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封建城廓――自由競爭の二分類――機械中心問題の社會的諸科學――個人主義は革命に至る――個人主義の理論的歸結――官許無政府黨員――所謂社會主義者に混ぜる個人主義者


 社會主義の深遠なる根本義は直に宇宙人生に對する一派の哲學宗敎にして嚴肅なる科學的基礎の上に立ち、貧困と犯罪とに理性を攪亂せられて徒らに感情と獨斷とによりて盲動する者に非らず。而しながら貧困と犯罪とを以て蔽はれたる現社會より産れて、新社會の實現に努力しつゝある實際問題たる點に於て論究の順序が先づ貧困と犯罪の絶滅ならざるべからず。故に吾人は第一編『社會主義の經濟的正義』に於て社會主義の物質的幸福を設き、第二編『社會主義の倫理的理想』に於て社會主義の精神的滿足を論じ、而して第三編に於て『生物進化論と社會哲學』として社會進化の理法と理想とを論じ、社會主義の哲學を設き、社會的諸科學の根本思想たる者を述べ、以て第四編『所謂國體論の復古的