4294民上1103
建物撤去[集10(2)民,149]
編集主文
編集原判決を破棄する。
本件を大邱高等裁判所に差し戻す。
理由
編集被告訴訟遂行者ハンサンスルの上告理由は,後に附した上告理由書記載のとおりである。
案ずるに,建物は,土地の利用関係を伴わずには存在し得ないのであるから,建物を建物としての効用を有した独立した不動産としての価値を認めるには,土地の利用関係は,建物のための不可分的関係であるとせざるを得ないといえる。そして,土地及び建物が同一の所有者に属しているときには,建物のための土地の利用関係は,土地所有権内に吸収され,土地と建物との利用関係を分離して考える実質的利益及び必要がないのであるが,両者の所有権者が異になった瞬間,両者の合理的な利用関係を考えなければならないこととなる。故に,建物と土地を分離して独立した一つの不動産として認めている我が民法は,一定の条件下における法定地上権を認めているが,民法に規定する要件を具備しなかったとしても,土地と建物が同一の所有者の所有に属していたのがその建物又は土地が売却又はその他の原因によって両者の所有者が異になったときは,特にその建物を撤去するという条件のない以上,当然に建物所有者は,土地所有者に対していわゆる還収による法定(当事者の合意によるものではないという意味である)地上権を取得することとなるのであるが,本件において当事者間に争いのない事実によれば,被告は,本件土地とその上に建てられている本件建物とを所有していたのが,本件土地のみを原告に払下げ売却し,その上に建てられている建物は,被告自身が所有しているというのであるから,被告の本件敷地は,原告の所有となり両者の所有者が異なるというものであって,一見記録を検討しても原告と被告との間に本件建物を撤去することとした旨の特別の約定があることを発見することができないのであるから,被告所有の本件建物は原告の本件土地上に右にいう還収による法定地上権があるといえるにも拘らず,原審が法定地上権に関する立証がないとの理由をもって原告の建物撤去請求を認容したことは,結局還収による法定地上権に関する法理を誤解した違法があるというのであるから,本件上告は,理由があるとして,原審に再度審理判断させるため関与裁判官全員の一致した意見で主文のとおり判決する。
最高裁判所判事 パンスンウォン(裁判長) ホンスンヨプ ヤンフェギョン
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