電気通信事業法の一部を改正する法律 (令和元年法律第5号)

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 電気通信事業法の一部を改正する法律をここに公布する。

御名御璽

    令和元年五月十七日

内閣総理大臣 安倍 晋三  

法律第五号

   電気通信事業法の一部を改正する法律

 電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)の一部を次のように改正する。

 目次中「事業の登録等」を「電気通信事業の登録等」に、「業務」を「電気通信事業者の業務」に、「第五節 指定試験機関等」を

「第五節 届出媒介等業務受託者(第七十三条の二-第七十三条の四)

 第六節 指定試験機関等                    」

に、「第六節」を「第七節」に、「第七節」を「第八節」に改める。

 第二章第二節の節名を次のように改める。

    第二節 電気通信事業の登録等

 第二章第三節の節名を次のように改める。

    第三節 電気通信事業者の業務

 第二十六条第一項中「及び電気通信事業者から電気通信役務の提供に関する契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理(以下「媒介等」という。)の業務及びこれに付随する業務の委託を受けた者(その者から委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けた者を含む。以下「媒介等業務受託者」という。)」を削り、「、第二十七条の二及び第二十九条第二項」を「及び第二十七条の二」に改め、「又はその媒介等」を削る。

 第二十六条の三第一項中「媒介等業務受託者が第二十七条の二第一号」を「届出媒介等業務受託者(第七十三条の二第二項に規定する届出媒介等業務受託者をいう。第二十七条の三第二項第二号において同じ。)がそれぞれ第二十七条の二第一号又は第七十三条の三において準用する同号」に改める。

 第二十七条の二の見出しを「(電気通信事業者の禁止行為)」に改め、同条中「又は媒介等業務受託者」を削り、第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。

 二 第二十六条第一項各号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約の締結の勧誘に先立つて、その相手方(電気通信事業者である者を除く。)に対し、自己の氏名若しくは名称又は当該契約の締結の勧誘である旨を告げずに勧誘する行為(利用者の利益の保護のため支障を生ずるおそれがないものとして総務省令で定めるものを除く。)

 第二十七条の二に次の一号を加える。

 四 前三号に掲げるもののほか、利用者の利益の保護のため支障を生ずるおそれがあるものとして総務省令で定める行為

 第二十七条の三中「媒介等の業務及び」を「媒介、取次ぎ又は代理(以下「媒介等」という。)の業務又は」に、「に係る媒介等業務受託者」を「を受けた者(その者から委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けた者を含む。以下「媒介等業務受託者」という。)」に改め、同条を第二十七条の四とする。

 第二十七条の二の次に次の一条を加える。

 (移動電気通信役務を提供する電気通信事業者の禁止行為)

第二十七条の三 総務大臣は、総務省令で定めるところにより、移動電気通信役務(第二十六条第一項第一号に掲げる電気通信役務又は同項第三号に掲げる電気通信役務(その一端が移動端末設備と接続される伝送路設備を用いて提供されるものに限る。)であつて、電気通信役務の提供の状況その他の事情を勘案して電気通信事業者間の適正な競争関係を確保する必要があるものとして総務大臣が指定するものをいう。以下同じ。)を提供する電気通信事業者(移動電気通信役務(当該電気通信事業者が提供するものと同種のものに限る。)の利用者の総数に占めるその提供する移動電気通信役務の利用者の数の割合が電気通信事業者間の適正な競争関係に及ぼす影響が少ないものとして総務省令で定める割合を超えないものを除く。)を次項の規定の適用を受ける電気通信事業者として指定することができる。

2 前項の規定により指定された電気通信事業者は、次に掲げる行為をしてはならない。

 一 その移動電気通信役務の提供を受けるために必要な移動端末設備となる電気通信設備の販売等(販売、賃貸その他これらに類する行為をいう。)に関する契約の締結に際し、当該契約に係る当該移動電気通信役務の利用者(電気通信役務の提供を受けようとする者を含む。次号、第二十九条第二項及び第七十三条の四において同じ。)に対し、当該移動電気通信役務の料金を当該契約の締結をしない場合におけるものより有利なものとすることその他電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれがある利益の提供として総務省令で定めるものを約し、又は第三者に約させること。

 二 その移動電気通信役務の提供に関する契約の締結に際し、当該移動電気通信役務の利用者に対し、当該契約の解除を行うことを不当に妨げることにより電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれがあるものとして総務省令で定める当該移動電気通信役務に関する料金その他の提供条件を約し、又は届出媒介等業務受託者に約させること。

3 第一項の規定による移動電気通信役務の指定及び電気通信事業者の指定は、告示によつて行う。

 第二十九条第二項第一号中「又は媒介等業務受託者」を削り、「又は第二十七条の二」を「、第二十六条の二第一項、第二十六条の四第一項、第二十七条、第二十七条の二又は第二十七条の四」に改め、同項第二号を次のように改める。

 二 第二十七条の三第一項の規定により指定された電気通信事業者が同条第二項の規定に違反したとき 当該電気通信事業者

 第四十九条第四項中「次節第二款」を「第六節第二款」に改める。

 第二章中第七節を第八節とし、第六節を第七節とし、第五節を第六節とし、第四節の次に次の一節を加える。

    第五節 届出媒介等業務受託者

 (媒介等の業務の届出等)

第七十三条の二 電気通信事業者又は媒介等業務受託者から委託を受けて第二十六条第一項各号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約の締結の媒介等の業務を行おうとする者は、総務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書類を添えて、その旨を総務大臣に届け出なければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

 二 委託を受ける電気通信事業者又は媒介等業務受託者の氏名又は名称及び住所

 三 当該媒介等の業務に係る電気通信役務を提供する電気通信事業者の氏名又は名称及び住所

 四 当該媒介等の業務に係る電気通信役務についての第二十六条第一項各号に掲げる電気通信役務の別

 五 前各号に掲げるもののほか、総務省令で定める事項

2 前項の届出をした者(以下「届出媒介等業務受託者」という。)は、同項各号に掲げる事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。

3 届出媒介等業務受託者が前二項の規定による届出に係る第二十六条第一項各号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約の締結の媒介等の業務(以下この項及び次項において「届出媒介等業務」という。)を行う事業の全部を譲渡し、又は届出媒介等業務受託者について合併、分割(届出媒介等業務を行う事業の全部を承継させるものに限る。)若しくは相続があつたときは、当該事業の全部を譲り受けた者又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人、分割により当該事業の全部を承継した法人若しくは相続人(相続人が二人以上ある場合においてその協議により当該事業を承継すべき相続人を定めたときは、その者)は、届出媒介等業務受託者の地位を承継する。この場合において、届出媒介等業務受託者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。

4 届出媒介等業務受託者は、届出媒介等業務を廃止したときは、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。

5 届出媒介等業務受託者たる法人が合併以外の事由により解散したときは、その清算人(解散が破産手続開始の決定による場合にあつては、破産管財人)は、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。

 (電気通信事業者の業務に関する規定の準用)

第七十三条の三 第二十六条及び第二十七条の二の規定は届出媒介等業務受託者について、第二十七条の三第二項の規定は同条第一項の規定により指定された電気通信事業者が提供する移動電気通信役務の提供に関する契約の締結の媒介等の業務を行う届出媒介等業務受託者について、それぞれ準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第二十六条第一項 締結 締結の媒介等(第二十七条の四に規定する媒介等をいう。第二十七条の三第二項において同じ。)
第二十七条の二第二号 自己 自己若しくは当該勧誘に係る電気通信役務を提供する電気通信事業者
第二十七条の三第二項第一号 その移動電気通信役務 その媒介等の業務に係る移動電気通信役務
第二十七条の三第二項第二号 その移動電気通信役務 その媒介等の業務に係る移動電気通信役務
締結 締結の媒介等
又は 又は他の

 (業務の改善命令)

第七十三条の四 総務大臣は、次の各号のいずれかに該当するときは、当該各号に定める者に対し、利用者の利益を確保するために必要な限度において、業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる。

 一 届出媒介等業務受託者が前条において準用する第二十六条第一項又は第二十七条の二の規定に違反したとき 当該届出媒介等業務受託者

 二 第二十七条の三第一項の規定により指定された電気通信事業者が提供する移動電気通信役務の提供に関する契約の締結の媒介等の業務を行う届出媒介等業務受託者が前条において準用する第二十七条の三第二項の規定に違反したとき 当該届出媒介等業務受託者

 第百六十一条第一項中「第五十一条」の下に「、第七十三条の四」を加える。

 第百六十五条第二項ただし書中「第二章第六節」を「第二章第七節」に改める。

 第百六十九条第二号中「電気通信役務の指定」の下に「、第二十七条の三第一項の規定による移動電気通信役務の指定若しくは電気通信事業者の指定」を加え、同条第四号中「第二十六条第一項」の下に「(第七十三条の三において準用する場合を含む。)」を加え、「第二十七条の二第二号」を「第二十七条の二(第一号を除き、第七十三条の三において準用する場合を含む。)、第二十七条の三第一項若しくは第二項(第七十三条の三において準用する場合を含む。)」に改める。

 第百八十五条を次のように改める。

第百八十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 一 第十六条第一項の規定に違反して電気通信事業を営んだ者(第九条の登録を受けるべき者を除く。)

 二 第七十三条の二第一項の規定に違反して第二十六条第一項各号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約の締結の媒介等の業務を行つた者

 第百八十六条第三号中「第五十一条」の下に「、第七十三条の四」を加える。

 第百八十八条第一号中「第四十五条第二項」の下に「、第七十三条の二第三項若しくは第四項」を加える。

 第百九十三条第一号中「又は第五十条の六第三項」を「、第五十条の六第三項又は第七十三条の二第二項若しくは第五項」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次条及び附則第五条の規定は、公布の日から施行する。

 (準備行為)

第二条 総務大臣は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前においても、この法律による改正後の電気通信事業法(以下この条及び次条第二項において「新法」という。)第二十七条の二第二号若しくは第四号又は第二十七条の三(これらの規定(同条第一項を除く。)を新法第七十三条の三において準用する場合を含む。)の規定による総務省令の制定又は改廃のために、この法律による改正前の電気通信事業法(次条第一項において「旧法」という。)第百六十九条の政令で定める審議会等に諮問することができる。

2 総務大臣は、施行日前においても、新法第二十七条の三第一項及び第百六十九条の規定の例により、同項の規定による移動電気通信役務(同項に規定する移動電気通信役務をいう。)の指定又は電気通信事業者の指定をすることができる。この場合において、これらの指定は、施行日にその効力を生ずる。

 (経過措置)

第三条 旧法第二十六条第一項に規定する媒介等業務受託者が施行日前に旧法第二十六条の三第一項に規定する行為をした場合における同項の規定の適用については、なお従前の例による。

2 この法律の施行の際現に電気通信事業者又は新法第二十七条の四に規定する媒介等業務受託者から委託を受けて新法第二十六条第一項各号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約の締結の媒介等(新法第二十七条の四に規定する媒介等をいう。以下この項において同じ。)の業務を行っている者(以下この項において「施行時媒介等業務受託者」という。)は、施行日から起算して三月を経過する日(施行時媒介等業務受託者が同日以前に新法第七十三条の二第一項の届出をしたときは、当該届出をした日)までの間は、新法第七十三条の二第一項の規定にかかわらず、引き続き当該媒介等の業務を行うことができる。この場合において、当該施行時媒介等業務受託者を同条第二項に規定する届出媒介等業務受託者とみなして、新法第二十六条の三及び第二十七条の三第二項(第二号に係る部分に限る。)、新法第七十三条の三において準用する新法第二十六条、第二十七条の二及び第二十七条の三第二項並びに新法第七十三条の四及び第百八十六条(第三号に係る部分に限る。)の規定を適用する。

 (罰則に関する経過措置)

第四条 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (その他の経過措置の政令への委任)

第五条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

 (検討)

第六条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

総務大臣 石田 真敏  
内閣総理大臣 安倍 晋三  

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