彼等カレラ。殺︀コロ阿剌勒都︀し合アふ日ヒは、人ヒト哈闌の肉ニクを喫クラふ、彼等カレラ。到イタ古魯り合アふ日ヒは、人ヒト古溫の肉ニクを糧カレヒ古捏速とす、彼等カレラ。鎖クサリを解トかれて、今イマ 繫ツナがれずして居ヲるを喜ヨロコびて、かく涎ヨダレ 垂タれ來キぬ、彼等カレラ」と云イひき。「それら四ヨつの狗イヌ、誰誰タレタレはそれらか」と云イへば、「者︀別ヂエベ、忽必來クビライ 二人フタリ、者︀勒篾ヂエルメ、速別額台スベエタイ 二人フタリ、それら四人ヨタリなり」と云イひき。塔陽 罕タヤン カン 言イはく「但タヾそれらの下人シモビトより遠トホく立タたん」と云イひて、退シザり引ヒきて、山ヤマを負オひて立タてり。
躍ヲドり繞メグる兀嚕兀惕ウルウト 忙忽惕モンクト
その後ウシロより躍ヲドりて繞メグりて來キぬるものどもを見ミて、又マタ 塔陽 罕タヤン カンは、札木合ヂヤムカに問トひき。「彼等カレラはいかに。朝アシタ額兒帖に放ハナてる駒コマ、母ハヽ額客の乳チを咂スひて母ハヽ額客の廻マハりを疾トく走ハシる駒コマの如ゴトく、いかんぞ かく繞メグり來キぬる、彼等カレラ」と問トひき。札木合ヂヤムカ 言イはく「彼等カレラは、鎗ヤリ赤荅ある男ヲトコを追オ只兀ひて、赤チ赤孫あるもの(生きたる人)を剝ハぎに剝ハぐ、環刀クワンタウ兀勒都︀ある男ヲトコを逐オ忽勒迭ひて、倒タフ兀納合して殺︀コロして財タカラ兀卜脫納黑を剝ハぎ取トる、兀嚕兀惕ウルウト、忙忽惕モンクトと云イはる、彼等カレラ。今イマ[繫ツナがれ]ず[して居ヲるを]喜ヨロコびて、かく躍ヲドりて來キぬ、彼等カレラ」と云イひき。それより塔陽 罕タヤン カン 言イはく「但タヾしかあらば、それらの下人シモビトより遠トホく立タたん」と云イひて、又マタ 退シザり山ヤマに登ノボり立タてり。
貪ムサボルる鷹の如き帖木眞テムヂン
「その後ウシロより來キぬる、貪ムサボる鷹タカの如ゴトく涎ヨダレ 垂タれて前スヽみて來キぬるは、誰タレなる」と、塔陽 罕タヤン カンは、札木合ヂヤムカに問トひき。札木合ヂヤムカ 言イはく「この來キぬるは、我ワが帖木眞 安荅テムヂン アンダ。彼カレの總身ソウミは、銅アカヾネ失咧木にて鍛キタ失列克迭へられたるもの、錐キリ失不格を刺サすに隙閒スキマ 無ナく、鐵クロガネ帖木兒にて