酔花間 (独立階前星又月)
白文 | 書き下し文 | 訳文 |
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獨立階前星又月 | 独り |
星月夜の中、孤独に |
簾櫳偏皎潔 | 簾櫳窓[2]は遍くキラキラと澄み切って光り | |
霜樹盡空枝 | 霜が降りた樹々は葉のない枝ばかり | |
腸斷丁香結 | 腸は |
胸張り裂けそうな思い、 |
夜深寒不寐 | 夜 |
夜も更け、その寒さに眠りもできず |
凝恨何曾歇 | 胸にわだかまる恨み[5]は、かつて | |
憑闌干欲折 | (思いの余り)欄干に | |
兩條玉筯爲君垂 | 両条の |
二筋の玉なす涙は君のために流した |
此宵情 | この夜の思い | |
誰共說[7] | 誰が共にか |
誰に話せば良いのだろう |
注釈
編集- ↑ 宮殿やそれなりの規模のある中華式建築物で庭先に降りるために軒下の縁側に設けられた石段。
- ↑ 2.0 2.1 藤堂明保、加納喜光 編『学研 新漢和大辞典(普及版)』学習研究社、2005年、1337頁。ISBN 9784053000828。「すだれのかかった、細い格子のあるまど。」
- ↑ 普通は「ひたすら」の意味で「
偏 に」と訓むが、ここでは文脈上、音通である「徧」と解して、「あまねく」と訓むほうがいいようだ。赵海菱 撰稿「冯延巳」『全唐五代词释注』孔范今 主编,责任编辑 吴秉辉、郭继明、陕西人民出版社、w:西安、1998年、717頁(w:中国語)。ISBN 7224046949。「①偏:通“徧”,普通、到处。」 - ↑ 同上、藤堂明保、加納喜光 編『学研 新漢和大辞典』学習研究社、2005年、9頁。「「丁字」のつぼみ。▽気持ちがふさがって、晴れ晴れしないことにたとえる。」つまり、憂鬱感を良い香りの花の
蕾 む様にたとえた美称である。 - ↑ 5.0 5.1 「恨」は、心に残る辛い悔しさ、残念さ、無念さ。「凝」は、凝り固まる、淀むの意で、ここでは「(胸に)わだかまる」という意味。
- ↑ 「筯」は「箸」の意味。つまり2本一組=二筋。玉は美称。あえて「筯」の字を使ったのは、「箸」という字が、「着・著(着る、
着 く=著 く=くっつく=とどまるの意味がある。同上、藤堂明保、加納喜光 編『学研 新漢和大辞典』学習研究社、2005年、1330頁。)」の意味を連想させるためだろうか? - ↑ 誰に話せばいいのだろう。「与誰説」と同じ意味。「誰と」「誰に対して」の意味を、漢文で「与誰」と書くだけでなく、「誰与」と書く場合があるのと同様。
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