鹿兒島県大島郡十島村に関する通貨、預金、債権等の管理の経過措置等に関する政令


 鹿兒島県大島郡十島村に関する通貨、預金、債権等の管理の経過措置等に関する政令をここに公布する。

御名御璽

昭和二十七年二月四日

政令第十四号

鹿兒島県大島郡十島村に関する通貨、預金、債権等の管理の経過措置等に関する政令

 内閣は、昭和二十六年十二月五日附連合国最高司令官覚書「若干の外かく地域の日本からの政治上及び行政上の分離に関する件」に伴う鹿兒島県大島郡十島村に関する暫定措置に関する政令(昭和二十六年政令第三百八十号)第一項前段及び第五項の規定に基き、この政令を制定する。

(定義)

第一條 この政令又はこの政令に基く命令の適用を齊一にするため、左に掲げる用語は、左の定義に従うものとする。

一 「下七島」とは、鹿兒島県大島郡十島村の区域で北緯二十九度から北緯三十度までの間にあるもの(口の島を含む。)をいう。
二 「本邦通貨」とは、日本銀行法(昭和十七年法律第六十七号)、貨幣法(明治三十年法律第十六号)及び臨時通貨法(昭和十三年法律第八十六号)により発行され、現に流通している銀行券、貨幣、臨時補助貨幣及び小額紙幣をいう。
三 「B号軍票」とは、琉球諸島民政府が北緯三十度以南の南西諸島(口の島を含む。)において発行し、同地域において流通しているB号円表示軍票をいう。
四 「B号円」とは、B号軍票に表示されている円をいう。
五 「預金等」とは、預金、貯金その他これらに準するものをいう。
六 「債権」とは、一切の取引又は行為に因り生ずる金銭債権で、預金等に因り生ずる債権以外のものをいう。

(B号軍票の交換)

第二條 下七島にある者は、大蔵省令で定める手続により、下七島において所持するB号軍票を、昭和二十七年二月十一日から同月十八日までの間に、下七島にある郵政官署に提出して本邦通貨と交換しなければならない。

2 前項の交換期間については、大蔵省令で定めるところにより、昭和二十七年三月三十一日までの間を限り、その特例を設けることができる。

(交換事務)

第三條 郵政官署は、前條第一項の規定によるB号軍票と本邦通貨との交換事務を取り扱うものとする。

2 郵政大臣は、前項の規定による交換のための現金交付については、郵政官署の出納官吏又は出納員をしてその保管に係る現金を繰り替え使用させることができる。

3 第一項の交換のための現金の交付及びその補てん金の受入は歳入歳出外として取り扱うものとする。

(預金等の切替)

第四條 下七島にある郵政官署その他預金等の受入をする機関に対するB号円をもつて表示される預金等で、昭和二十一年二月一日以後に預入されたものは、昭和二十七年二月十一日において、日本円をもつて表示される預金等に切り替えられるものとする。

2 下七島にある郵政官署その他預金等の受入をする機関に対する預金等で、昭和二十一年一月三十一日以前に預入されたものは、郵政官署については郵政大臣、郵政官署以外の預金等の受入をする機関(以下「金融機関」という。)については大蔵大臣の指定する日まで、その拂いもどしがされないものとする。

(債権の切替)

第五條 下七島にある者の間のB号円をもつて表示される債権で、下七島において決済されるものは、昭和二十七年二月十一日において、日本円をもつて表示される債権に切り替えられるものとする。

(交換及び切替の比率)

第六條 第二條第一項、第四條第一項及び前條の交換及び切替の比率は、B号円一円につき日本円三円とする。

(報告)

第七條 下七島にある金融機関は、大蔵省令で定める手続により、その預入を受けた第四條第一項に規定する預金及び北緯二十九度以南の南西諸島にある郵政官署又は金融機関に対する預金等の昭和二十七年二月十日現在における残高を、大蔵大臣に報告しなければならない。

(外国為替及び外国貿易管理法等の適用)

第八條 左に掲げる法律及びこれに基く命令は、昭和二十七年二月十一日から下七島に適用する。

一 外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)
二 関税法(明治三十二年法律第六十一号)
三 とん税法(明治三十二年法律第八十八号)
四 関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)
五 日本銀行法
六 通貨及び証券模造取締法(明治二十八年法律第二十八号)
七 貨幣法
八 外国に於て流通する貨幣紙幣銀行券証券偽造変造及模造に関する法律(明治三十八年法律第六十六号)
九 紙幣類似証券取締法(明治三十九年法律第五十一号)
十 臨時貨幣法
十一 補助貨幣損傷等取締法(昭和二十二年法律第百四十八号)
十二 小額紙幣整理法(昭和二十三年法律第四十二号)

(B号軍票による支拂等)

第九條 下七島にある者は、下七島内においてするB号軍票による支拂若しくは支拂の受領又はこれらに伴う行為若しくは取引について、昭和二十七年二月十一日から同月十八日までの間、外国為替及び外国貿易管理法に基く命令の規定による許可又は承認を受けることを要しない。但し、大蔵省令で定める場合においては、その期間の延長が認められるものとする。

(関税定率法の一部を改正する法律の規定の読替)

第十條 関税定率法の一部を改正する法律(昭和二十六年法律第百十号)附則第四項の規定中「北緯三十度以南」とあるのは、昭和二十七年二月十一日以後は、「北緯二十九度以南」と読み替えるものとする。


 この政令は、公布の日から施行する。

内閣総理大臣       吉田 茂
大蔵大臣    池田 勇人
通商産業大臣    高橋龍太郎
郵政大臣    佐藤 栄作

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  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
  3. 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁

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