首相セクト的逸脱行為対策に関する2005年5月27日の通達2

2005年5月27日

諸大臣、官房長官、県知事各位殿


2002年11月28日の政令によってMIVILUDESを設置することで、政府は、セクトの行為に対する予防的及び抑止的措置が再構築されたと認識している。 MIVILUDESの30ヶ月の活動を振り返り、また、2回目の年次報告書がその本部長より提出されたことを受け、私は、それらから教訓を引き出すとともに、今後の方針を定めることが有意義であると判断するものである。


I. 政府により取られてきた行動の諸原則

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政府の行動は、信徒(会員)に対して肉体的・精神的な束縛を行っている特定のグループの悪しき行為への対策、公の自由の尊重及び政教分離の原則とを、うまく両立させようという配慮に基づいている。公権力が特定の団体をセクト指定し、そのことだけを根拠として行動するという方法は、前出の両立を保障することも出来ないし、実行する政策が法的に根拠のあるものだということを保障することも出来ないということが、実際の経験として示されているのである。 特定の団体を指さすということではなく、刑事罰の対象となりうる行為もしくは法令に反すると考えられる行為を見極めたり抑止したりすることができるよう、個人の自由に対して危険な影響を及ぼしていると思われる組織に対する監視を行っていくことが決められたのである。 こうした法的安全についての配慮は、政府の行動を弱いものにするのではなく、むしろその効力を一層保障するものである。 しかしながら、こうした行動が最大限に効果的なものにはなるためには、公務員たちが識見を持って、以下のようなしっかりとした活動を現場で実践しなければならない。

  •  職場において、セクト的と疑われるあらゆる形態の動きを探したり見極めたりするように努める。セクト団体はその会員たちを、隷属的状態や被支配的状態に置き、依存的状態につけこむからである。
  •  こうした動きは、非難されるべき行為を警戒しながら見守らなければならない。こうした動きがあった時は、直ちに抑止的措置を実行しなくてはならない。

こうした警戒は、1995年の報告書に添付されているセクト団体リストの妥当性が低下しているということも含めて、セクト問題の進展を考慮したものでなければならない。実際のところ、インターネットによる伝播を利用した、小規模且つ分散的・流動的で識別が容易でない団体が形成されていることを、我々は確認している。 こうした警戒は、全体主義的な概念のもとに形成され、秘密的活動を行い、取り返しのつかない事態を引き起こし得る特定の団体に対し、特に重要となっている。

II.行動方法

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講じる対策は、ヨーロッパに他例を見ない全国的レベル及び地域的レベルに設置されている体制によって、フォローされなければならない。

  1. 首相所轄の省間対策本部が設置されていることにより、諸機関の動向を調整し、国の対策に一貫性を持たせることが出来る。当該行政機関の代表が集まる執行委員会は、2ヶ月毎に開かれている。私は、この状況が維持され、各行政機関の最高レベルの責任者が参加することを望むところである。MIVILUDESの本部長の責任のもと、執行委員会と指導(コンサルタント)委員会との間における有益な話し合いは、更に深められるべきである。
  2. 同様の一貫性は、地域レベルにおいても追求されており、内務省通達によって「県レベル警戒室」が知事の監督下に組織された。これらの警戒室の任務は、各種委員会の簡素化の一環として、国務院の決定により、非行防止・薬物対策・セクト対策・被害者救済の分野を担当する新たな評議会に移譲されることになる。各県の知事は、所轄の評議会内に、セクト対策に関する事案を専門に扱う部門を設置することになる。
  3. 幾つかの省庁は、担当者や専任担当官を選任している。各省庁において、適切な部門(事務室・法律部門・戦略部門)に、コーディネート能力を持った活力ある責任者をおくよう、私は希望するものである。
  4. 知事より任命されたMIVILUDESの地域担当者は、研修と情報提供に関する総合的な任務を命じられている。この任務は確固たるものとされ、拡大されなければならない。経過の検証が可能な総合的資料の作成が地域ごとに作成され、「公務員ガイド」を活用し、セクト行為に関する部署間の研修プログラムが組まれることを、私は特に望むのである。
  5. 警察・憲兵隊及び司法当局の担当部門は、セクト関連の情報提供・苦情(告訴)・捜査・有罪判決の数や内容に関する最新情報を収集していくものとする。
  6. 各省庁は、報告書を毎年作成するものとする。それは、全文もしくは部分がMIVILUDESの年次報告書に記載され得るものであり、地域レベルや全国的レベルで行った活動内容・研修内容・成果について記されていなければならない。子供や未成年に関しては、その保護について特別な配慮をしなければならない。
  7. セクト関連問題についての質疑応答書(年に数十ある)に対し、関係者各位は十分な注意を払わなければならない。この件は微妙な問題であることから、一切の返答を行う前には必ずMIVILUDESに相談するよう、求めるものである。
  8. 最後に、貴職の前任者が出した省内指示の幾つかは、本通達によって定められた方針に従い、改正されなければならない。これに関する調査をMIVILUDESと連携しながら実施するよう、私は求めるものである。いずれにせよ、「セクト監視所」や「MILS」などの組織への準拠は、MIVILUDESを設置した政令への準拠に取って代わられなければならず、セクト団体リストの使用を避け、基準群の適用を行っていかなければならない。この移行が遅くとも2005年12月31日に実行されるよう、私は求めるものである。