらしめん、彼等カレラ。柱ハシラ禿魯の如ゴトき爾ナが身ミ 倒タフ禿勒巴思れ去サらば、羣雀ムラスヾメ禿牙勒の如ゴトき爾ナが國民クニタミを誰タレにか知シらしめん、彼等カレラ。檜松ヒノキマツの如ゴトき爾ナが弟オトヽだちをかく害ソコナふ我ワが家人ケニンは、三人ミタリ 四人ヨタリの我ワが小チヒサき弱ヨワきものども成長セイチヤウするまでは、いかんぞ知シらしめん、彼等カレラ。何ナニをかする晃豁壇コンゴタンなりし、彼等カレラ。弟オトヽだちを彼等カレラにかく做ナさしめて、いかんぞ見ミておはせん。爾ナガミコト」と云イひて、孛兒帖 兀眞ボルテ ウヂンは涙ナミダを墮オトしたり。
孛兒帖 兀眞ボルテ ウヂンのこの言コトバにつき、成吉思 合罕チンギス カガンは、斡惕赤斤オツチギンに宣ノリタマはく「帖卜騰格哩テブテンゲリ 今イマ 來コん。爲ナし得ウることをいかにも行オコナひ合アはば、汝ナンヂ 知シれ」と宣ノリタマへり。その時トキ 斡惕赤斤オツチギン 起タちて涙ナミダを拭ヌグひ出イでて、三人ミタリの力士リキシを備ソナへて