高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律 (平成30年法律第32号)


 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。

御名御璽

    平成三十年五月二十五日

内閣総理大臣臨時代理    
国務大臣 麻生 太郎  

法律第三十二号

   高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律

第一条 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成十八年法律第九十一号)の一部を次のように改正する。

  目次中「・第二条」を「-第二条」に、「第三章 移動等円滑化のために施設設置管理者が講ずべき措置(第八条-第二十四条)」を

第三章 移動等円滑化のために施設設置管理者が講ずべき措置(第八条-第二十四条)
第三章の二 移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進に関する措置(第二十四条の二-第二十四条の八)

 に、「第四十条」を「第四十条の二」に、「第六十四条」を「第六十五条」に改める。   第一条の次に次の一条を加える。

  (基本理念)

 第一条の二 この法律に基づく措置は、高齢者、障害者等にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去に資すること及び全ての国民が年齢、障害の有無その他の事情によって分け隔てられることなく共生する社会の実現に資することを旨として、行われなければならない。

  第二条第七号中「車いす」を「車椅子」に改め、同条第二十号の次に次の一号を加える。

  二十の二 移動等円滑化促進地区 次に掲げる要件に該当する地区をいう。

   イ 生活関連施設(高齢者、障害者等が日常生活又は社会生活において利用する旅客施設、官公庁施設、福祉施設その他の施設をいう。以下同じ。)の所在地を含み、かつ、生活関連施設相互間の移動が通常徒歩で行われる地区であること。

   ロ 生活関連施設及び生活関連経路(生活関連施設相互間の経路をいう。以下同じ。)を構成する一般交通用施設(道路、駅前広場、通路その他の一般交通の用に供する施設をいう。以下同じ。)について移動等円滑化を促進することが特に必要であると認められる地区であること。

   ハ 当該地区において移動等円滑化を促進することが、総合的な都市機能の増進を図る上で有効かつ適切であると認められる地区であること。

  第二条第二十一号イを次のように改める。

   イ 前号イに掲げる要件

  第二条第二十一号ロ中「(生活関連施設相互間の経路をいう。以下同じ。)」及び「(道路、駅前広場、通路その他の一般交通の用に供する施設をいう。以下同じ。)」を削り、同条第二十五号中「車いす」を「車椅子」に改める。

  第三条第二項中第四号を第五号とし、第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。

  三 第二十四条の二第一項の移動等円滑化促進方針の指針となるべき次に掲げる事項

   イ 移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進の意義に関する事項

   ロ 移動等円滑化促進地区の位置及び区域に関する基本的な事項

   ハ 生活関連施設及び生活関連経路並びにこれらにおける移動等円滑化の促進に関する基本的な事項

   ニ イからハまでに掲げるもののほか、移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進のために必要な事項

  第四条第一項中「勘案しつつ、」の下に「関係行政機関及びこれらの者で構成する会議における定期的な評価その他」を加え、同条第二項中「その」を「高齢者、障害者等が公共交通機関を利用して移動するために必要となる支援その他の移動等円滑化の」に改める。

  第七条中「ともに、」の下に「これらの者が公共交通機関を利用して移動するために必要となる支援その他の」を加え、「協力する」を「必要な協力をする」に改める。

  第十条中第五項を第六項とし、第四項の次に次の一項を加える。

 5 道路管理者は、その管理する新設特定道路について、高齢者、障害者等に対し、これらの者が当該新設特定道路を円滑に利用するために必要となる情報を適切に提供するよう努めなければならない。

  第十一条に次の一項を加える。

 5 路外駐車場管理者等は、その管理する新設特定路外駐車場について、高齢者、障害者等に対し、これらの者が当該新設特定路外駐車場を円滑に利用するために必要となる情報を適切に提供するよう努めなければならない。

  第十三条に次の一項を加える。

 6 公園管理者等は、その管理する新設特定公園施設について、高齢者、障害者等に対し、これらの者が当該新設特定公園施設を円滑に利用するために必要となる情報を適切に提供するよう努めなければならない。

  第十四条第一項中「次項」を「以下この条」に改め、同条に次の一項を加える。

 6 建築主等は、その所有し、管理し、又は占有する新築特別特定建築物について、高齢者、障害者等に対し、これらの者が当該新築特別特定建築物を円滑に利用するために必要となる情報を適切に提供するよう努めなければならない。

  第三章の次に次の一章を加える。

    第三章の二 移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進に関する措置

  (移動等円滑化促進方針)

 第二十四条の二 市町村は、基本方針に基づき、単独で又は共同して、当該市町村の区域内の移動等円滑化促進地区について、移動等円滑化の促進に関する方針(以下「移動等円滑化促進方針」という。)を作成するよう努めるものとする。

 2 移動等円滑化促進方針には、次に掲げる事項について定めるものとする。

  一 移動等円滑化促進地区の位置及び区域

  二 生活関連施設及び生活関連経路並びにこれらにおける移動等円滑化の促進に関する事項

  三 前二号に掲げるもののほか、移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進のために必要な事項

 3 前項各号に掲げるもののほか、移動等円滑化促進方針には、移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進に関する基本的な方針について定めるよう努めるものとする。

 4 移動等円滑化促進方針には、市町村が行う移動等円滑化促進地区に所在する旅客施設の構造及び配置その他の移動等円滑化に関する情報の収集、整理及び提供に関する事項を定めることができる。

 5 移動等円滑化促進方針は、都市計画、都市計画法第十八条の二の市町村の都市計画に関する基本的な方針及び地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成十九年法律第五十九号)第五条第一項に規定する地域公共交通網形成計画との調和が保たれたものでなければならない。

 6 市町村は、移動等円滑化促進方針を作成しようとするときは、あらかじめ、住民、生活関連施設を利用する高齢者、障害者等その他利害関係者、関係する施設設置管理者及び都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

 7 市町村は、移動等円滑化促進方針を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、主務大臣、都道府県並びに関係する施設設置管理者及び公安委員会に送付しなければならない。

 8 主務大臣は、前項の規定により移動等円滑化促進方針の送付を受けたときは、市町村に対し、必要な助言をすることができる。

 9 都道府県は、市町村に対し、その求めに応じ、移動等円滑化促進方針の作成及びその円滑かつ確実な実施に関し、各市町村の区域を超えた広域的な見地から、必要な助言その他の援助を行うよう努めなければならない。

 10 第六項から前項までの規定は、移動等円滑化促進方針の変更について準用する。

  (移動等円滑化促進方針の評価等)

 第二十四条の三 市町村は、移動等円滑化促進方針を作成した場合においては、おおむね五年ごとに、当該移動等円滑化促進方針において定められた移動等円滑化促進地区における移動等円滑化に関する措置の実施の状況についての調査、分析及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認めるときは、移動等円滑化促進方針を変更するものとする。

  (協議会)

 第二十四条の四 移動等円滑化促進方針を作成しようとする市町村は、移動等円滑化促進方針の作成に関する協議及び移動等円滑化促進方針の実施(実施の状況についての調査、分析及び評価を含む。)に係る連絡調整を行うための協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織することができる。

 2 協議会は、次に掲げる者をもって構成する。

  一 移動等円滑化促進方針を作成しようとする市町村

  二 関係する施設設置管理者、公安委員会その他移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進に関し密接な関係を有する者

  三 高齢者、障害者等、学識経験者その他の当該市町村が必要と認める者

 3 第一項の規定により協議会を組織する市町村は、同項に規定する協議を行う旨を前項第二号に掲げる者に通知するものとする。

 4 前項の規定による通知を受けた者は、正当な理由がある場合を除き、当該通知に係る協議に応じなければならない。

 5 協議会において協議が調った事項については、協議会の構成員はその協議の結果を尊重しなければならない。

 6 前各項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

  (移動等円滑化促進方針の作成等の提案)

 第二十四条の五 次に掲げる者は、市町村に対して、移動等円滑化促進方針の作成又は変更をすることを提案することができる。この場合においては、基本方針に即して、当該提案に係る移動等円滑化促進方針の素案を作成して、これを提示しなければならない。

  一 施設設置管理者その他の生活関連施設又は生活関連経路を構成する一般交通用施設の管理者

  二 高齢者、障害者等その他の生活関連施設又は生活関連経路を構成する一般交通用施設の利用に関し利害関係を有する者

 2 前項の規定による提案を受けた市町村は、当該提案に基づき移動等円滑化促進方針の作成又は変更をするか否かについて、遅滞なく、当該提案をした者に通知しなければならない。この場合において、移動等円滑化促進方針の作成又は変更をしないこととするときは、その理由を明らかにしなければならない。

  (行為の届出等)

 第二十四条の六 移動等円滑化促進方針において定められた移動等円滑化促進地区の区域において、旅客施設の建設、道路の新設その他の行為であって当該区域における移動等円滑化の促進に支障を及ぼすおそれのあるものとして政令で定めるものをしようとする公共交通事業者等又は道路管理者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、主務省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他主務省令で定める事項を市町村に届け出なければならない。ただし、非常災害のため必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。

 2 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち主務省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の三十日前までに、主務省令で定めるところにより、その旨を市町村に届け出なければならない。

 3 市町村は、前二項の規定による届出があった場合において、その届出に係る行為が移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進を図る上で支障があると認めるときは、その届出をした者に対し、その届出に係る行為に関し旅客施設又は道路の構造の変更その他の必要な措置の実施を要請することができる。

 4 市町村は、前項の規定による要請を受けた者が当該要請に応じないときは、その旨を主務大臣に通知することができる。

 5 主務大臣は、前項の規定による通知があった場合において、第三項の規定による要請を受けた者が正当な理由がなくて同項の措置を実施していないと認めるときは、当該要請を受けた者に対し、当該措置を実施すべきことを勧告することができる。

  (市町村による情報の収集、整理及び提供)

 第二十四条の七 第二十四条の二第四項の規定により移動等円滑化促進方針において市町村が行う移動等円滑化に関する情報の収集、整理及び提供に関する事項が定められたときは、市町村は、当該移動等円滑化促進方針に基づき移動等円滑化に関する事項についての情報の収集、整理及び提供を行うものとする。

  (施設設置管理者による市町村に対する情報の提供)

 第二十四条の八 公共交通事業者等及び道路管理者は、前条の規定により情報の収集、整理及び提供を行う市町村の求めがあったときは、主務省令で定めるところにより、高齢者、障害者等が旅客施設及び特定道路を利用するために必要となる情報を当該市町村に提供しなければならない。

 2 路外駐車場管理者等、公園管理者等及び建築主等は、前条の規定により情報の収集、整理及び提供を行う市町村の求めがあったときは、主務省令で定めるところにより、高齢者、障害者等が特定路外駐車場、特定公園施設及び特別特定建築物を利用するために必要となる情報を当該市町村に提供するよう努めなければならない。

  第二十五条第一項中「基本方針」の下に「(移動等円滑化促進方針が作成されているときは、基本方針及び移動等円滑化促進方針。以下同じ。)」を加え、「ことができる」を「よう努めるものとする」に改め、同条第六項を削り、同条第七項を同条第六項とし、同条第八項中「次条第一項」を「第二十六条第一項」に改め、「都道府県公安委員会(以下「」及び「」という。)」を削り、同項を同条第七項とし、同条第九項中「次条第一項」を「第二十六条第一項」に改め、同項を同条第八項とし、同条第十項を同条第九項とし、同項の次に次の一項を加える。

 10 第二十四条の二第四項、第五項及び第七項から第九項までの規定は、基本構想の作成について準用する。この場合において、同条第四項中「移動等円滑化促進地区」とあるのは、「重点整備地区」と読み替えるものとする。

  第二十五条第十一項及び第十二項を削り、同条第十三項中「第七項から前項まで」を「第二十四条の二第七項から第九項まで及びこの条第六項から第九項まで」に改め、同項を同条第十一項とし、同条の次に次の一条を加える。

  (基本構想の評価等)

 第二十五条の二 市町村は、基本構想を作成した場合においては、おおむね五年ごとに、当該基本構想において定められた重点整備地区における特定事業その他の事業の実施の状況についての調査、分析及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認めるときは、基本構想を変更するものとする。

  第二十六条第一項中「実施」の下に「(実施の状況についての調査、分析及び評価を含む。)」を加える。

  第四章中第四十条の次に次の一条を加える。

  (市町村による情報の収集、整理及び提供等)

 第四十条の二 第二十五条第十項において読み替えて準用する第二十四条の二第四項の規定により基本構想において市町村が行う移動等円滑化に関する情報の収集、整理及び提供に関する事項が定められたときは、市町村は、当該基本構想に基づき移動等円滑化に関する事項についての情報の収集、整理及び提供を行うものとする。

 2 第二十四条の八の規定は、前項の規定により情報の収集、整理及び提供を行う市町村の求めがあった場合について準用する。

  第四十一条第一項中「重点整備地区」を「移動等円滑化促進地区内又は重点整備地区」に改め、「この章において」を削る。

  第五十条第一項中「重点整備地区」を「移動等円滑化促進地区内又は重点整備地区」に改める。

  第五十二条の次に次の一条を加える。

  (移動等円滑化の進展の状況に関する評価)

 第五十二条の二 国は、移動等円滑化を促進するため、関係行政機関及び高齢者、障害者等、地方公共団体、施設設置管理者その他の関係者で構成する会議を設け、定期的に、移動等円滑化の進展の状況を把握し、及び評価するよう努めなければならない。

  第五十四条第二項中「第二十四条」の下に「、第二十四条の六第四項及び第五項」を加え、「第二十五条第十一項及び第十二項」を「第二十四条の二第七項及び第八項」に、「同条第十三項」を「同条第十項並びに第二十五条第十項及び第十一項」に改める。

  第六十二条中第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。

  二 第二十四条の六第一項又は第二項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をして、同条第一項本文又は第二項に規定する行為をした者

  本則に次の一条を加える。

 第六十五条 第二十四条の八第一項(第四十条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定による情報の提供をせず、又は虚偽の情報の提供をした者は、二十万円以下の過料に処する。

第二条 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を次のように改正する。

  目次中「第五章 移動等円滑化経路協定(第四十一条-第五十一条)」を

第五章 移動等円滑化経路協定(第四十一条-第五十一条)
第五章の二 移動等円滑化施設協定(第五十一条の二)

 に、「第六十五条」を「第六十六条」に改める。   第二条第四号ハ中「。)」の下に「、一般貸切旅客自動車運送事業者」を加え、同号ホ中「営む者」の下に「及び旅客不定期航路事業者」を加え、同条第五号ニ中「一般旅客定期航路事業」の下に「又は旅客不定期航路事業」を加え、同条第七号中「もの、」の下に「一般貸切旅客自動車運送事業者又は」を加え、「その事業の用に供する自動車にあっては高齢者」を「これらの事業の用に供する自動車にあっては高齢者」に改め、同条第二十三号ハ中「又は一般乗合旅客自動車運送事業者」を「、一般乗合旅客自動車運送事業者、一般貸切旅客自動車運送事業者又は一般乗用旅客自動車運送事業者」に改める。

  第八条中第五項を第六項とし、第四項を第五項とし、第三項の次に次の一項を加える。

 4 公共交通事業者等は、高齢者、障害者等に対し、これらの者が公共交通機関を利用して移動するために必要となる乗降についての介助、旅客施設における誘導その他の支援を適切に行うよう努めなければならない。

  第九条の次に次の六条を加える。

  (公共交通事業者等の判断の基準となるべき事項)

 第九条の二 主務大臣は、旅客施設及び車両等の移動等円滑化を促進するため、次に掲げる事項並びに移動等円滑化のために公共交通事業者等が講ずる措置によって達成すべき目標及び当該目標を達成するために当該事項と併せて講ずべき措置に関し、公共交通事業者等の判断の基準となるべき事項を定め、これを公表するものとする。

  一 旅客施設及び車両等を公共交通移動等円滑化基準に適合させるために必要な措置

  二 高齢者、障害者等が公共交通機関を利用して移動するために必要となる乗降についての介助、旅客施設における誘導その他の支援

  三 高齢者、障害者等が公共交通機関を利用して移動するために必要となる情報の提供

  四 移動等円滑化を図るために必要な教育訓練

 2 前項に規定する判断の基準となるべき事項は、移動等円滑化の進展の状況、旅客施設及び車両等の移動等円滑化に関する技術水準その他の事情を勘案して定めるものとし、これらの事情の変動に応じて必要な改定をするものとする。

  (指導及び助言)

 第九条の三 主務大臣は、旅客施設及び車両等の移動等円滑化を促進するため必要があると認めるときは、公共交通事業者等に対し、前条第一項に規定する判断の基準となるべき事項を勘案して、同項各号に掲げる事項の実施について必要な指導及び助言をすることができる。

  (計画の作成)

 第九条の四 公共交通事業者等(旅客が相当数であることその他の主務省令で定める要件に該当する者に限る。次条から第九条の七までにおいて同じ。)は、毎年度、主務省令で定めるところにより、第九条の二第一項に規定する判断の基準となるべき事項において定められた同項の目標に関し、その達成のための計画を作成し、主務大臣に提出しなければならない。

  (定期の報告)

 第九条の五 公共交通事業者等は、毎年度、主務省令で定めるところにより、前条の計画に基づく措置の実施の状況その他主務省令で定める事項を主務大臣に報告しなければならない。

  (公表)

 第九条の六 公共交通事業者等は、毎年度、主務省令で定めるところにより、第九条の四の計画の内容、当該計画に基づく措置の実施の状況その他主務省令で定める移動等円滑化に関する情報を公表しなければならない。

  (勧告等)

 第九条の七 主務大臣は、公共交通事業者等の事業の用に供する旅客施設及び車両等の移動等円滑化の状況が第九条の二第一項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは、当該公共交通事業者等に対し、当該旅客施設及び車両等の移動等円滑化に関する技術水準その他の事情を勘案し、その判断の根拠を示して、当該旅客施設及び車両等に係る移動等円滑化に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。

 2 主務大臣は、前項に規定する勧告を受けた公共交通事業者等がその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。

  第二十二条の次に次の一条を加える。

  (協定建築物の建築等及び維持保全の計画の認定等)

 第二十二条の二 建築主等は、次の各号のいずれかに該当する建築物特定施設(以下この条において「協定建築物特定施設」という。)と一体的に利用に供しなければ公共交通移動等円滑化基準に適合させることが構造上その他の理由により著しく困難であると主務省令で定めるところにより主務大臣が認める旅客施設(次の各号の公共交通事業者等の事業の用に供するものに限る。次項において「移動等円滑化困難旅客施設」という。)の敷地に隣接し、又は近接する土地において協定建築物特定施設を有する建築物(以下「協定建築物」という。)の建築等をしようとするときは、主務省令で定めるところにより、協定建築物の建築等及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁の認定を申請することができる。

  一 建築主等が公共交通事業者等と締結する第四十一条第一項に規定する移動等円滑化経路協定の目的となる経路を構成する建築物特定施設

  二 建築主等が公共交通事業者等と締結する第五十一条の二第一項に規定する移動等円滑化施設協定の目的となる建築物特定施設

 2 前項の申請に係る協定建築物特定施設(協定建築物特定施設と移動等円滑化困難旅客施設との間に同項第一号の経路がある場合にあっては、協定建築物特定施設及び当該経路を構成する一般交通用施設(以下この項において「特定経路施設」という。))は、協定建築物特定施設等維持保全基準(移動等円滑化困難旅客施設の公共交通移動等円滑化基準への継続的な適合の確保のために必要な協定建築物特定施設及び特定経路施設の維持保全に関する主務省令で定める基準をいう。)に適合するものとして、主務省令で定めるところにより主務大臣の認定を受けたものでなければならない。

 3 第一項の計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

  一 協定建築物の位置

  二 協定建築物の延べ面積、構造方法及び用途並びに敷地面積

  三 計画に係る協定建築物特定施設の構造及び配置並びに維持保全に関する事項

  四 協定建築物の建築等の事業に関する資金計画

  五 その他主務省令で定める事項

 4 所管行政庁は、第一項の申請があった場合において、当該申請に係る協定建築物の建築等及び維持保全の計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、認定をすることができる。

  一 前項第三号に掲げる事項が、建築物移動等円滑化基準を超え、かつ、第十七条第三項第一号に規定する主務省令で定める建築物特定施設の構造及び配置に関する基準に適合すること。

  二 前項第四号に掲げる資金計画が、協定建築物の建築等の事業を確実に遂行するため適切なものであること。

 5 第十八条、第十九条、第二十一条及び前条の規定は、前項の認定を受けた者(第五十三条第五項において「認定協定建築主等」という。)に係る当該認定を受けた計画について準用する。この場合において、第十八条第二項中「前条」とあるのは「第二十二条の二第一項から第四項まで」と、第十九条中「特定建築物(以下「認定特定建築物」という。)の建築物特定施設」とあるのは「第二十二条の二第一項に規定する協定建築物(第二十一条において「認定協定建築物」という。)の同項に規定する協定建築物特定施設」と、第二十一条中「認定特定建築物」とあるのは「認定協定建築物」と読み替えるものとする。

  第五章の次に次の一章を加える。

    第五章の二 移動等円滑化施設協定

 第五十一条の二 移動等円滑化促進地区内又は重点整備地区内の一団の土地の土地所有者等は、その全員の合意により、高齢者、障害者等が円滑に利用することができる案内所その他の当該土地の区域における移動等円滑化に資する施設(移動等円滑化経路協定の目的となる経路を構成するものを除き、高齢者、障害者等の利用に供しない施設であって移動等円滑化のための事業の実施に伴い移転が必要となるものを含む。次項において同じ。)の整備又は管理に関する協定(以下この条において「移動等円滑化施設協定」という。)を締結することができる。ただし、当該土地(土地区画整理法第九十八条第一項の規定により仮換地として指定された土地にあっては、当該土地に対応する従前の土地)の区域内に借地権等の目的となっている土地がある場合(当該借地権等が地下又は空間について上下の範囲を定めて設定されたもので、当該土地の所有者が当該土地を使用している場合を除く。)においては、当該借地権等の目的となっている土地の所有者の合意を要しない。

 2 移動等円滑化施設協定においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

  一 移動等円滑化施設協定の目的となる土地の区域及び施設の位置

  二 次に掲げる移動等円滑化に資する施設の整備又は管理に関する事項のうち、必要なもの

   イ 前号の施設の移動等円滑化に関する基準

   ロ 前号の施設の整備又は管理に関する事項

  三 移動等円滑化施設協定の有効期間

  四 移動等円滑化施設協定に違反した場合の措置

 3 前章(第四十一条第一項及び第二項を除く。)の規定は、移動等円滑化施設協定について準用する。この場合において、第四十三条第一項第三号中「第四十一条第二項各号」とあるのは「第五十一条の二第二項各号」と、同条第二項中「、移動等円滑化経路協定区域」とあるのは「、第五十一条の二第二項第一号の区域(以下この章において「移動等円滑化施設協定区域」という。)」と、「移動等円滑化経路協定区域内」とあるのは「移動等円滑化施設協定区域内」と、第四十四条第一項、第四十五条、第四十六条、第四十七条第一項及び第三項、第四十八条第一項並びに第五十条第一項及び第四項中「移動等円滑化経路協定区域」とあるのは「移動等円滑化施設協定区域」と、第四十六条及び第四十九条中「第四十一条第一項」とあるのは「第五十一条の二第一項」と読み替えるものとする。

  第五十三条中第六項を第七項とし、第五項を第六項とし、第四項の次に次の一項を加える。

 5 所管行政庁は、認定協定建築主等に対し、第二十二条の二第四項の認定を受けた計画(同条第五項において準用する第十八条第一項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの)に係る協定建築物の建築等又は維持保全の状況について報告をさせることができる。

  第五十四条第二項中「第九条」の下に「、第九条の二第一項、第九条の三から第九条の五まで、第九条の七、第二十二条の二第一項及び第二項(これらの規定を同条第五項において読み替えて準用する第十八条第二項において準用する場合を含む。)」を加える。

  第六十一条を次のように改める。

 第六十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

  一 第九条の四の規定による提出をしなかった者

  二 第九条の五の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

  三 第十二条第一項又は第二項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者

  第六十三条第二号中「第五十三条第四項」の下に「又は第五項」を加える。

  第六十五条を第六十六条とし、第六十四条の次に次の一条を加える。

 第六十五条 第九条の六の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をした者は、五十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 ただし、第二条及び次条の規定は、平成三十一年四月一日から施行する。

 (経過措置)

第二条 第二条の規定の施行の際現に工事中の海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)による輸送施設(船舶を除き、同法による旅客不定期航路事業の用に供するものに限る。)の新たな建設又は同条の規定による改正後の高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第八条第一項の主務省令で定める大規模な改良については、同項の規定は、適用しない。

 (政令への委任)

第三条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第四条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部改正)

第五条 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成十九年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。

  第五条第五項中「計画及び」を「計画、」に、「第二十五条」を「第二十四条の二の移動等円滑化の促進に関する方針及び同法第二十五条」に改める。

内閣総理大臣臨時代理    
国務大臣 麻生 太郎  
総務大臣 野田 聖子  
厚生労働大臣 加藤 勝信  
国土交通大臣 石井 啓一  

この著作物は、日本国著作権法10条2項又は13条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同法10条2項及び13条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 憲法その他の法令
  2. 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
  3. 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
  4. 上記いずれかのものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
  5. 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道

この著作物は、米国政府、又は他国の法律、命令、布告、又は勅令等(Edict of governmentも参照)であるため、ウィキメディアサーバの所在地である米国においてパブリックドメインの状態にあります。“Compendium of U.S. Copyright Office Practices”、第3版、2014年の第313.6(C)(2)条をご覧ください。このような文書には、“制定法、裁判の判決、行政の決定、国家の命令、又は類似する形式の政府の法令資料”が含まれます。