Page:国体論及び純正社会主義 帝国図書館 北輝次郎寄贈本.pdf/6

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局部的研究においては著しく発達したるにかかわらず全体にわたりてなお混沌たり。すなわち「組織」と「結論」となし。ゆえに本書はその主たるところが社会哲学の攻究にあるにかかわらず、単に生物進化の事実の発見として継承せられつゝあるものに整然たる組織を建てゝすべての社会的諸科学の基礎となし、さらに目的論の哲学系統と結びつけて推論を人類の今後に及ぼし、もって思弁的ながらも生物進化論の結論を綴りたるものゝはじめなる点において、著者は無限の歓喜を有することを隠蔽するあたわず。もとより人類今後の進化につきては今日の科学は充分なる推論の材料を与えず、かつかかるものゝ当然として著者その人の傾向に支配さるるところの多かるべきは論なしといえども、是れ慎重なる欧米思想家の未だ