Page:成吉思汗実録.pdf/215

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れざる​言​​コトバ​​兀格思​を​言​​イ​​兀古列勒都︀​ひ​合​​ア​へりとて、​赤​​アカ​​忽剌安​き​面皮​​メンピ​を​剝​​ム​​兀卜赤克迭​かれたるより、​長​​ナガ​​兀兒禿​き​心​​コヽロ​ある​安荅​​アンダ​を​誠​​マコト​​兀年​の​顏​​カホ​を​見​​ミ​​兀氈​る​能​​アタ​はずして​行​​ユ​きたるぞ、​我​​ワレ​。​今​​イマ​ ​我​​ワ​が​罕​​カン​ ​安荅​​アンダ​ ​恩賜​​オンシ​して​我​​ワレ​を​伴​​トモ​とせんと​云​​イ​ひき。​伴​​トモ​となるべき​時​​トキ​に、​伴​​トモ​とならざりき、​我​​ワレ​。​今​​イマ​ ​安荅​​アンダ​は、​圓​​マドカ​​脫歌里該​なる​國​​クニ​を​平​​タヒラ​げたり。​外國​​トツクニ​​合哩​どもを​倂​​アハ​​合禿惕合​せたり、​爾​​ナムチ​。

思の外に潔き姦雄の末路

​罕​​カン​の​位​​クラヰ​は、​爾​​ナムチ​に​定​​サダマ​れり。​天下​​アメガシタ​ ​今​​イマ​ ​定​​サダカ​になれる​時​​トキ​、​伴​​トモ​となりて​何​​ナニ​の​助​​タスケ​とならん、​我​​ワレ​。​却​​カヘツ​て​安荅​​アンダ​の​黑​​クロ​き​夜​​ヨル​の​夢​​ユメ​に​入​​イ​らん、​我​​ワレ​。​明​​アカル​き​日​​ヒ​に​爾​​ナムチ​の​心​​コヽロ​を​苦​​クルシ​めん、​我​​ワレ​。​爾​​ナムチ​の​領​​エリ​​札合​の​蝨​​シラミ​、​爾​​ナムチ​の​底襟​​ウラエリ​​札興溫​の​刺​​トゲ​とならん、​我​​ワレ​。​寬厚​​クワンコウ​​阿兒賓︀​なる​嫗​​オウナ​あるなりき、​我​​ワレ​。​安荅​​アンダ​より​攜​​ハナ​​阿魯昔​れんと​思​​オモ​へる​頃​​コロ​に​病​​ヤマヒ​​阿勒只阿思​になられたりき、​我​​ワレ​。​今​​イマ​この​生涯​​シヤウガイ​に、​安荅​​アンダ​ ​我​​ワレ​ ​二人​​フタリ​の[​關係​​クワンケイ​に​由​​ヨ​りて]​出​​イ​づる​日​​ヒ​より​沒​​イ​る​日​​ヒ​に​至​​イタ​るまで​我​​ワ​が​名​​ナ​は​到​​イタ​りたるぞ。

命を知り命に安じたる​札木合​​ヂヤムカ​の善言

​安荅​​アンダ​は、​賢明​​ケンメイ​なる​母​​ハヽ​あり、​生得​​ウマレナガラニ​​俊傑​​シユンケツ​に​生​​ウマ​れて​技能​​ギノウ​ある​弟​​オトヽ​どもあり、​勇猛​​ユウマウ​なる​侍​​サムラヒ​に​七十三​​シチジフサン​の​騸馬​​センバ​にて[​侍​​サムラ​はるゝこと]となりて、[​我​​ワレ​は]​安荅​​アンダ​に​勝​​カ​たれたるぞ。​我​​ワレ​は、​母​​ハヽ​ ​父​​チヽ​より​幼​​ヲサナ​くて​後​​オク​れて、​弟​​オトヽ​ども​無​​ナ​く、​我​​ワ​が​妻​​ツマ​は​話好​​ハナシズ​き(蒙語​朶抹黑赤​​ドモクチ​、どもりくち吃口には非ず、我等の斡沙別哩、周詩の謂はゆる「婦有長舌、維厲之階」)にて、​賴​​タノミ​なき​從者︀​​トモビト​あり、かるが​故​​ユヱ​に​上帝​​アマツカミ​より​命​​ミコト​ある​安荅​​アンダ​に​勝​​カ​たれたるぞ。​安荅​​アンダ​ ​恩賜​​オンシ​せば、​我​​ワレ​を​疾​​ト​く​逝​​イ​なせば、​安荅​​アンダ​ ​心​​コヽロ​を​安​​ヤス​めんぞ、​爾​​ナムチ​。​安荅​​アンダ​ ​恩賜​​オンシ​して​殺︀​​コロ​さしむるには、​血​​チ​を​出​​イ​さず​殺︀​​コロ​さしめよ。(血を出さず殺︀すとは、首を斬らず、袋に入れて絞め殺︀すことを云ふ、絞めらるゝは、斬らるゝよりも苦しか