警察留置場における受刑者の処遇に関する命令
刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律(平成十七年法律第五十号)第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される同法第十五条第二項、第十七条第二項、第十八条、第十九条第一項第五号、第二十五条第一項及び第二項、第二十八条、第三十二条第一項、第三十四条、第三十六条、第三十八条第一項、第四十条第三項、第四十一条、第四十七条第二項、第四十八条、第五十五条第一項及び第七項、第五十六条第六項、第九十二条第一項、第九十七条第一項、第百三条第一項及び第二項並びに第百二十九条の規定に基づき、警察留置場における受刑者の処遇に関する命令を次のように定める。
平成十八年五月二十三日 | 内閣総理大臣 小泉純一郎
法務大臣 杉浦 正健 |
警察留置場における受刑者の処遇に関する命令
第一条 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律(以下「法」という。)第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第十五条第一項(第八号に係る部分を除く。)の規定による告知は、同項により告知すべき事項(以下この条において「告知事項」という。)を記載した書面を提示することにより行うものとする。
2 前項の告知の後に告知事項に変更があったときは、法第百四十六条第二項の規定により読み替えて適用される法第十二条に規定する留置業務管理者(以下単に「留置業務管理者」という。)は、受刑者に対し、速やかに、変更に係る告知事項を記載した書面を提示するものとする。
3 前二項に規定するもののほか、留置業務管理者は、受刑者が告知事項を確認するため必要と認めるときは、受刑者に対し、告知事項を記載した書面を提示するものとする。
第二条 受刑者には、法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用する法第十七条第二項の規定に基づき、衣類を貸与することができる。
第三条 留置業務管理者は、受刑者が法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第十八条に規定する申出をしたときは、次に掲げる物品について、自弁のものを使用させ、又は摂取させることができる。
一 衣類
二 米飯類、パン類、めん類、そうざい類及び乳製品
三 菓子類、清涼飲料水及び煙草
四 タオル類、石けん類、ヘアブラシ、薬用クリーム及び綿棒
五 筆記具
六 前各号に掲げるもののほか、留置業務管理者が特に必要であると認める物品
第四条 法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第十九条第一項第五号の内閣府令・法務省令で定める物品は、印紙、印鑑及び衛生用品とする。
第五条 留置業務管理者は、法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第二十五条第一項の規定による保管私物の保管方法についての制限は、次に掲げる事項を定めて行うものとする。
第六条 法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第二十五条第二項の規定により保管総量及び領置総量から除く物品として内閣府令・法務省令で定めるものは、次のとおりとする。
一 受刑者が当事者である係属中の裁判所の事件に関する記録その他の書類又はその写し
二 前号に掲げるもののほか、留置業務管理者が保管総量及び領置総量から除くことが相当と認める物品
第七条 留置業務管理者は、法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第二十八条の規定による制限は、次に掲げる事項を定めて行うものとする。
一 差入人による受刑者に対する金品の交付についての制限にあっては、次に掲げる事項
イ 交付の申出を行う日及び時間帯
ロ 一回に一人の受刑者に対し交付することができる現金の額の上限又は物品の品目及び数量の上限
ハ 留置業務管理者が定める種類の物品について、交付する物品を取り扱うことができる事業者
二 受刑者による自弁物品等の購入についての制限にあっては、次に掲げる事項
イ 購入の申請を行う日及び時間帯
ロ 一回の購入の申請により購入することができる自弁物品等の品目及び数量の上限
ハ 留置業務管理者が定める種類の物品について、自弁物品等を取り扱うことができる事業者
2 留置業務管理者は、差入人に対し、次に掲げる事項を記載した申出書の提出を求めることができる。
一 差入人の氏名、住所及び電話番号
二 金品の交付を希望する受刑者の氏名
三 金品の交付を希望する受刑者との関係
四 現金を交付する場合には当該現金の額、物品を交付する場合には当該物品の品目及び数量
3 留置業務管理者は、差入人に対し、前項の申出書の記載内容を証明する書類その他の物件の提出又は提示を求めることができる。
第八条 法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第三十二条第一項の規定による死亡した受刑者の遺留物の引渡しは、同項に規定する申請を最初にした遺族等に対して行うものとする。
2 法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第三十二条第一項の内閣府令・法務省令で定める遺族その他の者は、次に掲げる者とする。
一 受刑者の親族(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)
二 受刑者がその国籍を有する外国の大使、公使、領事官その他領事任務を遂行する者
三 前二号に掲げるもののほか、死亡した受刑者の死体の埋葬若しくは火葬を行う者又は死亡した受刑者の遺留物の管理を行うことが適当と認められる者
第九条 法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第三十四条の内閣府令・法務省令で定める日は、当該警察留置場の属する都道府県の休日(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第四条の二第一項の地方公共団体の休日をいい、日曜日を除く。以下同じ。)とする。
第十条 法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第三十六条に規定する入浴の回数及び時間は、気候その他の事情を考慮して、留置業務管理者が定める。
2 前項の回数は、一週につき一回を下回ってはならない。
3 入浴には、留置業務に従事する職員が立ち会うものとする。この場合において、女子の受刑者の入浴の立会いは、女子の職員が行わなければならない。
第十一条 法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第三十八条第一項前段に規定する健康診断は、次に掲げる項目について、おおむね一月につき二回、医師により行わなければならない。
2 法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第三十八条第一項後段の規定による健康診断は、医師が必要と認める項目について行うものとする。
第十二条 法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第四十条第三項の規定による留置業務管理者の指示は、次に掲げる事項について口頭又は書面で行うものとする。
一 警察留置場において診療を行う場合には、正当な理由なく、当該診療を行う場所以外の場所に立ち入ってはならないこと。
二 警察留置場において診療を行う場合には、医療器具及び医療設備について留置業務管理者が許したもの以外のものを使用しないこと。
三 留置業務管理者が許した場合を除き、受刑者との間の物品の授受その他の行為をしてはならないこと。
四 診療のため必要な範囲を逸脱する会話をしてはならないこと。
五 前各号に掲げるもののほか、警察留置場の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがある行為をしてはならないこと。
第十三条 法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第四十一条の内閣府令・法務省令で定める措置は、次に掲げるものとする。
一 感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある飲食物、衣類、寝具その他の物品について、その所持者である受刑者に対し、当該物品の移動を制限し、若しくは禁止し、又は消毒、廃棄その他必要な措置を執ること。
二 運動の機会を与えないこと。
三 入浴、調髪又はひげそりを行わせないこと。
第十四条 法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第四十七条第二項の規定による書籍等の翻訳の費用については、当該受刑者に負担させるものとする。ただし、その費用を負担することができない受刑者が、次のいずれかに該当する場合において、留置業務管理者が書籍等の閲覧の目的に照らし相当と認めるときは、その全部又は一部を当該警察留置場の属する都道府県の負担とすることができる。
一 国語の書籍等を理解する能力に欠ける場合
二 視覚障害者であって、点字によらなければ書籍等を閲覧できない場合
第十五条 留置業務管理者は、法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第四十八条の規定による新聞紙は、あらかじめ留置業務管理者が指定するものに限ることができる。
2 留置業務管理者は、法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第四十八条の規定による新聞紙の取得方法の制限は、次に掲げる事項を定めて行うものとする。
一 新聞紙の数量の上限
二 新聞紙を取り扱う事業者
第十六条 法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第五十五条第一項の規定により受刑者を護送する場合に使用する手錠(同項各号のいずれかの行為をするおそれがある受刑者に対し使用する場合を除く。)は、別表に定める標準手錠とする。
2 留置業務に従事する警察官は、法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第五十五条第一項の規定により捕縄又は手錠を使用したとき(受刑者を護送する場合に捕縄又は手錠を使用したときを除く。)には、速やかに、その旨を留置業務管理者に報告するものとする。
第十七条 法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第五十五条第七項に規定する捕縄、手錠及び拘束衣の制式は、別表のとおりとする。
第十八条 法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第五十六条第六項の内閣府令・法務省令で定める保護室の構造及び設備の基準は、次のとおりとする。
一 収容されている者の身体を傷つけにくい構造及び設備を有すること。
二 損壊し、又は汚損しにくい構造及び設備を有すること。
三 防音上有効な構造及び設備を有すること。
四 室内の視察に支障がない構造及び設備を有すること。
五 適当な換気、照明、保温、防湿及び排水の構造及び設備を有すること。
第十九条 留置業務管理者は、法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第九十二条第一項の規定により、次に掲げる措置を執ることができる。
一 面会の相手方の人数を三人以内とすること。
二 面会の場所を当該警察留置場の面会室(受刑者と面会の相手方との間を仕切る設備を有する室をいう。第五号において同じ。)とすること。
三 面会の日を当該警察留置場の属する都道府県の休日以外の日とすること。
四 面会の時間帯を当該警察留置場の附属する警察官署の執務時間内とすること。
五 面会の時間の上限を、十五分(面会の申出の状況、面会室の数その他の事情により、やむを得ない事由があると認められる場合にあっては、五分)を下回らないものとすること。
六 面会の回数の上限を、一日につき一回を下回らないものすること。
2 留置業務管理者は、面会の実施に当たり面会の申出をする者が遵守すべき事項を掲示その他の方法により、当該者に告知するものとする。
第二十条 留置業務管理者は、法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第九十七条第一項の規定により、次に掲げる措置を執ることができる。
一 信書の用紙及び封筒の規格を留置業務管理者が定めるものに限ること。
二 一通の信書につき使用できる用紙の枚数の上限を、五枚を下回らないものとすること。
三 一枚の用紙に記載することができる字数の上限を、四百字を下回らないものとすること。
四 字の大きさその他の法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第九十四条の規定による信書の検査を円滑に行うため必要な記載方法を定めること。
五 受刑者が発する信書の通数の上限を、一日につき一通を下回らないものとすること。
六 信書の発信の方法を次に掲げるものに限ること。
イ 郵便物(郵便法(昭和二十二年法律第百六十五号)第五十七条第一項に規定する特殊取扱(速達及び年賀特別郵便の取扱いを除く。)とするものを除く。)による方法
ロ 電報による方法(緊急の必要がある場合に限る。)
七 信書の受信の方法を次に掲げるものに限ること。
イ 郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物による方法
ロ 電報による方法
八 受刑者にあてた信書であって、紙以外の物品にその内容が記載されたもの、音を発する装置の付いたものその他信書以外の物品としての性質を有するものについて、法第二十四条第一項の規定により受刑者に引き渡すこととならない場合には、法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第九十五条、第九十六条又は第百三条第三項の規定により受刑者がこれを受けることを禁止し、又は差し止める場合を除き、その者に対する提示その他の方法によりその内容(法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第九十六条の規定により削除し、又は抹消すべき箇所を除く。)を了知させること。
第二十一条 法第百四十八条第二項の規定により読み替えて適用される法第百三条第一項又は第二項の規定による通訳又は翻訳の費用は、当該受刑者に負担させるものとする。ただし、留置業務管理者が面会又は信書の発受の目的に照らし相当と認めるときは、その全部又は一部を当該警察留置場の属する都道府県の負担とすることができる。
附則
この命令は、法の施行の日(平成十八年五月二十四日)から施行する。
別表(第十七条関係)
種類
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制式
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手錠
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標準手錠
鎖で連結された左右二つの輪のそれぞれが開閉でき、かつ、歯止めで止まり、鍵が掛かるものとし、形状は図一のとおりとする。 ベルト手錠 適宜な幅の腰ベルトの左右に手首を固定するため伸縮できる輪を設け、後部において、止めるものとし、形状は図二のとおりとする。 |
捕縄
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太さ直径三ミリメートル以上の適宜の長さの縄状のものとする。 |
拘束衣
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頸部以下の身体を包み、適宜の通気孔を設けた袋状のもので、内部に上腕部、前腕部、大腿部及び下腿部を固定し、保護するための適当な大きさのベルトを備えたものとし、形状は図三のとおりとする。 |
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