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更にはじめて書かれたる歴史哲学の日本史として社会主義とかかわりなく見られ得べし。

 第五編「社会主義の蒙啓運動」は善悪の批判の全く進化的過程のものなることを論じ、第二編「社会主義の倫理的理想」において説きたる階級的良心の説明と相待ちて階級闘争の心的説明をなしたり。しかしてさらに国家競争に論及し帝国主義がまた世界主義の前提なることを論じたり。権威なき個人の礎石をもって築かれたる社会は奴隷の集合にして社会民主主義にあらざるごとく、社会主義の世界連邦論は連合すべき国家の倫理的独立を単位としてのことなり。百川の海に注ぐがごとく社会民主主義はすべての進化を継承してはじめて可能なり。個人主義の進化をうけずして