請求異議 編集

主文 編集

原審判決中,共同訴訟的補助参加申出却下部分を破棄する。その余の上告を棄却する。上告費用中,補助参加による部分は原告(再審原告)補助参加人が,その余は原告(再審原告)共同訴訟的補助参加人が各負担する。

理由 編集

上告理由(上告理由書提出期間が経過した後に提出された書面の記載は,上告理由を補充する範囲内において)を判断する。

1. 上告理由第2点について 編集

関連法令に照らして記録を検討すると,地方裁判所合議部である原審が地方裁判所単独判事の第1審判決に対して控訴審管轄権があることを前提として本件を審判した措置は,裁判所組織法第32条第2項等によるものとして正当であり,ここに上告理由の主張のような控訴審の審級管轄違反等の違法はない。

2. 上告理由第1点及び第5点中,控訴の利益がない旨の主張について 編集

控訴の利益は,上訴要件として,裁判所の職権調査事項であって,これに関する当事者の主張は,職権発動を促す意味しかないから,これに対して判断しなかったとしても,判断遺脱の上告理由とすることはできない[最高裁判所 1990.4.27. 言渡 88ダカ25274,25281(参加)判決,最高裁判所 1994.11.8. 言渡 94ダ31549 判決等参照]。そして,上訴は,自己に不利益な裁判に対してのみ提起することができるものであり,裁判が上訴人に不利益なものか否かは,裁判の主文を標準として上訴提起当時を基準に判断しなければならない(最高裁判所 1994.11.4. 言渡 94ダ21207 判決等参照)。

記録によれば,本件再審の訴えの第1審が原告(再審原告,以下「原告」という)補助参加人の再審請求を全部認容し,再審対象判決を取り消して本件約束手形公正証書に基づく強制執行を不許可とする内容の被告(再審被告,以下「被告」という)敗訴判決を言い渡した事実を知ることが出来るから,右に見た法理に照らしてみれば,第1審判決は,被告に不利益なものであり,被告に控訴の利益があることが明らかである。

従って,被告に控訴の利益がないとか,原審がこれに対する判断を遺脱した旨の本部分上告理由の主張は,受け入れられない。

3. 上告理由第4点について 編集

当事者が補助参加について異議を申し立てたときは,裁判所は,参加を許可すべきか否かを決定しなければならず(民事訴訟法第73条第1項),但し,これを決定でなく終局判決によって審判したとしても違法なものではなく(最高裁判所 1962.1.11. 言渡 4294民上558 判決等参照),これは,裁判の効力が及ぶ第3者が共同訴訟的補助参加をした場合において,その参加について当事者が異議を申し立てたときも同様である。そして判決には,裁判所の判断を明らかにするため,結論を主文に記載するものとしているから,例え判決理由においてその当否を判断していたとしても,主文に説示がなければ,特別の事情がない限りそれに対する裁判は,遺脱したものと解さなければならず,裁判の遺脱がある場合,その部分の訴訟は,依然その審級に係属中であり,適法な上訴の対象とならないから,その部分に対する上訴は不適法である(最高裁判所2007.11.16. 言渡 2005ドゥ15700 判決等参照)。

記録によれば,原告共同訴訟的補助参加人(以下「参加人」という)が2013.3.14.第1審裁判所に共同訴訟的補助参加申出書を提出したところ,これに対して被告が2013.3.22.参加人の共同訴訟的補助参加が許されてはならないとの旨の準備書面を提出して異議を申し立てた事実,それにも拘らず第1審は,弁論期日又は期日外に参加人の共同訴訟的補助参加を許可すべきか否かを決定せず,第1審判決の主文においてもこれに関していかなる判断もしなかった事実,被告が第1審判決に対して控訴したところ,原審は,参加人の共同訴訟的補助参加申出が不適法であると解し,これを却下する判決を言い渡した事実を知ることが出来る。

このような事実関係を前に見た法理に照らしてみれば,第1審は,参加人の参加許否に対する裁判を遺脱したと言えるから,この部分は,依然として第1審に係属中であり,適法な上訴の対象とならない。それにも拘らず,原審は,これを看過したままこの部分を審判対象と誤認し,参加人の参加申出が不適法であると解してこれを却下する判決を言い渡したから,このような原審の措置には,判断遺脱及び上訴の対象等に関する法理を誤解し,判決結果に影響を及ぼす違法がある。この点を指摘する趣旨の上告理由の主張は,理由がある。

4. 上告理由第3点について 編集

イ. 破産管財人が破産財団に関する訴訟をする場合,その裁判の効力が及ぶ債務者は,通常の補助参加はもちろん,共同訴訟的補助参加もすることができる(最高裁判所 2012. 1.29. 言渡 2011ダ109876 判決参照)。 一方,民事訴訟法第78条の共同訴訟的補助参加에는必須的共同訴訟に関する民事訴訟法第67条第1項,すなわち「訴訟目的が共同訴訟人全員に対し合一的に確定されるべき共同訴訟の場合において,共同訴訟人の中の1人の訴訟行為は,全員の利益のためにのみ効力を有する。」とした規定が準用されるから,被参加人の訴訟行為は,全員の利益のためにのみ効力を有し,共同訴訟的補助参加人に不利益となるものは効力を有しない(最高裁判所 2013.3.28. 言渡 2011두13729 判決等参照)。

ところで,民事訴訟法第451条で規定する再審は,確定された終局判決に再審事由に該当する重大な瑕疵がある場合において,その判決の取消及び既に終局した事件の再審判を求める非常の不服申立方法として,確定された終局判決が有する既判力,形成力,執行力等判決の効力の排除を主たる目的とするものである(最高裁判所 2009. 5. 14. 言渡 2006ダ34190 判決等参照)。再審の訴えを取り下げることは,通常の訴えを取り上げることとは異なり,確定された 終局判決に対する不服の機会を喪失させ,それ以上確定判決の効力を排除できなくする行為であるから,これは,裁判の効力と直接的な関連のある訴訟行為として,その確定判決の効力が及ぶ共同訴訟的補助参加人に対しては,不利な行為と言える。従って,再審の訴えに共同訴訟的補助参加人が参加した後には,被参加人が再審の訴えを取り下げたとしても,共同訴訟的補助参加人の同意がない限り効力を有しない。これは,再審の訴えを被参加人が提起した場合や通常の補助参加人が提起した場合においても同様である。特に,通常の補助参加人が再審の訴えを提起した場合においては,被参加人が通常の補助参加人に対する関係において再審の訴え取り下げる権能があるとしても,これを通じて共同訴訟的補助参加人に不利な影響を及ぼすことはできないから,被参加人の再審の訴え取下げにより再審の訴え提起が無効となるとか,不適法になると解するべきものでもない。

原審判決理由及び記録によれば,次のような事実を知ることが出来る。すなわち,①参加人が被告を相手方としてソウル南部地方裁判所2009ガ単45362号で参加人が被告に発行した本件約束手形公正証書の執行力排除を求める内容の請求異議の訴え(以下,「再審対象事件」と言う)を提起した後,同件第1審係属中破産言渡を受けたが,それに伴い原告が破産管財人として訴訟を受け継いだ後2010.9.7.一部勝訴の再審対象判決を受け,この判決は,控訴審及び上告審を経て原告の控訴取下げにより既に確定されたことが確定された。②再審対象事件に補助参加を行った原告補助参加人は,2012.7.27.再審対象判決の取消等を求める本件再審の訴えを提起した。③これに参加人は,2013.3.14.第1審裁判所に共同訴訟的補助参加申出書を提出し,その申出書は,2013.3.20.原告及び被告訴訟代理人に送達された。④それとともに原告が2013.3.21.第1審裁判所に本件再審の訴えを取り下げるとの内容の訴え取下書を提出した。

このような事実関係を前に見た法理に照らしてみれば,破産管財人である原告が受けた再審対象判決の効力が債務者である参加人に及ぶ以上,参加人は,本件再審の訴えに適法に共同訴訟的補助参加をしたと言えるから,その後被参加人である原告が本件再審の訴えを取り下げたとしても,これは,参加人に不利な行為としてその効力がなく,それによって本件再審の訴え提起が無効となるとか,不適法になるということもできない。

それにも拘らず,原審は,その判示のような理由で原告の再審の訴え取下げにより本件再審の訴えが不適法になったと解してこれを却下したから,このような原審の措置には,共同訴訟的補助参加のあった場合の再審の訴え取下げの効力,民事訴訟法第76条第2項等に関する法理を誤解した違法があると言える。

ロ. しかしながら,次のような理由で本件再審の訴えは,不適法で却下されるべきものであるから,右のような原審の誤りは,判決結果に影響を及ぼしたとは言えない。.

民事訴訟法第451条第1項但書は,当事者が上訴により再審事由を主張し,又はこれを知りながら主張しなかったときは,再審の訴えを提起することができない旨規定している。ここで「これを知りながら主張しなかったとき」とは,再審事由があることを知ったのに,上訴を提起した後上訴審においてその事由を主張しなかった場合のみならず,上訴を提起せず判決がそのまま確定された場合までも含むものである(最高裁判所 1985.10.22. 言渡 84フ68 判決, 最高裁判所 1991.11.12. 言渡 91다29057 判決等参照)。そして,判断遺脱のような再審事由は,特別の事情がない限り当事者が判決正本の送達によりこれを知り得たと解すべきものである(最高裁判所 1989.5.23. 言渡 88누5570 判決等参照)。

一方,通常の補助参加人は,参加当時の訴訟状態を前提として被参加人を補助するため参加するものであるから,参加する際の訴訟の進行程度に従い被参加人がすることのできない行為をすることができない(民事訴訟法第76条第1項但書参照)。共同訴訟的補助参加人もまた判決の効力を受ける点において民事訴訟法第78条,第67条により必須的共同訴訟人に準ずる地位を付与されてはいるが,元来当事者ではなく,補助参加人の性質を有するから,右のような点においては,通常の補助参加人と同様であると解すべきである。

原審判決理由及び記録によれば,①先に見た再審対象事件において2010.9.7.原告の一部勝訴の再審対象判決が言渡され,判決正本が2010.9.10.原告本人及び被告訴訟代理人に送達された事実,②これに対し,原告及び被告は控訴せず,原告補助参加人のみが共同訴訟参加申出をすると同時に控訴したが,原告が2010.11.17.控訴を取り下げた事実,③再審対象事件の控訴審は,2011.4.20.「原告補助参加人の共同訴訟参加申出及びこれに基づく控訴は全て不適法であり,再審対象事件は,原・被告が控訴しなかったところ,原告補助参加人が補助参加人として控訴を提起したものと解したとしても,原告の控訴取下げにより訴訟は終了した」と解して,原告補助参加人の共同訴訟参加申出及び控訴を却下し,再審対象判決が2010.9.25.確定されたことによって訴訟が終了したことを宣言する判決を言い渡した事実,④これに対し,原告補助参加人が上告したが,控訴審判決の結論が正当であるとの理由により上告棄却判決の言渡しを受けた事実,⑤ 原告補助参加人は,2012.7.27本件再審の訴えを提起するとともに,「訴訟信託主張」及び「更改主張」に対する再審対象判決の判断遺脱のみを再審事由として主張し,その後参加人が共同訴訟的補助参加をした事実を知ることが出来る。

このような事実関係を先に見た法理に照らしてみれば,原告は,特別の事情がない限り再審対象判決の正本の送達を受けることで,原告補助参加人が主張する判断遺脱の再審事由を知り得たと言えるが,原告が再審対象判決に対して控訴を提起せず,原告補助参加人が提起した控訴も取り下げることにより,再審対象判決がそのまま確定された以上,原告としては,右のような判断遺脱を再審事由としては,再審の訴えを提起することができないこととなったと言える。更に,このように被参加人である原告が再審の訴えを提議することができない以上,原告補助参加人も右のような判断遺脱を再審事由として再審の訴えを提起することができないと言え,これは,参加人が本件再審の訴えに共同訴訟的補助参加をしたとしても同様である。結局,本件再審の訴えは,適法な再審事由に該当しない事由のみを再審事由として主張したものであり,不適法であると言える。

ハ. 従って,本部分上告理由の主張は,受け入れられない。

5. 結論 編集

よって,原審が参加人の共同訴訟的補助参加申出が適法であるのにこれを却下したことは誤りであるとする旨の残りの上告理由に対する判断を省略したまま,原審判決中,共同訴訟的補助参加申出却下部分を破棄し,その余の上告を棄却して,上告費用中,補助参加による部分は原告補助参加人が,その余は参加人が各負担するものとし,関与判事の一致した意見で主文の通り判決する。

最高裁判所判事 チョヒデ(裁判長) イサンフン(主審) キムチャンソク パクサンオク

 

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