身元保證ニ關スル法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル身元保證ニ關スル法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
昭和八年三月三十一日
法律第四十二號
第一條 引受、保證其ノ他名稱ノ如何ヲ問ハズ期間ヲ定メズシテ被用者ノ行爲ニ因リ使用者ノ受ケタル損害ヲ賠償スルコトヲ約スル身元保證契約ハ其ノ成立ノ日ヨリ三年間其ノ效力ヲ有ス但シ商工業見習者ノ身元保證契約ニ付テハ之ヲ五年トス
第二條 身元保證契約ノ期間ハ五年ヲ超ユルコトヲ得ズ若シ之ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ期間ハ之ヲ五年ニ短縮ス
身元保證契約ハ之ヲ更新スルコトヲ得但シ其ノ期間ハ更新ノ時ヨリ五年ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三條 使用者ハ左ノ場合ニ於テハ遲滯ナク身元保證人ニ通知スベシ
一 被用者ニ業務上不適任又ハ不誠實ナル事跡アリテ之ガ爲身元保證人ノ責任ヲ惹起スル虞アルコトヲ知リタルトキ
二 被用者ノ任務又ハ任地ヲ變更シ之ガ爲身元保證人ノ責任ヲ加重シ又ハ其ノ監督ヲ困難ナラシムルトキ
第四條 身元保證人前條ノ通知ヲ受ケタルトキハ將來ニ向テ契約ノ解除ヲ爲スコトヲ得身元保證人自ラ前條第一號及第二號ノ事實アリタルコトヲ知リタルトキ亦同ジ
第五條 裁判所ハ身元保證人ノ損害賠償ノ責任及其ノ金額ヲ定ムルニ付被用者ノ監督ニ關スル使用者ノ過失ノ有無、身元保證人ガ身元保證ヲ爲スニ至リタル事由及之ヲ爲スニ當リ用ヰタル注意ノ程度、被用者ノ任務又ハ身上ノ變化其ノ他一切ノ事情ヲ斟酌ス
第六條 本法ノ規定ニ反スル特約ニシテ身元保證人ニ不利益ナルモノハ總テ之ヲ無效トス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ハ本法施行前ニ成立シタル身元保證契約ニモ之ヲ適用ス但シ存續期間ノ定ナキ契約ニ付テハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ起算シ第一條ノ規定ニ依ル期間其ノ效力ヲ有ス存續期間ノ定アル契約ニ付テハ本法施行當時ニ於ケル殘存期間ヲ約定期間トス若シ此ノ期間ガ五年ヲ超ユルトキハ之ヲ五年ニ短縮ス
この著作物は、日本国の著作権法第10条1項ないし3項により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。(なお、この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により、発行当時においても、著作権の目的となっていませんでした。)
この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。