Page:国体論及び純正社会主義 帝国図書館 北輝次郎寄贈本.pdf/4

このページはまだ校正されていません

なり。

 著者は古代中世の偏局的社会主義と革命前後の偏局的個人主義との相対立し来たれる思想なることを認むといえども、それらの進化をうけて今日に到達したる社会民主主義が、国家主義の要求を無視するものにあらざるとともにまた自由主義の理想と背馳すというがごとく考えらるべきものにあらずと信ず。ゆえに、本書は首尾を一貫して国家の存在を否む今の社会党諸氏の盲動を排するとともに、彼らのごとく個人主義の学者および学説を的に鋒を磨くがごとき惑乱をなさざりき。すなわち本書の力を用いたるところはいわゆる講壇社会主義といい国家社会主義と称せらるゝ鵺的思想の駆逐なり。第一編「社会主義の経済的正義」において個人主義の旧派