96ダ12276
退職金
編集主文
編集上告を棄却する。上告費用は,被告の負担とする。 上告理由を見る。
1. 記録により推察するに,原審が,被告会社と疎外国際観光公社(後に韓国観光開発公社とその名称が変更された。以下疎外公社とのみいう。)が別個の法人であり,原告が疎外公社に入社し,勤務した後退職し,退職金を受領した後被告会社に入社したとしても,これは,原告の自発的意思によるものではなく,疎外公社の経営方針による一方的な決定により将来に疎外公社に復帰することを条件として形式邸に経たものに過ぎず,被告会社は,疎外公社の一部部署を物的基盤として設立された会社であって,その人事権及び経営権を疎外公社が行使している点等に照らして見ると,原告の疎外公社及び被告会社における労働関係は,実質的に継続されていたとして被告会社から退社した原告の退職金を申請するとともに,その勤続期間は,原告が疎外公社に入社した日から起算しなければならないと判断したことは正当であり,そこにその主張のような法理誤解の違法があるとすることはできない。
上告理由において主張する最高裁判所判決は,本事案に援用するに適切なものではない。
2. 上訴は,自己に不利益な裁判に対して有利に取消変更を求めるものであるから,全部勝訴した判決に対しては,控訴が許されないことが原則であり(最高裁判所 1994. 6. 28. 言渡 94다3063 判決等参照),裁判が控訴人に不利益なものであるか否かは,原則的に裁判の主文を基準として判断するものである(最高裁判所 1993. 6. 25. 言渡 92다33008 判決等参照)。しかしながら,可分債権に対する履行請求の訴えを提起するとともに,それが残余部分を留保し,一部分のみを請求するものである旨を明示しない場合においては,その確定判決の既判力は,残余部分にまで及ぶものであり,別訴によって残余部分に関して再度請求することはできないのであるから(最高裁判所 1993. 6. 25. 言渡 92다33008 判決等参照),一部請求に関して全部勝訴した債権者は,残余部分に関して請求を拡張するための控訴が認められないとすると,残余部分を訴求する機会を喪失する不利益を負うこととなるといえ,従って,このような場合においては,例外的に全部勝訴した判決に対しても残余部分に関して請求を拡張するための控訴の利益を認めることが相当であるといえる。従って,このような場合においては,例外的に全部勝訴した判決に対しても残余部分に関して請求を拡張するための控訴の利益を認めることが相当であるといえる。
原審判決理由及び記録によれば,原告は,第1審において被告会社に対し退職金及びこれに対する遅延損害金の支払いを請求し,退職金請求は全部勝訴し,遅延損害金請求は一部敗訴したが,第1審判決言渡直後疎外公社と被告会社双方において勤務した後退職した疎外ハンソンスが疎外公社を相手方として提起した退職金請求訴訟において疎外公社及び被告会社における勤務期間を通算して退職金を算定すべき旨の最高裁判所判決が言い渡され,原告は,控訴を提起すると同時に最高裁判所判決の趣旨に従い疎外被告会社における勤務期間を通算して算定した退職金の支払いを求めるものとしてその請求を拡張したこと(それに伴い第1審において一部敗訴した遅延損害金請求も当然に拡張された。)を知ることが出来るところ,右に見た本法理に照らして見るとき,原告は,第1審において一部敗訴した遅延損害金請求に対してはもちろん,その一部のみを請求し全部勝訴した退職金請求についても,残余部分に関して請求を拡張するため控訴を提起する利益があるといえる。
原審は,その理由説示において多少不備の点はあるが,原告が第1審判決に対して控訴を提起し,退職金請求を拡張したことが適法であると判断した結論においては,正当であるから,原審判決にその主張のような控訴の利益に関する法理を誤解した違法があるとすることはできず,上告理由において主張する最高裁判所判決は,事案を異にしており,援用するのに適切でない。
3. 従って,上告を棄却し,上告費用は,敗訴者負担とし,関与裁判官の一致した意見により主文のとおり判決する。
最高裁判所判事 チチャンクォン(裁判長) チョンギョンソン シンソンテク ソンジンフン(主審)
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