青木繁書簡 明治38年5月19日付 蒲原隼雄宛
五月十九日 本鄕駒込󠄁千駄木林町
蒲原隼雄樣
再昨夜十日許の行旅より立歸り申候。貴詩集の件、山本氏に依囑候彫版は一昨晚尋ね候處、凡
そ全󠄁版面の三分一成就、最も困難の部分丈󠄁は殆ど相すみ居り候。一見候處非常に精緻を盡したる
ものにて、微細なる極めて密刻の出來、定めての苦心なるべく、今更︀我等輕佻なる匇作の體たら
く、慚愧汗顏の思ひを起し候有樣に候。
……折角十餘日の行旅の閑懷も二日ばかりの歸京に全󠄁く磨󠄁碎せられ候樣の心地せられ候。
青木繁書簡 明治38年5月19日付 蒲原隼雄宛
作者:青木繁
1905年5月19日
五月十九日 本鄕駒込󠄁千駄木林町
蒲原隼雄樣
再昨夜十日許の行旅より立歸り申候。貴詩集の件、山本氏に依囑候彫版は一昨晚尋ね候處、凡
そ全󠄁版面の三分一成就、最も困難の部分丈󠄁は殆ど相すみ居り候。一見候處非常に精緻を盡したる
ものにて、微細なる極めて密刻の出來、定めての苦心なるべく、今更︀我等輕佻なる匇作の體たら
く、慚愧汗顏の思ひを起し候有樣に候。
……折角十餘日の行旅の閑懷も二日ばかりの歸京に全󠄁く磨󠄁碎せられ候樣の心地せられ候。