詩篇(文語訳)
第1篇
編集1:1
編集惡きものの謀略にあゆまず つみびとの途にたたず 嘲るものの座にすわらぬ者はさいはひなり
1:2
編集かかる人はヱホバの法をよろこびて日も夜もこれをおもふ
1:3
編集かかる人は水流のほとりにうゑし樹の期にいたりて實をむすび 葉もまた凋まざるごとく その作ところ皆さかえん
1:4
編集あしき人はしからず 風のふきさる粃糠のごとし
1:5
編集然ばあしきものは審判にたへず罪人は義きものの會にたつことを得ざるなり
1:6
編集そはヱホバはただしきものの途をしりたまふ されど惡きものの途はほろびん
第2篇
編集2:1
編集何なればもろもろの國人はさわぎたち諸民はむなしきことを謀るや
2:2
編集地のもろもろの王はたちかまへ群伯はともに議り ヱホバとその受膏者とにさからひていふ
2:3
編集われらその械をこぼち その繩をすてんと
2:4
編集天に坐するもの笑ひたまはん 主かれらを嘲りたまふべし
2:5
編集かくて主は忿恚をもてものいひ大なる怒をもてかれらを怖まどはしめて宣給ふ
2:6
編集しかれども我わが王をわがきよきシオンの山にたてたりと
2:7
編集われ詔命をのべんヱホバわれに宣まへり なんぢはわが子なり今日われなんぢを生り
2:8
編集われに求めよ さらば汝にもろもろの國を嗣業としてあたへ地の極をなんぢの有としてあたへん
2:9
編集汝くろがねの杖をもて彼等をうちやぶり陶工のうつはもののごとくに打碎かんと
2:10
編集されば汝等もろもろの王よ さとかれ地の審士輩をしへをうけよ
2:11
編集畏をもてヱホバにつかへ戦慄をもてよろこべ
2:12
編集子にくちつけせよ おそらくはかれ怒をはなちなんぢら途にほろびんその忿恚はすみやかに燃べければなり すべてかれに依頼むものは福ひなり
第3篇
編集ダビデその子アブサロムを避しときのうた
3:1
編集ヱホバよ我にあたする者のいかに蔓延れるや 我にさからひて起りたつもの多し
3:2
編集わが霊魂をあげつらひて かれは神にすくはるることなしといふ者ぞおほきセラ
3:3
編集されどヱホバよ なんぢは我をかこめる盾わが榮わが首をもたげ給ふものなり
3:4
編集われ聲をあげてヱホバによばはればその聖山より我にこたへたまふセラ
3:5
編集われ臥していね また目さめたり ヱホバわれを支へたまへばなり
3:6
編集われをかこみて立かまへたる干萬の人をも我はおそれじ
3:7
編集ヱホバよねがはくは起たまへ わが神よわれを救ひたまへ なんぢ曩にわがすべての仇の頬骨をうち惡きものの歯ををりたまへり
3:8
編集救はヱホバにあり ねがはくは恩惠なんぢの民のうへに在んことをセラ
第4篇
編集琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの歌
4:1
編集わが義をまもりたまふ神よ ねがはくはわが呼るときに答へたまへ わがなやみたる時なんぢ我をくつろがせたまへり ねがはくは我をあはれみ わが祈をききたまへ
4:2
編集人の子よなんぢらわが榮をはぢしめて幾何時をへんとするか なんぢらむなしき事をこのみ虚偽をしたひていくそのときを經んとするかセラ
4:3
編集然どなんぢら知れ ヱホバは神をうやまふ人をわかちて己につかしめたまひしことを われヱホバによばはらば聴たまはん
4:4
編集なんぢら愼みをののきて罪ををかすなかれ 臥床にておのが心にかたりて黙せセラ
4:5
編集なんぢら義のそなへものを献てヱホバに依頼め
4:6
編集おほくの人はいふたれか嘉事をわれらに見するものあらんやと ヱホバよねがはくは聖顔の光をわれらの上にのぼらせたまへ
4:7
編集なんぢのわが心にあたへたまひし歓喜はかれらの穀物と酒との豊かなる時にまさりき
4:8
編集われ安然にして臥またねぶらん ヱホバよわれを獨にて坦然にをらしむるものは汝なり
第5篇
編集簫にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
5:1
編集ヱホバよねがはくは我がことばに耳をかたむけ わが思にみこころを注たまへ
5:2
編集わが王よわが神よ わが號呼のこゑをききたまへ われ汝にいのればなり
5:3
編集ヱホバよ朝になんぢわが聲をききたまはん 我あしたになんぢの爲にそなへして俟望むべし
5:4
編集なんぢは惡きことをよろこびたまふ神にあらず 惡人はなんぢの賓客たるを得ざるなり
5:5
編集たかぶる者はなんぢの目前にたつをえず なんぢはずべて邪曲をおこなふものを憎みたまふ
5:6
編集なんぢは虚偽をいふ者をほろぼしたまふ 血をながすものと詭計をなすものとは ヱホバ憎みたまふなり
5:7
編集然どわれは豊かなる仁慈によりてなんぢの家にいらん われ汝をおそれつつ聖宮にむかひて拝まん
5:8
編集ヱホバよ願くはわが仇のゆゑになんぢの義をもて我をみちびき なんぢの途をわが前になほくしたまへ
5:9
編集かれらの口には眞實なく その衷はよこしま その喉はあばける墓 その舌はへつらひをいへばなり
5:10
編集神よねがはくはかれらを刑なひ その謀略によりてみづから仆れしめ その愆のおほきによりて之をおひいだしたまへ かれらは汝にそむきたればなり
5:11
編集されど凡てなんぢに依頼む者をよろこばせ永遠によろこびよばはらせたまへ なんぢ斯る人をまもりたまふなり 名をいつくしむ者にもなんぢによりて歓喜をえしめたまへ
5:12
編集ヱホバよなんぢに義者にさいはひし盾のごとく恩惠をもて之をかこみたまはん
第6篇
編集八音ある琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
6:1
編集ヱホバよねがはくは忿恚をもて我をせめ烈しき怒をもて我をこらしめたまふなかれ
6:2
編集ヱホバよわれを憐みたまへ われ萎みおとろふなり ヱホバよ我を醫したまへ わが骨わななきふるふ
6:3
編集わが霊魂さへも甚くふるひわななく ヱホバよかくて幾何時をへたまふや
6:4
編集ヱホバよ歸りたまへ わがたましひを救ひたまへ なんぢの仁慈の故をもて我をたすけたまへ
6:5
編集そは死にありては汝をおもひいづることなし 陰府にありては誰かなんぢに感謝せん
6:6
編集われ歎息にてつかれたり 我よなよな床をただよはせ涙をもてわが衾をひたせり
6:7
編集わが目うれへによりておとろへ もろもろの仇ゆゑに老ぬ
6:8
編集なんぢら邪曲をおこなふ者ことごとく我をはなれよ ヱホバはわが泣こゑをききたまひたり
6:9
編集ヱホバわが懇求をききたまへり ヱホバわが祈をうけたまはん
6:10
編集わがもろもろの仇ははぢて大におぢまどひ あわただしく恥てしりぞきぬ
第7篇
編集ベニヤミンの人クシの言につきダビデ、ヱホバに對ひてうたへるシガヨンの歌
7:1
編集わが神ヱホバよわれ汝によりたのむ 願くはすべての逐せまるものより我をすくひ我をたすけたまへ
7:2
編集おそらくはかれ獅の如くわが霊魂をかきやぶり援るものなき間にさきてずたずたに爲ん
7:3
編集わが神ヱホバよ もしわれ此事をなししならんには わが手によこしまの纏りをらんには
7:4
編集故なく仇ずるものをさへ助けしに禍害をもてわが友にむくいしならんには
7:5
編集よし仇人わがたましひを逐とらへ わが生命をつちにふみにじりわが榮を塵におくとも その作にまかせよセラ
7:6
編集ヱホバよなんぢの怒をもて起わが仇のいきどほりにむかひて立たまへ わがために目をさましたまへ なんぢは審判をおほせ出したまへり
7:7
編集もろもろの國人の會がなんぢのまはりに集はしめ 其上なる高座にかへりたまヘ
7:8
編集ヱホバはもろもろの民にさばきを行ひたまふ ヱホバよわが正義とわが衷なる完全とにしたがひて我をさばきたまへ
7:9
編集ねがはくは惡きものの曲事をたちて義しきものを堅くしたまへ ただしき神は人のこころと腎とをさぐり知たまふ
7:10
編集わが盾をとるものは心のなほきものをすくふ神なり
7:11
編集神はただしき審士ひごとに忿恚をおこしたまふ神なり
7:12
編集人もしかへらずば神はその劍をとぎ その弓をはりてかまヘ
7:13
編集これに死の器をそなへ その矢に火をそへたまはん
7:14
編集視よその人はよこしまを産んとしてくるしむ 殘害をはらみ虚偽をうむなり
7:15
編集また坑をほりてふかくし己がつくれるその溝におちいれり
7:16
編集その殘害はおのが首にかへり その強暴はおのが頭上にくだらん
7:17
編集われその義によりてヱホバに感謝し いとたかきヱホバの名をほめうたはん
第8篇
編集ギデトの琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの歌
8:1
編集われらの主ヱホバよなんぢの名は地にあまねくして尊きかな その榮光を天におきたまへり
8:2
編集なんぢは嬰兒ちのみごの口により力の基をおきて敵にそなへたまへり こは仇人とうらみを報るものを鎭静めんがためなり
8:3
編集我なんぢの指のわざなる天を観なんぢの設けたまへる月と星とをみるに
8:4
編集世人はいかなるものなればこれを聖念にとめたまふや 人の子はいかなるものなればこれを顧みたまふや
8:5
編集只すこしく人を神よりも卑つくりて榮と尊貴とをかうぶらせ
8:6
編集またこれに手のわざを治めしめ萬物をその足下におきたまへり
8:7
編集すべての羊うしまた野の獣
8:8
編集そらの鳥うみの魚もろもろの海路をかよふものをまで皆しかなせり
8:9
編集われらの主ヱホバよなんぢの名は地にあまねくして尊きかな
第9篇
編集ムツラベン(調子の名)にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
9:1
編集われ心をつくしてヱホバに感謝し そのもろもろの奇しき事迹をのべつたへん
9:2
編集われ汝によりてたのしみ且よろこばん 至上者よなんぢの名をほめうたはん
9:3
編集わが仇しりぞくとき躓きたふれて御前にほろぶ
9:4
編集なんぢわが義とわが訟とをまもりたまへばなり なんぢはだしき審判をしつつ寳座にすわりたまへり
9:5
編集またもろもろの國をせめ惡きものをほろぼし 世々かぎりなくかれらが名をけしたまへり
9:6
編集仇はたえはてて世々あれすたれたり 汝のくつがへしたまへるもろもろの邑はうせてその跡だにもなし
9:7
編集ヱホバはとこしへに聖位にすわりたまふ 審判のためにその寳座をまうけたまひたり
9:8
編集ヱホバは公義をもて世をさばき 直をもてもろもろの民に審判をおこなひたまはん
9:9
編集ヱホバは虐げらるるものの城また難みのときの城なり
9:10
編集聖名をしるものはなんぢに依頼ん そはヱホバよなんぢを尋るものの棄られしこと断てなければなり
9:11
編集シオンに住たまふヱホバに對ひてほめうたへ その事迹をもろもろの民のなかにのべつたへよ
9:12
編集血を問糺したまふものは苦しむものを心にとめてその號呼をわすれたまはず
9:13
編集ヱホバよ我をあはれみたまへ われを死の門よりすくひいだしたまへる者よ ねがはくは仇人のわれを難むるを視たまへ
9:14
編集さらば我なんぢのすべての頌美をのぶるを得またシオンのむすめの門にてなんぢの救をよろこばん
9:15
編集もろもろの國民はおのがつくれる阱におちいり そのかくしまうけたる網におのが足をとらへらる
9:16
編集ヱホバは己をしらしめ審判をおこなひたまへり あしき人はおのが手のわざなる羂にかかれり ヒガイオン セラ
9:17
編集あしき人は陰府にかへるべし 神をわするるもろもろの國民もまたしからん
9:18
編集貧者はつねに忘らるるにあらず苦しむものの望はとこしへに滅ぶるにあらず
9:19
編集ヱホバよ起たまへ ねがはくは勝を人にえしめたまふなかれ御前にてもろもろのくにびとに審判をうけしめたまヘ
9:20
編集ヱホバよ願くはかれらに懼をおこさしめたまへ もろもろの國民におのれただ人なることを知しめたまヘセラ
第10篇
編集10:1
編集ああヱホバよ何ぞはるかに立たまふや なんぞ患難のときに匿れたまふや
10:2
編集あしき人はたかぶりて苦しむものを甚だしくせむ かれらをそのくはだての謀略にとらはれしめたまヘ
10:3
編集あしきひとは己がこころの欲望をほこり貪るものを祝してヱホバをかろしむ
10:4
編集あしき人はほこりかにいふ 神はさぐりもとむることをせざるなりと 凡てそのおもひに神なしとせり
10:5
編集かれの途はつねに堅く なんぢの審判はその眼よりはなれてたかし 彼はそのもろもろの敵をくちさきらにて吹く
10:6
編集かくて己がこころの中にいふ 我うごかさるることなく世々われに禍害なかるべしと
10:7
編集その口にはのろひと虚偽としへたげとみち その舌のしたには殘害とよこしまとあり
10:8
編集かれは村里のかくれたる處にをり隠やかなるところにて罪なきものをころす その眼はひそかに倚仗なきものをうかがひ
10:9
編集窟にをる獅のごとく潜みまち苦しむものをとらへんために伏ねらひ 貧しきものをその網にひきいれてとらふ
10:10
編集また身をかがめて蹲まるその強勁によりて依仗なきものは仆る
10:11
編集かれ心のうちにいふ 神はわすれたり神はその面をかくせり神はみることなかるべしと
10:12
編集ヱホバよ起たまへ 神よ手をあげたまへ 苦しむものを忘れたまふなかれ
10:13
編集いかなれば惡きもの神をいやしめて心中になんぢ探求むることをせじといふや
10:14
編集なんぢは鍳たまへりその殘害と怨恨とを見てこれに手をくだしたまへり 倚仗なきものは身をなんぢに委ぬ なんぢは昔しより孤子をたすけたまふ者なり
10:15
編集ねがはくは惡きものの臂ををりたまへあしきものの惡事を一つだにのこらぬまでに探究したまヘ
10:16
編集ヱホバはいやとほながに王なり もろもろの國民はほろびて神の國より跡をたちたり
10:17
編集ヱホバよ汝はくるしむものの懇求をききたまへり その心をかたくしたまはん なんぢは耳をかたぶけてきき
10:18
編集孤子と虐げらる者とのために審判をなし地につける人にふたたび恐嚇をもちひざらしめ給はん
第11篇
編集うたのかみに謳はしめたるダビデのうた
11:1
編集われヱホバに依頼めり なんぢら何ぞわが霊魂にむかひて鳥のごとくなんぢの山にのがれよといふや
11:2
編集視よあしきものは暗處にかくれ心なほきものを射んとて弓をはり絃に矢をつがふ
11:3
編集基みなやぶれたらんには義者なにをなさんや
11:4
編集ヱホバはその聖宮にいます ヱホバの寳座は天にありその目はひとのこを鑒 その眼瞼はかれらをこころみたまふ
11:5
編集ヱホバは義者をこころむ そのみこころは惡きものと強暴をこのむ者とをにくみ
11:6
編集羂をあしきもののうへに降したまはん火と硫磺ともゆる風とはかれらの酒杯にうくべきものなり
11:7
編集ヱホバはただしき者にして義きことを愛したまへばなり 直きものはその聖顔をあふぎみん
第12篇
編集八音にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
12:1
編集ああヱホバよ助けたまへ そは神をうやまふ人はたえ誠あるものは人の子のなかより消失るなり
12:2
編集人はみな虚偽をもてその隣とあひかたり滑なるくちびると貳心とをもてものいふ
12:3
編集ヱホバはすべての滑なるくちびると大なる言をかたる舌とをほろぼし給はん
12:4
編集かれらはいふ われら舌をもて勝をえん この口唇はわがものなり誰かわれらに主たらんやと
12:5
編集ヱホバのたまはく 苦しむもの掠められ貧しきもの歎くがゆゑに我いま起てこれをその慕ひもとむる平安におかん
12:6
編集ヱホバの言はきよきことばなり 地にまうけたる爐にてねり七次きよめたる白銀のごとし
12:7
編集ヱホバよ汝はかれらをまもり之をたすけてとこしへにこの類より免れしめたまはん
12:8
編集人の子のなかに穢しきことの崇めらるるときは惡者ここやかしこにあるくなり
第13篇
編集伶長にうたはしめたるダビデのうた
13:1
編集ああヱホバよ かくて幾何時をへたまふや 汝とこしへに我をわすれたまふや 聖顔をかくしていくそのときを歴たまふや
13:2
編集われ心のうちに終日かなしみをいだき籌畫をたましひに用ひて幾何時をふべきか わが仇はわがうへに崇められて幾何時をふべきか
13:3
編集わが神ヱホバよ我をかへりみて答をなしたまへ わが目をあきらかにしたまへ 恐らくはわれ死の睡につかん
13:4
編集おそらくはわが仇いはん 我かれに勝りと おそらくはわが敵わがうごかさるるによりて喜ばん
13:5
編集されど我はなんぢの憐憫によりたのみ わが心はなんぢの救によりてよろこばん
13:6
編集ヱホバはゆたかに我をあしらひたまひたれば われヱホバに對ひてうたはん
第14篇
編集うたのかみに謳はしめたるダビデのうた
14:1
編集愚なるものは心のうちに神なしといへり かれらは腐れたり かれらは憎むべき事をなせり 善をおこなふ者なし
14:2
編集ヱホバ天より人の子をのぞみみて悟るもの神をたづぬる者ありやと見たまひしに
14:3
編集みな逆きいでてことごとく腐れたり 善をなすものなし一人だになし
14:4
編集不義をおこなふ者はみな智覺なきか かれらは物くふごとくわが民をくらひ またヱホバをよぶことをせざるなり
14:5
編集視よかかる時かれらは大におそれたり 神はただしきものの類のなかに在せばなり
14:6
編集なんぢらは苦しめるものの謀略をあなどり辱かしむ されどヱホバはその避所なり
14:7
編集ねがはくはシオンよりイスラエルの救のいでんことを ヱホバその民のとらはれたるを返したまふときヤコブはよろこびイスラエルは樂まん
第15篇
編集ダビデのうた
15:1
編集ヱホバよなんぢの帷幄のうちにやどらん者はたれぞ なんぢの聖山にすまはんものは誰ぞ
15:2
編集直くあゆみ義をおこなひ そのこころに眞實をいふものぞその人なる
15:3
編集かかる人は舌をもてそしらず その友をそこなはず またその隣をはぢしむる言をあげもちひず
15:4
編集惡にしづめるものを見ていとひかろしめ ヱホバをおそるるものをたふとび 誓ひしことはおのれに禍害となるも變ることなし
15:5
編集貨をかして過たる利をむさぼらず 賄賂をいれて無辜をそこなはざるなり 斯ることどもを行ふものは永遠にうごかさるることなかるべし
第16篇
編集ダビデがミクタムの歌
16:1
編集神よねがはくは我を護りたまへ 我なんぢに依頼む
16:2
編集われヱホバにいへらくなんぢはわが主なり なんぢのほかにわが福祉はなしと
16:3
編集地にある聖徒はわが極めてよろこぶ勝れしものなり
16:4
編集ヱホバにかへて他神をとるものの悲哀はいやまさん 我かれらがささぐる血の御酒をそそがず その名を口にとなふることをせじ
16:5
編集ヱホバはわが嗣業またわが酒杯にうくべき有なり なんぢはわが所領をまもりたまはん
16:6
編集準繩はわがために樂しき地におちたり 宜われよき嗣業をえたるかな
16:7
編集われは訓諭をさづけたまふヱホバをほめまつらん 夜はわが心われををしふ
16:8
編集われ常にヱホバをわが前におけり ヱホバわが右にいませばわれ動かさるることなかるべし
16:9
編集このゆゑにわが心はたのしみ わが榮はよろこぶ わが身もまた平安にをらん
16:10
編集そは汝わがたましひを陰府にすておきたまはず なんぢの聖者を墓のなかに朽しめたまはざる可ればなり
16:11
編集なんぢ生命の道をわれに示したまはん なんぢの前には充足るよろこびあり なんぢの右にはもろもろの快樂とこしへにあり
第17篇
編集ダビデの祈祷
17:1
編集ああヱホバよ公義をききたまへ わが哭聲にみこころをとめたまへ いつはりなき口唇よりいづる我がいのりに耳をかたぶけたまへ
17:2
編集ねがはくはわが宣告みまへよりいでてなんぢの目公平をみたまはんことを
17:3
編集なんぢわが心をこころみ また夜われにのぞみたまへり 斯てわれを糺したまへど我になにの惡念あるをも見出たまはざりき わが口はつみを犯すことなからん
17:4
編集人の行爲のことをいはば我なんぢのくちびるの言によりて暴るものの途をさけたり
17:5
編集わが歩はかたくなんぢの途にたちわが足はよろめくことなかりき
17:6
編集神よなんぢ我にこたへたまふ 我なんぢをよべり ねがはくは汝の耳をかたぶけてわが陳るところをききたまへ
17:7
編集なんぢに依頼むものを右手をもて仇するものより救ひたまふ者よ ねがはくはなんぢの妙なる仁慈をあらはしたまへ
17:8
編集願くはわれを瞳のごとくにまもり汝のつばさの蔭にかくし
17:9
編集我をなやむるあしき者また我をかこみてわが命をそこなはんとする仇よりのがれしめ給へ
17:10
編集かれらはおのが心をふさぎ その口をもて誇かにものいへり
17:11
編集いづこにまれ往ところにてわれらを打圍み われらを地にたふさんと目をとむ
17:12
編集かれは抓裂んといらだつ獅のごとく隠やかなるところに潜みまつ壮獅のごとし
17:13
編集ヱホバよ起たまへ ねがはくはかれに立對ひてこれをたふし御劍をもて惡きものよりわが霊魂をすくひたまヘ
17:14
編集ヱホバよ手をもて人より我をたすけいだしたまへ おのがうくべき有をこの世にてうけ 汝のたからにてその腹をみたさるる世人より我をたすけいだし給へ かれらはおほくの子にあきたり その富ををさなごに遺す
17:15
編集されどわれは義にありて聖顔をみ目さむるとき容光をもて飽足ることをえん
第18篇
編集伶長にうたはしめたるヱホバの僕ダビデの歌、このうたの詞はもろもろの仇およびサウルの手より救れしときヱホバに對ひてうたへるなり 云く
18:1
編集ヱホバわれの力よ われ切になんぢを愛しむ
18:2
編集ヱホバはわが巌 わが城 われをすくふ者 わがよりたのむ神 わが堅固なるいはほ わが盾 わがすくひの角 わがたかき櫓なり
18:3
編集われ讃稱ふべきヱホバをよびて仇人よりすくはるることをえん
18:4
編集死のつな我をめぐり惡のみなぎる流われをおそれしめたり
18:5
編集陰間のなは我をかこみ死のわな我にたちむかへり
18:6
編集われ窮苦のうちにありてヱホバをよび又わが神にさけびたり ヱホバはその宮よりわが聲をききたまふ その前にてわがよびし聲はその耳にいれり
18:7
編集このときヱホバ怒りたまひたれば地はふるひうごき山の基はゆるぎうごきたり
18:8
編集烟その鼻よりたち火その口よりいでてやきつくし炭はこれがために燃あがれり
18:9
編集ヱホバは天をたれて臨りたまふ その足の下はくらきこと甚だし
18:10
編集かくてケルブに乗りてとび風のつばさにて翔り
18:11
編集闇をおほひとなし水のくらきとそらの密雲とをそのまはりの幕となしたまへり
18:12
編集そのみまへの光輝よりくろくもをへて雹ともえたる炭とふりきたれり
18:13
編集ヱホバは天に雷鳴をとどろかせたまへり 至上者のこゑいでて雹ともえたる炭とふりきたり
18:14
編集ヱホバ矢をとばせてかれらを打ちらし數しげき電光をはなちてかれらをうち敗りたまへり
18:15
編集ヱホバよ斯るときになんぢの叱咤となんぢの鼻のいぶきとによりて水の底みえ地の基あらはれいでたり
18:16
編集ヱホバはたかきより手をのべ我をとりて大水よりひきあげ
18:17
編集わがつよき仇とわれを憎むものとより我をたすけいだしたまへり かれらは我にまさりて最強かりき
18:18
編集かれらはわが災害の日にせまりきたれり 然どヱホバはわが支柱となりたまひき
18:19
編集ヱホバはわれを悦びたまふがゆゑにわれをたづさへ廣處にだして助けたまへり
18:20
編集ヱホバはわが正義にしたがひて恩賜をたまひ わが手のきよきにしたがひて報賞をたれたまへり
18:21
編集われヱホバの道をまもり惡をなしてわが神よりはなれしことなければなり
18:22
編集そのすべての審判はわがまへにありて われその律法をすてしことなければなり
18:23
編集われ神にむかひて缺るところなく己をまもりて不義をはなれたり
18:24
編集この故にヱホバはわがただしきとその目前にわが手のきよきとにしたがひて我にむくいをなし給へり
18:25
編集なんぢ憐憫あるものには憐みあるものとなり完全ものには全きものとなり
18:26
編集きよきものには潔きものとなり僻むものにはひがむ者となりたまふ
18:27
編集そは汝くるしめる民をすくひたまへど高ぶる目をひくくしたまふ可ればなり
18:28
編集なんぢわが燈火をともし給ふべければなり わが神ヱホバわが暗をてらしたまはん
18:29
編集我なんぢによりて軍の中をはせとほり わが神によりて垣ををどりこゆ
18:30
編集神はしもその途またくヱホバの言はきよし ヱホバはすべて依頼むものの盾なり
18:31
編集そはヱホバのほかに神はたれぞや われらの神のほかに巌はたれぞや
18:32
編集神はちからをわれに帯しめ わが途を全きものとなしたまふ
18:33
編集神はわが足を麀のあしのごとくし我をわが高處にたたせたまふ
18:34
編集神はわが手をたたかひにならはせてわが臂に銅弓をひくことを得しめたまふ
18:35
編集又なんぢの救の盾をわれにあたへたまへり なんぢの右手われをささへなんぢの謙卑われを大ならしめたまへり
18:36
編集なんぢわが歩むところを寛濶ならしめたまひたれば わが足ふるはざりき
18:37
編集われ仇をおひてこれに追及かれらのほろぶるまでは歸ることをせじ
18:38
編集われかれらを撃てたつことを得ざらしめん かれらはわが足の下にたふるべし
18:39
編集そはなんぢ戦争のために力をわれに帯しめ われにさからひておこりたつ者をわが下にかがませたまひたればなり
18:40
編集我をにくむ者をわが滅しえんがために汝またわが仇の背をわれにむけしめ給へり
18:41
編集かれら叫びたれども救ふものなく ヱホバに對ひてさけびたれども答へたまはざりき
18:42
編集我かれらを風のまへの塵のごとくに搗碎き ちまたの坭のごとくに打棄たり
18:43
編集なんぢわれを民のあらそひより助けいだし我をたててもろもろの國の長となしたまへり わがしらざる民われにつかへん
18:44
編集かれらわが事をききて立刻われにしたがひ異邦人はきたりて佞りつかへん
18:45
編集ことくにびとは衰へてその城よりをののきいでん
18:46
編集ヱホバは活ていませり わが磐はほむべきかな わがすくひの神はあがむべきかな
18:47
編集わがために讎をむくい異邦人をわれに服はせたまふはこの神なり
18:48
編集神はわれを仇よりすくひたまふ實になんぢは我にさからひて起りたつ者のうへに我をあげ あらぶる人より我をたすけいだし給ふ
18:49
編集この故にヱホバよ われもろもろの國人のなかにてなんぢに感謝し なんぢの名をほめうたはん
18:50
編集ヱホバはおほいなる救をその王にあたへ その受膏者ダビデとその裔とに世々かぎりなく憐憫をたれたまふ
第19篇
編集うたのかみに謳はしめたるダビデのうた
19:1
編集もろもろの天は神のえいくわうをあらはし 穹蒼はその手のわざをしめす
19:2
編集この日ことばをかの日につたへこのよ知識をかの夜におくる
19:3
編集語らずいはずその聲きこえざるに
19:4
編集そのひびきは全地にあまねく そのことばは地のはてにまでおよぶ 神はかしこに帷幄を日のためにまうけたまへり
19:5
編集日は新婿がいはひの殿をいづるごとく勇士がきそひはしるをよろこぶに似たり
19:6
編集そのいでたつや天の涯よりし その運りゆくや天のはてにいたる 物としてその和喣をかうぶらざるはなし
19:7
編集ヱホバの法はまたくして霊魂をいきかへらしめ ヱホバの證詞はかたくして愚なるものを智からしむ
19:8
編集ヱホバの訓諭はなほくして心をよろこばしめ ヱホバの誡命はきよくして眼をあきらかならしむ
19:9
編集ヱホバを惶みおそるる道はきよくして世々にたゆることなく ヱホバのさばきは眞實にしてことごとく正し
19:10
編集これを黄金にくらぶるもおほくの純精金にくらぶるも 彌増りてしたふべく これを蜜にくらぶるも蜂のすの滴瀝にくらぶるもいやまさりて甘し
19:11
編集なんぢの僕はこれらによりて儆戒をうく これらをまもらば大なる報賞あらん
19:12
編集たれかおのれの過失をしりえんや ねがはくは我をかくれたる愆より解放ちたまへ
19:13
編集願くはなんぢの僕をひきとめて故意なる罪ををかさしめず それをわが主たらしめ給ふなかれ さればわれ玷なきものとなりて大なる愆をまぬかるるをえん
19:14
編集ヱホバわが磐わが贖主よ わがくちの言わがこころの思念なんぢのまへに悦ばるることを得しめたまへ
第20篇
編集伶長にうたはしめたるダビデのうた
20:1
編集ねがはくはヱホバなやみの日になんぢにこたヘヤユブのかみの名なんぢを高にあげ
20:2
編集聖所より援助をなんぢにおくりシオンより能力をなんぢにあたへ
20:3
編集汝のもろもろの献物をみこころにとめ なんぢの燔祭をうけたまはんことをセラ
20:4
編集ねがはくはなんちがこころの願望をゆるし なんぢの謀略をことごとく遂しめたまはんことを
20:5
編集我儕なんぢの救によりて歓びうたひ われらの神の名によりて旗をたてん ねがはくはヱホバ汝のもろもろの求をとげしめたまはんことを
20:6
編集われ今ヱホバその受膏者をすくひたまふを知る ヱホバそのきよき天より右手なるすくひの力にてかれに應へたまはん
20:7
編集あるひは車をたのみあるひは馬をたのみとする者あり されどわれらはわが神ヱホバの名をとなへん
20:8
編集かれらは屈みまた仆るわれらは起てかたくたてり
20:9
編集ヱホバよ王をすくひたまへ われらがよぶとき應へたまへ
第21篇
編集伶長にうたはしめたるダビデのうた
21:1
編集ヱホバよ王はなんぢの力によりてたのしみ汝のすくひによりて奈何におほいなる歓喜をなさん
21:2
編集なんぢ彼がこころの願望をゆるし そのくちびるの求をいなみ給はざりきセラ
21:3
編集そはよきたまものの惠をもてかれを迎へ まじりなきこがねの冕弁をもてかれの首にいただかせ給ひたり
21:4
編集かれ生命をもとめしに汝これをあたへてその齢の日を世々かぎりなからしめ給へり
21:5
編集なんぢの救によりてその榮光おほいなり なんぢは尊貴と稜威とをかれに衣せたまふ
21:6
編集そは之をとこしへに福ひなるものとなし聖顔のまへの歓喜をもて樂しませたまへばなり
21:7
編集王はヱホバに依頼み いとたかき者のいつくしみを蒙るがゆゑに動かさるることなからん
21:8
編集なんぢの手はそのもろもろの仇をたづねいだし 汝のみぎの手はおのれを憎むものを探ねいだすべし
21:9
編集なんぢ怒るときは彼等をもゆる爐のごとくにせんヱホバはげしき怒によりてかれらを呑たまはん 火はかれらを食つくさん
21:10
編集汝かれらの裔を地よりほろぼし かれらの種を人の子のなかよりほろぼさん
21:11
編集かれらは汝にむかひて惡事をくはだて遂がたき謀略をおもひまはせばなり
21:12
編集汝かれらをして背をむけしめ その面にむかひて弓絃をひかん
21:13
編集ヱホバよ能力をあらはしてみづからを高くしたまへ 我儕はなんぢの稜威をうたひ且ほめたたへん
第22篇
編集あけぼのの鹿の調にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの歌
22:1
編集わが神わが神なんぞ我をすてたまふや 何なれば遠くはなれて我をすくはず わが歎きのこゑをきき給はざるか
22:2
編集ああわが神われ晝よばはれども汝こたへたまはず 夜よばはれどもわれ平安をえず
22:3
編集然はあれイスラエルの讃美のなかに住たまふものよ汝はきよし
22:4
編集われらの列祖はなんぢに依頼めり かれら依頼みたればこれを助けたまへり
22:5
編集かれら汝をよびて援をえ汝によりたのみて恥をおへることなかりき
22:6
編集然はあれどわれは蟲にして人にあらず 世にそしられ民にいやしめらる
22:7
編集すべてわれを見るものはわれをあざみわらひ 口唇をそらし首をふりていふ
22:8
編集かれはヱホバによりたのめりヱホバ助くべし ヱホバかれを悦びたまふが故にたすくべしと
22:9
編集されど汝はわれを胎内よりいだし給へるものなり わが母のふところにありしとき既になんぢに依頼ましめたまへり
22:10
編集我うまれいでしより汝にゆだねられたり わが母われを生しときより汝はわが神なり
22:11
編集われに遠ざかりたまふなかれ 患難ちかづき又すくふものなければなり
22:12
編集おほくの牡牛われをめぐりバサンの力つよき牡牛われをかこめり
22:13
編集かれらは口をあけて我にむかひ物をかきさき吼うだく獅のごとし
22:14
編集われ水のごとくそそぎいだされ わがもろもろの骨ははづれ わが心は蝋のごとくなりて腹のうちに鎔たり
22:15
編集わが力はかわきて陶器のくだけのごとく わが舌は齶にひたつけり なんぢわれを死の塵にふさせたまへり
22:16
編集そは犬われをめぐり惡きものの群われをかこみてわが手およびわが足をさしつらぬけり
22:17
編集わが骨はことごとく數ふるばかりになりぬ 惡きものの目をとめて我をみる
22:18
編集かれらたがひにわが衣をわかち我がしたぎを鬮にす
22:19
編集ヱホバよ遠くはなれ居たまふなかれ わが力よねがはくは速きたりてわれを授けたまへ
22:20
編集わがたましひを劍より助けいだし わが生命を犬のたけきいきほひより脱れしめたまへ
22:21
編集われを獅の口また野牛のつのより救ひいだしたまへ なんぢ我にこたへたまへり
22:22
編集われなんぢの名をわが兄弟にのべつたへ なんぢを會のなかにて讃たたへん
22:23
編集ヱホバを懼るるものよヱホバをほめたたへよ ヤコブのもろもろの裔よヱホバをあがめよ イスラエルのもろもろのすゑよヱホバを畏め
22:24
編集ヱホバはなやむものの辛苦をかろしめ棄たまはず これに聖顔をおほふことなくしてその叫ぶときにききたまへばなり
22:25
編集大なる會のなかにてわが汝をほめたたふるは汝よりいづるなり わが誓ひしことはヱホバをおそるる者のまへにてことごとく償はん
22:26
編集謙遜者はくらひて飽ことをえ ヱホバをたづねもとむるものはヱホバをほめたたへん 願くはなんぢらの心とこしへに生んことを
22:27
編集地のはては皆おもひいだしてヱホバに歸りもろもろの國の族はみな前にふしをがむべし
22:28
編集國はヱホバのものなればなり ヱホバはもろもろの國人をすべをさめたまふ
22:29
編集地のこえたるものは皆くらひてヱホバををがみ塵にくだるものと己がたましひを存ふること能はざるものと皆そのみまへに拝跪かん
22:30
編集たみの裔のうちにヱホバにつかる者あらん 主のことは代々にかたりつたへらるべし
22:31
編集かれら來りて此はヱホバの行爲なりとてその義を後にうまるる民にのべつたへん
第23篇
編集ダビデのうた
23:1
編集ヱホバは我が牧者なり われ乏しきことあらじ
23:2
編集ヱホバは我をみどりの野にふさせ いこひの水濱にともなひたまふ
23:3
編集ヱホバはわが霊魂をいかし名のゆゑをもて我をただしき路にみちびき給ふ
23:4
編集たとひわれ死のかげの谷をあゆむとも禍害をおそれじ なんぢ我とともに在せばなり なんぢの笞なんぢの杖われを慰む
23:5
編集なんぢわが仇のまへに我がために筵をまうけ わが首にあぶらをそそぎたまふ わが酒杯はあふるるなり
23:6
編集わが世にあらん限りはかならず恩惠と憐憫とわれにそひきたらん 我はとこしへにヱホバの宮にすまん
第24篇
編集ダビデのうた
24:1
編集地とそれに充るもの世界とその中にすむものとは皆ヱホバのものなり
24:2
編集ヱホバはそのもとゐを大海のうへに置これを大川のうへに定めたまへり
24:3
編集ヱホバの山にのぼるべきものは誰ぞ その聖所にたつべき者はたれぞ
24:4
編集手きよく心いさぎよき者そのたましひ虚きことを仰ぎのぞまず偽りの誓をせざるものぞ その人なる
24:5
編集かかる人はヱホバより福祉をうけ そのすくひの神より義をうけん
24:6
編集斯のごとき者は神をしたふものの族類なり ヤコブの神よなんぢの聖顔をもとむる者なりセラ
24:7
編集門よなんぢらの首をあげよ とこしへの戸よあがれ 榮光の王いりたまはん
24:8
編集えいくわうの王はたれなるか ちからをもちたまふ猛きヱホバなり 戦闘にたけきヱホバなり
24:9
編集門よなんぢらの首をあげよ とこしへの戸よあがれ 榮光の王いりたまはん
24:10
編集この榮光の王はたれなるか 萬軍のヱホバ是ぞえいくわうの王なるセラ
第25篇
編集ダビデのうた
25:1
編集ああヱホバよ わがたましひは汝をあふぎ望む
25:2
編集わが神よわれなんぢに依頼めり ねがはくはわれに愧をおはしめたまふなかれ わが仇のわれに勝誇ることなからしめたまへ
25:3
編集實になんぢを俟望むものははぢしめられず 故なくして信をうしなふものは愧をうけん
25:4
編集ヱホバよなんぢの大路をわれにしめし なんぢの徑をわれにをしへたまへ
25:5
編集我をなんぢの眞理にみちびき我ををしへたまへ 汝はわがすくひの神なり われ終日なんぢを俟望む
25:6
編集なんぢのあはれみと仁慈とはいにしへより絶ずあり ヱホバよこれを思ひいだしたまへ
25:7
編集わがわかきときの罪とわが愆とはおもひいでたまふなかれ ヱホバよ汝のめぐみの故になんぢの仁慈にしたがひて我をおもひいでたまヘ
25:8
編集ヱホバはめぐみ深くして直くましませり 斯るがゆゑに道をつみびとにをしへ
25:9
編集謙だるものを正義にみちびきたまはん その道をへりくだる者にしめしたまはん
25:10
編集ヱホバのもろもろの道はそのけいやくと證詞とをまもるものには仁慈なり眞理なり
25:11
編集わが不義はおほいなり ヱホバよ名のために之をゆるしたまヘ
25:12
編集ヱホバをおそるる者はたれなるか 之にそのえらぶべき道をしめしたまはん
25:13
編集かかる人のたましひは平安にすまひ その裔はくにをつぐべし
25:14
編集ヱホバの親愛はヱホバをおそるる者とともにあり ヱホバはその契約をかれらに示したまはん
25:15
編集わが目はつねにヱホバにむかふ ヱホバわがあしを網よりとりいだしたまふ可ればなり
25:16
編集ねがはくは歸りきたりて我をあはれみたまへ われ獨わびしくまた苦しみをるなり
25:17
編集願くはわが心のうれへをゆるめ我をわざはひより脱かれしめたまへ
25:18
編集わが患難わが辛苦をかへりみ わがすべての罪をゆるしたまへ
25:19
編集わが仇をみたまへ かれらの數はおほし情なき憾をもてわれをにくめり
25:20
編集わがたましひをまもり我をたすけたまへ われに愧をおはしめたまふなかれ 我なんぢに依頼めばなり
25:21
編集われなんぢを挨望むねがはくは完全と正直とわれをまもれかし
25:22
編集神よすべての憂よりイスラエルを贖ひいだしたまへ
第26篇
編集ダビデの歌
26:1
編集ヱホバよねがはくはわれを鞫きたまへわれわが完全によりてあゆみたり 然のみならず我たゆたはずヱホバに依頼めり
26:2
編集ヱホバよわれを糺しまた試みたまへ わが腎とこころとを錬きよめたまへ
26:3
編集そは汝のいつくしみわが眼前にあり 我はなんぢの眞理によりてあゆめり
26:4
編集われは虚しき人とともに座らざりき 惡をいつはりかざる者とともにはゆかじ
26:5
編集惡をなすものの會をにくみ惡者とともにすわることをせじ
26:6
編集われ手をあらひて罪なきをあらはす ヱホバよ斯てなんぢの祭壇をめぐり
26:7
編集感謝のこゑを聞えしめ すべてなんぢの奇しき事をのべつたへん
26:8
編集ヱホバよ我なんぢのまします家となんぢが榮光のとどまる處とをいつくしむ
26:9
編集願くはわがたましひを罪人とともに わが生命を血をながす者とともに取收めたまふなかれ
26:10
編集かかる人の手にはあしきくはだてあり その右の手は賄賂にてみつ
26:11
編集されどわれはわが完全によりてあゆまん願くはわれをあがなひ我をあはれみたまへ
26:12
編集わがあしは平坦なるところにたつ われもろもろの會のなかにてヱホバを讃まつらん
第27篇
編集ダビデの歌
27:1
編集ヱホバはわが光わが救なり われ誰をかおそれん ヱホバはわが生命のちからなり わが懼るべきものはたれぞや
27:2
編集われの敵われの仇なるあしきもの襲ひきたりてわが肉をくらはんとせしが蹶きかつ仆れたり
27:3
編集縦ひいくさびと營をつらねて我をせむるともわが心おそれじ たとひ戦ひおこりて我をせむるとも我になほ恃あり
27:4
編集われ一事をヱホバにこへり我これをもとむ われヱホバの美しきを仰ぎその宮をみんがためにわが世にあらん限りはヱホバの家にすまんとこそ願ふなれ
27:5
編集ヱホバはなやみの日にその行宮のうちに我をひそませその幕屋のおくにわれをかくし巌のうへに我をたかく置たまふべければなり
27:6
編集今わが首はわれをめぐれる仇のうへに高くあげらるべし この故にわれヱホバのまくやにて歓喜のそなへものを献ん われうたひてヱホバをほめたたへん
27:7
編集わが聲をあげてさけぶときヱホバよきき給へ また憐みてわれに應へたまへ
27:8
編集なんぢらわが面をたづねもとめよと(斯る聖言のありしとき)わが心なんぢにむかひてヱホバよ我なんぢの聖顔をたづねんといへり
27:9
編集ねがはくは聖顔をかくしたまふなかれ 怒りてなんぢの僕をとほざけたまふなかれ汝はわれの助なり 噫わがすくひの神よ われをおひいだし我をすてたまふなかれ
27:10
編集わが父母われをすつるともヱホバわれを迎へたまはん
27:11
編集ヱホバよなんぢの途をわれにをしへ わが仇のゆゑに我をたひらかなる途にみちびきたまへ
27:12
編集いつはりの證をなすもの暴厲を吐もの我にさからひて起りたてり 願くはわれを仇にわたしてその心のままに爲しめたまふなかれ
27:13
編集われもしヱホバの恩寵をいけるものの地にて見るの侍なからましかば奈何ぞや
27:14
編集ヱホバを俟望ぞめ雄々しかれ汝のこころを堅うせよ 必ずやヱホバをまちのぞめ
第28篇
編集ダビデの歌
28:1
編集ああヱホバよわれ汝をよばん わが磐よねがはくは我にむかひて暗唖となりたまふなかれ なんぢ黙したまはば恐らくはわれ墓にいるものとひとしからん
28:2
編集われ汝にむかひてさけび聖所の奥にむかひて手をあぐるときわが懇求のこゑをききたまへ
28:3
編集あしき人また邪曲をおこなふ者とともに我をとらへてひきゆき給ふなかれ かれらはその隣にやはらぎをかたれども心には殘害をいだけり
28:4
編集その事にしたがひそのなす惡にしたがひて彼等にあたへ その手の行爲にしたがひて與ヘこれにその受べきものを報いたまへ
28:5
編集かれらはヱホバのもろもろの事とその手のなしわざとをかへりみず この故にヱホバかれらを毀ちて建たまふことなからん
28:6
編集ヱホバは讃べきかな わが祈のこゑをききたまひたり
28:7
編集ヱホバはわが力わが盾なり わがこころこれに依頼みたれば我たすけをえたり 然るゆゑにわが心いたくよろこぶ われ歌をもてほめまつらん
28:8
編集ヱホバはその民のちからなり その受膏者のすくひの城なり
28:9
編集なんぢの民をすくひなんぢの嗣業をさきはひ且これをやしなひ之をとこしなへに懐きたすけたまへ
第29篇
編集ダビデの歌
29:1
編集なんぢら神の子らよ ヱホバに獻げまつれ榮と能とをヱホバにささげまつれ
29:2
編集その名にふさはしき榮光をヱホバにささげ奉れ きよき衣をつけてヱホバを拝みまつれ
29:3
編集ヱホバのみこゑは水のうへにあり えいくわうの神は雷をとどろかせたまふ ヱホバは大水のうへにいませり
29:4
編集ヱホバの聲はちからあり ヱホバのみこゑは稜威あり
29:5
編集ヱホバのみこゑは香柏ををりくだく ヱホバ、レバノンのかうはくを折くだきたまふ
29:6
編集これを犢のごとくをどらせレバノンとシリオンとをわかき野牛のごとくをどらせたまふ
29:7
編集ヱホバのみこゑは火焔をわかつ
29:8
編集ヱホバのみこゑは野をふるはせヱホバはカデシの野をふるはせたまふ
29:9
編集ヱホバのみこゑは鹿に子をうませ また林木をはだかにす その宮にあるすべてのもの呼はりて榮光なるかなといふ
29:10
編集ヱホバは洪水のうへに坐したまへり ヱホバは寳座にざして永遠に王なり
29:11
編集ヱホバはその民にちからをあたへたまふ 平安をもてその民をさきはひたまはん
第30篇
編集殿をささぐるときに謳へるダビデのうた
30:1
編集ヱホバよわれ汝をあがめん なんぢ我をおこしてわが仇のわがことによりて喜ぶをゆるし給はざればなり
30:2
編集わが神ヱホバよわれ汝によばはれば汝我をいやしたまへり
30:3
編集ヱホバよ汝わがたましひを陰府よりあげ我をながらへしめて墓にくだらせたまはざりき
30:4
編集ヱホバの聖徒よ ヱホバをほめうたへ奉れ きよき名に感謝せよ
30:5
編集その怒はただしばしにてその惠はいのちとともにながし 夜はよもすがら泣かなしむとも朝にはよろこびうたはん
30:6
編集われ安けかりしときに謂く とこしへに動かさるることなからんと
30:7
編集ヱホバよなんぢ惠をもてわが山をかたく立せたまひき 然はあれどなんぢ面をかくしたまひたれば我おぢまどひたり
30:8
編集ヱホバよわれ汝によばはれり 我ひたすらヱホバにねがへり
30:9
編集われ墓にくだらばわが血なにの益あらん 塵はなんぢを讃たたへんや なんぢの眞理をのべつたへんや
30:10
編集ヱホバよ聴たまへ われを憐みたまヘ ヱホバよ願くはわが助となりたまへ
30:11
編集なんぢ踴躍をもてわが哀哭にかへわが麁服をとき歓喜をもてわが帯としたまへり
30:12
編集われ榮をもてほめうたひつつ黙すことなからんためなり わが神ヱホバよわれ永遠になんぢに感謝せん
第31篇
編集伶長にうたはしめたるダビデのうた
31:1
編集ヱホバよわれ汝によりたのむ 願くはいづれの日までも愧をおはしめたまふなかれ なんぢの義をもてわれを助けたまへ
31:2
編集なんぢの耳をかたぶけて速かにわれをすくひたまへ 願くはわがためにかたき磐となり我をすくふ保障の家となりたまへ
31:3
編集なんぢはわが磐わが城なり されば名のゆゑをもてわれを引われを導きたまへ
31:4
編集なんぢ我をかれらが密かにまうけたる網よりひきいだしたまへ なんぢはわが保砦なり
31:5
編集われ霊魂をなんぢの手にゆだぬ ヱホバまことの神よなんぢはわれを贖ひたまへり
31:6
編集われはいつはりの虚きことに心をよする者をにくむ われは獨ヱホバによりたのむなり
31:7
編集我はなんぢの憐憫をよろこびたのしまん なんぢわが艱難をかへりみ わがたましひの禍害をしり
31:8
編集われを仇の手にとぢこめしめたまはず わが足をひろきところに立たまへばなり
31:9
編集われ迫りくるしめり ヱホバよ我をあはれみたまへ わが目はうれひによりておとろふ 霊魂も身もまた衰へぬ
31:10
編集わが生命はかなしみによりて消えゆき わが年華はなげきによりて消ゆけばなり わが力はわが不義によりておとろへ わが骨はかれはてたり
31:11
編集われもろもろの仇ゆゑにそしらる わが隣にはわけて甚だし相識ものには忌憚られ衢にてわれを見るもの避てのがる
31:12
編集われは死たるもののごとく忘られて人のこころに置れず われはやぶれたる器もののごとくなれり
31:13
編集そは我おほくの人のそしりをきい到るところに懼あり かれら我にさからひて互にはかりしが わが生命をさへとらんと企てたり
31:14
編集されどヱホバよわれ汝によりたのめり また汝はわが神なりといへり
31:15
編集わが時はすべてなんぢの手にあり ねがはくはわれを仇の手よりたすけ われに追迫るものより助けいだしたまへ
31:16
編集なんぢの僕のうへに聖顔をかがやかせ なんぢの仁慈をもて我をすくひたまヘ
31:17
編集ヱホバよわれに愧をおはしめ給ふなかれ そは我なんぢをよべばなり 願くはあしきものに恥をうけしめ陰府にありて口をつぐましめ給へ
31:18
編集傲慢と軽侮とをもて義きものにむかひ妄りにののしるいつはりの口唇をつぐましめたまへ
31:19
編集汝をおそるる者のためにたくはへ なんぢに依頼むもののために人の子のまへにてほどこしたまへる汝のいつくしみは大なるかな
31:20
編集汝かれらを御前なるひそかなる所にかくして人の謀略よりまぬかれしめ また行宮のうちにひそませて舌のあらそひをさけしめたまはん
31:21
編集讃べきかなヱホバは堅固なる城のなかにて奇しまるるばかりの仁慈をわれに顕したまへり
31:22
編集われ驚きあわてていへらく なんぢの目のまへより絶れたりと 然どわれ汝によびもとめしとき汝わがねがひの聲をききたまへり
31:23
編集なんぢらもろもろの聖徒よヱホバをいつくしめ ヱホバは眞實あるものをまもり傲慢者におもく報をほどこしたまふ
31:24
編集すべてヱホバを俟望むものよ雄々しかれ なんぢら心をかたうせよ
第32篇
編集ダビデの訓諭のうた
32:1
編集その愆をゆるされその罪をおほはれしものは福ひなり
32:2
編集不義をヱホバに負せられざるもの心にいつはりなき者はさいはひなり
32:3
編集我いひあらはさざりしときは終日かなしみさけびたるが故にわが骨ふるびおとろへたり
32:4
編集なんぢの手はよるも晝もわがうへにありて重し わが身の潤澤はかはりて夏の旱のごとくなれりセラ
32:5
編集斯てわれなんぢの前にわが罪をあらはしわが不義をおほはざりき 我いへらくわが愆をヱホバにいひあらはさんと 斯るときしも汝わがつみの邪曲をゆるしたまへりセラ
32:6
編集されば神をうやまふ者はなんぢに遇ことをうべき間になんぢに祈らん 大水あふれ流るるともかならずその身におよばじ
32:7
編集汝はわがかくるべき所なり なんぢ患難をふせぎて我をまもり救のうたをもて我をかこみたまはんセラ
32:8
編集われ汝ををしへ汝をあゆむべき途にみちびき わが目をなんぢに注てさとさん
32:9
編集汝等わきまへなき馬のごとく驢馬のごとくなるなかれ かれらは鑣たづなのごとき具をもてひきとめずば近づききたることなし
32:10
編集惡者はかなしみ多かれどヱホバに依頼むものは憐憫にてかこまれん
32:11
編集ただしき者よヱホバを喜びたのしめ 凡てこころの直きものよ喜びよばふべし
第33篇
編集33:1
編集ただしき者よヱホバによりてよろこべ 讃美はなほきものに適はしきなり
33:2
編集琴をもてヱホバに感謝せよ 十絃のことをもてヱホバをほめうたへ
33:3
編集あたらしき歌をヱホバにむかひてうたひ歓喜の聲をあげてたくみに琴をかきならせ
33:4
編集ヱホバのことばは直く そのすべて行ひたまふところ眞實なればなり
33:5
編集ヱホバは義と公平とをこのみたまふ その仁慈はあまねく地にみつ
33:6
編集もろもろの天はヱホバのみことばによりて成り てんの萬軍はヱホバの口の氣によりてつくられたり
33:7
編集ヱホバはうみの水をあつめてうづだかくし深淵を庫にをさめたまふ
33:8
編集全地はヱホバをおそれ世にすめるもろもろの人はヱホバをおぢかしこむべし
33:9
編集そはヱホバ言たまへば成り おほせたまへば立るがゆゑなり
33:10
編集ヱホバはもろもろの國のはかりごとを虚くし もろもろの民のおもひを徒勞にしたまふ
33:11
編集ヱホバの謀略はとこしへに立ち そのみこころのおもひは世々にたつ
33:12
編集ヱホバをおのが神とする國はさいはひなり ヱホバ嗣業にせんとて撰びたまへるその民はさいはひなり
33:13
編集ヱホバ天よりうかがひてすべての人の子を見
33:14
編集その在すところより地にすむもろもろの人をみたまふ
33:15
編集ヱホバはすべてかれらの心をつくり その作ところをことごとく鑒みたまふ
33:16
編集王者いくさびと多をもて救をえず勇士ちから大なるをもて助をえざるなり
33:17
編集馬はすくひに益なく その大なるちからも人をたすくることなからん
33:18
編集視よヱホバの目はヱホバをおそるるもの並その憐憫をのぞむもののうへにあり
33:19
編集此はかれらのたましひを死よりすくひ饑饉たるときにも世にながらへしめんがためなり
33:20
編集われらのたましひはヱホバを侯望めり ヱホバはわれらの援われらの盾なり
33:21
編集われらはきよき名にりたのめり 斯てぞわれらの心はヱホバにありてよろこばん
33:22
編集ヱホバよわれら汝をまちのぞめり これに循ひて憐憫をわれらのうへに垂たまへ
第34篇
編集ダビデ、アビメレクのまへにて狂へる状をなし逐れていでさりしときに作れるうた
34:1
編集われつねにヱホバを祝ひまつらんその頌詞はわが口にたえじ
34:2
編集わがたましひはヱホバによりて誇らん 謙だるものは之をききてよろこばん
34:3
編集われとともにヱホバを崇めよ われらともにその名をあげたたへん
34:4
編集われヱホバを尋ねたればヱホバわれにこたへ我をもろもろの畏懼よりたすけいだしたまへり
34:5
編集かれらヱホバを仰ぎのぞみて光をかうぶれり かれらの面ははぢあからむことなし
34:6
編集この苦しむもの叫びたればヱホバこれをきき そのすべての患難よりすくひいだしたまへり
34:7
編集ヱホバの使者はヱホバをおそるる者のまはりに營をつらねてこれを援く
34:8
編集なんぢらヱホバの恩惠ふかきを嘗ひしれ ヱホバによりたのむ者はさいはひなり
34:9
編集ヱホバの聖徒よヱホバを畏れよヱホバをおそるるものには乏しきことなければなり
34:10
編集わかき獅はともしくして饑ることあり されどヱホバをたづぬるものは嘉物にかくることあらじ
34:11
編集子よきたりて我にきけ われヱホバを畏るべきことを汝等にをしへん
34:12
編集福祉をみんがために生命をしたひ存へんことをこのむ者はたれぞや
34:13
編集なんぢの舌をおさへて惡につかしめず なんぢの口唇をおさへて虚偽をいはざらしめよ
34:14
編集惡をはなれて善をおこなひ和睦をもとめて切にこのことを勉めよ
34:15
編集ヱホバの目はただしきものをかへりみ その耳はかれらの號呼にかたぶく
34:16
編集ヱホバの聖顔はあくをなす者にむかひてその跡を地より断滅したまふ
34:17
編集義者さけびたればヱホバ之をききてそのすべての患難よりたすけいだしたまへり
34:18
編集ヱホバは心のいたみかなしめる者にちかく在してたましひの悔頽れたるものをすくひたまふ
34:19
編集ただしきものは患難おほし されどヱホバはみなその中よりたすけいだしたまふ
34:20
編集ヱホバはかれがすべての骨をまもりたまふ その一つだに折らるることなし
34:21
編集惡はあしきものをころさん 義人をにくむものは刑なはるべし
34:22
編集ヱホバはその僕等のたましひを贖ひたまふ ヱホバに依頼むものは一人だにつみなはるることなからん
第35篇
編集ダビデのうた
35:1
編集ヱホバよねがはくは我にあらそふ者とあらそひ我とたたかふものと戦ひたまへ
35:2
編集干と大盾とをとりてわが援にたちいでたまへ
35:3
編集戟をぬきいだしたまひて我におひせまるものの途をふさぎ且わが霊魂にわれはなんぢの救なりといひたまへ
35:4
編集願くはわが霊魂をたづぬるものの恥をえていやしめられ 我をそこなはんと謀るものの退けられて惶てふためかんことを
35:5
編集ねがはくはかれらが風のまへなる粃糠のごとくなりヱホバの使者におひやられんことを
35:6
編集願くはかれらの途をくらくし滑らかにしヱホバの使者にかれらを追ゆかしめたまはんことを
35:7
編集かれらは故なく我をとらへんとて網をあなにふせ 故なくわが霊魂をそこなはんとて阱をうがちたればなり
35:8
編集願くはかれらが思ひよらぬ間にほろびきたり己がふせたる網にとらへられ自らその滅におちいらんことを
35:9
編集然ときわが霊魂はヱホバによりてよろこび その救をもて樂しまん
35:10
編集わがすべての骨はいはん ヱホバよ汝はくるしむものを之にまさりて力つよきものより並くるしむもの貧しきものを掠めうばふ者よりたすけいだし給ふ 誰かなんぢに比ふべき者あらんと
35:11
編集こころあしき證人おこりてわが知ざることを詰りとふ
35:12
編集かれらは惡をもてわが善にむくい我がたましひを依仗なきものとせり
35:13
編集然どわれかれらが病しときには麁服をつけ糧をたちてわが霊魂をくるしめたり わが祈はふところにかへれり
35:14
編集わがかれに作ることはわが友わが兄弟にことならず母の喪にありて痛哭がごとく哀しみうなたれたり
35:15
編集然どかれらはわが倒れんとせしとき喜びつどひわが知ざりしとき匪類あつまりきたりて我をせめ われを裂てやめざりき
35:16
編集かれらは洒宴にて穢きことをのぶる嘲笑者のごとく我にむかひて歯をかみならせり
35:17
編集主よいたづらに見るのみにして幾何時をへたまふや 願くはわがたましひの彼等にほろぼさるるを脱れしめ わが生命をわかき獅よりまぬかれしめたまへ
35:18
編集われ大なる會にありてなんぢに感謝し おほくの民のなかにて汝をほめたたへん
35:19
編集虚偽をもてわれに仇するもののわが故によろこぶことを容したまなかれ 故なくして我をにくむ者のたがひに眴せすることなからしめたまへ
35:20
編集かれらは平安をかたらず あざむきの言をつくりまうけて國内におだやかにすまふ者をそこなはんと謀る
35:21
編集然のみならず我にむかひて口をあけひろげ ああ視よや視よやわれらの眼これをみたりといへり
35:22
編集ヱホバよ汝すでにこれを視たまへり ねがはくは黙したまふなかれ主よわれに遠ざかりたまふなかれ
35:23
編集わが神よわが主よ おきたまへ醒たまへ ねがはくはわがために審判をなしわが訟ををさめたまへ
35:24
編集わが神ヱホバよなんぢの義にしたがひて我をさばきたまへ わが事によりてかれらに歓喜をえしめたまふなかれ
35:25
編集かれらにその心裡にて ああここちよきかな観よこれわが願ひしところなりといはしめたまふなかれ 又われらかれを呑つくせりといはしめたまふなかれ
35:26
編集願くはわが害なはるるを喜ぶもの皆はぢて惶てふためき 我にむかひてはこりかに高ぶるものの愧とはづかしめとを衣んことを
35:27
編集わが義をよみする者をばよろこび謳はしめ大なるかなヱホバその僕のさいはひを悦びたまふと恒にいはしめたまへ
35:28
編集わが舌は終日なんぢの義となんぢの誉とをかたらん
第36篇
編集伶長にうたはしめたるヱホバの僕ダビデのうた
36:1
編集あしきものの愆はわが心のうちにかたりて その目のまへに神をおそるるの畏あることなしといふ
36:2
編集かれはおのが邪曲のあらはるることなく憎まるることなからんとて自からその目にて謟る
36:3
編集その口のことばは邪曲と虚偽となり智をこばみ善をおこなふことを息たり
36:4
編集かつその寝床にてよこしまなる事をはかり よからぬ途にたちとまりて惡をきらはず
36:5
編集ヱホバよなんぢの仁慈は天にあり なんぢの眞實は雲にまでおよぶ
36:6
編集汝のただしきは神の山のごとく なんぢの審判はおほいなる淵なり ヱホバよなんぢは人とけものとを護りたまふ
36:7
編集神よなんぢの仁慈はたふときかな 人の子はなんぢの翼の蔭にさけどころを得
36:8
編集なんぢの屋のゆたかなるによりてことごとく飽ことをえん なんぢはその歓樂のかはの水をかれらに飮しめたまはん
36:9
編集そはいのちの泉はなんぢに在り われらはなんぢの光によりて光をみん
36:10
編集ねがはくはなんぢを知るものにたえず憐憫をほどこし心なほき者にたえず正義をほどこしたまへ
36:11
編集たかぶるものの足われをふみ惡きものの手われを逐去ふをゆるし給ふなかれ
36:12
編集邪曲をおこなふ者はかしこに仆れたり かれら打伏られてまた起ことあたはざるべし
第37篇
編集ダビデのうた
37:1
編集惡をなすものの故をもて心をなやめ 不義をおこなふ者にむかひて嫉をおこすなかれ
37:2
編集かれらはやがて草のごとくかりとられ青菜のごとく打萎るべければなり
37:3
編集ヱホバによりたのみて善をおこなへ この國にとどまり眞實をもて糧とせよ
37:4
編集ヱホバによりて歓喜をなせ ヱホバはなんぢが心のねがひを汝にあたへたまはん
37:5
編集なんぢの途をヱホバにゆだねよ 彼によりたのまば之をなしとげ
37:6
編集光のごとくなんぢの義をあきらかにし午日のごとくなんぢの訟をあきらかにしたまはん
37:7
編集なんぢヱホバのまへに口をつぐみ忍びてこれを俟望め おのが途をあゆみて榮るものの故をもて あしき謀略をとぐる人の故をもて心をなやむるなかれ
37:8
編集怒をやめ忿恚をすてよ 心をなやむるなかれ これ惡をおこなふ方にうつらん
37:9
編集そは惡をおこなふものは断滅され ヱホバを俟望むものは國をつぐべければなり
37:10
編集あしきものは久しからずしてうせん なんぢ細密にその處をおもひみるともあることなからん
37:11
編集されど謙だるものは國をつぎ また平安のゆたかなるを樂まん
37:12
編集惡きものは義きものにさからはんとて謀略をめぐらし之にむかひて切歯す
37:13
編集主はあしきものを笑ひたまはん かれが日のきたるを見たまへばなり
37:14
編集あしきものは劍をぬき弓をはりて苦しむものと貧しきものとをたふし行ひなほきものを殺さんとせり
37:15
編集されどその劍はおのが胸をさしその弓はをらるべし
37:16
編集義人のもてるもののすくなきは多くの惡きものの豊かなるにまされり
37:17
編集そは惡きものの臂はをらるれどヱホバは義きものを扶持たまへばなり
37:18
編集ヱホバは完全もののもろもろの日をしりたまふ かれらの嗣業はかぎりなく久しからん
37:19
編集かれらは禍害にあふとき愧をおはず饑饉の日にもあくことを得ん
37:20
編集あしき者ははろびヱホバのあたは牧場のさかえの枯るがごとくうせ烟のごとく消ゆかん
37:21
編集あしき者はものかりて償はず 義きものは惠ありて施しあたふ
37:22
編集神のことほぎたまふ人は國をつぎ 神ののろひたまふ人は断滅さるべし
37:23
編集人のあゆみはヱホバによりて定めらる そのゆく途をヱホバよろこびたまへり
37:24
編集縦ひその人たふるることありとも全くうちふせらるることなし ヱホバかれが手をたすけ支へたまへばなり
37:25
編集われむかし年わかくして今おいたれど 義者のすてられ或はその裔の糧こひありくを見しことなし
37:26
編集ただしきものは終日めぐみありて貸あたふ その裔はさいはひなり
37:27
編集惡をはなれて善をなせ 然ばなんぢの住居とこしへならん
37:28
編集ヱホバは公平をこのみ その聖徒をすてたまはざればなり かれらは永遠にまもりたすけらるれど惡きもののすゑは断滅さるべし
37:29
編集ただしきものは國をつぎ その中にすまひてとこしへに及ばん
37:30
編集ただしきものの口は智慧をかたり その舌は公平をのぶ
37:31
編集かれが神の法はそのこころにあり そのあゆみは一歩だにすべることあらじ
37:32
編集あしきものは義者をひそみうかがひて之をころさんとはかる
37:33
編集ヱホバは義者をあしきものの手にのこしおきたまはず 審判のときに罰ひたまふことなし
37:34
編集ヱホバを俟望みてその途をまもれ さらば汝をあげて國をつがせたまはん なんぢ惡者のたちほろぼさるる時にこれをみん
37:35
編集我あしきものの猛くしてはびこれるを見るに生立たる地にさかえしげれる樹のごとし
37:36
編集然れどもかれは逝ゆけり 視よたちまちに無なりぬ われ之をたづねしかど邁ことをえざりき
37:37
編集完人に目をそそぎ直人をみよ 和平なる人には後あれど
37:38
編集罪ををかすものらは共にほろぼされ惡きものの後はかならず断るべければなり
37:39
編集ただしきものの救はヱホバよりいづ ヱホバはかれらが辛苦のときの保砦なり
37:40
編集ヱホバはかれらを助け かれらを解脱ちたまふ ヱホバはかれらを惡者よりときはなちて救ひたまふ かれらはヱホバをその避所とすればなり
第38篇
編集記念のためにつくれるダビデのうた
38:1
編集ヱホバよねがはくは忿恚をもて我をせめ はげしき怒をもて我をこらしめ給ふなかれ
38:2
編集なんぢの矢われにあたり なんぢの手わがうへを壓へたり
38:3
編集なんぢの怒によりてわが肉には全きところなく わが罪によりてわが骨には健かなるところなし
38:4
編集わが不義は首をすぎてたかく重荷のごとく負がたければなり
38:5
編集われ愚なるによりてわが傷あしき臭をはなちて腐れただれたり
38:6
編集われ折屈みていたくなげきうなたれたり われ終日かなしみありく
38:7
編集わが腰はことごとく焼るがごとく肉に全きところなければなり
38:8
編集我おとろへはて甚くきずつけられわが心のやすからざるによりて欷歔さけべり
38:9
編集ああ主よわがすべての願望はなんぢの前にあり わが嘆息はなんぢに隠るることなし
38:10
編集わが胸をどりわが力おとろへ わが眼のひかりも亦われをはなれたり
38:11
編集わが友わが親めるものはわが痍をみて遥にたち わが隣もまた遠かりてたてり
38:12
編集わが生命をたづぬるものは羂をまうけ我をそこなはんとするものは惡言をいひ また終日たばかりを謀る
38:13
編集然はあれどわれは聾者のごとくきかず われは口をひらかぬ唖者のごとし
38:14
編集如此われはきかざる人のごとく口にことあげせぬ人のごときなり
38:15
編集ヱホバよ我なんぢを俟望めり 主わが神よなんぢかならず答へたまふべければなり
38:16
編集われ曩にいふ おそらくはかれらわが事によりて喜び わが足のすべらんとき我にむかひて誇りかにたかぶらんと
38:17
編集われ仆るるばかりになりぬ わが悲哀はたえずわが前にあり
38:18
編集そは我みづから不義をいひあらはし わが罪のためにかなしめばなり
38:19
編集わが仇はいきはたらきてたけく故なくして我をうらむるものおほし
38:20
編集惡をもて善にむくゆるものはわれ善事にしたがふが故にわが仇となれり
38:21
編集ヱホバよねがはくは我をはなれたたまふなかれ わが神よわれに遠かりたまふなかれ
38:22
編集主わがすくひよ速きたりて我をたすけたまへ
第39篇
編集伶長エドトンにうたはしめたるダビデのうた
39:1
編集われ曩にいへり われ舌をもて罪ををかさざらんために我すべての途をつつしみ惡者のわがまへに在るあひだはわが口に衝をかけんと
39:2
編集われ黙して唖となり善言すらことばにいださず わが憂なほおこれり
39:3
編集わが心わがうちに熱し おもひつづくるほどに火もえぬればわれ舌をもていへらく
39:4
編集ヱホバよ願くはわが終とわが日の數のいくばくなるとを知しめたまへ わが無常をしらしめたまへ
39:5
編集観よなんぢわがすべての日を一掌にすぎさらしめたまふ わがかいのち主前にてはなきにことならず 實にすべての人は皆その盛時だにもむなしからざるはなしセラ
39:6
編集人の世にあるは影にことならず その思ひなやむことはむなしからざるなし その積蓄ふるものはたが手にをさまるをしらず
39:7
編集主よわれ今なにをかまたん わが望はなんぢにあり
39:8
編集ねがはくは我ぞすべて愆より助けいだしたまへ 愚なるものに誹らるることなからしめたまへ
39:9
編集われは黙して口をひらかず 此はなんぢの成したまふ者なればなり
39:10
編集願くはなんぢの責をわれよりはなちたまへ 我なんぢの手にうちこらさるるによりて亡ぶるばかりになりぬ
39:11
編集なんぢ罪をせめて人をこらし その慕ひよろこぶところのものを蠧のくらふがごとく消うせしめたまふ 實にもろもろの人はむなしからざるなしセラ
39:12
編集ああヱホバよねがはくはわが祈をきき わが號呼に耳をかたぶけたまへ わが涙をみて黙したまふなかれ われはなんぢに寄る旅客すべてわが列祖のごとく宿れるものなり
39:13
編集我ここを去てうせざる先になんぢ面をそむけてわれを爽快ならしめたまへ
第40篇
編集伶長にうたはしめたるダビデのうた
40:1
編集我たへしのびてヱホバを俟望みたり ヱホバ我にむかひてわが號呼をききたまへり
40:2
編集また我をほろびの阱より泥のなかよりとりいだしてわが足を磐のうへにおきわが歩をかたくしたまへり
40:3
編集ヱホバはあたらしき歌をわが口にいれたまへり此はわれらの神にささぐる讃美なり おほくの人はこれを見ておそれ かつヱホバによりたのまん
40:4
編集ヱホバをおのが頼となし高るものによらず虚偽にかたぶく者によらざる人はさいはひなり
40:5
編集わが神ヱホバよなんぢの作たまへる奇しき迹と われらにむかふ念とは甚おほくして汝のみまへにつらねいふことあたはず 我これをいひのべんとすれどその數かぞふることあたはず
40:6
編集なんぢ犠牲と祭物とをよろこびたまはず汝わが耳をひらきたたまへり なんぢ燔祭と罪祭とをもとめたまはず
40:7
編集そのとき我いへらく 観よわれきたらんわがことを書の巻にしるしたり
40:8
編集わが神よわれは聖意にしたがふことを樂む なんぢの法はわが心のうちにありと
40:9
編集われ大なる會にて義をつげしめせり 視よわれ口唇をとぢず ヱホバよなんぢ之をしりたまふ
40:10
編集われなんぢの義をわが心のうちにひめおかず なんぢの眞實となんぢの拯救とをのべつたへたり 我なんぢの仁慈となんぢの眞理とをおほいなる會にかくさざりき
40:11
編集ヱホバよなんぢ憐憫をわれにをしみたまふなかれ 仁慈と眞理とをもて恒にわれをまもりたまへ
40:12
編集そはかぞへがたき禍害われをかこみ わが不義われに追及てあふぎみること能はぬまでになりぬ その多きことわが首の髪にもまさり わが心きえうするばかりなればなり
40:13
編集ヱホバよ願くはわれをすくひたまヘ ヱホバよ急ぎきたりて我をたすけたまへ
40:14
編集願くはわが霊魂をたづねほろぼさんとするものの皆はぢあわてんことを わが害はるるをよろこぶもののみな後にしりぞきて恥をおはんことを
40:15
編集われにむかひて ああ視よや視よやといふ者おのが恥によりておどろきおそれんことを
40:16
編集願くはなんぢを尋求むるものの皆なんぢによりて樂みよろこばんことを なんぢの救をしたふものの恒にヱホバは大なるかなととなへんことを
40:17
編集われはくるしみ且ともし 主われをねんごろに念ひたまふ なんぢはわが助なり われをすくひたまふ者なり ああわが神よねがはくはためらひたまふなかれ
第41篇
編集うたのかみに謳はしめたるダビデのうた
41:1
編集よわき人をかへりみる者はさいはひなり ヱホバ斯るものを禍ひの日にたすけたまはん
41:2
編集ヱホバ之をまもり之をながらへしめたまはん かれはこの地にありて福祉をえん なんぢ彼をその仇ののぞみにまかせて付したまふなかれ
41:3
編集ヱホバは彼がわづらひの床にあるをたすけ給はん なんぢかれが病るときその衾裯をしきかへたまはん
41:4
編集我いへらくヱホバよわれを憐みわがたましひを醫したまへ われ汝にむかひて罪ををかしたりと
41:5
編集わが仇われをそしりていへり 彼いづれのときに死いづれのときにその名ほろびんと
41:6
編集かれ又われを見んとてきたるときは虚偽をかたり邪曲をその心にあつめ 外にいでてはこれを述ぶ
41:7
編集すべてわれをにくむもの互ひにささやき我をそこなはんとて相謀る
41:8
編集かつ云 かれに一のわざはひつきまとひたれば仆れふしてふたたび起ることなからんと
41:9
編集わが恃みしところ わが糧をくらひしところのわが親しき友さへも我にそむきてその踵をあげたり
41:10
編集然はあれどヱホバよ汝ねがはくは我をあはれみ我をたすけて起したまへ されば我かれらに報ることをえん
41:11
編集わが仇われに打勝ちてよろこぶこと能はざるをもて汝がわれを愛でいつくしみたまふを我しりぬ
41:12
編集わが事をいはば なんぢ我をわが完全うちにてたもち我をとこしへに面のまへに置たまふ
41:13
編集イスラエルの神ヱホバはとこしへより永遠までほむべきかな アーメン アーメン
第42篇
編集伶長にうたはしめたるコラの子のをしへの歌
42:1
編集ああ神よしかの渓水をしたひ喘ぐがごとく わが霊魂もなんぢをしたひあへぐなり
42:2
編集わがたましひは渇けるごとくに神をしたふ 活神をぞしたふ 何れのときにか我ゆきて神のみまへにいでん
42:3
編集かれらが終日われにむかひて なんぢの神はいづくにありやとののしる間はただわが涙のみ晝夜そそぎてわが糧なりき
42:4
編集われむかし群をなして祭日をまもる衆人とともにゆき歓喜と讃美のこゑをあげてかれらを神の家にともなへり 今これらのことを追想してわが衷よりたましひを注ぎいだすなり
42:5
編集ああわが霊魂よ なんぢ何ぞうなたるるや なんぞわが衷におもひみだるるや なんぢ神をまちのぞめ われに聖顔のたすけありて我なほわが神をほめたたふべければなり
42:6
編集わが神よわがたましひはわが衷にうなたる 然ばわれヨルダンの地よりヘルモンよりミザルの山より汝をおもひいづ
42:7
編集なんぢの大瀑のひびきによりて淵々よびこたへ なんぢの波なんぢの猛浪ことごとくわが上をこえゆけり
42:8
編集然はあれど晝はヱホバその憐憫をほどこしたまふ 夜はその歌われとともにあり 此うたはわがいのちの神にささぐる祈なり
42:9
編集われわが磐なる神にいはん なんぞわれを忘れたまひしや なんぞわれは仇のしへたげによりて悲しみありくや
42:10
編集わが骨もくだくるばかりにわがてきはひねもす我にむかひて なんぢの神はいづくにありやといひののしりつつ我をそしれり
42:11
編集ああわがたましひよ 汝なんぞうなたるるや 何ぞわがうちに思ひみだるるや なんぢ神をまちのぞめ われ尚わがかほの助なるわが神をほめたたふべければなり
第43篇
編集43:1
編集神よねがはくは我をさばき 情しらぬ民にむかひてわが訟をあげつらひ詭計おほきよこしまなる人より我をたすけいだし給へ
43:2
編集なんぢはわが力の神なり なんぞ我をすてたまひしや 何ぞわれは仇の暴虐によりてかなしみありくや
43:3
編集願くはなんぢの光となんぢの眞理とをはなち我をみちびきてその聖山とその帷幄とにゆかしめたまへ
43:4
編集さらばわれ神の祭壇にゆき又わがよろこびよろこぶ神にゆかん ああ神よわが神よわれ琴をもてなんぢを讃たたへん
43:5
編集ああわが霊魂よなんぢなんぞうなたるるや なんぞわが衷におもひみだるるや なんぢ神によりて望をいだけ 我なほわが面のたすけなるわが神をほめたたふべければなり
第44篇
編集伶長にうたはしめたるコラの子のをしへの歌
44:1
編集ああ神よむかしわれらの列祖の日になんぢがなしたまひし事迹をわれら耳にきけり 列祖われらに語れり
44:2
編集なんぢ手をもてもろもろの國人をおひしりぞけ われらの列祖をうゑ並もろもろの民をなやましてわれらの列祖をはびこらせたまひき
44:3
編集かれらはおのが劍によりて國をえしにあらず おのが臂によりて勝をえしにあらず 只なんぢの右の手なんぢの臂なんぢの面のひかりによれり 汝かれらを惠みたまひたればなり
44:4
編集神よなんぢはわが王なり ねがはくはヤコブのために救をほどこしたまへ
44:5
編集われらは汝によりて敵をたふし また我儕にさからひて起りたつものをなんぢの名によりて踐壓ふべし
44:6
編集そはわれわが弓によりたのまず わが劍もまた我をすくふことあたはざればなり
44:7
編集なんぢわれらを敵よりすくひ またわれらを惡むものを辱かしめたまへり
44:8
編集われらはひねもす神によりてほこり われらは永遠になんぢの名に感謝せんセラ
44:9
編集しかるに今はわれらをすてて恥をおはせたまへり われらの軍人とともに出ゆきたまはず
44:10
編集われらを敵のまへより退かしめたまへり われらを惡むものその任意にわれらを掠めうばへり
44:11
編集なんぢわれらを食にそなへらるる羊のごとくにあたへ斯てわれらをもろもろの國人のなかにちらし
44:12
編集得るところなくしてなんぢの民をうり その價によりてなんぢの富をましたまはざりき
44:13
編集汝われらを隣人にそしらしめ われらを環るものにあなどらしめ 嘲けらしめたまへり
44:14
編集又もろもろの國のなかにわれらを談柄となし もろもろの民のなかにわれらを頭ふらるる者となしたまへり
44:15
編集わが凌辱ひねもす我がまへにあり わがかほの恥われをおほへり
44:16
編集こは我をそしり我をののしるものの聲により我にあだし我にうらみを報るものの故によるなり
44:17
編集これらのこと皆われらに臨みきつれどわれらなほ汝をわすれず なんぢの契約をいつはりまもらざりき
44:18
編集われらの心しりぞかずわれらの歩履なんぢの道をはなれず
44:19
編集然どなんぢは野犬のすみかにてわれらをきずつけ死蔭をもてわれらをおほひ給へり
44:20
編集われらもしおのれの神の名をわすれ或はわれらの手を異神にのべしことあらんには
44:21
編集神はこれを糺したまはざらんや 神はこころの隠れたることをも知たまふ
44:22
編集われらは終日なんぢのために死にわたされ屠られんとする羊の如くせられたり
44:23
編集主よさめたまへ何なればねぶりたまふや起たまへ われらをとこしへに棄たまふなかれ
44:24
編集いかなれば聖顔をかくしてわれらがうくる苦難と虐待とをわすれたまふや
44:25
編集われらのたましひはかがみて塵にふし われらの腹は土につきたり
44:26
編集ねがはくは起てわれらをたすけたまへ なんぢの仁慈のゆゑをもてわれらを贖ひたまへ
第45篇
編集百合花のしらべにあはせて伶長にうたはしめたるコラの子のをしへのうた 愛のうた
45:1
編集わが心はうるはしき事にてあふる われは王のために詠たるものをいひいでん わが舌はすみやけく寫字人の筆なり
45:2
編集なんぢは人の子輩にまさりて美しく文雅そのくちびるにそそがる このゆゑに神はとこしへに汝をさいはひしたまへり
45:3
編集英雄よなんぢその劍その榮その威をこしに佩べし
45:4
編集なんぢ眞理と柔和とただしきとのために威をたくましくし勝をえて乗すすめ なんぢの右手なんぢに畏るべきことををしへん
45:5
編集なんぢの矢は鋭して王のあたの胸をつらぬき もろもろの民はなんぢの下にたふる
45:6
編集神よなんぢの寳座はいやとほ永くなんぢの國のつゑは公平のつゑなり
45:7
編集なんぢは義をいつくしみ惡をにくむ このゆゑに神なんぢの神はよろこびの膏をなんぢの侶よりまさりて汝にそそぎたまへり
45:8
編集なんぢの衣はみな没薬蘆薈肉桂のかをりあり 琴瑟の音ざうげの諸殿よりいでて汝をよろこばしめたり
45:9
編集なんぢがたふとき婦のなかにはもろもろの王のむすめあり 皇后はオフルの金をかざりてなんぢの右にたつ
45:10
編集女よきけ目をそそげ なんぢの耳をかたぶけよ なんぢの民となんぢが父の家とをわすれよ
45:11
編集さらば王はなんぢの美麗をしたはん 王はなんぢの主なりこれを伏拝め
45:12
編集ツロの女は贈物をもてきたり民間のとめるものも亦なんぢの惠をこひもとめん
45:13
編集王のむすめは殿のうちにていとど榮えかがやき そのころもは金をもて織なせり
45:14
編集かれは鍼繍せる衣をきて王のもとにいざなはる 之にともなへる處女もそのあとにしたがひて汝のもとにみちびかれゆかん
45:15
編集かれらは歓喜と快樂とをもていざなはれ斯して王の殿にいらん
45:16
編集なんぢの子らは列祖にかはりてたち なんぢはこれを全地に君となさん
45:17
編集我なんぢの名をよろづ代にしらしめん この故にもろもろの民はいやとほ永くなんぢに感謝すべし
第46篇
編集女音のしらべにしたがひて伶長にうたはしめたるコラの子のうた
46:1
編集神はわれらの避所また力なり なやめるときの最ちかき助なり
46:2
編集さればたとひ地はかはり山はうみの中央にうつるとも我儕はおそれじ
46:3
編集よしその水はなりとどろきてさわぐとも その溢れきたるによりて山はゆるぐとも何かあらんセラ
46:4
編集河ありそのながれは神のみやこをよろこばしめ至上者のすみたまふ聖所をよろこばしむ
46:5
編集神そのなかにいませば都はうごかじ 神は朝つとにこれを助けたまはん
46:6
編集もろもろの民はさわぎたち もろもろの國はうごきたり 神その聲をいだしたまへば地はやがてとけぬ
46:7
編集萬軍のヱホバはわれらとともなり ヤコブの神はわれらのたかき櫓なりセラ
46:8
編集きたりてヱホバの事跡をみよ ヱホバはおほくの懼るべきことを地になしたまへり
46:9
編集ヱホバは地のはてまでも戰闘をやめしめ弓ををり戈をたち戰車を火にてやきたまふ
46:10
編集汝等しづまりて我の神たるをしれ われはもろもろの國のうちに崇められ全地にあがめらるべし
46:11
編集萬軍のヱホバはわれらと偕なり ヤコブの神はわれらの高きやぐらなりセラ
第47篇
編集伶長にうたはしめたるコラの子のうた
47:1
編集もろもろのたみよ手をうち歓喜のこゑをあげ神にむかひてさけべ
47:2
編集いとたかきヱホバはおそるべく また地をあまねく治しめす大なる王にてましませばなり
47:3
編集ヱホバはもろもろの民をわれらに服はせ もろもろの國をわれらの足下にまつろはせたまふ
47:4
編集又そのいつくしみたまふヤコブが譽とする嗣業をわれらのために選びたまはんセラ
47:5
編集神はよろこびさけぶ聲とともにのぼり ヱホバはラッパの聲とともにのぼりたまへり
47:6
編集ほめうたへ神をほめうたへ 頌歌へわれらの王をほめうたへ
47:7
編集かみは地にあまねく王なればなり 教訓のうたをうたひてほめよ
47:8
編集神はもろもろの國をすべをさめたまふ 神はそのきよき寳座にすわりたまふ
47:9
編集もろもろのたみの諸侯はつどひきたりてアブラハムの神の民となれり 地のもろもろの盾は神のものなり神はいとたふとし
第48篇
編集コラの子のうたなり讃美なり
48:1
編集ヱホバは大なり われらの神の都そのきよき山のうへにて甚くほめたたへられたまふべし
48:2
編集シオンの山はきたの端たかくしてうるはしく喜悦を地にあまねくあたふ ここは大なる王のみやこなり
48:3
編集そのもろもろの殿のうちに神はおのれをたかき櫓としてあらはしたまへり
48:4
編集みよ王等はつどひあつまりて偕にすぎゆきぬ
48:5
編集かれらは都をみてあやしみ且おそれて忽ちのがれされり
48:6
編集戰慄はかれらにのぞみ その苦痛は子をうまんとする婦のごとし
48:7
編集なんぢは東風をおこしてタルシシの舟をやぶりたまふ
48:8
編集曩にわれらが聞しごとく今われらは萬軍のヱホバの都われらの神のみやこにて之をみることをえたり 神はこの都をとこしへまで固くしたまはんセラ
48:9
編集神よ我らはなんぢの宮のうちにて仁慈をおもへり
48:10
編集神よなんぢの譽はその名のごとく地の極にまでおよべり なんぢの右手はただしきにて充り
48:11
編集なんぢのもろもろの審判によりてシオンの山はよろこびユダの女輩はたのしむべし
48:12
編集シオンの周圍をありき徧くめぐりてその櫓をかぞへよ
48:13
編集その石垣に目をとめよ そのもろもろの殿をみよ なんぢらこれを後代にかたりつたへんが爲なり
48:14
編集そはこの神はいや遠長にわれらの神にましましてわれらを死るまでみちびきたまはん
第49篇
編集伶長にうたはしめたるコラの子のうた
49:1
編集49:2
編集もろもろの民よきけ賤きも貴きも富るも貧きもすべて地にすめる者よ なんぢらともに耳をそばだてよ
49:3
編集わが口はかしこきことをかたり わが心はさときことを思はん
49:4
編集われ耳を喩言にかたぶけ琴をならしてわが幽玄なる語をときあらはさん
49:5
編集わが踵にちかかる不義のわれを打圍むわざはひの日もいかで懼るることあらんや
49:6
編集おのが富をたのみ財おほきを誇るもの
49:7
編集たれ一人おのが兄弟をあがなふことあたはず之がために贖價を神にささげ
49:8
編集49:9
編集之をとこしへに生存へしめて朽ざらしむることあたはず(霊魂をあがなふには費いとおほくして此事をとこしへに捨置ざるを得ざればなり)
49:10
編集そは智きものも死 おろかものも獣心者もひとしくほろびてその富を他人にのこすことは常にみるところなり
49:11
編集かれら竊におもふ わが家はとこしへに存りわがすまひは世々にいたらんと かれらはその地におのが名をおはせたり
49:12
編集されど人は譽のなかに永くとどまらず亡びうする獣のごとし
49:13
編集斯のごときは愚かなるものの途なり 然はあれど後人はその言をよしとせんセラ
49:14
編集かれらは羊のむれのごとくに陰府のものと定めらる 死これが牧者とならん直きもの朝にかれらををさめん その美容は陰府にほろぼされて宿るところなかるべし
49:15
編集されど神われを接たまふべければわが霊魂をあがなひて陰府のちからより脱かれしめたまはんセラ
49:16
編集人のとみてその家のさかえくははらんとき汝おそるるなかれ
49:17
編集かれの死るときは何一つたづさへゆくことあたはず その榮はこれにしたがひて下ることをせざればなり
49:18
編集かかる人はいきながらふるほどに己がたましひを祝するとも みづからを厚うするがゆゑに人々なんぢをほむるとも
49:19
編集なんぢ列祖の世にゆかん かれらはたえて光をみざるべし
49:20
編集尊貴なかにありて暁らざる人はほろびうする獣のごとし
第50篇
編集アサフのうた
50:1
編集ぜんのうの神ヱホバ詔命して日のいづるところより日のいるところまであまねく地をよびたまへり
50:2
編集かみは美麗の極なるシオンより光をはなちたまへり
50:3
編集われらの神はきたりて黙したまはじ火その前にものをやきつくし暴風その四周にふきあれん
50:4
編集神はその民をさばかんとて上なる天および地をよびたまへり
50:5
編集いはく祭物をもて我とけいやくをたてしわが聖徒をわがもとに集めよと
50:6
編集もろもろの天は神の義をあらはせり 神はみづから審士たればなりセラ
50:7
編集わが民よきけ我ものいはんイスラエルよきけ我なんぢにむかひて證をなさん われは神なんぢの神なり
50:8
編集わがなんぢを責るは祭物のゆゑにあらず なんぢの燔祭はつねにわが前にあり
50:9
編集我はなんぢの家より牡牛をとらず なんぢの牢より牡山羊をとらず
50:10
編集林のもろもろのけもの山のうへの千々の牲畜はみなわが有なり
50:11
編集われは山のすべての鳥をしる 野のたけき獣はみなわがものなり
50:12
編集世界とそのなかに充るものとはわが有なれば縦ひわれ飢るともなんぢに告じ
50:13
編集われいかで牡牛の肉をくらひ牡山羊の血をのまんや
50:14
編集感謝のそなへものを神にささげよ なんぢのちかひを至上者につくのへ
50:15
編集なやみの日にわれをよべ我なんぢを援けん而してなんぢ我をあがむべし
50:16
編集50:17
編集然はあれど神あしきものに言給く なんぢは教をにくみ わが言をその後にすつるものなるに何のかかはりありてわが律法をのべ わがけいやくを口にとりしや
50:18
編集なんぢ盗人をみれば之をよしとし姦淫をおこなふものの伴侶となれり
50:19
編集なんぢその口を惡にわたす なんぢの舌は詭計をくみなせり
50:20
編集なんぢ坐りて兄弟をそしり己がははの子を誣ののしれり
50:21
編集汝これらの事をなししをわれ黙しぬれば なんぢ我をおのれに恰にたるものとおもへり されど我なんぢを責めてその罪をなんぢの目前につらぬべし
50:22
編集神をわするるものよ今このことを念へ おそらくは我なんぢを抓さかんとき助るものあらじ
50:23
編集感謝のそなへものを献るものは我をあがむ おのれの行爲をつつしむ者にはわれ神の救をあらはさん
第51篇
編集ダビデがバテセバにかよひしのち預言者ナタンの來れるときよみて伶長にうたはしめたる歌
51:1
編集ああ神よねがはくはなんぢの仁慈によりて我をあはれみ なんぢの憐憫のおほきによりてわがもろもろの愆をけしたまへ
51:2
編集わが不義をことごとくあらひさり我をわが罪よりきよめたまへ
51:3
編集われはわが愆をしる わが罪はつねにわが前にあり
51:4
編集我はなんぢにむかひて獨なんぢに罪ををかし聖前にあしきことを行へり されば汝ものいふときは義とせられ なんぢ鞫くときは咎めなしとせられ給ふ
51:5
編集視よわれ邪曲のなかにうまれ罪ありてわが母われをはらみたりき
51:6
編集なんぢ眞實をこころの衷にまでのぞみ わが隠れたるところに智慧をしらしめ給はん
51:7
編集なんぢヒソブをもて我をきよめたまへ さらばわれ浄まらん 我をあらひたまへ さらばわれ雪よりも白からん
51:8
編集なんぢ我によろこびと快樂とをきかせ なんぢが碎きし骨をよろこばせたまへ
51:9
編集ねがはくは聖顔をわがすべての罪よりそむけ わがすべての不義をけしたまへ
51:10
編集ああ神よわがために清心をつくり わが衷になほき霊をあらたにおこしたまへ
51:11
編集われを聖前より棄たまふなかれ 汝のきよき霊をわれより取りたまふなかれ
51:12
編集なんぢの救のよろこびを我にかへし自由の霊をあたへて我をたもちたまへ
51:13
編集さらばわれ愆ををかせる者になんぢの途ををしへん罪人はなんぢに歸りきたるべし
51:14
編集神よわが救のかみよ血をながしし罪より我をたすけいだしたまへ わが舌は聲たからかになんぢの義をうたはん
51:15
編集主よわが口唇をひらきたまへ 然ばわが口なんぢの頌美をあらはさん
51:16
編集なんぢは祭物をこのみたまはず もし然らずば我これをささげん なんぢまた燔祭をも悦びたまはず
51:17
編集神のもとめたまふ祭物はくだけたる霊魂なり 神よなんぢは碎けたる悔しこころを藐しめたまふまじ
51:18
編集ねがはくは聖意にしたがひてシオンにさいはひし ヱルサレムの石垣をきづきたまへ
51:19
編集その時なんぢ義のそなへものと燔祭と全きはんさいとを悦びたまはん かくて人々なんぢの祭壇に牡牛をささぐべし
第52篇
編集エドム人ドエグ、サウルにきたりてダビデはアビメレクの家にきぬと告しときダビデがよみて伶長にうたはしめたる教訓のうた
52:1
編集猛者よなんぢ何なればあしき企圖をもて自らほこるや神のあはれみは恒にたえざるなり
52:2
編集なんぢの舌はあしきことをはかり利き剃刀のごとくいつはりをおこなふ
52:3
編集なんぢは善よりも惡をこのみ正義をいふよりも虚偽をいふをこのむセラ
52:4
編集たばかりの舌よなんぢはすべての物をくひほろぼす言をこのむ
52:5
編集されば神とこしへまでも汝をくだき また汝をとらへてその幕屋よりぬきいだし生るものの地よりなんぢの根をたやしたまはんセラ
52:6
編集義者はこれを見ておそれ彼をわらひていはん
52:7
編集神をおのが力となさず その富のゆたかなるをたのみ その惡をもて己をかたくせんとする人をみよと
52:8
編集然はあれどわれは神の家にあるあをき橄欖の樹のごとし 我はいやとほながに神のあはれみに依頼まん
52:9
編集なんぢこの事をおこなひ給ひしによりて我とこしへになんぢに感謝し なんぢの聖徒のまへにて聖名をまちのぞまん こは宜しきことなればなり
第53篇
編集マハラツ(樂器の名、あるひはいふ調べの名)にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの教訓のうた
53:1
編集愚かなるものは心のうちに神なしといへり かれらは腐れたりかれらは憎むべき不義をおこなへり善をおこなふ者なし
53:2
編集神は天より人の子をのぞみて悟るものと神をたづぬる者とありやなしやを見たまひしに
53:3
編集みな退ぞきてことごとく汚れたり善をなすものなし一人だになし
53:4
編集不義をおこなふものは知覺なきか かれらは物くふごとくわが民をくらひ また神をよばふことをせざるなり
53:5
編集かれらは懼るべきことのなきときに大におそれたり 神はなんぢにむかひて營をつらぬるものの骨をちらしたまへばなり 神かれらを棄たまひしによりて汝かれらを辱かしめたり
53:6
編集願くはシオンよりイスラエルの救のいでんことを 神その民のとらはれたるを返したまふときヤコブはよろこびイスラエルは樂まん
第54篇
編集ジフ人のサウルにきたりてダビデはわれらの處にかくれをるにあらずやといひたりしとき ダビデうたのかみに琴にてうたはしめたる教訓のうた
54:1
編集神よねがはくは汝の名によりて我をすくひ なんぢの力をもて我をさばきたまへ
54:2
編集神よわが祈をききたまへ わが口のことばに耳をかたぶけたまへ
54:3
編集そは外人はわれにさからひて起りたち強暴人はわがたましひを索むるなり かれらは神をおのが前におかざりきセラ
54:4
編集みよ神はわれをたすくるものなり 主はわがたましひを保つものとともに在せり
54:5
編集主はわが仇にそのあしきことの報をなしたまはん 願くはなんぢの眞實によりて彼等をほろぼしたまへ
54:6
編集我よろこびて祭物をなんぢに献ん ヱホバよ我なんぢの名にむかひて感謝せん こは宜しきことなればなり
54:7
編集そはヱホバはすべての患難より我をすくひたまへり わが目はわが仇につきての願望をみたり
第55篇
編集ダビデうたのかみに琴にてうたはしめたる教訓のうた
55:1
編集神よねがはくは耳をわが祈にかたぶけたまへ わが懇求をさけて身をかくしたまふなかれ
55:2
編集われに聖意をとめ 我にこたへたまへ われ歎息によりてやすからず悲みうめくなり
55:3
編集これ仇のこゑと惡きものの暴虐とのゆゑなり そはかれら不義をわれに負せ いきどほりて我におひせまるなり
55:4
編集わが心わがうちに憂ひいたみ死のもろもろの恐懼わがうへにおちたり
55:5
編集おそれと戰慄とわれにのぞみ甚だしき恐懼われをおほへり
55:6
編集われ云ねがはくは鴿のごとく羽翼のあらんことを さらば我とびさりて平安をえん
55:7
編集みよ我はるかにのがれさりて野にすまんセラ
55:8
編集われ速かにのがれて暴風と狂風とをはなれん
55:9
編集われ都のうちに強暴とあらそひとをみたり 主よねがはくは彼等をほろぼしたまへ かれらの舌をわかれしめたまへ
55:10
編集彼等はひるもよるも石垣のうへをあるきて邑をめぐる 邑のうちには邪曲とあしき企圖とあり
55:11
編集また惡きこと邑のうちにあり しへたげと欺詐とはその街衢をはなるることなし
55:12
編集われを謗れるものは仇たりしものにあらず もし然りしならば尚しのばれしなるべし 我にむかひて己をたかくせし者はわれを恨たりしものにあらず若しかりしならば身をかくして彼をさけしなるべし
55:13
編集されどこれ汝なり われとおなじきもの わが友われと親しきものなり
55:14
編集われら互にしたしき語らひをなし また會衆のなかに在てともに神の家にのぼりたりき
55:15
編集死は忽然かれらにのぞみ その生るままにて陰府にくだらんことを そは惡事その住處にありその中にあればなり
55:16
編集されど我はただ神をよばんヱホバわれを救ひたまふべし
55:17
編集夕にあしたに晝にわれなげき且かなしみうめかん ヱホバわが聲をききたまふべし
55:18
編集ヱホバは我をせむる戰闘よりわが霊魂をあがなひいだして平安をえしめたまへり そはわれを攻るもの多かりければなり
55:19
編集太古よりいます者なる神はわが聲をききてかれらを惱めたまべしセラ かれらには變ることなく神をおそるることなし
55:20
編集かの人はおのれと睦みをりしものに手をのべてその契約をけがしたり
55:21
編集その口はなめらかにして乳酥のごとくなれどもその心はたたかひなり その言はあぶらに勝りてやはらかなれどもぬきたる劍にことならず
55:22
編集なんぢの荷をヱホバにゆだねよさらば汝をささへたまはん ただしき人のうごかさるることを常にゆるしたまふまじ
55:23
編集かくて神よなんぢはかれらを亡の坑におとしいれたまはん血をながすものと詭計おほきものとは生ておのが日の半にもいたらざるべし 然はあれどわれは汝によりたのまん
第56篇
編集ダビデがガテにてペリシテ人にとらへられしとき詠て「遠きところにをる音をたてぬ鴿」のしらべにあはせて伶長にうたはしめたるミクタムの歌
56:1
編集ああ神よねがはくは我をあはれみたまへ 人いきまきて我をのまんとし終日たたかひて我をしへたぐ
56:2
編集わが仇ひねもす急喘てわれをのまんとす誇りたかぶりて我とたたかふものおほし
56:3
編集われおそるるときは汝によりたのまん
56:4
編集われ神によりてその聖言をほめまつらん われ神に依頼みたればおそるることあらじ肉體われになにをなし得んや
56:5
編集かれらは終日わがことばを曲るなり その思念はことごとくわれにわざはひをなす
56:6
編集かれらは群つどひて身をひそめ わが歩に目をとめてわが霊魂をうかがひもとむ
56:7
編集かれらは不義をもてのがれんとおもへり 神よねがはくは憤ほりてもろもろの民をたふしたまへ
56:8
編集汝わがあまた土の流離をかぞへたまへり なんぢの革嚢にわが涙をたくはへたまへ こは皆なんぢの冊にしるしあるにあらずや
56:9
編集わがよびもとむる日にはわが仇しりぞかん われ神のわれを守りたまふことを知る
56:10
編集われ神によりてその聖言をはめまつらん 我ヱホバによりてそのみことばを讃まつらん
56:11
編集われ神によりたのみたれば懼るることあらじ 人はわれに何をなしえんや
56:12
編集神よわがなんぢにたてし誓はわれをまとへり われ感謝のささげものを汝にささげん
56:13
編集汝わがたましひを死よりすくひたまへばなり なんぢ我をたふさじとわが足をまもり生命の光のうちにて神のまへに我をあゆませ給ひしにあらずや
第57篇
編集ダビデが洞にいりてサウルの手をのがれしとき詠て「ほろぼすなかれ」にといふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムのうた
57:1
編集我をあはれみたまへ神よわれをあはれみたまへ わが霊魂はなんぢを避所とす われ禍害のすぎさるまではなんぢの翼のかげを避所とせん
57:2
編集我はいとたかき神によばはん わがために百事をなしをへたまふ神によばはん
57:3
編集神はたすけを天よりおくりて我をのまんとする者のそしるときに我を救ひたまはんセラ 神はその憐憫その眞實をおくりたまはん
57:4
編集わがたましひは群ゐる獅のなかにあり 火のごとくもゆる者 その歯は戈のごとく矢のごとくその舌はとき劍のごとき人の子のなかに我ふしぬ
57:5
編集神よねがはくはみづからを天よりも高くしみさかえを全地のうへに挙たまへ
57:6
編集かれらはわが足をとらへんとて網をまうく わが霊魂はうなたる かれらはわがまへに阱をほりたり而してみづからその中におちいれりセラ
57:7
編集わが心さだまれり神よわがこころ定まれり われ謳ひまつらん頌まつらん
57:8
編集わが榮よさめよ 筝よ琴よさめよ われ黎明をよびさまさん
57:9
編集主よわれもろもろの民のなかにてなんぢに感謝し もろもろの國のなかにて汝をほめうたはん
57:10
編集そは汝のあはれみは大にして天にまでいたり なんぢの眞實は雲にまでいたる
57:11
編集神よねがはくは自からを天よりも高くし光榮をあまねく地のうへに挙たまへ
第58篇
編集ダビデがよみて「ほろぼすなかれ」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムのうた
58:1
編集なんぢら黙しゐて義をのべうるか 人の子よなんぢらなほき審判をおこなふや
58:2
編集否なんぢらは心のうちに惡事をおこなひ その手の強暴をこの地にはかりいだすなり
58:3
編集あしきものは胎をはなるるより背きとほざかり生れいづるより迷ひていつはりをいふ
58:4
編集58:5
編集かれらの毒は蛇のどくのごとし かれらは蠱術をおこなふものの甚たくみにまじなふその聲をだにきかざる耳ふさぐ聾ひの蝮のごとし
58:6
編集神よかれらの口の歯ををりたまヘ ヱホバよ壮獅の牙をぬきくだきたまへ
58:7
編集願くはかれらを流れゆく水のごとくに消失しめ その矢をはなつときは折れたるごとくなし給はんことを
58:8
編集また融てきえゆく蝸牛のごとく婦のときならず産たる目をみぬ嬰のごとくならしめ給へ
58:9
編集なんぢらの釜いまだ荊蕀の火をうけざるさきに青をも燃たるをもともに狂風にて吹さりたまはん
58:10
編集義者はかれらが讎かへさるるを見てよろこび その足をあしきものの血のなかにてあらはん
58:11
編集かくて人はいふべし實にただしきものに報賞あり實にさばきをほどこしたまふ神はましますなりと
第59篇
編集サウル、ダビデを殺さんとし人をおくりてその家をうかがはしめし時ダビデがよみて「ほろぼすなかれ」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムの歌
59:1
編集わが神よねがはくは我をわが仇よりたすけいだし われを高處におきて我にさからひ起立つものより脱かれしめたまへ
59:2
編集邪曲をおこなふものより我をたすけいだし血をながす人より我をすくひたまへ
59:3
編集視よかれらは潜みかくれてわが霊魂をうかがひ猛者むれつどひて我をせむ ヱホバよ此はわれに愆あるにあらず われに罪あるにあらず
59:4
編集かれら趨りまはりて過失なきに我をそこなはんとて備をなす ねがはくは我をたすくるために目をさまして見たまへ
59:5
編集なんぢヱホバ萬軍の神イスラエルの神よ ねがはくは目をさましてもろもろの國にのぞみたまへ あしき罪人にあはれみを加へたまふなかれセラ
59:6
編集かれらは夕にかへりきたり犬のごとくほえて邑をへありく
59:7
編集視よかれらは口より惡をはく そのくちびるに劍あり かれらおもへらく誰ありてこの言をきかんやと
59:8
編集されどヱホバよ汝はかれらをわらひ もろもろの國をあざわらひたまはん
59:9
編集わが力よわれ汝をまちのぞまん 神はわがたかき櫓なり
59:10
編集憐憫をたまふ神はわれを迎へたまはん 神はわが仇につきての願望をわれに見させたまはん
59:11
編集願くはかれらを殺したまふなかれ わが民つひに忘れやはせん 主われらの盾よ 大能をもてかれらを散し また卑したまへ
59:12
編集かれらがくちびるの言はその口のつみなり かれらは詛と虚偽とをいひいづるによりてその傲慢のためにとらへられしめたまへ
59:13
編集忿恚をもてかれらをほろぼしたまへ 再びながらふることなきまでに彼等をほろぼしたまヘ ヤコブのなかに神いまして統治めたまふことをかれらに知しめて地の極にまでおよぼしたまヘセラ
59:14
編集かれらは夕にかへりきたり犬のごとくほえて邑をへありくべし
59:15
編集かれらはゆききして食物をあさり もし飽ことなくば終夜とどまれり
59:16
編集されど我はなんぢの大能をうたひ清晨にこゑをあげてなんぢの憐憫をうたひまつらん なんぢわが迫りくるしみたる日にたかき櫓となり わが避所となりたまひたればなり
59:17
編集わがちからよ我なんぢにむかひて頌辭をうたひまつらん 神はわがたかき櫓われにあはれみをたまふ神なればなり
第60篇
編集ダビデ、ナハライムのアラムおよびゾバのアラムとたたかひをりしがヨアブかへりゆき塩谷にてエドム人一萬二千をころししとき教訓をなさんとてダビデがよみて「證詞の百合花」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムの歌
60:1
編集神よなんぢわれらを棄われらをちらし給へり なんぢは憤ほりたまへり ねがはくは再びわれらを歸したまへ
60:2
編集なんぢ國をふるはせてこれを裂たまへり ねがはくはその多くの隙をおぎなひたまへ そは國ゆりうごくなり
60:3
編集なんぢはその民にたへがたきことをしめし 人をよろめかする酒をわれらに飮しめ給へり
60:4
編集なんぢ眞理のために挙しめんとて汝をおそるるものに一つの旗をあたへたまへりセラ
60:5
編集ねがはくは右の手をもて救をほどこし われらに答をなして愛しみたまふものに助をえしめたまへ
60:6
編集神はその聖をもていひたまへり われ甚くよろこばん われシケムをわかちスコテの谷をはからん
60:7
編集ギレアデはわがもの マナセはわが有なり エフライムも亦わが首のまもりなり ユダはわが杖
60:8
編集モアブはわが足盥なり エドムにはわが履をなげん ベリシテよわが故によりて聲をあげよと
60:9
編集たれかわれを堅固なる邑にすすましめんや 誰かわれをみちびきてエドムにゆきたるか
60:10
編集神よなんぢはわれらを棄たまひしにあらずや 神よなんぢはわれらの軍とともにいでゆきたまはず
60:11
編集ねがはくは助をわれにあたへて敵にむかはしめたまへ 人のたすけは空しければなり
60:12
編集われらは神によりて勇しくはたらかん われらの敵をみたまふものは神なればなり
第61篇
編集琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
61:1
編集ああ神よねがはくはわが哭聲をききたまへ わが祈にみこころをとめたまへ
61:2
編集わが心くづほるるとき地のはてより汝をよばん なんぢ我をみちびきてわが及びがたきほどの高き磐にのぼらせたまへ
61:3
編集なんぢはわが避所われを仇よりのがれしむる堅固なる櫓なればなり
61:4
編集われ永遠になんぢの帷幄にすまはん我なんぢの翼の下にのがれんセラ
61:5
編集神よなんぢはわがもろもろの誓をきき名をおそるるものにたまふ嗣業をわれにあたへたまへり
61:6
編集なんぢは王の生命をのばし その年を幾代にもいたらせたまはん
61:7
編集王はとこしへに神のみまへにとどまらん ねがはくは仁慈と眞實とをそなへて彼をまもりたまへ
61:8
編集さらば我とこしへに名をほめうたひて日ごとにわがもろもろの誓をつくのひ果さん
第62篇
編集エドトンの體にしたがひて伶長にうたはしめたるダビデのうた
62:1
編集わがたましひは黙してただ神をまつ わがすくひは神よりいづるなり
62:2
編集神こそはわが磐わがすくひなれ またわが高き櫓にしあれば我いたくは動かされじ
62:3
編集なんぢらは何のときまで人におしせまるや なんぢら相共にかたぶける石垣のごとく揺ぎうごける籬のごとくに人をたふさんとするか
62:4
編集かれらは人をたふとき位よりおとさんとのみ謀り いつはりをよろこびまたその口にてはいはひその心にてはのろふセラ
62:5
編集わがたましひよ黙してただ神をまて そはわがのぞみは神よりいづ
62:6
編集神こそはわが磐わがすくひなれ 又わがたかき櫓にしあれば我はうごかされじ
62:7
編集わが救とわが榮とは神にあり わがちからの磐わがさけどころは神にあり
62:8
編集民よいかなる時にも神によりたのめ その前になんぢらの心をそそぎいだせ 神はわれらの避所なりセラ
62:9
編集實にひくき人はむなしくたかき人はいつはりなり すべてかれらを權衡におかば上にあがりて虚しきものよりも軽きなり
62:10
編集暴虐をもて恃とするなかれ 掠奪ふをもてほこるなかれ 富のましくははる時はこれに心をかくるなかれ
62:11
編集ちからは神にあり神ひとたび之をのたまへり われ二次これをきけり
62:12
編集ああ主よあはれみも亦なんぢにあり なんぢは人おのおのの作にしたがひて報をなしたまへばなり
第63篇
編集ユダの野にありしときに詠るダビデのうた
63:1
編集ああ神よなんぢはわが神なり われ切になんぢをたづねもとむ 水なき燥きおとろへたる地にあるごとくわが霊魂はかわきて汝をのぞみ わが肉體はなんぢを戀したふ
63:2
編集曩にも我かくのごとく大權と榮光とをみんことをねがひ聖所にありて目をなんぢより離れしめざりき
63:3
編集なんぢの仁慈はいのちにも勝れるゆゑにわが口唇はなんぢを讃まつらん
63:4
編集斯われはわが生るあひだ汝をいはひ名によりてわが手をあげん
63:5
編集63:6
編集われ床にありて汝をおもひいで夜の更るままになんぢを深くおもはん時 わがたましひは髓と脂とにて饗さるるごとく飽ことをえ わが口はよろこびの口唇をもてなんぢを讃たたへん
63:7
編集そはなんぢわが助となりたまひたれば 我なんぢの翼のかげに入てよろこびたのしまん
63:8
編集わがたましひはなんぢを慕追ふ みぎの手はわれを支ふるなり
63:9
編集然どわがたましひを滅さんとて尋ねもとむるものは地のふかきところにゆき
63:10
編集又つるぎの刃にわたされ野犬の獲るところとなるべし
63:11
編集しかれども王は神をよろこばん 神によりて誓をたつるものはみな誇ることをえん 虚偽をいふものの口はふさがるべければなり
第64篇
編集伶長にうたはしめたるダビデのうた
64:1
編集神よわがなげくときわが聲をききたまへ わが生命をまもりて仇のおそれより脱かれしめたまへ
64:2
編集ねがはくは汝われをかくして惡をなすものの陰かなる謀略よりまぬかれしめ不義をおこなふものの喧嘩よりまぬかれしめ給へ
64:3
編集かれらは劍のごとくおのが舌をとぎ その弓をはり矢をつがへるごとく苦言をはなち
64:4
編集隠れたるところにて全者を射んとす俄かにこれを射ておそるることなし
64:5
編集また彼此にあしき企圖をはげまし共にはかりてひそかに羂をまうく 斯ていふ誰かわれらを見んと
64:6
編集かれらはさまざまの不義をたづねいだして云われらは懇ろにたづね終れりと おのおのの衷のおもひと心とはふかし
64:7
編集然はあれど神は矢にてかれらを射たまふべし かれらは俄かに傷をうけん
64:8
編集斯てかれらの舌は其身にさからふがゆゑに遂にかれらは蹟かん これを見るものみな逃れさるべし
64:9
編集もろもろの人はおそれん而して神のみわざをのべつたへ その作たまへることを考ふべし
64:10
編集義者はヱホバをよろこびて之によりたのまん すべて心のなほきものは皆ほこることを得ん
第65篇
編集伶長にうたはしめたる歌ダビデの讃美なり
65:1
編集ああ神よさんびはシオンにて汝をまつ 人はみまへにて誓をはたさん
65:2
編集祈をききたまふものよ諸人こぞりて汝にきたらん
65:3
編集不義のことば我にかてり なんぢ我儕のもろもろの愆をきよめたまはん
65:4
編集汝にえらばれ汝にちかづけられて大庭にすまふ者はさいはひなり われらはなんぢの家なんぢの宮のきよき處のめぐみにて飽ことをえん
65:5
編集われらが救のかみよ 地と海とのもろもろの極なるきはめて遠ものの恃とするなんぢは公義によりて畏るべきことをもて我儕にこたへたまはん
65:6
編集かみは大能をおび その權力によりてもろもろの山をかたくたたしめ
65:7
編集海のひびき狂瀾のひびき もろもろの民のかしがましきを鎮めたまへり
65:8
編集されば極遠にすめる人々もなんぢのくさぐさの豫兆をみておそる なんぢ朝夕のいづる處をよろこび謳はしめたまふ
65:9
編集なんぢ地にのぞみて漑そぎおほいに之をゆたかにしたまへり 神のかはに水みちたり なんぢ如此そなへをなして穀物をかれらにあたへたまへり
65:10
編集なんぢ畎をおほいにうるほし畝をたひらにし白雨にてこれをやはらかにし その萌芽るを祝し
65:11
編集また恩惠をもて年の冕弁としたまへり なんぢの途には膏したたれり
65:12
編集その恩滴は野の牧場をうるほし小山はみな歓びにかこまる
65:13
編集牧場はみな羊のむれを衣もろもろの谷は穀物におほはれたり かれらは皆よろこびてよばはりまた謳ふ
第66篇
編集伶長にうたはしめたる讃美なり 歌なり
66:1
編集全地よ神にむかひて歓びよばはれ
66:2
編集その名の榮光をうたへその頌美をさかえしめよ
66:3
編集かみに告まつれ 汝のもろもろの功用はおそるべきかな大なる力によりてなんぢの仇はなんぢに畏れしたがひ
66:4
編集全地はなんぢを拝みてうたひ名をほめうたはんとセラ
66:5
編集來りて神のみわざをみよ 人の子輩にむかひて作たまふことはおそるべきかな
66:6
編集神はうみをかへて乾ける地となしたまへり ひとびと歩行にて河をわたりき その處にてわれらは神をよろこべり
66:7
編集神はその大能をもてとこしへに統治め その目は諸國をみたまふ そむく者みづからを崇むべからずセラ
66:8
編集もろもろの民よ われらの神をほめまつれ神をほめたたふる聲をきこえしめよ
66:9
編集神はわれらの霊魂をながらへしめ われらの足のうごかさるることをゆるしたまはず
66:10
編集神よなんぢはわれらを試みて白銀をねるごとくにわれらを錬たまひたればなり
66:11
編集汝われらを網にひきいれ われらの腰におもき荷をおき
66:12
編集人々をわれらの首のうへに騎こえしめたまひき われらは火のなか水のなかをすぎゆけり されど汝その中よりわれらをひきいたし豊盛なる處にいたらしめたまへり
66:13
編集66:14
編集われ燔祭をもてなんぢの家にゆかん 迫りくるしみたるときにわが口唇のいひいでわが口ののべし誓をなんぢに償はん
66:15
編集われ肥たるものを燔祭とし牡羊を馨香として汝にささげ牡牛と牡山羊とをそなへまつらんセラ
66:16
編集神をおそるる人よ みな來りてきけ われ神のわがたましひのために作たまへることをのべん
66:17
編集われわが口をもて神によばはり また舌をもてあがむ
66:18
編集然るにわが心にしれる不義あらば主はわれにききたまふまじ
66:19
編集されどまことに神はききたまへり聖意をわがいのりの聲にとめたまへり
66:20
編集神はほむべきかな わが祈をしりぞけず その憐憫をわれよりとりのぞきたまはざりき
第67篇
編集琴にあはせて伶長にうたはしめたる歌なり 讃美なり
67:1
編集ねがはくは神われらをあはれみ われらをさきはひてその聖顔をわれらのうへに照したまはんことをセラ
67:2
編集此はなんぢの途のあまねく地にしられ なんぢの救のもろもろの國のうちに知れんがためなり
67:3
編集かみよ庶民はなんぢに感謝し もろもろの民はみな汝をほめたたへん
67:4
編集もろもろの國はたのしみ又よろこびうたふべし なんぢ直をもて庶民をさばき地のうへなる萬の國ををさめたまべければなりセラ
67:5
編集神よたみらはなんぢに感謝し もろもろの民はみな汝をほめたたへん
67:6
編集地は産物をいだせり 神わが神はわれらを福ひたまはん
67:7
編集神われらをさきはひたまふべし かくて地のもろもろの極ことごとく神をおそれん
第68篇
編集伶長にうたはしめたるダビデのうたなり 讃美なり
68:1
編集ねがはくは神おきたまへ その仇はことごとくちり 神をにくむものは前よりにげさらんことを
68:2
編集烟のおひやらるるごとくかれらを驅逐たまへ 惡きものは火のまへに蝋のとくるごとく 神のみまへにてほろぶべし
68:3
編集されど義きものには歓喜あり かれら神の前にてよろこびをどらん實にたのしみて喜ばん
68:4
編集神のみまへにうたへ その名をほめたたへよ 乗て野をすぐる者のために大道をきづけ かれの名をヤハとよぶ その前によろこびをどれ
68:5
編集きよき住居にまします神はみなしごの父やもめの審士なり
68:6
編集神はよるべなきものを家族の中にをらしめ囚人をとき福祉にみちびきたまふ されど悖逆者はうるほひなき地にすめり
68:7
編集神よなんぢは民にさきだちいでて野をすすみゆきたまひきセラ
68:8
編集そのとき地ふるひ天かみのみまへに漏る シナイの山すら神イスラエルの神の前にふるひうごけり
68:9
編集神よなんぢの嗣業の地のつかれおとろへたるとき豊かなる雨をふらせて之をかたくしたまへり
68:10
編集曩になんぢの公會はその中にとどまれり 神よなんぢは惠をもて貧きもののために預備をなしたまひき
68:11
編集主みことばを賜ふ その佳音をのぶる婦女はおほくして群をなせり
68:12
編集もろもろの軍旅の王たちはにげさる 逃去りたれば家なる婦女はその掠物をわかつ
68:13
編集なんぢら羊の牢のうちにふすときは鴿のつばさの白銀におほはれその毛の黄金におほはるるがごとし
68:14
編集全能者かしこにて列王をちらし給へるときはサルモンの山に雪ふりたるがごとくなりき
68:15
編集バシャンのやまは神の山なりバシャンのやまは峰かさなれる山なり
68:16
編集峰かさなれるもろもろの山よ なんぢら何なれば神の住所にえらびたまへる山をねたみ見るや 然れヱホバは永遠にこの山にすみたまはん
68:17
編集神の戰車はよろづに萬をかさね千にちぢをくはふ 主その中にいませり 聖所にいますがごとくシナイの山にいまししがごとし
68:18
編集なんぢ高處にのぼり虜者をとりこにしてひきゐ禮物を人のなかよりも叛逆者のなかよりも受たまへり ヤハの神ここに住たまはんが爲なり
68:19
編集日々にわれらの荷をおひたまふ主われらのすくひの神はほむべきかなセラ
68:20
編集神はしばしばわれらを助けたまへる神なり 死よりのがれうるは主ヱホバに由る
68:21
編集神はその仇のかうべを撃やぶりたまはん 愆のなかにとどまるものの髪おほき顱頂をうちやぶりたまはん
68:22
編集主いへらく我バシャンよりかれらを携へかへり海のふかき所よりたづさへ歸らん
68:23
編集斯てなんぢの足をそのあたの血にひたし之をなんぢの犬の舌になめしめん
68:24
編集神よすべての人はなんぢの進行きたまふをみたり わが神わが王の聖所にすすみゆきたまふを見たり
68:25
編集鼗うつ童女のなかにありて謳ふものは前にゆき琴ひくものは後にしたがへり
68:26
編集なんぢらすべての會にて神をほめよイスラエルのみなもとより出るなんぢらよ 主をほめまつれ
68:27
編集彼處にかれらを統るとしわかきベニヤミンあり ユダの諸侯とその群衆とありまたゼブルンのきみたちナフタリの諸侯あり
68:28
編集なんぢの神はなんぢの力をたてたまへり 神よなんぢ我儕のためになしたまひし事をかたくしたまヘ
68:29
編集ヱルサレムなるなんぢの宮のために列王なんぢに禮物をささげん
68:30
編集ねがはくは葦間の獣むらがれる牯犢のごときもろもろの民をいましめてかれらに白銀をたづさへきたり みづから服ふことを爲しめたまへ 神はたたかひを好むもろもろの民をちらしたまへり
68:31
編集諸侯はエジプトよりきたり エテオピアはあわただしく神にむかひて手をのべん
68:32
編集地のもろもろのくによ神のまへにうたへ主をほめうたヘセラ
68:33
編集上古よりの天の天にのりたま者にむかひてうたへ みよ主はみこゑを發したまふ勢力ある聲をいだしたまふ
68:34
編集なんぢらちからを神に歸せよその稜威はイスラエルの上にとどまり その大能は雲のなかにあり
68:35
編集神のおそるべき状はきよき所よりあらはる イスラエルの神はその民にちからと勢力とをあたへたまふ 神はほむべきかな
第69篇
編集百合花にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
69:1
編集神よねがはくは我をすくひたまへ 大水ながれきたりて我がたましひにまでおよべり
69:2
編集われ立止なきふかき泥の中にしづめり われ深水におちいるおほみづわが上をあふれすぐ
69:3
編集われ歎息によりてつかれたり わが喉はかわき わが目はわが神をまちわびておとろへぬ
69:4
編集故なくしてわれをにくむ者わがかしらの髪よりもおほく謂なくしてわが仇となり我をほろぼさんとするものの勢力つよし われ掠めざりしものをも償はせらる
69:5
編集神よなんぢはわが愚なるをしりたまふ わがもろもろの罪はなんぢにかくれざるなり
69:6
編集萬軍のヱホバ主よ ねがはくは汝をまちのぞむ者をわが故によりて辱かしめらるる