防共協定記念祝辞

祝辞

此に防共協定記念国民大会の式典を開催するに際し、その代表として祝辞を申上ぐる事は私の大なる光栄とするところであります。殊に畏くも 皇族殿下の御台臨を仰ぎ奉りましたことは誠に恐慴感激に堪へざる所であります。又内閣総理大臣閣下及び各大臣閣下、並に防共締盟国たる独逸国・伊太利亜国両特命全権大使閣下及び満州国特命全権大使閣下、西班牙国特命全権公使閣下の御臨席を得ましたることは本大会をして一層その意義を深からしむる次第と存じ之亦感謝惜く能はざるところであります。

防共協定が締結せられて本年は第三年に相当しますが、此の間本協定が世界の文化と人類の福祉のために致した功績は実に偉大なるものがあるのであります。

既に聖戦の目的が東亜永遠の平和確保にあり、容共政権を膺懲撲滅するものである以上、東亜新秩序建設の精神的基準は実に防共を枢軸とするものにして、即ち第三次政府声明の示すが如く支那に於ける防共の共同分担にある事は申すまでもありません。

今や唯物主義、功利主義を基礎とする擬装の現世界平和は既に崩壊しつゝあり、道義に立脚せる真平和世界の再建は、実に我皇道に即してこの防共精神を益々強化発展することによつてのみ期待されるのであります。

玆にこの意義深き記念日に当り衷心之を慶祝し併せて締盟三国の無窮なる隆昌と本協定の益々有効なる発展を祈りまして祝辞と致します。

昭和十三年十一月二十五日

防共協定記念国民大会 総代 海軍大将 有馬良橘

この著作物は、1944年に著作者が亡くなって(団体著作物にあっては公表又は創作されて)いるため、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(回復期日を参照)の時点で著作権の保護期間が著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)50年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。


この著作物は、アメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。