鉄道唱歌/中央線木曽鉄道唱歌

中央線木曾鐵道唱歌

  • 作詞:原華嶺子(原近一)
  • 作曲:春江生
  • 校閲:淺井冽
  1. かさひかかる 木曾路きそぢたびむかしにて ゆきせきにとざしなく すゝみにすゝいま御代みよ
  2. 木曾きそやまがねしき いまてき諸共もろともゆめゆるもすゝ御代みよめぐみほかならず
  3. 名古屋なごやえき今朝立けさたちて あまたの隧道とんねるれば ここは東濃中とうのうなかえき惠那ゑな山麓さんろく電燈村でんとうそん
  4. ちゆう央製あうせい程近ほどちか豪巨がうきよしようおおしとや みぎ落合おちあい山口やまぐち範村はんそんなりたづ
  5. 坂下驛さかしたえきぎて トンネルくれはママ立村だちむら木曾路きそぢこれよりぞ かは對岸むかひしづみち
  6. なつしんりよくふゆゆきあき紅葉もみぢたり 渡島鐵わたしまてつけやうれば 讀書村よみがきむら三留野みどのえき
  7. えきみなみづまばしひだりにとればつまえき いひりよかくおほだひらたうげえてはちてい
  8. ひのきかさあらゝぎもど宿しくごめえき坂越さかごゑなる霧原きりはら兼好法けんこうほうせきなり
  9. 三留野みどのをあとにはやてば あやふかよてんどう こう困難こんなんしのばるる がわ柿其かきぞれ、十二がね
  10. をばしるしてじりえき つや黑煙こくえん製材所せいざいしよ るやてらりやうりん 木曾きそぼくたり
  11. はやしひるくららくママ るもつきせぬ國寳こくほう木曾きそ全溪ぜんけいつもりて 反別たんべつ三十五まんちやう
  12. おんめぐみみにうるほひて いやにさかゆるせんしゆうどう 高倉たかくらたうげけば 上松あげまつがはつづくなり
  13. はなはや殿村とのむらまえ關山關所跡せきやませきしよあと 兼平山かねひらやまうす紅葉もみぢ あかみのるやなががき
  14. 中山隧道なかやまとんねるれば かげ河原がはら伊那いながはかはにはかくるくろがねの はしゆきもいとやすし
  15. さくらさかりに岩出いわいで觀音詣かんのんもうでも面白おもしろ彼方かなたぼくこうじやうほんじつに六十まん
  16. にえなかにほ花漬はなづけ召せや原驛はらえき あたりにしげ新桑にひくわがひわざこそたふとけれ
  17. 倉本くらもとたち町荻原まちおぎはらそのふるかさやま たもとすずしき小野をのたき 滑川橋なめかはばしわたりよき
  18. ざめろすとこふち しきいわのただママずまい 木曾きそ第一だいいちめいしようたたへらるるもうべなりや
  19. またたくひまに上松驛あげまつえき こまたけへは四里よりあまり 三十六ぽう八千谿けい しきくさおほしとや
  20. いのちをからむつたかつら あやふ木曾きそ棧道かけはしいまゆきかふしゃたび すゝぞありがたき
  21. ひだり白雪突亢はくせつとつこうくもたかそびゆるは これぞだか嶽山たけざん 海拔かいばつまん百尺ひやくしやく
  22. 富士ふじにもおとらぬ名山めいざんぞ さればびやくすげがさ 金剛杖こんごうづえ山 さんママしやなつ木曾路きそぢさかゆなり
  23. いしとり遙拜所ようはいじよ ここ王滝川わうたきがは 其川上そのかはかみこほり 瀧越たきごえなどの名所めいしよあり
  24. 木曾きそ福嶋ふくしまごゑばれてるるステーション 木曾きそ第一だいいちみやこにて 唯一ただひとつなる發車驛はつしやえき
  25. すうは一千らずにて める人口約じんこうやく五千 みなみへつゞく澤町さわまち しつさんするところなり
  26. やくむかおほばし わたれば城跡しろあと向城むかひじやう 公立官こうりつかん学校がくこうかはかひてならママたり
  27. 關町せきまちこそはそのむかし せきのありしところなれ はなさかりは琴平山こんぴらざん 市街まちひとしきよし
  28. りよく蔭深いんふかじようやま權現瀧ごんげんだきすゞみあり そのふもとなる木曾支きそしちやういしづゑかたまうけたり
  29. ちやうとなるは興禪こうぜん 木曾きそだい一のだいらん なれどもとしくわい祿ろくいうとなりしぞあたらしき
  30. がつづけ馬市うまいち木曾きそだい一の殷盛にぎはひすゐ輿こしまつり亦面白またおもしろ習慣ならはし
  31. 木曾きそ俗謠ぞくえう木曾きそぶしの なつでもさむ御嶽おんたけ福島町ふくしままちよりはちはん 黑澤くろさわ王 ママたき道二みちふた
  32. おえどにわかれてみぎひだり ふたつのみち山者ざんしやこのみにまかせて里宮さとみやおがみてのぼけんみね
  33. かぜすゞしく黑川くろかは 新開村しんかいむら發電所はつでんしよ ざうたうげけば 西にし末川奧すゑがはおくもあり
  34. にはいななく木曾きそこま そのあがきさへいさましく こまのたてがみ長峯ながみねたうげ飛彈ひださかいなり
  35. 福嶋驛ふくしまえき出發いでたちうへさとそのむかし 中原なかはら兼遠かねとおやかたあとのこるなり
  36. せんひだりたんなか 一本松ひともとまつ義仲よしなかむかしかたねんにてげんぷくまつとはられたり
  37. 山宜公義仲ざんせんこうよしなかせきおほみやこし えきよりちかきう 山村やまむらりやう由建立ゆうこんりつ
  38. かねひゞ德音とくおん にちしようざんごうすなり 旭將あさひしよう軍開ぐんかいにて またしやうぐん提所だいしよ
  39. たらきよ南宮社なんぐうしや 旗揚八幡はたあげはちまんじやうせき あき紅葉もみぢ山吹山やまぶきやま よこしたともえふち
  40. 伊那地いなちかよ街道かいどうこし岨道右そばみちみぎかみたうげぶちかや 權平ごんべいたうげゆるなり
  41. やまママ隧道とんねるぎて すげくくすしみち かせきいとなむお六櫛ろくぐし 藪原驛やぶはらえききにけり
  42. 小木曾をぎそをとこといて 境峠さかいたうげけば 安曇あづみちか川村がはむら むぎかい道にママかよふなり
  43. とりたうげもしるき これ南北分水界なんぼくぶんすゐかい 木曾きそ奈良井ならゐ二川ふたかはながれはこゝにいづるなり
  44. てんしよう年間ねんかん木曾きそたけ へいまじへしせんじよう こゝに穿うがちし隧道とんねるながさは五千四百しやく
  45. くれば楢川ならかは奈良井ならゐえき ここの產物塗櫛さんぶつぬりくし平澤漆ひらさわしつ諸共もろとも多額たがくさんしゆつありといふ
  46. 鹿じかくなる奈良井ならゐがは けばほどなく贄川にえがわはなまだかぬさくらさは 東西筑とうざいちくさかひなり
  47. うまあらいし眞淸ましみづにこそのこ洗馬せばさと これより眼界がんかいうちひらけ 松本まつもとだひらひろなり
  48. けばほどなき䀋尻しほじりしの之井のゐせんこうてん きたはしれば松本まつもと あてはしるし天守閣てんしゆかく
  49. やまむらさき水淸みづきよ木曾路きそぢたびつつがなく 諏訪すは山梨やまなし八王はちわう ななみやこ一日いちにち
  50. やまつらぬたにちゆうあうせんこうなりぬ みやこひと鄙人ひなびと木曾きそ山里やまざとたづ

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