Page:国体論及び純正社会主義 帝国図書館 北輝次郎寄贈本.pdf/13

このページはまだ校正されていません

き棄却すべきは棄却すべきを論ずるにとどまる。学者の論議は法律の禁止以外に自由なり。ゆえに、著者は本書の議論が政府の利益に用いられて社会党の迫害に口実を提供するに至るとも、もしくはまた社会党それ自身の不利と悪感とを挑発するに至るとも少しもかかわりなし。たとえば、万国社会党大会の決議に反して日露戦争を是認せるごとき、全日本国民の輿論に抗して国体論を否認せるごときその例なり。政府の権力といえども一派の学説を強制するあたわず。社会党の大勢力といえども多数決を挿んで思想の自由を軽視するあたわず。一学究の著者にとりては政府の権力といい社会党の勢力といい学理攻究の材料たる以外に用なし。

 故に、著者の社会主義ほもとより「マークスの社会主義」