Page:国体論及び純正社会主義 帝国図書館 北輝次郎寄贈本.pdf/5

このページはまだ校正されていません

経済学につきて語るところ少なくして金井・田島諸氏の打撃に多くを尽くしたるごとき、第二編「社会主義の倫理的理想」において個人主義の刑法学を軽々に駁《ばく》して樋口氏らの犯罪論を論破するに努めたるごときこれなり。社会の部分を成す個人がその権威を認識さるゝなくしては社会民主主義なるものなし。ことに欧米の如く個人主義の理論と革命とを経由せざる日本のごときは、必ずまず社会民主主義の前提として個人主義の充分なる発展を要す。

 第三編「生物進化論と社会哲学」は社会哲学を生物進化論の見地より考察したるものなり。すなわち正確に名づくるならば「生物進化論の一節としての社会進化論」というべし。しかしながら今日の生物進化論はダー井ン以後其の