詩篇(文語訳)
第1篇
編集1:1
編集惡きものの謀略にあゆまず つみびとの途にたたず 嘲るものの座にすわらぬ者はさいはひなり
1:2
編集かかる人はヱホバの法をよろこびて日も夜もこれをおもふ
1:3
編集かかる人は水流のほとりにうゑし樹の期にいたりて實をむすび 葉もまた凋まざるごとく その作ところ皆さかえん
1:4
編集あしき人はしからず 風のふきさる粃糠のごとし
1:5
編集然ばあしきものは審判にたへず罪人は義きものの會にたつことを得ざるなり
1:6
編集そはヱホバはただしきものの途をしりたまふ されど惡きものの途はほろびん
第2篇
編集2:1
編集何なればもろもろの國人はさわぎたち諸民はむなしきことを謀るや
2:2
編集地のもろもろの王はたちかまへ群伯はともに議り ヱホバとその受膏者とにさからひていふ
2:3
編集われらその械をこぼち その繩をすてんと
2:4
編集天に坐するもの笑ひたまはん 主かれらを嘲りたまふべし
2:5
編集かくて主は忿恚をもてものいひ大なる怒をもてかれらを怖まどはしめて宣給ふ
2:6
編集しかれども我わが王をわがきよきシオンの山にたてたりと
2:7
編集われ詔命をのべんヱホバわれに宣まへり なんぢはわが子なり今日われなんぢを生り
2:8
編集われに求めよ さらば汝にもろもろの國を嗣業としてあたへ地の極をなんぢの有としてあたへん
2:9
編集汝くろがねの杖をもて彼等をうちやぶり陶工のうつはもののごとくに打碎かんと
2:10
編集されば汝等もろもろの王よ さとかれ地の審士輩をしへをうけよ
2:11
編集畏をもてヱホバにつかへ戦慄をもてよろこべ
2:12
編集子にくちつけせよ おそらくはかれ怒をはなちなんぢら途にほろびんその忿恚はすみやかに燃べければなり すべてかれに依頼むものは福ひなり
第3篇
編集ダビデその子アブサロムを避しときのうた
3:1
編集ヱホバよ我にあたする者のいかに蔓延れるや 我にさからひて起りたつもの多し
3:2
編集わが霊魂をあげつらひて かれは神にすくはるることなしといふ者ぞおほきセラ
3:3
編集されどヱホバよ なんぢは我をかこめる盾わが榮わが首をもたげ給ふものなり
3:4
編集われ聲をあげてヱホバによばはればその聖山より我にこたへたまふセラ
3:5
編集われ臥していね また目さめたり ヱホバわれを支へたまへばなり
3:6
編集われをかこみて立かまへたる干萬の人をも我はおそれじ
3:7
編集ヱホバよねがはくは起たまへ わが神よわれを救ひたまへ なんぢ曩にわがすべての仇の頬骨をうち惡きものの歯ををりたまへり
3:8
編集救はヱホバにあり ねがはくは恩惠なんぢの民のうへに在んことをセラ
第4篇
編集琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの歌
4:1
編集わが義をまもりたまふ神よ ねがはくはわが呼るときに答へたまへ わがなやみたる時なんぢ我をくつろがせたまへり ねがはくは我をあはれみ わが祈をききたまへ
4:2
編集人の子よなんぢらわが榮をはぢしめて幾何時をへんとするか なんぢらむなしき事をこのみ虚偽をしたひていくそのときを經んとするかセラ
4:3
編集然どなんぢら知れ ヱホバは神をうやまふ人をわかちて己につかしめたまひしことを われヱホバによばはらば聴たまはん
4:4
編集なんぢら愼みをののきて罪ををかすなかれ 臥床にておのが心にかたりて黙せセラ
4:5
編集なんぢら義のそなへものを献てヱホバに依頼め
4:6
編集おほくの人はいふたれか嘉事をわれらに見するものあらんやと ヱホバよねがはくは聖顔の光をわれらの上にのぼらせたまへ
4:7
編集なんぢのわが心にあたへたまひし歓喜はかれらの穀物と酒との豊かなる時にまさりき
4:8
編集われ安然にして臥またねぶらん ヱホバよわれを獨にて坦然にをらしむるものは汝なり
第5篇
編集簫にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
5:1
編集ヱホバよねがはくは我がことばに耳をかたむけ わが思にみこころを注たまへ
5:2
編集わが王よわが神よ わが號呼のこゑをききたまへ われ汝にいのればなり
5:3
編集ヱホバよ朝になんぢわが聲をききたまはん 我あしたになんぢの爲にそなへして俟望むべし
5:4
編集なんぢは惡きことをよろこびたまふ神にあらず 惡人はなんぢの賓客たるを得ざるなり
5:5
編集たかぶる者はなんぢの目前にたつをえず なんぢはずべて邪曲をおこなふものを憎みたまふ
5:6
編集なんぢは虚偽をいふ者をほろぼしたまふ 血をながすものと詭計をなすものとは ヱホバ憎みたまふなり
5:7
編集然どわれは豊かなる仁慈によりてなんぢの家にいらん われ汝をおそれつつ聖宮にむかひて拝まん
5:8
編集ヱホバよ願くはわが仇のゆゑになんぢの義をもて我をみちびき なんぢの途をわが前になほくしたまへ
5:9
編集かれらの口には眞實なく その衷はよこしま その喉はあばける墓 その舌はへつらひをいへばなり
5:10
編集神よねがはくはかれらを刑なひ その謀略によりてみづから仆れしめ その愆のおほきによりて之をおひいだしたまへ かれらは汝にそむきたればなり
5:11
編集されど凡てなんぢに依頼む者をよろこばせ永遠によろこびよばはらせたまへ なんぢ斯る人をまもりたまふなり 名をいつくしむ者にもなんぢによりて歓喜をえしめたまへ
5:12
編集ヱホバよなんぢに義者にさいはひし盾のごとく恩惠をもて之をかこみたまはん
第6篇
編集八音ある琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
6:1
編集ヱホバよねがはくは忿恚をもて我をせめ烈しき怒をもて我をこらしめたまふなかれ
6:2
編集ヱホバよわれを憐みたまへ われ萎みおとろふなり ヱホバよ我を醫したまへ わが骨わななきふるふ
6:3
編集わが霊魂さへも甚くふるひわななく ヱホバよかくて幾何時をへたまふや
6:4
編集ヱホバよ歸りたまへ わがたましひを救ひたまへ なんぢの仁慈の故をもて我をたすけたまへ
6:5
編集そは死にありては汝をおもひいづることなし 陰府にありては誰かなんぢに感謝せん
6:6
編集われ歎息にてつかれたり 我よなよな床をただよはせ涙をもてわが衾をひたせり
6:7
編集わが目うれへによりておとろへ もろもろの仇ゆゑに老ぬ
6:8
編集なんぢら邪曲をおこなふ者ことごとく我をはなれよ ヱホバはわが泣こゑをききたまひたり
6:9
編集ヱホバわが懇求をききたまへり ヱホバわが祈をうけたまはん
6:10
編集わがもろもろの仇ははぢて大におぢまどひ あわただしく恥てしりぞきぬ
第7篇
編集ベニヤミンの人クシの言につきダビデ、ヱホバに對ひてうたへるシガヨンの歌
7:1
編集わが神ヱホバよわれ汝によりたのむ 願くはすべての逐せまるものより我をすくひ我をたすけたまへ
7:2
編集おそらくはかれ獅の如くわが霊魂をかきやぶり援るものなき間にさきてずたずたに爲ん
7:3
編集わが神ヱホバよ もしわれ此事をなししならんには わが手によこしまの纏りをらんには
7:4
編集故なく仇ずるものをさへ助けしに禍害をもてわが友にむくいしならんには
7:5
編集よし仇人わがたましひを逐とらへ わが生命をつちにふみにじりわが榮を塵におくとも その作にまかせよセラ
7:6
編集ヱホバよなんぢの怒をもて起わが仇のいきどほりにむかひて立たまへ わがために目をさましたまへ なんぢは審判をおほせ出したまへり
7:7
編集もろもろの國人の會がなんぢのまはりに集はしめ 其上なる高座にかへりたまヘ
7:8
編集ヱホバはもろもろの民にさばきを行ひたまふ ヱホバよわが正義とわが衷なる完全とにしたがひて我をさばきたまへ
7:9
編集ねがはくは惡きものの曲事をたちて義しきものを堅くしたまへ ただしき神は人のこころと腎とをさぐり知たまふ
7:10
編集わが盾をとるものは心のなほきものをすくふ神なり
7:11
編集神はただしき審士ひごとに忿恚をおこしたまふ神なり
7:12
編集人もしかへらずば神はその劍をとぎ その弓をはりてかまヘ
7:13
編集これに死の器をそなへ その矢に火をそへたまはん
7:14
編集視よその人はよこしまを産んとしてくるしむ 殘害をはらみ虚偽をうむなり
7:15
編集また坑をほりてふかくし己がつくれるその溝におちいれり
7:16
編集その殘害はおのが首にかへり その強暴はおのが頭上にくだらん
7:17
編集われその義によりてヱホバに感謝し いとたかきヱホバの名をほめうたはん
第8篇
編集ギデトの琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの歌
8:1
編集われらの主ヱホバよなんぢの名は地にあまねくして尊きかな その榮光を天におきたまへり
8:2
編集なんぢは嬰兒ちのみごの口により力の基をおきて敵にそなへたまへり こは仇人とうらみを報るものを鎭静めんがためなり
8:3
編集我なんぢの指のわざなる天を観なんぢの設けたまへる月と星とをみるに
8:4
編集世人はいかなるものなればこれを聖念にとめたまふや 人の子はいかなるものなればこれを顧みたまふや
8:5
編集只すこしく人を神よりも卑つくりて榮と尊貴とをかうぶらせ
8:6
編集またこれに手のわざを治めしめ萬物をその足下におきたまへり
8:7
編集すべての羊うしまた野の獣
8:8
編集そらの鳥うみの魚もろもろの海路をかよふものをまで皆しかなせり
8:9
編集われらの主ヱホバよなんぢの名は地にあまねくして尊きかな
第9篇
編集ムツラベン(調子の名)にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
9:1
編集われ心をつくしてヱホバに感謝し そのもろもろの奇しき事迹をのべつたへん
9:2
編集われ汝によりてたのしみ且よろこばん 至上者よなんぢの名をほめうたはん
9:3
編集わが仇しりぞくとき躓きたふれて御前にほろぶ
9:4
編集なんぢわが義とわが訟とをまもりたまへばなり なんぢはだしき審判をしつつ寳座にすわりたまへり
9:5
編集またもろもろの國をせめ惡きものをほろぼし 世々かぎりなくかれらが名をけしたまへり
9:6
編集仇はたえはてて世々あれすたれたり 汝のくつがへしたまへるもろもろの邑はうせてその跡だにもなし
9:7
編集ヱホバはとこしへに聖位にすわりたまふ 審判のためにその寳座をまうけたまひたり
9:8
編集ヱホバは公義をもて世をさばき 直をもてもろもろの民に審判をおこなひたまはん
9:9
編集ヱホバは虐げらるるものの城また難みのときの城なり
9:10
編集聖名をしるものはなんぢに依頼ん そはヱホバよなんぢを尋るものの棄られしこと断てなければなり
9:11
編集シオンに住たまふヱホバに對ひてほめうたへ その事迹をもろもろの民のなかにのべつたへよ
9:12
編集血を問糺したまふものは苦しむものを心にとめてその號呼をわすれたまはず
9:13
編集ヱホバよ我をあはれみたまへ われを死の門よりすくひいだしたまへる者よ ねがはくは仇人のわれを難むるを視たまへ
9:14
編集さらば我なんぢのすべての頌美をのぶるを得またシオンのむすめの門にてなんぢの救をよろこばん
9:15
編集もろもろの國民はおのがつくれる阱におちいり そのかくしまうけたる網におのが足をとらへらる
9:16
編集ヱホバは己をしらしめ審判をおこなひたまへり あしき人はおのが手のわざなる羂にかかれり ヒガイオン セラ
9:17
編集あしき人は陰府にかへるべし 神をわするるもろもろの國民もまたしからん
9:18
編集貧者はつねに忘らるるにあらず苦しむものの望はとこしへに滅ぶるにあらず
9:19
編集ヱホバよ起たまへ ねがはくは勝を人にえしめたまふなかれ御前にてもろもろのくにびとに審判をうけしめたまヘ
9:20
編集ヱホバよ願くはかれらに懼をおこさしめたまへ もろもろの國民におのれただ人なることを知しめたまヘセラ
第10篇
編集10:1
編集ああヱホバよ何ぞはるかに立たまふや なんぞ患難のときに匿れたまふや
10:2
編集あしき人はたかぶりて苦しむものを甚だしくせむ かれらをそのくはだての謀略にとらはれしめたまヘ
10:3
編集あしきひとは己がこころの欲望をほこり貪るものを祝してヱホバをかろしむ
10:4
編集あしき人はほこりかにいふ 神はさぐりもとむることをせざるなりと 凡てそのおもひに神なしとせり
10:5
編集かれの途はつねに堅く なんぢの審判はその眼よりはなれてたかし 彼はそのもろもろの敵をくちさきらにて吹く
10:6
編集かくて己がこころの中にいふ 我うごかさるることなく世々われに禍害なかるべしと
10:7
編集その口にはのろひと虚偽としへたげとみち その舌のしたには殘害とよこしまとあり
10:8
編集かれは村里のかくれたる處にをり隠やかなるところにて罪なきものをころす その眼はひそかに倚仗なきものをうかがひ
10:9
編集窟にをる獅のごとく潜みまち苦しむものをとらへんために伏ねらひ 貧しきものをその網にひきいれてとらふ
10:10
編集また身をかがめて蹲まるその強勁によりて依仗なきものは仆る
10:11
編集かれ心のうちにいふ 神はわすれたり神はその面をかくせり神はみることなかるべしと
10:12
編集ヱホバよ起たまへ 神よ手をあげたまへ 苦しむものを忘れたまふなかれ
10:13
編集いかなれば惡きもの神をいやしめて心中になんぢ探求むることをせじといふや
10:14
編集なんぢは鍳たまへりその殘害と怨恨とを見てこれに手をくだしたまへり 倚仗なきものは身をなんぢに委ぬ なんぢは昔しより孤子をたすけたまふ者なり
10:15
編集ねがはくは惡きものの臂ををりたまへあしきものの惡事を一つだにのこらぬまでに探究したまヘ
10:16
編集ヱホバはいやとほながに王なり もろもろの國民はほろびて神の國より跡をたちたり
10:17
編集ヱホバよ汝はくるしむものの懇求をききたまへり その心をかたくしたまはん なんぢは耳をかたぶけてきき
10:18
編集孤子と虐げらる者とのために審判をなし地につける人にふたたび恐嚇をもちひざらしめ給はん
第11篇
編集うたのかみに謳はしめたるダビデのうた
11:1
編集われヱホバに依頼めり なんぢら何ぞわが霊魂にむかひて鳥のごとくなんぢの山にのがれよといふや
11:2
編集視よあしきものは暗處にかくれ心なほきものを射んとて弓をはり絃に矢をつがふ
11:3
編集基みなやぶれたらんには義者なにをなさんや
11:4
編集ヱホバはその聖宮にいます ヱホバの寳座は天にありその目はひとのこを鑒 その眼瞼はかれらをこころみたまふ
11:5
編集ヱホバは義者をこころむ そのみこころは惡きものと強暴をこのむ者とをにくみ
11:6
編集羂をあしきもののうへに降したまはん火と硫磺ともゆる風とはかれらの酒杯にうくべきものなり
11:7
編集ヱホバはただしき者にして義きことを愛したまへばなり 直きものはその聖顔をあふぎみん
第12篇
編集八音にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
12:1
編集ああヱホバよ助けたまへ そは神をうやまふ人はたえ誠あるものは人の子のなかより消失るなり
12:2
編集人はみな虚偽をもてその隣とあひかたり滑なるくちびると貳心とをもてものいふ
12:3
編集ヱホバはすべての滑なるくちびると大なる言をかたる舌とをほろぼし給はん
12:4
編集かれらはいふ われら舌をもて勝をえん この口唇はわがものなり誰かわれらに主たらんやと
12:5
編集ヱホバのたまはく 苦しむもの掠められ貧しきもの歎くがゆゑに我いま起てこれをその慕ひもとむる平安におかん
12:6
編集ヱホバの言はきよきことばなり 地にまうけたる爐にてねり七次きよめたる白銀のごとし
12:7
編集ヱホバよ汝はかれらをまもり之をたすけてとこしへにこの類より免れしめたまはん
12:8
編集人の子のなかに穢しきことの崇めらるるときは惡者ここやかしこにあるくなり
第13篇
編集伶長にうたはしめたるダビデのうた
13:1
編集ああヱホバよ かくて幾何時をへたまふや 汝とこしへに我をわすれたまふや 聖顔をかくしていくそのときを歴たまふや
13:2
編集われ心のうちに終日かなしみをいだき籌畫をたましひに用ひて幾何時をふべきか わが仇はわがうへに崇められて幾何時をふべきか
13:3
編集わが神ヱホバよ我をかへりみて答をなしたまへ わが目をあきらかにしたまへ 恐らくはわれ死の睡につかん
13:4
編集おそらくはわが仇いはん 我かれに勝りと おそらくはわが敵わがうごかさるるによりて喜ばん
13:5
編集されど我はなんぢの憐憫によりたのみ わが心はなんぢの救によりてよろこばん
13:6
編集ヱホバはゆたかに我をあしらひたまひたれば われヱホバに對ひてうたはん
第14篇
編集うたのかみに謳はしめたるダビデのうた
14:1
編集愚なるものは心のうちに神なしといへり かれらは腐れたり かれらは憎むべき事をなせり 善をおこなふ者なし
14:2
編集ヱホバ天より人の子をのぞみみて悟るもの神をたづぬる者ありやと見たまひしに
14:3
編集みな逆きいでてことごとく腐れたり 善をなすものなし一人だになし
14:4
編集不義をおこなふ者はみな智覺なきか かれらは物くふごとくわが民をくらひ またヱホバをよぶことをせざるなり
14:5
編集視よかかる時かれらは大におそれたり 神はただしきものの類のなかに在せばなり
14:6
編集なんぢらは苦しめるものの謀略をあなどり辱かしむ されどヱホバはその避所なり
14:7
編集ねがはくはシオンよりイスラエルの救のいでんことを ヱホバその民のとらはれたるを返したまふときヤコブはよろこびイスラエルは樂まん
第15篇
編集ダビデのうた
15:1
編集ヱホバよなんぢの帷幄のうちにやどらん者はたれぞ なんぢの聖山にすまはんものは誰ぞ
15:2
編集直くあゆみ義をおこなひ そのこころに眞實をいふものぞその人なる
15:3
編集かかる人は舌をもてそしらず その友をそこなはず またその隣をはぢしむる言をあげもちひず
15:4
編集惡にしづめるものを見ていとひかろしめ ヱホバをおそるるものをたふとび 誓ひしことはおのれに禍害となるも變ることなし
15:5
編集貨をかして過たる利をむさぼらず 賄賂をいれて無辜をそこなはざるなり 斯ることどもを行ふものは永遠にうごかさるることなかるべし
第16篇
編集ダビデがミクタムの歌
16:1
編集神よねがはくは我を護りたまへ 我なんぢに依頼む
16:2
編集われヱホバにいへらくなんぢはわが主なり なんぢのほかにわが福祉はなしと
16:3
編集地にある聖徒はわが極めてよろこぶ勝れしものなり
16:4
編集ヱホバにかへて他神をとるものの悲哀はいやまさん 我かれらがささぐる血の御酒をそそがず その名を口にとなふることをせじ
16:5
編集ヱホバはわが嗣業またわが酒杯にうくべき有なり なんぢはわが所領をまもりたまはん
16:6
編集準繩はわがために樂しき地におちたり 宜われよき嗣業をえたるかな
16:7
編集われは訓諭をさづけたまふヱホバをほめまつらん 夜はわが心われををしふ
16:8
編集われ常にヱホバをわが前におけり ヱホバわが右にいませばわれ動かさるることなかるべし
16:9
編集このゆゑにわが心はたのしみ わが榮はよろこぶ わが身もまた平安にをらん
16:10
編集そは汝わがたましひを陰府にすておきたまはず なんぢの聖者を墓のなかに朽しめたまはざる可ればなり
16:11
編集なんぢ生命の道をわれに示したまはん なんぢの前には充足るよろこびあり なんぢの右にはもろもろの快樂とこしへにあり
第17篇
編集ダビデの祈祷
17:1
編集ああヱホバよ公義をききたまへ わが哭聲にみこころをとめたまへ いつはりなき口唇よりいづる我がいのりに耳をかたぶけたまへ
17:2
編集ねがはくはわが宣告みまへよりいでてなんぢの目公平をみたまはんことを
17:3
編集なんぢわが心をこころみ また夜われにのぞみたまへり 斯てわれを糺したまへど我になにの惡念あるをも見出たまはざりき わが口はつみを犯すことなからん
17:4
編集人の行爲のことをいはば我なんぢのくちびるの言によりて暴るものの途をさけたり
17:5
編集わが歩はかたくなんぢの途にたちわが足はよろめくことなかりき
17:6
編集神よなんぢ我にこたへたまふ 我なんぢをよべり ねがはくは汝の耳をかたぶけてわが陳るところをききたまへ
17:7
編集なんぢに依頼むものを右手をもて仇するものより救ひたまふ者よ ねがはくはなんぢの妙なる仁慈をあらはしたまへ
17:8
編集願くはわれを瞳のごとくにまもり汝のつばさの蔭にかくし
17:9
編集我をなやむるあしき者また我をかこみてわが命をそこなはんとする仇よりのがれしめ給へ
17:10
編集かれらはおのが心をふさぎ その口をもて誇かにものいへり
17:11
編集いづこにまれ往ところにてわれらを打圍み われらを地にたふさんと目をとむ
17:12
編集かれは抓裂んといらだつ獅のごとく隠やかなるところに潜みまつ壮獅のごとし
17:13
編集ヱホバよ起たまへ ねがはくはかれに立對ひてこれをたふし御劍をもて惡きものよりわが霊魂をすくひたまヘ
17:14
編集ヱホバよ手をもて人より我をたすけいだしたまへ おのがうくべき有をこの世にてうけ 汝のたからにてその腹をみたさるる世人より我をたすけいだし給へ かれらはおほくの子にあきたり その富ををさなごに遺す
17:15
編集されどわれは義にありて聖顔をみ目さむるとき容光をもて飽足ることをえん
第18篇
編集伶長にうたはしめたるヱホバの僕ダビデの歌、このうたの詞はもろもろの仇およびサウルの手より救れしときヱホバに對ひてうたへるなり 云く
18:1
編集ヱホバわれの力よ われ切になんぢを愛しむ
18:2
編集ヱホバはわが巌 わが城 われをすくふ者 わがよりたのむ神 わが堅固なるいはほ わが盾 わがすくひの角 わがたかき櫓なり
18:3
編集われ讃稱ふべきヱホバをよびて仇人よりすくはるることをえん
18:4
編集死のつな我をめぐり惡のみなぎる流われをおそれしめたり
18:5
編集陰間のなは我をかこみ死のわな我にたちむかへり
18:6
編集われ窮苦のうちにありてヱホバをよび又わが神にさけびたり ヱホバはその宮よりわが聲をききたまふ その前にてわがよびし聲はその耳にいれり
18:7
編集このときヱホバ怒りたまひたれば地はふるひうごき山の基はゆるぎうごきたり
18:8
編集烟その鼻よりたち火その口よりいでてやきつくし炭はこれがために燃あがれり
18:9
編集ヱホバは天をたれて臨りたまふ その足の下はくらきこと甚だし
18:10
編集かくてケルブに乗りてとび風のつばさにて翔り
18:11
編集闇をおほひとなし水のくらきとそらの密雲とをそのまはりの幕となしたまへり
18:12
編集そのみまへの光輝よりくろくもをへて雹ともえたる炭とふりきたれり
18:13
編集ヱホバは天に雷鳴をとどろかせたまへり 至上者のこゑいでて雹ともえたる炭とふりきたり
18:14
編集ヱホバ矢をとばせてかれらを打ちらし數しげき電光をはなちてかれらをうち敗りたまへり
18:15
編集ヱホバよ斯るときになんぢの叱咤となんぢの鼻のいぶきとによりて水の底みえ地の基あらはれいでたり
18:16
編集ヱホバはたかきより手をのべ我をとりて大水よりひきあげ
18:17
編集わがつよき仇とわれを憎むものとより我をたすけいだしたまへり かれらは我にまさりて最強かりき
18:18
編集かれらはわが災害の日にせまりきたれり 然どヱホバはわが支柱となりたまひき
18:19
編集ヱホバはわれを悦びたまふがゆゑにわれをたづさへ廣處にだして助けたまへり
18:20
編集ヱホバはわが正義にしたがひて恩賜をたまひ わが手のきよきにしたがひて報賞をたれたまへり
18:21
編集われヱホバの道をまもり惡をなしてわが神よりはなれしことなければなり
18:22
編集そのすべての審判はわがまへにありて われその律法をすてしことなければなり
18:23
編集われ神にむかひて缺るところなく己をまもりて不義をはなれたり
18:24
編集この故にヱホバはわがただしきとその目前にわが手のきよきとにしたがひて我にむくいをなし給へり
18:25
編集なんぢ憐憫あるものには憐みあるものとなり完全ものには全きものとなり
18:26
編集きよきものには潔きものとなり僻むものにはひがむ者となりたまふ
18:27
編集そは汝くるしめる民をすくひたまへど高ぶる目をひくくしたまふ可ればなり
18:28
編集なんぢわが燈火をともし給ふべければなり わが神ヱホバわが暗をてらしたまはん
18:29
編集我なんぢによりて軍の中をはせとほり わが神によりて垣ををどりこゆ
18:30
編集神はしもその途またくヱホバの言はきよし ヱホバはすべて依頼むものの盾なり
18:31
編集そはヱホバのほかに神はたれぞや われらの神のほかに巌はたれぞや
18:32
編集神はちからをわれに帯しめ わが途を全きものとなしたまふ
18:33
編集神はわが足を麀のあしのごとくし我をわが高處にたたせたまふ
18:34
編集神はわが手をたたかひにならはせてわが臂に銅弓をひくことを得しめたまふ
18:35
編集又なんぢの救の盾をわれにあたへたまへり なんぢの右手われをささへなんぢの謙卑われを大ならしめたまへり
18:36
編集なんぢわが歩むところを寛濶ならしめたまひたれば わが足ふるはざりき
18:37
編集われ仇をおひてこれに追及かれらのほろぶるまでは歸ることをせじ
18:38
編集われかれらを撃てたつことを得ざらしめん かれらはわが足の下にたふるべし
18:39
編集そはなんぢ戦争のために力をわれに帯しめ われにさからひておこりたつ者をわが下にかがませたまひたればなり
18:40
編集我をにくむ者をわが滅しえんがために汝またわが仇の背をわれにむけしめ給へり
18:41
編集かれら叫びたれども救ふものなく ヱホバに對ひてさけびたれども答へたまはざりき
18:42
編集我かれらを風のまへの塵のごとくに搗碎き ちまたの坭のごとくに打棄たり
18:43
編集なんぢわれを民のあらそひより助けいだし我をたててもろもろの國の長となしたまへり わがしらざる民われにつかへん
18:44
編集かれらわが事をききて立刻われにしたがひ異邦人はきたりて佞りつかへん
18:45
編集ことくにびとは衰へてその城よりをののきいでん
18:46
編集ヱホバは活ていませり わが磐はほむべきかな わがすくひの神はあがむべきかな
18:47
編集わがために讎をむくい異邦人をわれに服はせたまふはこの神なり
18:48
編集神はわれを仇よりすくひたまふ實になんぢは我にさからひて起りたつ者のうへに我をあげ あらぶる人より我をたすけいだし給ふ
18:49
編集この故にヱホバよ われもろもろの國人のなかにてなんぢに感謝し なんぢの名をほめうたはん
18:50
編集ヱホバはおほいなる救をその王にあたへ その受膏者ダビデとその裔とに世々かぎりなく憐憫をたれたまふ
第19篇
編集うたのかみに謳はしめたるダビデのうた
19:1
編集もろもろの天は神のえいくわうをあらはし 穹蒼はその手のわざをしめす
19:2
編集この日ことばをかの日につたへこのよ知識をかの夜におくる
19:3
編集語らずいはずその聲きこえざるに
19:4
編集そのひびきは全地にあまねく そのことばは地のはてにまでおよぶ 神はかしこに帷幄を日のためにまうけたまへり
19:5
編集日は新婿がいはひの殿をいづるごとく勇士がきそひはしるをよろこぶに似たり
19:6
編集そのいでたつや天の涯よりし その運りゆくや天のはてにいたる 物としてその和喣をかうぶらざるはなし
19:7
編集ヱホバの法はまたくして霊魂をいきかへらしめ ヱホバの證詞はかたくして愚なるものを智からしむ
19:8
編集ヱホバの訓諭はなほくして心をよろこばしめ ヱホバの誡命はきよくして眼をあきらかならしむ
19:9
編集ヱホバを惶みおそるる道はきよくして世々にたゆることなく ヱホバのさばきは眞實にしてことごとく正し
19:10
編集これを黄金にくらぶるもおほくの純精金にくらぶるも 彌増りてしたふべく これを蜜にくらぶるも蜂のすの滴瀝にくらぶるもいやまさりて甘し
19:11
編集なんぢの僕はこれらによりて儆戒をうく これらをまもらば大なる報賞あらん
19:12
編集たれかおのれの過失をしりえんや ねがはくは我をかくれたる愆より解放ちたまへ
19:13
編集願くはなんぢの僕をひきとめて故意なる罪ををかさしめず それをわが主たらしめ給ふなかれ さればわれ玷なきものとなりて大なる愆をまぬかるるをえん
19:14
編集ヱホバわが磐わが贖主よ わがくちの言わがこころの思念なんぢのまへに悦ばるることを得しめたまへ
第20篇
編集伶長にうたはしめたるダビデのうた
20:1
編集ねがはくはヱホバなやみの日になんぢにこたヘヤユブのかみの名なんぢを高にあげ
20:2
編集聖所より援助をなんぢにおくりシオンより能力をなんぢにあたへ
20:3
編集汝のもろもろの献物をみこころにとめ なんぢの燔祭をうけたまはんことをセラ
20:4
編集ねがはくはなんちがこころの願望をゆるし なんぢの謀略をことごとく遂しめたまはんことを
20:5
編集我儕なんぢの救によりて歓びうたひ われらの神の名によりて旗をたてん ねがはくはヱホバ汝のもろもろの求をとげしめたまはんことを
20:6
編集われ今ヱホバその受膏者をすくひたまふを知る ヱホバそのきよき天より右手なるすくひの力にてかれに應へたまはん
20:7
編集あるひは車をたのみあるひは馬をたのみとする者あり されどわれらはわが神ヱホバの名をとなへん
20:8
編集かれらは屈みまた仆るわれらは起てかたくたてり
20:9
編集ヱホバよ王をすくひたまへ われらがよぶとき應へたまへ
第21篇
編集伶長にうたはしめたるダビデのうた
21:1
編集ヱホバよ王はなんぢの力によりてたのしみ汝のすくひによりて奈何におほいなる歓喜をなさん
21:2
編集なんぢ彼がこころの願望をゆるし そのくちびるの求をいなみ給はざりきセラ
21:3
編集そはよきたまものの惠をもてかれを迎へ まじりなきこがねの冕弁をもてかれの首にいただかせ給ひたり
21:4
編集かれ生命をもとめしに汝これをあたへてその齢の日を世々かぎりなからしめ給へり
21:5
編集なんぢの救によりてその榮光おほいなり なんぢは尊貴と稜威とをかれに衣せたまふ
21:6
編集そは之をとこしへに福ひなるものとなし聖顔のまへの歓喜をもて樂しませたまへばなり
21:7
編集王はヱホバに依頼み いとたかき者のいつくしみを蒙るがゆゑに動かさるることなからん
21:8
編集なんぢの手はそのもろもろの仇をたづねいだし 汝のみぎの手はおのれを憎むものを探ねいだすべし
21:9
編集なんぢ怒るときは彼等をもゆる爐のごとくにせんヱホバはげしき怒によりてかれらを呑たまはん 火はかれらを食つくさん
21:10
編集汝かれらの裔を地よりほろぼし かれらの種を人の子のなかよりほろぼさん
21:11
編集かれらは汝にむかひて惡事をくはだて遂がたき謀略をおもひまはせばなり
21:12
編集汝かれらをして背をむけしめ その面にむかひて弓絃をひかん
21:13
編集ヱホバよ能力をあらはしてみづからを高くしたまへ 我儕はなんぢの稜威をうたひ且ほめたたへん
第22篇
編集あけぼのの鹿の調にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの歌
22:1
編集わが神わが神なんぞ我をすてたまふや 何なれば遠くはなれて我をすくはず わが歎きのこゑをきき給はざるか
22:2
編集ああわが神われ晝よばはれども汝こたへたまはず 夜よばはれどもわれ平安をえず
22:3
編集然はあれイスラエルの讃美のなかに住たまふものよ汝はきよし
22:4
編集われらの列祖はなんぢに依頼めり かれら依頼みたればこれを助けたまへり
22:5
編集かれら汝をよびて援をえ汝によりたのみて恥をおへることなかりき
22:6
編集然はあれどわれは蟲にして人にあらず 世にそしられ民にいやしめらる
22:7
編集すべてわれを見るものはわれをあざみわらひ 口唇をそらし首をふりていふ
22:8
編集かれはヱホバによりたのめりヱホバ助くべし ヱホバかれを悦びたまふが故にたすくべしと
22:9
編集されど汝はわれを胎内よりいだし給へるものなり わが母のふところにありしとき既になんぢに依頼ましめたまへり
22:10
編集我うまれいでしより汝にゆだねられたり わが母われを生しときより汝はわが神なり
22:11
編集われに遠ざかりたまふなかれ 患難ちかづき又すくふものなければなり
22:12
編集おほくの牡牛われをめぐりバサンの力つよき牡牛われをかこめり
22:13
編集かれらは口をあけて我にむかひ物をかきさき吼うだく獅のごとし
22:14
編集われ水のごとくそそぎいだされ わがもろもろの骨ははづれ わが心は蝋のごとくなりて腹のうちに鎔たり
22:15
編集わが力はかわきて陶器のくだけのごとく わが舌は齶にひたつけり なんぢわれを死の塵にふさせたまへり
22:16
編集そは犬われをめぐり惡きものの群われをかこみてわが手およびわが足をさしつらぬけり
22:17
編集わが骨はことごとく數ふるばかりになりぬ 惡きものの目をとめて我をみる
22:18
編集かれらたがひにわが衣をわかち我がしたぎを鬮にす
22:19
編集ヱホバよ遠くはなれ居たまふなかれ わが力よねがはくは速きたりてわれを授けたまへ
22:20
編集わがたましひを劍より助けいだし わが生命を犬のたけきいきほひより脱れしめたまへ
22:21
編集われを獅の口また野牛のつのより救ひいだしたまへ なんぢ我にこたへたまへり
22:22
編集われなんぢの名をわが兄弟にのべつたへ なんぢを會のなかにて讃たたへん
22:23
編集ヱホバを懼るるものよヱホバをほめたたへよ ヤコブのもろもろの裔よヱホバをあがめよ イスラエルのもろもろのすゑよヱホバを畏め
22:24
編集ヱホバはなやむものの辛苦をかろしめ棄たまはず これに聖顔をおほふことなくしてその叫ぶときにききたまへばなり
22:25
編集大なる會のなかにてわが汝をほめたたふるは汝よりいづるなり わが誓ひしことはヱホバをおそるる者のまへにてことごとく償はん
22:26
編集謙遜者はくらひて飽ことをえ ヱホバをたづねもとむるものはヱホバをほめたたへん 願くはなんぢらの心とこしへに生んことを
22:27
編集地のはては皆おもひいだしてヱホバに歸りもろもろの國の族はみな前にふしをがむべし
22:28
編集國はヱホバのものなればなり ヱホバはもろもろの國人をすべをさめたまふ
22:29
編集地のこえたるものは皆くらひてヱホバををがみ塵にくだるものと己がたましひを存ふること能はざるものと皆そのみまへに拝跪かん
22:30
編集たみの裔のうちにヱホバにつかる者あらん 主のことは代々にかたりつたへらるべし
22:31
編集かれら來りて此はヱホバの行爲なりとてその義を後にうまるる民にのべつたへん
第23篇
編集ダビデのうた
23:1
編集ヱホバは我が牧者なり われ乏しきことあらじ
23:2
編集ヱホバは我をみどりの野にふさせ いこひの水濱にともなひたまふ
23:3
編集ヱホバはわが霊魂をいかし名のゆゑをもて我をただしき路にみちびき給ふ
23:4
編集たとひわれ死のかげの谷をあゆむとも禍害をおそれじ なんぢ我とともに在せばなり なんぢの笞なんぢの杖われを慰む
23:5
編集なんぢわが仇のまへに我がために筵をまうけ わが首にあぶらをそそぎたまふ わが酒杯はあふるるなり
23:6
編集わが世にあらん限りはかならず恩惠と憐憫とわれにそひきたらん 我はとこしへにヱホバの宮にすまん
第24篇
編集ダビデのうた
24:1
編集地とそれに充るもの世界とその中にすむものとは皆ヱホバのものなり
24:2
編集ヱホバはそのもとゐを大海のうへに置これを大川のうへに定めたまへり
24:3
編集ヱホバの山にのぼるべきものは誰ぞ その聖所にたつべき者はたれぞ
24:4
編集手きよく心いさぎよき者そのたましひ虚きことを仰ぎのぞまず偽りの誓をせざるものぞ その人なる
24:5
編集かかる人はヱホバより福祉をうけ そのすくひの神より義をうけん
24:6
編集斯のごとき者は神をしたふものの族類なり ヤコブの神よなんぢの聖顔をもとむる者なりセラ
24:7
編集門よなんぢらの首をあげよ とこしへの戸よあがれ 榮光の王いりたまはん
24:8
編集えいくわうの王はたれなるか ちからをもちたまふ猛きヱホバなり 戦闘にたけきヱホバなり
24:9
編集門よなんぢらの首をあげよ とこしへの戸よあがれ 榮光の王いりたまはん
24:10
編集この榮光の王はたれなるか 萬軍のヱホバ是ぞえいくわうの王なるセラ
第25篇
編集ダビデのうた
25:1
編集ああヱホバよ わがたましひは汝をあふぎ望む
25:2
編集わが神よわれなんぢに依頼めり ねがはくはわれに愧をおはしめたまふなかれ わが仇のわれに勝誇ることなからしめたまへ
25:3
編集實になんぢを俟望むものははぢしめられず 故なくして信をうしなふものは愧をうけん
25:4
編集ヱホバよなんぢの大路をわれにしめし なんぢの徑をわれにをしへたまへ
25:5
編集我をなんぢの眞理にみちびき我ををしへたまへ 汝はわがすくひの神なり われ終日なんぢを俟望む
25:6
編集なんぢのあはれみと仁慈とはいにしへより絶ずあり ヱホバよこれを思ひいだしたまへ
25:7
編集わがわかきときの罪とわが愆とはおもひいでたまふなかれ ヱホバよ汝のめぐみの故になんぢの仁慈にしたがひて我をおもひいでたまヘ
25:8
編集ヱホバはめぐみ深くして直くましませり 斯るがゆゑに道をつみびとにをしへ
25:9
編集謙だるものを正義にみちびきたまはん その道をへりくだる者にしめしたまはん
25:10
編集ヱホバのもろもろの道はそのけいやくと證詞とをまもるものには仁慈なり眞理なり
25:11
編集わが不義はおほいなり ヱホバよ名のために之をゆるしたまヘ
25:12
編集ヱホバをおそるる者はたれなるか 之にそのえらぶべき道をしめしたまはん
25:13
編集かかる人のたましひは平安にすまひ その裔はくにをつぐべし
25:14
編集ヱホバの親愛はヱホバをおそるる者とともにあり ヱホバはその契約をかれらに示したまはん
25:15
編集わが目はつねにヱホバにむかふ ヱホバわがあしを網よりとりいだしたまふ可ればなり
25:16
編集ねがはくは歸りきたりて我をあはれみたまへ われ獨わびしくまた苦しみをるなり
25:17
編集願くはわが心のうれへをゆるめ我をわざはひより脱かれしめたまへ
25:18
編集わが患難わが辛苦をかへりみ わがすべての罪をゆるしたまへ
25:19
編集わが仇をみたまへ かれらの數はおほし情なき憾をもてわれをにくめり
25:20
編集わがたましひをまもり我をたすけたまへ われに愧をおはしめたまふなかれ 我なんぢに依頼めばなり
25:21
編集われなんぢを挨望むねがはくは完全と正直とわれをまもれかし
25:22
編集神よすべての憂よりイスラエルを贖ひいだしたまへ
第26篇
編集ダビデの歌
26:1
編集ヱホバよねがはくはわれを鞫きたまへわれわが完全によりてあゆみたり 然のみならず我たゆたはずヱホバに依頼めり
26:2
編集ヱホバよわれを糺しまた試みたまへ わが腎とこころとを錬きよめたまへ
26:3
編集そは汝のいつくしみわが眼前にあり 我はなんぢの眞理によりてあゆめり
26:4
編集われは虚しき人とともに座らざりき 惡をいつはりかざる者とともにはゆかじ
26:5
編集惡をなすものの會をにくみ惡者とともにすわることをせじ
26:6
編集われ手をあらひて罪なきをあらはす ヱホバよ斯てなんぢの祭壇をめぐり
26:7
編集感謝のこゑを聞えしめ すべてなんぢの奇しき事をのべつたへん
26:8
編集ヱホバよ我なんぢのまします家となんぢが榮光のとどまる處とをいつくしむ
26:9
編集願くはわがたましひを罪人とともに わが生命を血をながす者とともに取收めたまふなかれ
26:10
編集かかる人の手にはあしきくはだてあり その右の手は賄賂にてみつ
26:11
編集されどわれはわが完全によりてあゆまん願くはわれをあがなひ我をあはれみたまへ
26:12
編集わがあしは平坦なるところにたつ われもろもろの會のなかにてヱホバを讃まつらん
第27篇
編集ダビデの歌
27:1
編集ヱホバはわが光わが救なり われ誰をかおそれん ヱホバはわが生命のちからなり わが懼るべきものはたれぞや
27:2
編集われの敵われの仇なるあしきもの襲ひきたりてわが肉をくらはんとせしが蹶きかつ仆れたり
27:3
編集縦ひいくさびと營をつらねて我をせむるともわが心おそれじ たとひ戦ひおこりて我をせむるとも我になほ恃あり
27:4
編集われ一事をヱホバにこへり我これをもとむ われヱホバの美しきを仰ぎその宮をみんがためにわが世にあらん限りはヱホバの家にすまんとこそ願ふなれ
27:5
編集ヱホバはなやみの日にその行宮のうちに我をひそませその幕屋のおくにわれをかくし巌のうへに我をたかく置たまふべければなり
27:6
編集今わが首はわれをめぐれる仇のうへに高くあげらるべし この故にわれヱホバのまくやにて歓喜のそなへものを献ん われうたひてヱホバをほめたたへん
27:7
編集わが聲をあげてさけぶときヱホバよきき給へ また憐みてわれに應へたまへ
27:8
編集なんぢらわが面をたづねもとめよと(斯る聖言のありしとき)わが心なんぢにむかひてヱホバよ我なんぢの聖顔をたづねんといへり
27:9
編集ねがはくは聖顔をかくしたまふなかれ 怒りてなんぢの僕をとほざけたまふなかれ汝はわれの助なり 噫わがすくひの神よ われをおひいだし我をすてたまふなかれ
27:10
編集わが父母われをすつるともヱホバわれを迎へたまはん
27:11
編集ヱホバよなんぢの途をわれにをしへ わが仇のゆゑに我をたひらかなる途にみちびきたまへ
27:12
編集いつはりの證をなすもの暴厲を吐もの我にさからひて起りたてり 願くはわれを仇にわたしてその心のままに爲しめたまふなかれ
27:13
編集われもしヱホバの恩寵をいけるものの地にて見るの侍なからましかば奈何ぞや
27:14
編集ヱホバを俟望ぞめ雄々しかれ汝のこころを堅うせよ 必ずやヱホバをまちのぞめ
第28篇
編集ダビデの歌
28:1
編集ああヱホバよわれ汝をよばん わが磐よねがはくは我にむかひて暗唖となりたまふなかれ なんぢ黙したまはば恐らくはわれ墓にいるものとひとしからん
28:2
編集われ汝にむかひてさけび聖所の奥にむかひて手をあぐるときわが懇求のこゑをききたまへ
28:3
編集あしき人また邪曲をおこなふ者とともに我をとらへてひきゆき給ふなかれ かれらはその隣にやはらぎをかたれども心には殘害をいだけり
28:4
編集その事にしたがひそのなす惡にしたがひて彼等にあたへ その手の行爲にしたがひて與ヘこれにその受べきものを報いたまへ
28:5
編集かれらはヱホバのもろもろの事とその手のなしわざとをかへりみず この故にヱホバかれらを毀ちて建たまふことなからん
28:6
編集ヱホバは讃べきかな わが祈のこゑをききたまひたり
28:7
編集ヱホバはわが力わが盾なり わがこころこれに依頼みたれば我たすけをえたり 然るゆゑにわが心いたくよろこぶ われ歌をもてほめまつらん
28:8
編集ヱホバはその民のちからなり その受膏者のすくひの城なり
28:9
編集なんぢの民をすくひなんぢの嗣業をさきはひ且これをやしなひ之をとこしなへに懐きたすけたまへ
第29篇
編集ダビデの歌
29:1
編集なんぢら神の子らよ ヱホバに獻げまつれ榮と能とをヱホバにささげまつれ
29:2
編集その名にふさはしき榮光をヱホバにささげ奉れ きよき衣をつけてヱホバを拝みまつれ
29:3
編集ヱホバのみこゑは水のうへにあり えいくわうの神は雷をとどろかせたまふ ヱホバは大水のうへにいませり
29:4
編集ヱホバの聲はちからあり ヱホバのみこゑは稜威あり
29:5
編集ヱホバのみこゑは香柏ををりくだく ヱホバ、レバノンのかうはくを折くだきたまふ
29:6
編集これを犢のごとくをどらせレバノンとシリオンとをわかき野牛のごとくをどらせたまふ
29:7
編集ヱホバのみこゑは火焔をわかつ
29:8
編集ヱホバのみこゑは野をふるはせヱホバはカデシの野をふるはせたまふ
29:9
編集ヱホバのみこゑは鹿に子をうませ また林木をはだかにす その宮にあるすべてのもの呼はりて榮光なるかなといふ
29:10
編集ヱホバは洪水のうへに坐したまへり ヱホバは寳座にざして永遠に王なり
29:11
編集ヱホバはその民にちからをあたへたまふ 平安をもてその民をさきはひたまはん
第30篇
編集殿をささぐるときに謳へるダビデのうた
30:1
編集ヱホバよわれ汝をあがめん なんぢ我をおこしてわが仇のわがことによりて喜ぶをゆるし給はざればなり
30:2
編集わが神ヱホバよわれ汝によばはれば汝我をいやしたまへり
30:3
編集ヱホバよ汝わがたましひを陰府よりあげ我をながらへしめて墓にくだらせたまはざりき
30:4
編集ヱホバの聖徒よ ヱホバをほめうたへ奉れ きよき名に感謝せよ
30:5
編集その怒はただしばしにてその惠はいのちとともにながし 夜はよもすがら泣かなしむとも朝にはよろこびうたはん
30:6
編集われ安けかりしときに謂く とこしへに動かさるることなからんと
30:7
編集ヱホバよなんぢ惠をもてわが山をかたく立せたまひき 然はあれどなんぢ面をかくしたまひたれば我おぢまどひたり
30:8
編集ヱホバよわれ汝によばはれり 我ひたすらヱホバにねがへり
30:9
編集われ墓にくだらばわが血なにの益あらん 塵はなんぢを讃たたへんや なんぢの眞理をのべつたへんや
30:10
編集ヱホバよ聴たまへ われを憐みたまヘ ヱホバよ願くはわが助となりたまへ
30:11
編集なんぢ踴躍をもてわが哀哭にかへわが麁服をとき歓喜をもてわが帯としたまへり
30:12
編集われ榮をもてほめうたひつつ黙すことなからんためなり わが神ヱホバよわれ永遠になんぢに感謝せん
第31篇
編集伶長にうたはしめたるダビデのうた
31:1
編集ヱホバよわれ汝によりたのむ 願くはいづれの日までも愧をおはしめたまふなかれ なんぢの義をもてわれを助けたまへ
31:2
編集なんぢの耳をかたぶけて速かにわれをすくひたまへ 願くはわがためにかたき磐となり我をすくふ保障の家となりたまへ
31:3
編集なんぢはわが磐わが城なり されば名のゆゑをもてわれを引われを導きたまへ
31:4
編集なんぢ我をかれらが密かにまうけたる網よりひきいだしたまへ なんぢはわが保砦なり
31:5
編集われ霊魂をなんぢの手にゆだぬ ヱホバまことの神よなんぢはわれを贖ひたまへり
31:6
編集われはいつはりの虚きことに心をよする者をにくむ われは獨ヱホバによりたのむなり
31:7
編集我はなんぢの憐憫をよろこびたのしまん なんぢわが艱難をかへりみ わがたましひの禍害をしり
31:8
編集われを仇の手にとぢこめしめたまはず わが足をひろきところに立たまへばなり
31:9
編集われ迫りくるしめり ヱホバよ我をあはれみたまへ わが目はうれひによりておとろふ 霊魂も身もまた衰へぬ
31:10
編集わが生命はかなしみによりて消えゆき わが年華はなげきによりて消ゆけばなり わが力はわが不義によりておとろへ わが骨はかれはてたり
31:11
編集われもろもろの仇ゆゑにそしらる わが隣にはわけて甚だし相識ものには忌憚られ衢にてわれを見るもの避てのがる
31:12
編集われは死たるもののごとく忘られて人のこころに置れず われはやぶれたる器もののごとくなれり
31:13
編集そは我おほくの人のそしりをきい到るところに懼あり かれら我にさからひて互にはかりしが わが生命をさへとらんと企てたり
31:14
編集されどヱホバよわれ汝によりたのめり また汝はわが神なりといへり
31:15
編集わが時はすべてなんぢの手にあり ねがはくはわれを仇の手よりたすけ われに追迫るものより助けいだしたまへ
31:16
編集なんぢの僕のうへに聖顔をかがやかせ なんぢの仁慈をもて我をすくひたまヘ
31:17
編集ヱホバよわれに愧をおはしめ給ふなかれ そは我なんぢをよべばなり 願くはあしきものに恥をうけしめ陰府にありて口をつぐましめ給へ
31:18
編集傲慢と軽侮とをもて義きものにむかひ妄りにののしるいつはりの口唇をつぐましめたまへ
31:19
編集汝をおそるる者のためにたくはへ なんぢに依頼むもののために人の子のまへにてほどこしたまへる汝のいつくしみは大なるかな
31:20
編集汝かれらを御前なるひそかなる所にかくして人の謀略よりまぬかれしめ また行宮のうちにひそませて舌のあらそひをさけしめたまはん
31:21
編集讃べきかなヱホバは堅固なる城のなかにて奇しまるるばかりの仁慈をわれに顕したまへり
31:22
編集われ驚きあわてていへらく なんぢの目のまへより絶れたりと 然どわれ汝によびもとめしとき汝わがねがひの聲をききたまへり
31:23
編集なんぢらもろもろの聖徒よヱホバをいつくしめ ヱホバは眞實あるものをまもり傲慢者におもく報をほどこしたまふ
31:24
編集すべてヱホバを俟望むものよ雄々しかれ なんぢら心をかたうせよ
第32篇
編集ダビデの訓諭のうた
32:1
編集その愆をゆるされその罪をおほはれしものは福ひなり
32:2
編集不義をヱホバに負せられざるもの心にいつはりなき者はさいはひなり
32:3
編集我いひあらはさざりしときは終日かなしみさけびたるが故にわが骨ふるびおとろへたり
32:4
編集なんぢの手はよるも晝もわがうへにありて重し わが身の潤澤はかはりて夏の旱のごとくなれりセラ
32:5
編集斯てわれなんぢの前にわが罪をあらはしわが不義をおほはざりき 我いへらくわが愆をヱホバにいひあらはさんと 斯るときしも汝わがつみの邪曲をゆるしたまへりセラ
32:6
編集されば神をうやまふ者はなんぢに遇ことをうべき間になんぢに祈らん 大水あふれ流るるともかならずその身におよばじ
32:7
編集汝はわがかくるべき所なり なんぢ患難をふせぎて我をまもり救のうたをもて我をかこみたまはんセラ
32:8
編集われ汝ををしへ汝をあゆむべき途にみちびき わが目をなんぢに注てさとさん
32:9
編集汝等わきまへなき馬のごとく驢馬のごとくなるなかれ かれらは鑣たづなのごとき具をもてひきとめずば近づききたることなし
32:10
編集惡者はかなしみ多かれどヱホバに依頼むものは憐憫にてかこまれん
32:11
編集ただしき者よヱホバを喜びたのしめ 凡てこころの直きものよ喜びよばふべし
第33篇
編集33:1
編集ただしき者よヱホバによりてよろこべ 讃美はなほきものに適はしきなり
33:2
編集琴をもてヱホバに感謝せよ 十絃のことをもてヱホバをほめうたへ
33:3
編集あたらしき歌をヱホバにむかひてうたひ歓喜の聲をあげてたくみに琴をかきならせ
33:4
編集ヱホバのことばは直く そのすべて行ひたまふところ眞實なればなり
33:5
編集ヱホバは義と公平とをこのみたまふ その仁慈はあまねく地にみつ
33:6
編集もろもろの天はヱホバのみことばによりて成り てんの萬軍はヱホバの口の氣によりてつくられたり
33:7
編集ヱホバはうみの水をあつめてうづだかくし深淵を庫にをさめたまふ
33:8
編集全地はヱホバをおそれ世にすめるもろもろの人はヱホバをおぢかしこむべし
33:9
編集そはヱホバ言たまへば成り おほせたまへば立るがゆゑなり
33:10
編集ヱホバはもろもろの國のはかりごとを虚くし もろもろの民のおもひを徒勞にしたまふ
33:11
編集ヱホバの謀略はとこしへに立ち そのみこころのおもひは世々にたつ
33:12
編集ヱホバをおのが神とする國はさいはひなり ヱホバ嗣業にせんとて撰びたまへるその民はさいはひなり
33:13
編集ヱホバ天よりうかがひてすべての人の子を見
33:14
編集その在すところより地にすむもろもろの人をみたまふ
33:15
編集ヱホバはすべてかれらの心をつくり その作ところをことごとく鑒みたまふ
33:16
編集王者いくさびと多をもて救をえず勇士ちから大なるをもて助をえざるなり
33:17
編集馬はすくひに益なく その大なるちからも人をたすくることなからん
33:18
編集視よヱホバの目はヱホバをおそるるもの並その憐憫をのぞむもののうへにあり
33:19
編集此はかれらのたましひを死よりすくひ饑饉たるときにも世にながらへしめんがためなり
33:20
編集われらのたましひはヱホバを侯望めり ヱホバはわれらの援われらの盾なり
33:21
編集われらはきよき名にりたのめり 斯てぞわれらの心はヱホバにありてよろこばん
33:22
編集ヱホバよわれら汝をまちのぞめり これに循ひて憐憫をわれらのうへに垂たまへ
第34篇
編集ダビデ、アビメレクのまへにて狂へる状をなし逐れていでさりしときに作れるうた
34:1
編集われつねにヱホバを祝ひまつらんその頌詞はわが口にたえじ
34:2
編集わがたましひはヱホバによりて誇らん 謙だるものは之をききてよろこばん
34:3
編集われとともにヱホバを崇めよ われらともにその名をあげたたへん
34:4
編集われヱホバを尋ねたればヱホバわれにこたへ我をもろもろの畏懼よりたすけいだしたまへり
34:5
編集かれらヱホバを仰ぎのぞみて光をかうぶれり かれらの面ははぢあからむことなし
34:6
編集この苦しむもの叫びたればヱホバこれをきき そのすべての患難よりすくひいだしたまへり
34:7
編集ヱホバの使者はヱホバをおそるる者のまはりに營をつらねてこれを援く
34:8
編集なんぢらヱホバの恩惠ふかきを嘗ひしれ ヱホバによりたのむ者はさいはひなり
34:9
編集ヱホバの聖徒よヱホバを畏れよヱホバをおそるるものには乏しきことなければなり
34:10
編集わかき獅はともしくして饑ることあり されどヱホバをたづぬるものは嘉物にかくることあらじ
34:11
編集子よきたりて我にきけ われヱホバを畏るべきことを汝等にをしへん
34:12
編集福祉をみんがために生命をしたひ存へんことをこのむ者はたれぞや
34:13
編集なんぢの舌をおさへて惡につかしめず なんぢの口唇をおさへて虚偽をいはざらしめよ
34:14
編集惡をはなれて善をおこなひ和睦をもとめて切にこのことを勉めよ
34:15
編集ヱホバの目はただしきものをかへりみ その耳はかれらの號呼にかたぶく
34:16
編集ヱホバの聖顔はあくをなす者にむかひてその跡を地より断滅したまふ
34:17
編集義者さけびたればヱホバ之をききてそのすべての患難よりたすけいだしたまへり
34:18
編集ヱホバは心のいたみかなしめる者にちかく在してたましひの悔頽れたるものをすくひたまふ
34:19
編集ただしきものは患難おほし されどヱホバはみなその中よりたすけいだしたまふ
34:20
編集ヱホバはかれがすべての骨をまもりたまふ その一つだに折らるることなし
34:21
編集惡はあしきものをころさん 義人をにくむものは刑なはるべし
34:22
編集ヱホバはその僕等のたましひを贖ひたまふ ヱホバに依頼むものは一人だにつみなはるることなからん
第35篇
編集ダビデのうた
35:1
編集ヱホバよねがはくは我にあらそふ者とあらそひ我とたたかふものと戦ひたまへ
35:2
編集干と大盾とをとりてわが援にたちいでたまへ
35:3
編集戟をぬきいだしたまひて我におひせまるものの途をふさぎ且わが霊魂にわれはなんぢの救なりといひたまへ
35:4
編集願くはわが霊魂をたづぬるものの恥をえていやしめられ 我をそこなはんと謀るものの退けられて惶てふためかんことを
35:5
編集ねがはくはかれらが風のまへなる粃糠のごとくなりヱホバの使者におひやられんことを
35:6
編集願くはかれらの途をくらくし滑らかにしヱホバの使者にかれらを追ゆかしめたまはんことを
35:7
編集かれらは故なく我をとらへんとて網をあなにふせ 故なくわが霊魂をそこなはんとて阱をうがちたればなり
35:8
編集願くはかれらが思ひよらぬ間にほろびきたり己がふせたる網にとらへられ自らその滅におちいらんことを
35:9
編集然ときわが霊魂はヱホバによりてよろこび その救をもて樂しまん
35:10
編集わがすべての骨はいはん ヱホバよ汝はくるしむものを之にまさりて力つよきものより並くるしむもの貧しきものを掠めうばふ者よりたすけいだし給ふ 誰かなんぢに比ふべき者あらんと
35:11
編集こころあしき證人おこりてわが知ざることを詰りとふ
35:12
編集かれらは惡をもてわが善にむくい我がたましひを依仗なきものとせり
35:13
編集然どわれかれらが病しときには麁服をつけ糧をたちてわが霊魂をくるしめたり わが祈はふところにかへれり
35:14
編集わがかれに作ることはわが友わが兄弟にことならず母の喪にありて痛哭がごとく哀しみうなたれたり
35:15
編集然どかれらはわが倒れんとせしとき喜びつどひわが知ざりしとき匪類あつまりきたりて我をせめ われを裂てやめざりき
35:16
編集かれらは洒宴にて穢きことをのぶる嘲笑者のごとく我にむかひて歯をかみならせり
35:17
編集主よいたづらに見るのみにして幾何時をへたまふや 願くはわがたましひの彼等にほろぼさるるを脱れしめ わが生命をわかき獅よりまぬかれしめたまへ
35:18
編集われ大なる會にありてなんぢに感謝し おほくの民のなかにて汝をほめたたへん
35:19
編集虚偽をもてわれに仇するもののわが故によろこぶことを容したまなかれ 故なくして我をにくむ者のたがひに眴せすることなからしめたまへ
35:20
編集かれらは平安をかたらず あざむきの言をつくりまうけて國内におだやかにすまふ者をそこなはんと謀る
35:21
編集然のみならず我にむかひて口をあけひろげ ああ視よや視よやわれらの眼これをみたりといへり
35:22
編集ヱホバよ汝すでにこれを視たまへり ねがはくは黙したまふなかれ主よわれに遠ざかりたまふなかれ
35:23
編集わが神よわが主よ おきたまへ醒たまへ ねがはくはわがために審判をなしわが訟ををさめたまへ
35:24
編集わが神ヱホバよなんぢの義にしたがひて我をさばきたまへ わが事によりてかれらに歓喜をえしめたまふなかれ
35:25
編集かれらにその心裡にて ああここちよきかな観よこれわが願ひしところなりといはしめたまふなかれ 又われらかれを呑つくせりといはしめたまふなかれ
35:26
編集願くはわが害なはるるを喜ぶもの皆はぢて惶てふためき 我にむかひてはこりかに高ぶるものの愧とはづかしめとを衣んことを
35:27
編集わが義をよみする者をばよろこび謳はしめ大なるかなヱホバその僕のさいはひを悦びたまふと恒にいはしめたまへ
35:28
編集わが舌は終日なんぢの義となんぢの誉とをかたらん
第36篇
編集伶長にうたはしめたるヱホバの僕ダビデのうた
36:1
編集あしきものの愆はわが心のうちにかたりて その目のまへに神をおそるるの畏あることなしといふ
36:2
編集かれはおのが邪曲のあらはるることなく憎まるることなからんとて自からその目にて謟る
36:3
編集その口のことばは邪曲と虚偽となり智をこばみ善をおこなふことを息たり
36:4
編集かつその寝床にてよこしまなる事をはかり よからぬ途にたちとまりて惡をきらはず
36:5
編集ヱホバよなんぢの仁慈は天にあり なんぢの眞實は雲にまでおよぶ
36:6
編集汝のただしきは神の山のごとく なんぢの審判はおほいなる淵なり ヱホバよなんぢは人とけものとを護りたまふ
36:7
編集神よなんぢの仁慈はたふときかな 人の子はなんぢの翼の蔭にさけどころを得
36:8
編集なんぢの屋のゆたかなるによりてことごとく飽ことをえん なんぢはその歓樂のかはの水をかれらに飮しめたまはん
36:9
編集そはいのちの泉はなんぢに在り われらはなんぢの光によりて光をみん
36:10
編集ねがはくはなんぢを知るものにたえず憐憫をほどこし心なほき者にたえず正義をほどこしたまへ
36:11
編集たかぶるものの足われをふみ惡きものの手われを逐去ふをゆるし給ふなかれ
36:12
編集邪曲をおこなふ者はかしこに仆れたり かれら打伏られてまた起ことあたはざるべし
第37篇
編集ダビデのうた
37:1
編集惡をなすものの故をもて心をなやめ 不義をおこなふ者にむかひて嫉をおこすなかれ
37:2
編集かれらはやがて草のごとくかりとられ青菜のごとく打萎るべければなり
37:3
編集ヱホバによりたのみて善をおこなへ この國にとどまり眞實をもて糧とせよ
37:4
編集ヱホバによりて歓喜をなせ ヱホバはなんぢが心のねがひを汝にあたへたまはん
37:5
編集なんぢの途をヱホバにゆだねよ 彼によりたのまば之をなしとげ
37:6
編集光のごとくなんぢの義をあきらかにし午日のごとくなんぢの訟をあきらかにしたまはん
37:7
編集なんぢヱホバのまへに口をつぐみ忍びてこれを俟望め おのが途をあゆみて榮るものの故をもて あしき謀略をとぐる人の故をもて心をなやむるなかれ
37:8
編集怒をやめ忿恚をすてよ 心をなやむるなかれ これ惡をおこなふ方にうつらん
37:9
編集そは惡をおこなふものは断滅され ヱホバを俟望むものは國をつぐべければなり
37:10
編集あしきものは久しからずしてうせん なんぢ細密にその處をおもひみるともあることなからん
37:11
編集されど謙だるものは國をつぎ また平安のゆたかなるを樂まん
37:12
編集惡きものは義きものにさからはんとて謀略をめぐらし之にむかひて切歯す
37:13
編集主はあしきものを笑ひたまはん かれが日のきたるを見たまへばなり
37:14
編集あしきものは劍をぬき弓をはりて苦しむものと貧しきものとをたふし行ひなほきものを殺さんとせり
37:15
編集されどその劍はおのが胸をさしその弓はをらるべし
37:16
編集義人のもてるもののすくなきは多くの惡きものの豊かなるにまされり
37:17
編集そは惡きものの臂はをらるれどヱホバは義きものを扶持たまへばなり
37:18
編集ヱホバは完全もののもろもろの日をしりたまふ かれらの嗣業はかぎりなく久しからん
37:19
編集かれらは禍害にあふとき愧をおはず饑饉の日にもあくことを得ん
37:20
編集あしき者ははろびヱホバのあたは牧場のさかえの枯るがごとくうせ烟のごとく消ゆかん
37:21
編集あしき者はものかりて償はず 義きものは惠ありて施しあたふ
37:22
編集神のことほぎたまふ人は國をつぎ 神ののろひたまふ人は断滅さるべし
37:23
編集人のあゆみはヱホバによりて定めらる そのゆく途をヱホバよろこびたまへり
37:24
編集縦ひその人たふるることありとも全くうちふせらるることなし ヱホバかれが手をたすけ支へたまへばなり
37:25
編集われむかし年わかくして今おいたれど 義者のすてられ或はその裔の糧こひありくを見しことなし
37:26
編集ただしきものは終日めぐみありて貸あたふ その裔はさいはひなり
37:27
編集惡をはなれて善をなせ 然ばなんぢの住居とこしへならん
37:28
編集ヱホバは公平をこのみ その聖徒をすてたまはざればなり かれらは永遠にまもりたすけらるれど惡きもののすゑは断滅さるべし
37:29
編集ただしきものは國をつぎ その中にすまひてとこしへに及ばん
37:30
編集ただしきものの口は智慧をかたり その舌は公平をのぶ
37:31
編集かれが神の法はそのこころにあり そのあゆみは一歩だにすべることあらじ
37:32
編集あしきものは義者をひそみうかがひて之をころさんとはかる
37:33
編集ヱホバは義者をあしきものの手にのこしおきたまはず 審判のときに罰ひたまふことなし
37:34
編集ヱホバを俟望みてその途をまもれ さらば汝をあげて國をつがせたまはん なんぢ惡者のたちほろぼさるる時にこれをみん
37:35
編集我あしきものの猛くしてはびこれるを見るに生立たる地にさかえしげれる樹のごとし
37:36
編集然れどもかれは逝ゆけり 視よたちまちに無なりぬ われ之をたづねしかど邁ことをえざりき
37:37
編集完人に目をそそぎ直人をみよ 和平なる人には後あれど
37:38
編集罪ををかすものらは共にほろぼされ惡きものの後はかならず断るべければなり
37:39
編集ただしきものの救はヱホバよりいづ ヱホバはかれらが辛苦のときの保砦なり
37:40
編集ヱホバはかれらを助け かれらを解脱ちたまふ ヱホバはかれらを惡者よりときはなちて救ひたまふ かれらはヱホバをその避所とすればなり
第38篇
編集記念のためにつくれるダビデのうた
38:1
編集ヱホバよねがはくは忿恚をもて我をせめ はげしき怒をもて我をこらしめ給ふなかれ
38:2
編集なんぢの矢われにあたり なんぢの手わがうへを壓へたり
38:3
編集なんぢの怒によりてわが肉には全きところなく わが罪によりてわが骨には健かなるところなし
38:4
編集わが不義は首をすぎてたかく重荷のごとく負がたければなり
38:5
編集われ愚なるによりてわが傷あしき臭をはなちて腐れただれたり
38:6
編集われ折屈みていたくなげきうなたれたり われ終日かなしみありく
38:7
編集わが腰はことごとく焼るがごとく肉に全きところなければなり
38:8
編集我おとろへはて甚くきずつけられわが心のやすからざるによりて欷歔さけべり
38:9
編集ああ主よわがすべての願望はなんぢの前にあり わが嘆息はなんぢに隠るることなし
38:10
編集わが胸をどりわが力おとろへ わが眼のひかりも亦われをはなれたり
38:11
編集わが友わが親めるものはわが痍をみて遥にたち わが隣もまた遠かりてたてり
38:12
編集わが生命をたづぬるものは羂をまうけ我をそこなはんとするものは惡言をいひ また終日たばかりを謀る
38:13
編集然はあれどわれは聾者のごとくきかず われは口をひらかぬ唖者のごとし
38:14
編集如此われはきかざる人のごとく口にことあげせぬ人のごときなり
38:15
編集ヱホバよ我なんぢを俟望めり 主わが神よなんぢかならず答へたまふべければなり
38:16
編集われ曩にいふ おそらくはかれらわが事によりて喜び わが足のすべらんとき我にむかひて誇りかにたかぶらんと
38:17
編集われ仆るるばかりになりぬ わが悲哀はたえずわが前にあり
38:18
編集そは我みづから不義をいひあらはし わが罪のためにかなしめばなり
38:19
編集わが仇はいきはたらきてたけく故なくして我をうらむるものおほし
38:20
編集惡をもて善にむくゆるものはわれ善事にしたがふが故にわが仇となれり
38:21
編集ヱホバよねがはくは我をはなれたたまふなかれ わが神よわれに遠かりたまふなかれ
38:22
編集主わがすくひよ速きたりて我をたすけたまへ
第39篇
編集伶長エドトンにうたはしめたるダビデのうた
39:1
編集われ曩にいへり われ舌をもて罪ををかさざらんために我すべての途をつつしみ惡者のわがまへに在るあひだはわが口に衝をかけんと
39:2
編集われ黙して唖となり善言すらことばにいださず わが憂なほおこれり
39:3
編集わが心わがうちに熱し おもひつづくるほどに火もえぬればわれ舌をもていへらく
39:4
編集ヱホバよ願くはわが終とわが日の數のいくばくなるとを知しめたまへ わが無常をしらしめたまへ
39:5
編集観よなんぢわがすべての日を一掌にすぎさらしめたまふ わがかいのち主前にてはなきにことならず 實にすべての人は皆その盛時だにもむなしからざるはなしセラ
39:6
編集人の世にあるは影にことならず その思ひなやむことはむなしからざるなし その積蓄ふるものはたが手にをさまるをしらず
39:7
編集主よわれ今なにをかまたん わが望はなんぢにあり
39:8
編集ねがはくは我ぞすべて愆より助けいだしたまへ 愚なるものに誹らるることなからしめたまへ
39:9
編集われは黙して口をひらかず 此はなんぢの成したまふ者なればなり
39:10
編集願くはなんぢの責をわれよりはなちたまへ 我なんぢの手にうちこらさるるによりて亡ぶるばかりになりぬ
39:11
編集なんぢ罪をせめて人をこらし その慕ひよろこぶところのものを蠧のくらふがごとく消うせしめたまふ 實にもろもろの人はむなしからざるなしセラ
39:12
編集ああヱホバよねがはくはわが祈をきき わが號呼に耳をかたぶけたまへ わが涙をみて黙したまふなかれ われはなんぢに寄る旅客すべてわが列祖のごとく宿れるものなり
39:13
編集我ここを去てうせざる先になんぢ面をそむけてわれを爽快ならしめたまへ
第40篇
編集伶長にうたはしめたるダビデのうた
40:1
編集我たへしのびてヱホバを俟望みたり ヱホバ我にむかひてわが號呼をききたまへり
40:2
編集また我をほろびの阱より泥のなかよりとりいだしてわが足を磐のうへにおきわが歩をかたくしたまへり
40:3
編集ヱホバはあたらしき歌をわが口にいれたまへり此はわれらの神にささぐる讃美なり おほくの人はこれを見ておそれ かつヱホバによりたのまん
40:4
編集ヱホバをおのが頼となし高るものによらず虚偽にかたぶく者によらざる人はさいはひなり
40:5
編集わが神ヱホバよなんぢの作たまへる奇しき迹と われらにむかふ念とは甚おほくして汝のみまへにつらねいふことあたはず 我これをいひのべんとすれどその數かぞふることあたはず
40:6
編集なんぢ犠牲と祭物とをよろこびたまはず汝わが耳をひらきたたまへり なんぢ燔祭と罪祭とをもとめたまはず
40:7
編集そのとき我いへらく 観よわれきたらんわがことを書の巻にしるしたり
40:8
編集わが神よわれは聖意にしたがふことを樂む なんぢの法はわが心のうちにありと
40:9
編集われ大なる會にて義をつげしめせり 視よわれ口唇をとぢず ヱホバよなんぢ之をしりたまふ
40:10
編集われなんぢの義をわが心のうちにひめおかず なんぢの眞實となんぢの拯救とをのべつたへたり 我なんぢの仁慈となんぢの眞理とをおほいなる會にかくさざりき
40:11
編集ヱホバよなんぢ憐憫をわれにをしみたまふなかれ 仁慈と眞理とをもて恒にわれをまもりたまへ
40:12
編集そはかぞへがたき禍害われをかこみ わが不義われに追及てあふぎみること能はぬまでになりぬ その多きことわが首の髪にもまさり わが心きえうするばかりなればなり
40:13
編集ヱホバよ願くはわれをすくひたまヘ ヱホバよ急ぎきたりて我をたすけたまへ
40:14
編集願くはわが霊魂をたづねほろぼさんとするものの皆はぢあわてんことを わが害はるるをよろこぶもののみな後にしりぞきて恥をおはんことを
40:15
編集われにむかひて ああ視よや視よやといふ者おのが恥によりておどろきおそれんことを
40:16
編集願くはなんぢを尋求むるものの皆なんぢによりて樂みよろこばんことを なんぢの救をしたふものの恒にヱホバは大なるかなととなへんことを
40:17
編集われはくるしみ且ともし 主われをねんごろに念ひたまふ なんぢはわが助なり われをすくひたまふ者なり ああわが神よねがはくはためらひたまふなかれ
第41篇
編集うたのかみに謳はしめたるダビデのうた
41:1
編集よわき人をかへりみる者はさいはひなり ヱホバ斯るものを禍ひの日にたすけたまはん
41:2
編集ヱホバ之をまもり之をながらへしめたまはん かれはこの地にありて福祉をえん なんぢ彼をその仇ののぞみにまかせて付したまふなかれ
41:3
編集ヱホバは彼がわづらひの床にあるをたすけ給はん なんぢかれが病るときその衾裯をしきかへたまはん
41:4
編集我いへらくヱホバよわれを憐みわがたましひを醫したまへ われ汝にむかひて罪ををかしたりと
41:5
編集わが仇われをそしりていへり 彼いづれのときに死いづれのときにその名ほろびんと
41:6
編集かれ又われを見んとてきたるときは虚偽をかたり邪曲をその心にあつめ 外にいでてはこれを述ぶ
41:7
編集すべてわれをにくむもの互ひにささやき我をそこなはんとて相謀る
41:8
編集かつ云 かれに一のわざはひつきまとひたれば仆れふしてふたたび起ることなからんと
41:9
編集わが恃みしところ わが糧をくらひしところのわが親しき友さへも我にそむきてその踵をあげたり
41:10
編集然はあれどヱホバよ汝ねがはくは我をあはれみ我をたすけて起したまへ されば我かれらに報ることをえん
41:11
編集わが仇われに打勝ちてよろこぶこと能はざるをもて汝がわれを愛でいつくしみたまふを我しりぬ
41:12
編集わが事をいはば なんぢ我をわが完全うちにてたもち我をとこしへに面のまへに置たまふ
41:13
編集イスラエルの神ヱホバはとこしへより永遠までほむべきかな アーメン アーメン
第42篇
編集伶長にうたはしめたるコラの子のをしへの歌
42:1
編集ああ神よしかの渓水をしたひ喘ぐがごとく わが霊魂もなんぢをしたひあへぐなり
42:2
編集わがたましひは渇けるごとくに神をしたふ 活神をぞしたふ 何れのときにか我ゆきて神のみまへにいでん
42:3
編集かれらが終日われにむかひて なんぢの神はいづくにありやとののしる間はただわが涙のみ晝夜そそぎてわが糧なりき
42:4
編集われむかし群をなして祭日をまもる衆人とともにゆき歓喜と讃美のこゑをあげてかれらを神の家にともなへり 今これらのことを追想してわが衷よりたましひを注ぎいだすなり
42:5
編集ああわが霊魂よ なんぢ何ぞうなたるるや なんぞわが衷におもひみだるるや なんぢ神をまちのぞめ われに聖顔のたすけありて我なほわが神をほめたたふべければなり
42:6
編集わが神よわがたましひはわが衷にうなたる 然ばわれヨルダンの地よりヘルモンよりミザルの山より汝をおもひいづ
42:7
編集なんぢの大瀑のひびきによりて淵々よびこたへ なんぢの波なんぢの猛浪ことごとくわが上をこえゆけり
42:8
編集然はあれど晝はヱホバその憐憫をほどこしたまふ 夜はその歌われとともにあり 此うたはわがいのちの神にささぐる祈なり
42:9
編集われわが磐なる神にいはん なんぞわれを忘れたまひしや なんぞわれは仇のしへたげによりて悲しみありくや
42:10
編集わが骨もくだくるばかりにわがてきはひねもす我にむかひて なんぢの神はいづくにありやといひののしりつつ我をそしれり
42:11
編集ああわがたましひよ 汝なんぞうなたるるや 何ぞわがうちに思ひみだるるや なんぢ神をまちのぞめ われ尚わがかほの助なるわが神をほめたたふべければなり
第43篇
編集43:1
編集神よねがはくは我をさばき 情しらぬ民にむかひてわが訟をあげつらひ詭計おほきよこしまなる人より我をたすけいだし給へ
43:2
編集なんぢはわが力の神なり なんぞ我をすてたまひしや 何ぞわれは仇の暴虐によりてかなしみありくや
43:3
編集願くはなんぢの光となんぢの眞理とをはなち我をみちびきてその聖山とその帷幄とにゆかしめたまへ
43:4
編集さらばわれ神の祭壇にゆき又わがよろこびよろこぶ神にゆかん ああ神よわが神よわれ琴をもてなんぢを讃たたへん
43:5
編集ああわが霊魂よなんぢなんぞうなたるるや なんぞわが衷におもひみだるるや なんぢ神によりて望をいだけ 我なほわが面のたすけなるわが神をほめたたふべければなり
第44篇
編集伶長にうたはしめたるコラの子のをしへの歌
44:1
編集ああ神よむかしわれらの列祖の日になんぢがなしたまひし事迹をわれら耳にきけり 列祖われらに語れり
44:2
編集なんぢ手をもてもろもろの國人をおひしりぞけ われらの列祖をうゑ並もろもろの民をなやましてわれらの列祖をはびこらせたまひき
44:3
編集かれらはおのが劍によりて國をえしにあらず おのが臂によりて勝をえしにあらず 只なんぢの右の手なんぢの臂なんぢの面のひかりによれり 汝かれらを惠みたまひたればなり
44:4
編集神よなんぢはわが王なり ねがはくはヤコブのために救をほどこしたまへ
44:5
編集われらは汝によりて敵をたふし また我儕にさからひて起りたつものをなんぢの名によりて踐壓ふべし
44:6
編集そはわれわが弓によりたのまず わが劍もまた我をすくふことあたはざればなり
44:7
編集なんぢわれらを敵よりすくひ またわれらを惡むものを辱かしめたまへり
44:8
編集われらはひねもす神によりてほこり われらは永遠になんぢの名に感謝せんセラ
44:9
編集しかるに今はわれらをすてて恥をおはせたまへり われらの軍人とともに出ゆきたまはず
44:10
編集われらを敵のまへより退かしめたまへり われらを惡むものその任意にわれらを掠めうばへり
44:11
編集なんぢわれらを食にそなへらるる羊のごとくにあたへ斯てわれらをもろもろの國人のなかにちらし
44:12
編集得るところなくしてなんぢの民をうり その價によりてなんぢの富をましたまはざりき
44:13
編集汝われらを隣人にそしらしめ われらを環るものにあなどらしめ 嘲けらしめたまへり
44:14
編集又もろもろの國のなかにわれらを談柄となし もろもろの民のなかにわれらを頭ふらるる者となしたまへり
44:15
編集わが凌辱ひねもす我がまへにあり わがかほの恥われをおほへり
44:16
編集こは我をそしり我をののしるものの聲により我にあだし我にうらみを報るものの故によるなり
44:17
編集これらのこと皆われらに臨みきつれどわれらなほ汝をわすれず なんぢの契約をいつはりまもらざりき
44:18
編集われらの心しりぞかずわれらの歩履なんぢの道をはなれず
44:19
編集然どなんぢは野犬のすみかにてわれらをきずつけ死蔭をもてわれらをおほひ給へり
44:20
編集われらもしおのれの神の名をわすれ或はわれらの手を異神にのべしことあらんには
44:21
編集神はこれを糺したまはざらんや 神はこころの隠れたることをも知たまふ
44:22
編集われらは終日なんぢのために死にわたされ屠られんとする羊の如くせられたり
44:23
編集主よさめたまへ何なればねぶりたまふや起たまへ われらをとこしへに棄たまふなかれ
44:24
編集いかなれば聖顔をかくしてわれらがうくる苦難と虐待とをわすれたまふや
44:25
編集われらのたましひはかがみて塵にふし われらの腹は土につきたり
44:26
編集ねがはくは起てわれらをたすけたまへ なんぢの仁慈のゆゑをもてわれらを贖ひたまへ
第45篇
編集百合花のしらべにあはせて伶長にうたはしめたるコラの子のをしへのうた 愛のうた
45:1
編集わが心はうるはしき事にてあふる われは王のために詠たるものをいひいでん わが舌はすみやけく寫字人の筆なり
45:2
編集なんぢは人の子輩にまさりて美しく文雅そのくちびるにそそがる このゆゑに神はとこしへに汝をさいはひしたまへり
45:3
編集英雄よなんぢその劍その榮その威をこしに佩べし
45:4
編集なんぢ眞理と柔和とただしきとのために威をたくましくし勝をえて乗すすめ なんぢの右手なんぢに畏るべきことををしへん
45:5
編集なんぢの矢は鋭して王のあたの胸をつらぬき もろもろの民はなんぢの下にたふる
45:6
編集神よなんぢの寳座はいやとほ永くなんぢの國のつゑは公平のつゑなり
45:7
編集なんぢは義をいつくしみ惡をにくむ このゆゑに神なんぢの神はよろこびの膏をなんぢの侶よりまさりて汝にそそぎたまへり
45:8
編集なんぢの衣はみな没薬蘆薈肉桂のかをりあり 琴瑟の音ざうげの諸殿よりいでて汝をよろこばしめたり
45:9
編集なんぢがたふとき婦のなかにはもろもろの王のむすめあり 皇后はオフルの金をかざりてなんぢの右にたつ
45:10
編集女よきけ目をそそげ なんぢの耳をかたぶけよ なんぢの民となんぢが父の家とをわすれよ
45:11
編集さらば王はなんぢの美麗をしたはん 王はなんぢの主なりこれを伏拝め
45:12
編集ツロの女は贈物をもてきたり民間のとめるものも亦なんぢの惠をこひもとめん
45:13
編集王のむすめは殿のうちにていとど榮えかがやき そのころもは金をもて織なせり
45:14
編集かれは鍼繍せる衣をきて王のもとにいざなはる 之にともなへる處女もそのあとにしたがひて汝のもとにみちびかれゆかん
45:15
編集かれらは歓喜と快樂とをもていざなはれ斯して王の殿にいらん
45:16
編集なんぢの子らは列祖にかはりてたち なんぢはこれを全地に君となさん
45:17
編集我なんぢの名をよろづ代にしらしめん この故にもろもろの民はいやとほ永くなんぢに感謝すべし
第46篇
編集女音のしらべにしたがひて伶長にうたはしめたるコラの子のうた
46:1
編集神はわれらの避所また力なり なやめるときの最ちかき助なり
46:2
編集さればたとひ地はかはり山はうみの中央にうつるとも我儕はおそれじ
46:3
編集よしその水はなりとどろきてさわぐとも その溢れきたるによりて山はゆるぐとも何かあらんセラ
46:4
編集河ありそのながれは神のみやこをよろこばしめ至上者のすみたまふ聖所をよろこばしむ
46:5
編集神そのなかにいませば都はうごかじ 神は朝つとにこれを助けたまはん
46:6
編集もろもろの民はさわぎたち もろもろの國はうごきたり 神その聲をいだしたまへば地はやがてとけぬ
46:7
編集萬軍のヱホバはわれらとともなり ヤコブの神はわれらのたかき櫓なりセラ
46:8
編集きたりてヱホバの事跡をみよ ヱホバはおほくの懼るべきことを地になしたまへり
46:9
編集ヱホバは地のはてまでも戰闘をやめしめ弓ををり戈をたち戰車を火にてやきたまふ
46:10
編集汝等しづまりて我の神たるをしれ われはもろもろの國のうちに崇められ全地にあがめらるべし
46:11
編集萬軍のヱホバはわれらと偕なり ヤコブの神はわれらの高きやぐらなりセラ
第47篇
編集伶長にうたはしめたるコラの子のうた
47:1
編集もろもろのたみよ手をうち歓喜のこゑをあげ神にむかひてさけべ
47:2
編集いとたかきヱホバはおそるべく また地をあまねく治しめす大なる王にてましませばなり
47:3
編集ヱホバはもろもろの民をわれらに服はせ もろもろの國をわれらの足下にまつろはせたまふ
47:4
編集又そのいつくしみたまふヤコブが譽とする嗣業をわれらのために選びたまはんセラ
47:5
編集神はよろこびさけぶ聲とともにのぼり ヱホバはラッパの聲とともにのぼりたまへり
47:6
編集ほめうたへ神をほめうたへ 頌歌へわれらの王をほめうたへ
47:7
編集かみは地にあまねく王なればなり 教訓のうたをうたひてほめよ
47:8
編集神はもろもろの國をすべをさめたまふ 神はそのきよき寳座にすわりたまふ
47:9
編集もろもろのたみの諸侯はつどひきたりてアブラハムの神の民となれり 地のもろもろの盾は神のものなり神はいとたふとし
第48篇
編集コラの子のうたなり讃美なり
48:1
編集ヱホバは大なり われらの神の都そのきよき山のうへにて甚くほめたたへられたまふべし
48:2
編集シオンの山はきたの端たかくしてうるはしく喜悦を地にあまねくあたふ ここは大なる王のみやこなり
48:3
編集そのもろもろの殿のうちに神はおのれをたかき櫓としてあらはしたまへり
48:4
編集みよ王等はつどひあつまりて偕にすぎゆきぬ
48:5
編集かれらは都をみてあやしみ且おそれて忽ちのがれされり
48:6
編集戰慄はかれらにのぞみ その苦痛は子をうまんとする婦のごとし
48:7
編集なんぢは東風をおこしてタルシシの舟をやぶりたまふ
48:8
編集曩にわれらが聞しごとく今われらは萬軍のヱホバの都われらの神のみやこにて之をみることをえたり 神はこの都をとこしへまで固くしたまはんセラ
48:9
編集神よ我らはなんぢの宮のうちにて仁慈をおもへり
48:10
編集神よなんぢの譽はその名のごとく地の極にまでおよべり なんぢの右手はただしきにて充り
48:11
編集なんぢのもろもろの審判によりてシオンの山はよろこびユダの女輩はたのしむべし
48:12
編集シオンの周圍をありき徧くめぐりてその櫓をかぞへよ
48:13
編集その石垣に目をとめよ そのもろもろの殿をみよ なんぢらこれを後代にかたりつたへんが爲なり
48:14
編集そはこの神はいや遠長にわれらの神にましましてわれらを死るまでみちびきたまはん
第49篇
編集伶長にうたはしめたるコラの子のうた
49:1
編集49:2
編集もろもろの民よきけ賤きも貴きも富るも貧きもすべて地にすめる者よ なんぢらともに耳をそばだてよ
49:3
編集わが口はかしこきことをかたり わが心はさときことを思はん
49:4
編集われ耳を喩言にかたぶけ琴をならしてわが幽玄なる語をときあらはさん
49:5
編集わが踵にちかかる不義のわれを打圍むわざはひの日もいかで懼るることあらんや
49:6
編集おのが富をたのみ財おほきを誇るもの
49:7
編集たれ一人おのが兄弟をあがなふことあたはず之がために贖價を神にささげ
49:8
編集49:9
編集之をとこしへに生存へしめて朽ざらしむることあたはず(霊魂をあがなふには費いとおほくして此事をとこしへに捨置ざるを得ざればなり)
49:10
編集そは智きものも死 おろかものも獣心者もひとしくほろびてその富を他人にのこすことは常にみるところなり
49:11
編集かれら竊におもふ わが家はとこしへに存りわがすまひは世々にいたらんと かれらはその地におのが名をおはせたり
49:12
編集されど人は譽のなかに永くとどまらず亡びうする獣のごとし
49:13
編集斯のごときは愚かなるものの途なり 然はあれど後人はその言をよしとせんセラ
49:14
編集かれらは羊のむれのごとくに陰府のものと定めらる 死これが牧者とならん直きもの朝にかれらををさめん その美容は陰府にほろぼされて宿るところなかるべし
49:15
編集されど神われを接たまふべければわが霊魂をあがなひて陰府のちからより脱かれしめたまはんセラ
49:16
編集人のとみてその家のさかえくははらんとき汝おそるるなかれ
49:17
編集かれの死るときは何一つたづさへゆくことあたはず その榮はこれにしたがひて下ることをせざればなり
49:18
編集かかる人はいきながらふるほどに己がたましひを祝するとも みづからを厚うするがゆゑに人々なんぢをほむるとも
49:19
編集なんぢ列祖の世にゆかん かれらはたえて光をみざるべし
49:20
編集尊貴なかにありて暁らざる人はほろびうする獣のごとし
第50篇
編集アサフのうた
50:1
編集ぜんのうの神ヱホバ詔命して日のいづるところより日のいるところまであまねく地をよびたまへり
50:2
編集かみは美麗の極なるシオンより光をはなちたまへり
50:3
編集われらの神はきたりて黙したまはじ火その前にものをやきつくし暴風その四周にふきあれん
50:4
編集神はその民をさばかんとて上なる天および地をよびたまへり
50:5
編集いはく祭物をもて我とけいやくをたてしわが聖徒をわがもとに集めよと
50:6
編集もろもろの天は神の義をあらはせり 神はみづから審士たればなりセラ
50:7
編集わが民よきけ我ものいはんイスラエルよきけ我なんぢにむかひて證をなさん われは神なんぢの神なり
50:8
編集わがなんぢを責るは祭物のゆゑにあらず なんぢの燔祭はつねにわが前にあり
50:9
編集我はなんぢの家より牡牛をとらず なんぢの牢より牡山羊をとらず
50:10
編集林のもろもろのけもの山のうへの千々の牲畜はみなわが有なり
50:11
編集われは山のすべての鳥をしる 野のたけき獣はみなわがものなり
50:12
編集世界とそのなかに充るものとはわが有なれば縦ひわれ飢るともなんぢに告じ
50:13
編集われいかで牡牛の肉をくらひ牡山羊の血をのまんや
50:14
編集感謝のそなへものを神にささげよ なんぢのちかひを至上者につくのへ
50:15
編集なやみの日にわれをよべ我なんぢを援けん而してなんぢ我をあがむべし
50:16
編集50:17
編集然はあれど神あしきものに言給く なんぢは教をにくみ わが言をその後にすつるものなるに何のかかはりありてわが律法をのべ わがけいやくを口にとりしや
50:18
編集なんぢ盗人をみれば之をよしとし姦淫をおこなふものの伴侶となれり
50:19
編集なんぢその口を惡にわたす なんぢの舌は詭計をくみなせり
50:20
編集なんぢ坐りて兄弟をそしり己がははの子を誣ののしれり
50:21
編集汝これらの事をなししをわれ黙しぬれば なんぢ我をおのれに恰にたるものとおもへり されど我なんぢを責めてその罪をなんぢの目前につらぬべし
50:22
編集神をわするるものよ今このことを念へ おそらくは我なんぢを抓さかんとき助るものあらじ
50:23
編集感謝のそなへものを献るものは我をあがむ おのれの行爲をつつしむ者にはわれ神の救をあらはさん
第51篇
編集ダビデがバテセバにかよひしのち預言者ナタンの來れるときよみて伶長にうたはしめたる歌
51:1
編集ああ神よねがはくはなんぢの仁慈によりて我をあはれみ なんぢの憐憫のおほきによりてわがもろもろの愆をけしたまへ
51:2
編集わが不義をことごとくあらひさり我をわが罪よりきよめたまへ
51:3
編集われはわが愆をしる わが罪はつねにわが前にあり
51:4
編集我はなんぢにむかひて獨なんぢに罪ををかし聖前にあしきことを行へり されば汝ものいふときは義とせられ なんぢ鞫くときは咎めなしとせられ給ふ
51:5
編集視よわれ邪曲のなかにうまれ罪ありてわが母われをはらみたりき
51:6
編集なんぢ眞實をこころの衷にまでのぞみ わが隠れたるところに智慧をしらしめ給はん
51:7
編集なんぢヒソブをもて我をきよめたまへ さらばわれ浄まらん 我をあらひたまへ さらばわれ雪よりも白からん
51:8
編集なんぢ我によろこびと快樂とをきかせ なんぢが碎きし骨をよろこばせたまへ
51:9
編集ねがはくは聖顔をわがすべての罪よりそむけ わがすべての不義をけしたまへ
51:10
編集ああ神よわがために清心をつくり わが衷になほき霊をあらたにおこしたまへ
51:11
編集われを聖前より棄たまふなかれ 汝のきよき霊をわれより取りたまふなかれ
51:12
編集なんぢの救のよろこびを我にかへし自由の霊をあたへて我をたもちたまへ
51:13
編集さらばわれ愆ををかせる者になんぢの途ををしへん罪人はなんぢに歸りきたるべし
51:14
編集神よわが救のかみよ血をながしし罪より我をたすけいだしたまへ わが舌は聲たからかになんぢの義をうたはん
51:15
編集主よわが口唇をひらきたまへ 然ばわが口なんぢの頌美をあらはさん
51:16
編集なんぢは祭物をこのみたまはず もし然らずば我これをささげん なんぢまた燔祭をも悦びたまはず
51:17
編集神のもとめたまふ祭物はくだけたる霊魂なり 神よなんぢは碎けたる悔しこころを藐しめたまふまじ
51:18
編集ねがはくは聖意にしたがひてシオンにさいはひし ヱルサレムの石垣をきづきたまへ
51:19
編集その時なんぢ義のそなへものと燔祭と全きはんさいとを悦びたまはん かくて人々なんぢの祭壇に牡牛をささぐべし
第52篇
編集エドム人ドエグ、サウルにきたりてダビデはアビメレクの家にきぬと告しときダビデがよみて伶長にうたはしめたる教訓のうた
52:1
編集猛者よなんぢ何なればあしき企圖をもて自らほこるや神のあはれみは恒にたえざるなり
52:2
編集なんぢの舌はあしきことをはかり利き剃刀のごとくいつはりをおこなふ
52:3
編集なんぢは善よりも惡をこのみ正義をいふよりも虚偽をいふをこのむセラ
52:4
編集たばかりの舌よなんぢはすべての物をくひほろぼす言をこのむ
52:5
編集されば神とこしへまでも汝をくだき また汝をとらへてその幕屋よりぬきいだし生るものの地よりなんぢの根をたやしたまはんセラ
52:6
編集義者はこれを見ておそれ彼をわらひていはん
52:7
編集神をおのが力となさず その富のゆたかなるをたのみ その惡をもて己をかたくせんとする人をみよと
52:8
編集然はあれどわれは神の家にあるあをき橄欖の樹のごとし 我はいやとほながに神のあはれみに依頼まん
52:9
編集なんぢこの事をおこなひ給ひしによりて我とこしへになんぢに感謝し なんぢの聖徒のまへにて聖名をまちのぞまん こは宜しきことなればなり
第53篇
編集マハラツ(樂器の名、あるひはいふ調べの名)にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの教訓のうた
53:1
編集愚かなるものは心のうちに神なしといへり かれらは腐れたりかれらは憎むべき不義をおこなへり善をおこなふ者なし
53:2
編集神は天より人の子をのぞみて悟るものと神をたづぬる者とありやなしやを見たまひしに
53:3
編集みな退ぞきてことごとく汚れたり善をなすものなし一人だになし
53:4
編集不義をおこなふものは知覺なきか かれらは物くふごとくわが民をくらひ また神をよばふことをせざるなり
53:5
編集かれらは懼るべきことのなきときに大におそれたり 神はなんぢにむかひて營をつらぬるものの骨をちらしたまへばなり 神かれらを棄たまひしによりて汝かれらを辱かしめたり
53:6
編集願くはシオンよりイスラエルの救のいでんことを 神その民のとらはれたるを返したまふときヤコブはよろこびイスラエルは樂まん
第54篇
編集ジフ人のサウルにきたりてダビデはわれらの處にかくれをるにあらずやといひたりしとき ダビデうたのかみに琴にてうたはしめたる教訓のうた
54:1
編集神よねがはくは汝の名によりて我をすくひ なんぢの力をもて我をさばきたまへ
54:2
編集神よわが祈をききたまへ わが口のことばに耳をかたぶけたまへ
54:3
編集そは外人はわれにさからひて起りたち強暴人はわがたましひを索むるなり かれらは神をおのが前におかざりきセラ
54:4
編集みよ神はわれをたすくるものなり 主はわがたましひを保つものとともに在せり
54:5
編集主はわが仇にそのあしきことの報をなしたまはん 願くはなんぢの眞實によりて彼等をほろぼしたまへ
54:6
編集我よろこびて祭物をなんぢに献ん ヱホバよ我なんぢの名にむかひて感謝せん こは宜しきことなればなり
54:7
編集そはヱホバはすべての患難より我をすくひたまへり わが目はわが仇につきての願望をみたり
第55篇
編集ダビデうたのかみに琴にてうたはしめたる教訓のうた
55:1
編集神よねがはくは耳をわが祈にかたぶけたまへ わが懇求をさけて身をかくしたまふなかれ
55:2
編集われに聖意をとめ 我にこたへたまへ われ歎息によりてやすからず悲みうめくなり
55:3
編集これ仇のこゑと惡きものの暴虐とのゆゑなり そはかれら不義をわれに負せ いきどほりて我におひせまるなり
55:4
編集わが心わがうちに憂ひいたみ死のもろもろの恐懼わがうへにおちたり
55:5
編集おそれと戰慄とわれにのぞみ甚だしき恐懼われをおほへり
55:6
編集われ云ねがはくは鴿のごとく羽翼のあらんことを さらば我とびさりて平安をえん
55:7
編集みよ我はるかにのがれさりて野にすまんセラ
55:8
編集われ速かにのがれて暴風と狂風とをはなれん
55:9
編集われ都のうちに強暴とあらそひとをみたり 主よねがはくは彼等をほろぼしたまへ かれらの舌をわかれしめたまへ
55:10
編集彼等はひるもよるも石垣のうへをあるきて邑をめぐる 邑のうちには邪曲とあしき企圖とあり
55:11
編集また惡きこと邑のうちにあり しへたげと欺詐とはその街衢をはなるることなし
55:12
編集われを謗れるものは仇たりしものにあらず もし然りしならば尚しのばれしなるべし 我にむかひて己をたかくせし者はわれを恨たりしものにあらず若しかりしならば身をかくして彼をさけしなるべし
55:13
編集されどこれ汝なり われとおなじきもの わが友われと親しきものなり
55:14
編集われら互にしたしき語らひをなし また會衆のなかに在てともに神の家にのぼりたりき
55:15
編集死は忽然かれらにのぞみ その生るままにて陰府にくだらんことを そは惡事その住處にありその中にあればなり
55:16
編集されど我はただ神をよばんヱホバわれを救ひたまふべし
55:17
編集夕にあしたに晝にわれなげき且かなしみうめかん ヱホバわが聲をききたまふべし
55:18
編集ヱホバは我をせむる戰闘よりわが霊魂をあがなひいだして平安をえしめたまへり そはわれを攻るもの多かりければなり
55:19
編集太古よりいます者なる神はわが聲をききてかれらを惱めたまべしセラ かれらには變ることなく神をおそるることなし
55:20
編集かの人はおのれと睦みをりしものに手をのべてその契約をけがしたり
55:21
編集その口はなめらかにして乳酥のごとくなれどもその心はたたかひなり その言はあぶらに勝りてやはらかなれどもぬきたる劍にことならず
55:22
編集なんぢの荷をヱホバにゆだねよさらば汝をささへたまはん ただしき人のうごかさるることを常にゆるしたまふまじ
55:23
編集かくて神よなんぢはかれらを亡の坑におとしいれたまはん血をながすものと詭計おほきものとは生ておのが日の半にもいたらざるべし 然はあれどわれは汝によりたのまん
第56篇
編集ダビデがガテにてペリシテ人にとらへられしとき詠て「遠きところにをる音をたてぬ鴿」のしらべにあはせて伶長にうたはしめたるミクタムの歌
56:1
編集ああ神よねがはくは我をあはれみたまへ 人いきまきて我をのまんとし終日たたかひて我をしへたぐ
56:2
編集わが仇ひねもす急喘てわれをのまんとす誇りたかぶりて我とたたかふものおほし
56:3
編集われおそるるときは汝によりたのまん
56:4
編集われ神によりてその聖言をほめまつらん われ神に依頼みたればおそるることあらじ肉體われになにをなし得んや
56:5
編集かれらは終日わがことばを曲るなり その思念はことごとくわれにわざはひをなす
56:6
編集かれらは群つどひて身をひそめ わが歩に目をとめてわが霊魂をうかがひもとむ
56:7
編集かれらは不義をもてのがれんとおもへり 神よねがはくは憤ほりてもろもろの民をたふしたまへ
56:8
編集汝わがあまた土の流離をかぞへたまへり なんぢの革嚢にわが涙をたくはへたまへ こは皆なんぢの冊にしるしあるにあらずや
56:9
編集わがよびもとむる日にはわが仇しりぞかん われ神のわれを守りたまふことを知る
56:10
編集われ神によりてその聖言をはめまつらん 我ヱホバによりてそのみことばを讃まつらん
56:11
編集われ神によりたのみたれば懼るることあらじ 人はわれに何をなしえんや
56:12
編集神よわがなんぢにたてし誓はわれをまとへり われ感謝のささげものを汝にささげん
56:13
編集汝わがたましひを死よりすくひたまへばなり なんぢ我をたふさじとわが足をまもり生命の光のうちにて神のまへに我をあゆませ給ひしにあらずや
第57篇
編集ダビデが洞にいりてサウルの手をのがれしとき詠て「ほろぼすなかれ」にといふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムのうた
57:1
編集我をあはれみたまへ神よわれをあはれみたまへ わが霊魂はなんぢを避所とす われ禍害のすぎさるまではなんぢの翼のかげを避所とせん
57:2
編集我はいとたかき神によばはん わがために百事をなしをへたまふ神によばはん
57:3
編集神はたすけを天よりおくりて我をのまんとする者のそしるときに我を救ひたまはんセラ 神はその憐憫その眞實をおくりたまはん
57:4
編集わがたましひは群ゐる獅のなかにあり 火のごとくもゆる者 その歯は戈のごとく矢のごとくその舌はとき劍のごとき人の子のなかに我ふしぬ
57:5
編集神よねがはくはみづからを天よりも高くしみさかえを全地のうへに挙たまへ
57:6
編集かれらはわが足をとらへんとて網をまうく わが霊魂はうなたる かれらはわがまへに阱をほりたり而してみづからその中におちいれりセラ
57:7
編集わが心さだまれり神よわがこころ定まれり われ謳ひまつらん頌まつらん
57:8
編集わが榮よさめよ 筝よ琴よさめよ われ黎明をよびさまさん
57:9
編集主よわれもろもろの民のなかにてなんぢに感謝し もろもろの國のなかにて汝をほめうたはん
57:10
編集そは汝のあはれみは大にして天にまでいたり なんぢの眞實は雲にまでいたる
57:11
編集神よねがはくは自からを天よりも高くし光榮をあまねく地のうへに挙たまへ
第58篇
編集ダビデがよみて「ほろぼすなかれ」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムのうた
58:1
編集なんぢら黙しゐて義をのべうるか 人の子よなんぢらなほき審判をおこなふや
58:2
編集否なんぢらは心のうちに惡事をおこなひ その手の強暴をこの地にはかりいだすなり
58:3
編集あしきものは胎をはなるるより背きとほざかり生れいづるより迷ひていつはりをいふ
58:4
編集58:5
編集かれらの毒は蛇のどくのごとし かれらは蠱術をおこなふものの甚たくみにまじなふその聲をだにきかざる耳ふさぐ聾ひの蝮のごとし
58:6
編集神よかれらの口の歯ををりたまヘ ヱホバよ壮獅の牙をぬきくだきたまへ
58:7
編集願くはかれらを流れゆく水のごとくに消失しめ その矢をはなつときは折れたるごとくなし給はんことを
58:8
編集また融てきえゆく蝸牛のごとく婦のときならず産たる目をみぬ嬰のごとくならしめ給へ
58:9
編集なんぢらの釜いまだ荊蕀の火をうけざるさきに青をも燃たるをもともに狂風にて吹さりたまはん
58:10
編集義者はかれらが讎かへさるるを見てよろこび その足をあしきものの血のなかにてあらはん
58:11
編集かくて人はいふべし實にただしきものに報賞あり實にさばきをほどこしたまふ神はましますなりと
第59篇
編集サウル、ダビデを殺さんとし人をおくりてその家をうかがはしめし時ダビデがよみて「ほろぼすなかれ」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムの歌
59:1
編集わが神よねがはくは我をわが仇よりたすけいだし われを高處におきて我にさからひ起立つものより脱かれしめたまへ
59:2
編集邪曲をおこなふものより我をたすけいだし血をながす人より我をすくひたまへ
59:3
編集視よかれらは潜みかくれてわが霊魂をうかがひ猛者むれつどひて我をせむ ヱホバよ此はわれに愆あるにあらず われに罪あるにあらず
59:4
編集かれら趨りまはりて過失なきに我をそこなはんとて備をなす ねがはくは我をたすくるために目をさまして見たまへ
59:5
編集なんぢヱホバ萬軍の神イスラエルの神よ ねがはくは目をさましてもろもろの國にのぞみたまへ あしき罪人にあはれみを加へたまふなかれセラ
59:6
編集かれらは夕にかへりきたり犬のごとくほえて邑をへありく
59:7
編集視よかれらは口より惡をはく そのくちびるに劍あり かれらおもへらく誰ありてこの言をきかんやと
59:8
編集されどヱホバよ汝はかれらをわらひ もろもろの國をあざわらひたまはん
59:9
編集わが力よわれ汝をまちのぞまん 神はわがたかき櫓なり
59:10
編集憐憫をたまふ神はわれを迎へたまはん 神はわが仇につきての願望をわれに見させたまはん
59:11
編集願くはかれらを殺したまふなかれ わが民つひに忘れやはせん 主われらの盾よ 大能をもてかれらを散し また卑したまへ
59:12
編集かれらがくちびるの言はその口のつみなり かれらは詛と虚偽とをいひいづるによりてその傲慢のためにとらへられしめたまへ
59:13
編集忿恚をもてかれらをほろぼしたまへ 再びながらふることなきまでに彼等をほろぼしたまヘ ヤコブのなかに神いまして統治めたまふことをかれらに知しめて地の極にまでおよぼしたまヘセラ
59:14
編集かれらは夕にかへりきたり犬のごとくほえて邑をへありくべし
59:15
編集かれらはゆききして食物をあさり もし飽ことなくば終夜とどまれり
59:16
編集されど我はなんぢの大能をうたひ清晨にこゑをあげてなんぢの憐憫をうたひまつらん なんぢわが迫りくるしみたる日にたかき櫓となり わが避所となりたまひたればなり
59:17
編集わがちからよ我なんぢにむかひて頌辭をうたひまつらん 神はわがたかき櫓われにあはれみをたまふ神なればなり
第60篇
編集ダビデ、ナハライムのアラムおよびゾバのアラムとたたかひをりしがヨアブかへりゆき塩谷にてエドム人一萬二千をころししとき教訓をなさんとてダビデがよみて「證詞の百合花」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムの歌
60:1
編集神よなんぢわれらを棄われらをちらし給へり なんぢは憤ほりたまへり ねがはくは再びわれらを歸したまへ
60:2
編集なんぢ國をふるはせてこれを裂たまへり ねがはくはその多くの隙をおぎなひたまへ そは國ゆりうごくなり
60:3
編集なんぢはその民にたへがたきことをしめし 人をよろめかする酒をわれらに飮しめ給へり
60:4
編集なんぢ眞理のために挙しめんとて汝をおそるるものに一つの旗をあたへたまへりセラ
60:5
編集ねがはくは右の手をもて救をほどこし われらに答をなして愛しみたまふものに助をえしめたまへ
60:6
編集神はその聖をもていひたまへり われ甚くよろこばん われシケムをわかちスコテの谷をはからん
60:7
編集ギレアデはわがもの マナセはわが有なり エフライムも亦わが首のまもりなり ユダはわが杖
60:8
編集モアブはわが足盥なり エドムにはわが履をなげん ベリシテよわが故によりて聲をあげよと
60:9
編集たれかわれを堅固なる邑にすすましめんや 誰かわれをみちびきてエドムにゆきたるか
60:10
編集神よなんぢはわれらを棄たまひしにあらずや 神よなんぢはわれらの軍とともにいでゆきたまはず
60:11
編集ねがはくは助をわれにあたへて敵にむかはしめたまへ 人のたすけは空しければなり
60:12
編集われらは神によりて勇しくはたらかん われらの敵をみたまふものは神なればなり
第61篇
編集琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
61:1
編集ああ神よねがはくはわが哭聲をききたまへ わが祈にみこころをとめたまへ
61:2
編集わが心くづほるるとき地のはてより汝をよばん なんぢ我をみちびきてわが及びがたきほどの高き磐にのぼらせたまへ
61:3
編集なんぢはわが避所われを仇よりのがれしむる堅固なる櫓なればなり
61:4
編集われ永遠になんぢの帷幄にすまはん我なんぢの翼の下にのがれんセラ
61:5
編集神よなんぢはわがもろもろの誓をきき名をおそるるものにたまふ嗣業をわれにあたへたまへり
61:6
編集なんぢは王の生命をのばし その年を幾代にもいたらせたまはん
61:7
編集王はとこしへに神のみまへにとどまらん ねがはくは仁慈と眞實とをそなへて彼をまもりたまへ
61:8
編集さらば我とこしへに名をほめうたひて日ごとにわがもろもろの誓をつくのひ果さん
第62篇
編集エドトンの體にしたがひて伶長にうたはしめたるダビデのうた
62:1
編集わがたましひは黙してただ神をまつ わがすくひは神よりいづるなり
62:2
編集神こそはわが磐わがすくひなれ またわが高き櫓にしあれば我いたくは動かされじ
62:3
編集なんぢらは何のときまで人におしせまるや なんぢら相共にかたぶける石垣のごとく揺ぎうごける籬のごとくに人をたふさんとするか
62:4
編集かれらは人をたふとき位よりおとさんとのみ謀り いつはりをよろこびまたその口にてはいはひその心にてはのろふセラ
62:5
編集わがたましひよ黙してただ神をまて そはわがのぞみは神よりいづ
62:6
編集神こそはわが磐わがすくひなれ 又わがたかき櫓にしあれば我はうごかされじ
62:7
編集わが救とわが榮とは神にあり わがちからの磐わがさけどころは神にあり
62:8
編集民よいかなる時にも神によりたのめ その前になんぢらの心をそそぎいだせ 神はわれらの避所なりセラ
62:9
編集實にひくき人はむなしくたかき人はいつはりなり すべてかれらを權衡におかば上にあがりて虚しきものよりも軽きなり
62:10
編集暴虐をもて恃とするなかれ 掠奪ふをもてほこるなかれ 富のましくははる時はこれに心をかくるなかれ
62:11
編集ちからは神にあり神ひとたび之をのたまへり われ二次これをきけり
62:12
編集ああ主よあはれみも亦なんぢにあり なんぢは人おのおのの作にしたがひて報をなしたまへばなり
第63篇
編集ユダの野にありしときに詠るダビデのうた
63:1
編集ああ神よなんぢはわが神なり われ切になんぢをたづねもとむ 水なき燥きおとろへたる地にあるごとくわが霊魂はかわきて汝をのぞみ わが肉體はなんぢを戀したふ
63:2
編集曩にも我かくのごとく大權と榮光とをみんことをねがひ聖所にありて目をなんぢより離れしめざりき
63:3
編集なんぢの仁慈はいのちにも勝れるゆゑにわが口唇はなんぢを讃まつらん
63:4
編集斯われはわが生るあひだ汝をいはひ名によりてわが手をあげん
63:5
編集63:6
編集われ床にありて汝をおもひいで夜の更るままになんぢを深くおもはん時 わがたましひは髓と脂とにて饗さるるごとく飽ことをえ わが口はよろこびの口唇をもてなんぢを讃たたへん
63:7
編集そはなんぢわが助となりたまひたれば 我なんぢの翼のかげに入てよろこびたのしまん
63:8
編集わがたましひはなんぢを慕追ふ みぎの手はわれを支ふるなり
63:9
編集然どわがたましひを滅さんとて尋ねもとむるものは地のふかきところにゆき
63:10
編集又つるぎの刃にわたされ野犬の獲るところとなるべし
63:11
編集しかれども王は神をよろこばん 神によりて誓をたつるものはみな誇ることをえん 虚偽をいふものの口はふさがるべければなり
第64篇
編集伶長にうたはしめたるダビデのうた
64:1
編集神よわがなげくときわが聲をききたまへ わが生命をまもりて仇のおそれより脱かれしめたまへ
64:2
編集ねがはくは汝われをかくして惡をなすものの陰かなる謀略よりまぬかれしめ不義をおこなふものの喧嘩よりまぬかれしめ給へ
64:3
編集かれらは劍のごとくおのが舌をとぎ その弓をはり矢をつがへるごとく苦言をはなち
64:4
編集隠れたるところにて全者を射んとす俄かにこれを射ておそるることなし
64:5
編集また彼此にあしき企圖をはげまし共にはかりてひそかに羂をまうく 斯ていふ誰かわれらを見んと
64:6
編集かれらはさまざまの不義をたづねいだして云われらは懇ろにたづね終れりと おのおのの衷のおもひと心とはふかし
64:7
編集然はあれど神は矢にてかれらを射たまふべし かれらは俄かに傷をうけん
64:8
編集斯てかれらの舌は其身にさからふがゆゑに遂にかれらは蹟かん これを見るものみな逃れさるべし
64:9
編集もろもろの人はおそれん而して神のみわざをのべつたへ その作たまへることを考ふべし
64:10
編集義者はヱホバをよろこびて之によりたのまん すべて心のなほきものは皆ほこることを得ん
第65篇
編集伶長にうたはしめたる歌ダビデの讃美なり
65:1
編集ああ神よさんびはシオンにて汝をまつ 人はみまへにて誓をはたさん
65:2
編集祈をききたまふものよ諸人こぞりて汝にきたらん
65:3
編集不義のことば我にかてり なんぢ我儕のもろもろの愆をきよめたまはん
65:4
編集汝にえらばれ汝にちかづけられて大庭にすまふ者はさいはひなり われらはなんぢの家なんぢの宮のきよき處のめぐみにて飽ことをえん
65:5
編集われらが救のかみよ 地と海とのもろもろの極なるきはめて遠ものの恃とするなんぢは公義によりて畏るべきことをもて我儕にこたへたまはん
65:6
編集かみは大能をおび その權力によりてもろもろの山をかたくたたしめ
65:7
編集海のひびき狂瀾のひびき もろもろの民のかしがましきを鎮めたまへり
65:8
編集されば極遠にすめる人々もなんぢのくさぐさの豫兆をみておそる なんぢ朝夕のいづる處をよろこび謳はしめたまふ
65:9
編集なんぢ地にのぞみて漑そぎおほいに之をゆたかにしたまへり 神のかはに水みちたり なんぢ如此そなへをなして穀物をかれらにあたへたまへり
65:10
編集なんぢ畎をおほいにうるほし畝をたひらにし白雨にてこれをやはらかにし その萌芽るを祝し
65:11
編集また恩惠をもて年の冕弁としたまへり なんぢの途には膏したたれり
65:12
編集その恩滴は野の牧場をうるほし小山はみな歓びにかこまる
65:13
編集牧場はみな羊のむれを衣もろもろの谷は穀物におほはれたり かれらは皆よろこびてよばはりまた謳ふ
第66篇
編集伶長にうたはしめたる讃美なり 歌なり
66:1
編集全地よ神にむかひて歓びよばはれ
66:2
編集その名の榮光をうたへその頌美をさかえしめよ
66:3
編集かみに告まつれ 汝のもろもろの功用はおそるべきかな大なる力によりてなんぢの仇はなんぢに畏れしたがひ
66:4
編集全地はなんぢを拝みてうたひ名をほめうたはんとセラ
66:5
編集來りて神のみわざをみよ 人の子輩にむかひて作たまふことはおそるべきかな
66:6
編集神はうみをかへて乾ける地となしたまへり ひとびと歩行にて河をわたりき その處にてわれらは神をよろこべり
66:7
編集神はその大能をもてとこしへに統治め その目は諸國をみたまふ そむく者みづからを崇むべからずセラ
66:8
編集もろもろの民よ われらの神をほめまつれ神をほめたたふる聲をきこえしめよ
66:9
編集神はわれらの霊魂をながらへしめ われらの足のうごかさるることをゆるしたまはず
66:10
編集神よなんぢはわれらを試みて白銀をねるごとくにわれらを錬たまひたればなり
66:11
編集汝われらを網にひきいれ われらの腰におもき荷をおき
66:12
編集人々をわれらの首のうへに騎こえしめたまひき われらは火のなか水のなかをすぎゆけり されど汝その中よりわれらをひきいたし豊盛なる處にいたらしめたまへり
66:13
編集66:14
編集われ燔祭をもてなんぢの家にゆかん 迫りくるしみたるときにわが口唇のいひいでわが口ののべし誓をなんぢに償はん
66:15
編集われ肥たるものを燔祭とし牡羊を馨香として汝にささげ牡牛と牡山羊とをそなへまつらんセラ
66:16
編集神をおそるる人よ みな來りてきけ われ神のわがたましひのために作たまへることをのべん
66:17
編集われわが口をもて神によばはり また舌をもてあがむ
66:18
編集然るにわが心にしれる不義あらば主はわれにききたまふまじ
66:19
編集されどまことに神はききたまへり聖意をわがいのりの聲にとめたまへり
66:20
編集神はほむべきかな わが祈をしりぞけず その憐憫をわれよりとりのぞきたまはざりき
第67篇
編集琴にあはせて伶長にうたはしめたる歌なり 讃美なり
67:1
編集ねがはくは神われらをあはれみ われらをさきはひてその聖顔をわれらのうへに照したまはんことをセラ
67:2
編集此はなんぢの途のあまねく地にしられ なんぢの救のもろもろの國のうちに知れんがためなり
67:3
編集かみよ庶民はなんぢに感謝し もろもろの民はみな汝をほめたたへん
67:4
編集もろもろの國はたのしみ又よろこびうたふべし なんぢ直をもて庶民をさばき地のうへなる萬の國ををさめたまべければなりセラ
67:5
編集神よたみらはなんぢに感謝し もろもろの民はみな汝をほめたたへん
67:6
編集地は産物をいだせり 神わが神はわれらを福ひたまはん
67:7
編集神われらをさきはひたまふべし かくて地のもろもろの極ことごとく神をおそれん
第68篇
編集伶長にうたはしめたるダビデのうたなり 讃美なり
68:1
編集ねがはくは神おきたまへ その仇はことごとくちり 神をにくむものは前よりにげさらんことを
68:2
編集烟のおひやらるるごとくかれらを驅逐たまへ 惡きものは火のまへに蝋のとくるごとく 神のみまへにてほろぶべし
68:3
編集されど義きものには歓喜あり かれら神の前にてよろこびをどらん實にたのしみて喜ばん
68:4
編集神のみまへにうたへ その名をほめたたへよ 乗て野をすぐる者のために大道をきづけ かれの名をヤハとよぶ その前によろこびをどれ
68:5
編集きよき住居にまします神はみなしごの父やもめの審士なり
68:6
編集神はよるべなきものを家族の中にをらしめ囚人をとき福祉にみちびきたまふ されど悖逆者はうるほひなき地にすめり
68:7
編集神よなんぢは民にさきだちいでて野をすすみゆきたまひきセラ
68:8
編集そのとき地ふるひ天かみのみまへに漏る シナイの山すら神イスラエルの神の前にふるひうごけり
68:9
編集神よなんぢの嗣業の地のつかれおとろへたるとき豊かなる雨をふらせて之をかたくしたまへり
68:10
編集曩になんぢの公會はその中にとどまれり 神よなんぢは惠をもて貧きもののために預備をなしたまひき
68:11
編集主みことばを賜ふ その佳音をのぶる婦女はおほくして群をなせり
68:12
編集もろもろの軍旅の王たちはにげさる 逃去りたれば家なる婦女はその掠物をわかつ
68:13
編集なんぢら羊の牢のうちにふすときは鴿のつばさの白銀におほはれその毛の黄金におほはるるがごとし
68:14
編集全能者かしこにて列王をちらし給へるときはサルモンの山に雪ふりたるがごとくなりき
68:15
編集バシャンのやまは神の山なりバシャンのやまは峰かさなれる山なり
68:16
編集峰かさなれるもろもろの山よ なんぢら何なれば神の住所にえらびたまへる山をねたみ見るや 然れヱホバは永遠にこの山にすみたまはん
68:17
編集神の戰車はよろづに萬をかさね千にちぢをくはふ 主その中にいませり 聖所にいますがごとくシナイの山にいまししがごとし
68:18
編集なんぢ高處にのぼり虜者をとりこにしてひきゐ禮物を人のなかよりも叛逆者のなかよりも受たまへり ヤハの神ここに住たまはんが爲なり
68:19
編集日々にわれらの荷をおひたまふ主われらのすくひの神はほむべきかなセラ
68:20
編集神はしばしばわれらを助けたまへる神なり 死よりのがれうるは主ヱホバに由る
68:21
編集神はその仇のかうべを撃やぶりたまはん 愆のなかにとどまるものの髪おほき顱頂をうちやぶりたまはん
68:22
編集主いへらく我バシャンよりかれらを携へかへり海のふかき所よりたづさへ歸らん
68:23
編集斯てなんぢの足をそのあたの血にひたし之をなんぢの犬の舌になめしめん
68:24
編集神よすべての人はなんぢの進行きたまふをみたり わが神わが王の聖所にすすみゆきたまふを見たり
68:25
編集鼗うつ童女のなかにありて謳ふものは前にゆき琴ひくものは後にしたがへり
68:26
編集なんぢらすべての會にて神をほめよイスラエルのみなもとより出るなんぢらよ 主をほめまつれ
68:27
編集彼處にかれらを統るとしわかきベニヤミンあり ユダの諸侯とその群衆とありまたゼブルンのきみたちナフタリの諸侯あり
68:28
編集なんぢの神はなんぢの力をたてたまへり 神よなんぢ我儕のためになしたまひし事をかたくしたまヘ
68:29
編集ヱルサレムなるなんぢの宮のために列王なんぢに禮物をささげん
68:30
編集ねがはくは葦間の獣むらがれる牯犢のごときもろもろの民をいましめてかれらに白銀をたづさへきたり みづから服ふことを爲しめたまへ 神はたたかひを好むもろもろの民をちらしたまへり
68:31
編集諸侯はエジプトよりきたり エテオピアはあわただしく神にむかひて手をのべん
68:32
編集地のもろもろのくによ神のまへにうたへ主をほめうたヘセラ
68:33
編集上古よりの天の天にのりたま者にむかひてうたへ みよ主はみこゑを發したまふ勢力ある聲をいだしたまふ
68:34
編集なんぢらちからを神に歸せよその稜威はイスラエルの上にとどまり その大能は雲のなかにあり
68:35
編集神のおそるべき状はきよき所よりあらはる イスラエルの神はその民にちからと勢力とをあたへたまふ 神はほむべきかな
第69篇
編集百合花にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
69:1
編集神よねがはくは我をすくひたまへ 大水ながれきたりて我がたましひにまでおよべり
69:2
編集われ立止なきふかき泥の中にしづめり われ深水におちいるおほみづわが上をあふれすぐ
69:3
編集われ歎息によりてつかれたり わが喉はかわき わが目はわが神をまちわびておとろへぬ
69:4
編集故なくしてわれをにくむ者わがかしらの髪よりもおほく謂なくしてわが仇となり我をほろぼさんとするものの勢力つよし われ掠めざりしものをも償はせらる
69:5
編集神よなんぢはわが愚なるをしりたまふ わがもろもろの罪はなんぢにかくれざるなり
69:6
編集萬軍のヱホバ主よ ねがはくは汝をまちのぞむ者をわが故によりて辱かしめらるることなからしめたまヘ イスラエルの神よねがはくはなんぢを求むる者をわが故によりて恥をおはしめらるることなからしめたまへ
69:7
編集我はなんぢのために謗をおひ恥はわが面をおほひたればなり
69:8
編集われわが兄弟には旅人のごとく わが母の子には外人のごとくなれり
69:9
編集そはなんぢの家をおもふ熱心われをくらひ汝をそしるものの謗われにおよべり
69:10
編集われ涙をながして食をたち わが霊魂をなげかすれば反てこれによりて謗をうく
69:11
編集われ麁布をころもとなししにかれらが諺語となりぬ
69:12
編集門にすわる者はわがうへをかたる われは酔狂たるものに謳ひはやされたり
69:13
編集然はあれどヱホバよわれは惠のときに汝にいのる ねがはくは神よなんぢの憐憫のおほきによりて汝のすくひの眞實をもて我にこたへたまへ
69:14
編集ねがはくは泥のなかより我をたすけいだして沈ざらしめたまへ 我をにくむものより深水よりたすけいだしたまへ
69:15
編集大水われを淹ふことなく淵われをのむことなく坑その口をわがうへに閉ることなからしめたまヘ
69:16
編集ヱホバよねがはくは我にこたへたまへ なんぢの仁慈うるはしければなり なんぢの憐憫はおほしわれに歸りきたりたまへ
69:17
編集面をなんぢの僕にかくしたまふなかれ われ迫りくるしめり ねがはくは速かに我にこたへたまへ
69:18
編集わがたましひに近くよりて之をあがなひわが仇のゆゑに我をすくひたまへ
69:19
編集汝はわがうくる謗とはぢと侮辱とをしりたまへり わが敵はみな汝のみまへにあり
69:20
編集譭謗わが心をくだきぬれば我いたくわづらへり われ憐憫をあたふる者をまちたれど一人だになく慰むるものを俟たれど一人をもみざりき
69:21
編集かれら苦草をわがくひものにあたへ わが渇けるときに醋をのませたり
69:22
編集ねがはくは彼等のまへなる筵は網となり そのたのむ安逸はつひに羂となれ
69:23
編集その目をくらくして見しめず その腰をつねにふるはしめたまへ
69:24
編集願くはなんぢの忿恚をかれらのうへにそそぎ汝のいかりの猛烈をかれらに追及せたまへ
69:25
編集かれらの屋をむなしくせよ その幕屋に人をすまはするなかれ
69:26
編集かれらはなんぢが撃たまひたる者をせめ なんぢが傷けたまひたるものの痛をかたりふるればなり
69:27
編集ねがはくはれらの不義に不義をくはへてなんぢの義にあづからせ給ふなかれ
69:28
編集かれらを生命の册よりけして義きものとともに記さるることなからしめたまへ
69:29
編集斯てわれはくるしみ且うれひあり 神よねがはくはなんぢの救われを高處におかんことを
69:30
編集われ歌をもて神の名をほめたたへ 感謝をもて神をあがめまつらん
69:31
編集此はをうしまたは角と蹄とある力つよき牡牛にまさりてヱホバよろこびたまはん
69:32
編集謙遜者はこれを見てよろこべり 神をしたふ者よなんぢらの心はいくべし
69:33
編集ヱホバは乏しきものの聲をきき その俘囚をかろしめたまはざればなり
69:34
編集天地はヱホバをほめ蒼海とその中にうごくあらゆるものとはヱホバを讃まつるべし
69:35
編集神はシオンをすくひユダのもろもろの邑を建たまふべければなり かれらは其處にすみ且これをおのが有とせん
69:36
編集その僕のすゑも亦これを嗣その名をいつくしむ者その中にすまん
第70篇
編集伶長にうたはしめたるダビデが記念のうた
70:1
編集神よねがはくは我をすくひたまヘ ヱホバよ速きたりて我をたすけたまへ
70:2
編集わが霊魂をたづぬるものの恥あわてんことを わが害はるるをよろこぶものの後にしりぞきて恥をおはんことを
70:3
編集ああ視よや視よやといふもののおのが恥によりて後にしりぞかんことを
70:4
編集すべて汝をたづねもとむる者のなんぢによりて樂みよろこばんことを なんぢの救をしたふもののつねに神は大なるかなととなへんことを
70:5
編集われは苦しみ且ともし神よいそぎて我にきたりたまへ 汝はわが助われを救ふものなり ヱホバよねがはくは猶豫たまふなかれ
第71篇
編集71:1
編集ヱホバよ我なんぢに依頼む ねがはくは何の日までも恥うくることなからしめ給へ
71:2
編集なんぢの義をもて我をたすけ我をまぬかれしめたまへ なんぢの耳をわれに傾けて我をすくひたまへ
71:3
編集ねがはくは汝わがすまひの磐となりたまへ われ恒にそのところに往ことを得ん なんぢ我をすくはんとて勅命をいだしたまへり そは汝はわが磐わが城なり
71:4
編集わが神よあしきものの手より不義殘忍なる人のてより 我をまぬかれしめたまへ
71:5
編集主ヱホバよなんぢはわが望なり わが幼少よりの恃なり
71:6
編集われ胎をはなるるより汝にまもられ母の腹にありしときより汝にめぐまれたり 我つねに汝をほめたたへん
71:7
編集我おほくの人にあやしまるるごとき者となれり 然どなんぢはわが堅固なる避所なり
71:8
編集なんぢの頌辭となんぢの頌美とは終日わが口にみちん
71:9
編集わが年老ぬるとき我をすてたまふなかれ わが力おとろふるとき我をはなれたまなかれ
71:10
編集わが仇はわがことを論ひ ひわが霊魂をうかがふ者はたがひに議ていふ
71:11
編集神かれを離れたり彼をたすくる者なし かれを追てとらへよと
71:12
編集神よわれに遠ざかりたまふなかれ わが神よとく來りて我をたすけたまへ
71:13
編集わがたましひの敵ははぢ且おとろへ我をそこなはんとするものは謗と辱とにおほはれよ
71:14
編集されど我はたえず望をいだきていやますます汝をほめたたへん
71:15
編集わが口はひねもす汝の義となんぢの救とをかたらん われその數をしらざればなり
71:16
編集われは主ヱホバの大能の事跡をたづさへゆかん われは只なんぢの義のみをかたらん
71:17
編集神よなんぢわれを幼少より教へたまへり われ今にいたるまで汝のくすしき事跡をのべつたへたり
71:18
編集神よねがはくはわれ老て頭髪しろくなるとも我がなんぢの力を次代にのべつたへ なんぢの大能を世にうまれいづる凡のものに宣傳ふるまで我をはなれ給ふなかれ
71:19
編集神よなんぢの義もまた甚たかし なんぢは大なることをなしたまへり 神よたれか汝にひとしき者あらんや
71:20
編集汝われらを多のおもき苦難にあはせたまへり なんぢ再びわれらを活しわれらを地の深所よりあげたまはん
71:21
編集ねがはくは我をいよいよ大ならしめ歸りきたりて我をなぐさめ給へ
71:22
編集わが神よさらばわれ筝をもて汝をほめ なんぢの眞實をほめたたへん イスラエルの聖者よわれ琴をもてなんぢを讃うたはん
71:23
編集われ聖前にうたときわが口唇よろこびなんぢの贖ひたまへるわが霊魂おほいに喜ばん
71:24
編集わが舌もまた終日なんぢの義をかたらん われを害はんとするもの愧惶つればなり
第72篇
編集ソロモンのうた
72:1
編集神よねがはくは汝のもろもろの審判を王にあたへ なんぢの義をわうの子にあたへたまへ
72:2
編集かれは義をもてなんぢの民をさばき公平をもて苦しむものを鞫かん
72:3
編集義によりて山と岡とは民に平康をあたふべし
72:4
編集かれは民のくるしむ者のために審判をなし乏しきものの子輩をすくひ虐ぐるものを壞きたまはん
72:5
編集かれらは日と月とのあらんかぎり世々おしなべて汝をおそるべし
72:6
編集かれは苅とれる牧にふる雨のごとく地をうるほす白雨のごとくのぞまん
72:7
編集かれの世にただしき者はさかえ平和は月のうするまで豊かならん
72:8
編集またその政治は海より海にいたり河より地のはてにおよぶべし
72:9
編集野にをる者はそのまへに屈み そり仇は塵をなめん
72:10
編集タルシシおよび島々の王たちは貢ををさめ シバとセバの王たちは禮物をささげん
72:11
編集もろもろの王はそのまへに俯伏し もろもろの國はかれにつかへん
72:12
編集かれは乏しき者をその叫ぶときにすくひ 助けなき苦しむ者をたすけ
72:13
編集弱きものと乏しき者とをあはれみ乏しきものの霊魂をすくひ
72:14
編集かれらのたましひを暴虐と強暴とよりあがなひたまふ その血はみまへに貴かるべし
72:15
編集かれらは存ふべし 人はシバの黄金をささげてかれのために恒にいのり終日かれをいははん
72:16
編集國のうち五穀ゆたかにしてその實はレバノンのごとく山のいただきにそよぎ 邑の人々は地の草のごとく榮ゆべし
72:17
編集かれの名はつねにたえず かれの名は日の久しきごとくに絶ることなし 人はかれによりて福祉をえん もろもろの國はかれをさいはひなる者ととなへん
72:18
編集ただイスラエルの神のみ奇しき事跡をなしたまへり 神ヱホバはほむべきかな
72:19
編集その榮光の名はよよにほむべきかな全地はその榮光にて滿べしアーメン アーメン
72:20
編集ヱッサイの子ダビデの祈はをはりぬ
第73篇
編集アサフのうた
73:1
編集神はイスラエルにむかひ心のきよきものに對ひてまことに惠あり
73:2
編集然はあれどわれはわが足つまづくばかりわが歩すべるばかりにてありき
73:3
編集こはわれ惡きものの榮ゆるを見てその誇れる者をねたみしによる
73:4
編集かれらは死るに苦しみなくそのちからは反てかたし
73:5
編集かれらは人のごとく憂にをらず人のごとく患難にあふことなし
73:6
編集このゆゑに傲慢は妝飾のごとくその頸をめぐり強暴はころものごとく彼等をおほへり
73:7
編集かれら肥ふとりてその目とびいで心の欲にまさりて物をうるなり
73:8
編集また嘲笑をなし惡をもて暴虐のことばをいだし高ぶりてものいふ
73:9
編集その口を天におきその舌を地にあまねく往しむ
73:10
編集このゆゑにかれの民はここにかへり水のみちたる杯をしぼりいだして
73:11
編集いへらく神いかで知たまはんや至上者に知識あらんやと
73:12
編集視よかれらは惡きものなるに常にやすらかにしてその富ましくははれり
73:13
編集誠に我はいたづらに心をきよめ罪ををかさずして手をあらひたり
73:14
編集そはわれ終日なやみにあひ朝ごとに責をうけしなり
73:15
編集われもし斯ることを述んといひしならば我なんぢが子輩の代をあやまらせしならん
73:16
編集われこれらの道理をしらんとして思ひめぐらししにわが眼いたく痛たり
73:17
編集われ神の聖所にゆきてかれらの結局をふかく思へるまでは然りき
73:18
編集誠になんぢはかれらを滑かなるところにおきかれらを滅亡におとしいれ給ふ
73:19
編集かれらは瞬間にやぶれたるかな彼等は恐怖をもてことごとく滅びたり
73:20
編集主よなんぢ目をさましてかれらが像をかろしめたまはんときは夢みし人の目さめたるがごとし
73:21
編集わが心はうれへ わが腎はさされたり
73:22
編集われおろかにして知覺なし聖前にありて獣にひとしかりき
73:23
編集されど我つねになんぢとともにあり汝わが右手をたもちたまへり
73:24
編集なんぢその訓諭をもて我をみちびき後またわれをうけて榮光のうちに入たまはん
73:25
編集汝のほかに我たれをか天にもたん地にはなんぢの他にわが慕ふものなし
73:26
編集わが身とわが心とはおとろふ されど神はわがこころの磐わがとこしへの嗣業なり
73:27
編集視よなんぢに遠きものは滅びん 汝をはなれて姦淫をおこなふ者はみななんぢ之をほろぼしたまひたり
73:28
編集神にちかづき奉るは我によきことなり われは主ヱホバを避所としてそのもろもろの事跡をのべつたへん
第74篇
編集アサフの敎訓のうた
74:1
編集神よいかなれば汝われらをかぎりなく棄たまひしや 奈何ばなんぢの草苑の羊にみかいかりの煙あがれるや
74:2
編集ねがはくは往昔なんぢが買求めたまへる公會ゆづりの支派となさんとて贖ひたまへるものを思ひいでたまへ又なんぢが住たまふシオンの山をおもひいで給へ
74:3
編集とこしへの滅亡の跡にみあしを向たまへ仇は聖所にてもろもろの惡きわざをおこなへり
74:4
編集なんぢの敵はなんぢの集のなかに吼たけびおのが旗をたてて誌とせり
74:5
編集かれらは林のしげみにて斧をあぐる人の状にみゆ
74:6
編集いま鉞と鎚とをもて聖所のなかなる彫刻めるものをことごとく毀ちおとせり
74:7
編集かれらはなんぢの聖所に火をかけ名の居所をけがして地におとしたり
74:8
編集かれら心のうちにいふ われらことごとく之をこぼちあらさんと かくて國内なる神のもろもろの會堂をやきつくせり
74:9
編集われらの誌はみえず預言者も今はなし 斯ていくその時をかふべき われらのうちに知るものなし
74:10
編集神よ敵はいくその時をふるまでそしるや 仇はなんぢの名をとこしへに汚すならんか
74:11
編集いかなれば汝その手みぎの手をひきたまふや ねがはくは手をふところよりいだしてかれらを滅したまへ
74:12
編集神はいにしへよりわが王なり すくひを世の中におこなひたまへり
74:13
編集なんぢその力をもて海をわかち水のなかなる龍の首をくだき
74:14
編集鰐のかうべをうちくだき野にすめる民にあたへて食となしたまへり
74:15
編集なんぢは泉と水流とをひらき又もろもろの大河をからしたまへり
74:16
編集晝はなんぢのもの夜も又汝のものなり なんぢは光と日とをそなへ
74:17
編集あまねく地のもろもろの界をたて夏と冬とをつくりたまへり
74:18
編集ヱホバよ仇はなんぢをそしり愚かなる民はなんぢの名をけがせり この事をおもひいでたまへ
74:19
編集願くはなんぢの鴿のたましひを野のあらき獣にわたしたまふなかれ 苦しむものに命をとこしへに忘れたまふなかれ
74:20
編集契約をかへりみたまへ地のくらきところは強暴の宅にて充たればなり
74:21
編集ねがはくは虐げらるるものを慚退かしめ給ふなかれ 惱るものと苦しむものとに聖名をほめたたへしめたまへ
74:22
編集神よおきてなんぢの訟をあげつらひ愚かなるものの終日なんぢを謗れるをみこころに記たまへ
74:23
編集なんぢの敵の聲をわすれたまふなかれ 汝にさからひて起りたつ者のかしがましき聲はたえずあがれり
第75篇
編集「滅すなかれ」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるアサフの歌なり讃美なり
75:1
編集神よわれら汝にかんしやす われら感謝すなんぢの名はちかく坐せばなり もろもろの人はなんぢの奇しき事跡をかたりあへり
75:2
編集定りたる期いたらば我なほき審判をなさん
75:3
編集地とすべての之にすむものと消去しとき我そのもろもろの柱をたてたりセラ
75:4
編集われ誇れるものに誇りかにおこなふなかれといひ 惡きものに角をあぐるなかれといへり
75:5
編集なんぢらの角をたかく擧るなかれ頸をかたくして高りいふなかれ
75:6
編集擧ることは東よりにあらず西よりにあらずまた南よりにもあらざるなり
75:7
編集ただ神のみ審士にましませば此をさげ彼をあげたまふ
75:8
編集ヱホバの手にさかづきありて酒あわだてり その中にものまじりてみつ 神これをそそぎいだせり 誠にその滓は地のすべてのあしき者しぼりて飮むべし
75:9
編集されど我はヤコブの神をのべつたへん とこしへに讃うたはん
75:10
編集われ惡きもののすべての角をきりはなたん 義きものの角はあげらるべし
第76篇
編集琴にあはせて伶長にうたはしめたるアサフの歌なり讃美なり
76:1
編集神はユダにしられたまへり その名はイスラエルに大なり
76:2
編集またサレムの中にその幕屋あり その居所はシオンにあり
76:3
編集彼所にてかれは弓の火矢ををり盾と劍と戰陣とをやぶりたまひきセラ
76:4
編集なんぢ榮光あり掠めうばふ山よりもたふとし
76:5
編集心のつよきものは掠めらる かれらは睡にしづみ勇ましきものは皆その手を見うしなへり
76:6
編集ヤコブの神よなんぢの叱咤によりて戰車と馬とともに深睡につけり
76:7
編集神よなんぢこそ懼るべきものなれ 一たび怒りたまふときは誰かみまへに立えんや
76:8
編集76:9
編集なんぢ天より宣告をのりたまへり 地のへりくだる者をみなすくはんとて神のさばきに立たまへるとき地はおそれて默したりセラ
76:10
編集實に人のいかりは汝をほむべし 怒のあまりは汝おのれの帶としたまはん
76:11
編集なんぢの神ヱホバにちかひをたてて償へ そのまはりなるすべての者はおそるべきヱホバに禮物をささぐべし
76:12
編集ヱホバはもろもろの諸侯のたましひを絶たまはん ヱホバは地の王たちのおそるべき者なり
第77篇
編集エドトンの體にしたがひて伶長にうたはしめたるアサフのうた
77:1
編集我わがこゑをあげて神によばはん われ聲を神にあげなばその耳をわれにかたぶけたまはん
77:2
編集わがなやみの日にわれ主をたづねまつれり 夜わが手をのべてゆるむることなかりき わがたましひは慰めらるるをいなみたり
77:3
編集われ神をおもひいでて打なやむ われ思ひなげきてわが霊魂おとろへぬセラ
77:4
編集なんぢはわが眼をささへて閉がしめたまはず 我はものいふこと能はぬほどに惱みたり
77:5
編集われむかしの日いにしへの年をおもへり
77:6
編集われ夜わが歌をむもひいづ 我わが心にてふかくおもひわが霊魂はねもころに尋ねもとむ
77:7
編集主はとこしへに棄たまふや 再びめぐみを垂たまはざるや
77:8
編集その憐憫はのこりなく永遠にさり そのちかひは世々ながく廢れたるや
77:9
編集神は恩をほどこすことを忘れたまふや 怒をもてそのあはれみを絨たまふやセラ
77:10
編集斯るときに我いへらく此はただわが弱きがゆゑのみいで至上者のみぎの手のもろもろの年をおもひいでん
77:11
編集われヤハの作爲をのべとなへん われ往古よりありし汝がくすしきみわざを思ひいたさん
77:12
編集また我なんぢのすべての作爲をおもひいで汝のなしたまへることを深くおもはん
77:13
編集神よなんぢの途はいときよし 神のごとく大なる神はたれぞや
77:14
編集なんぢは奇きみわざをなしたまへる神なり もろもろの民のあひだにその大能をしめし
77:15
編集その臂をもてヤコブ、ヨセフの子輩なんぢの民をあがなひたまへりセラ
77:16
編集かみよ大水なんぢを見たり おほみづ汝をみてをののき淵もまたふるへり
77:17
編集雲はみづをそそぎいだし空はひびきをいだし なんぢの矢ははしりいでたり
77:18
編集なんぢの雷鳴のこゑは暴風のうちにありき 電光は世をてらし地はふるひうごけり
77:19
編集なんぢの大道は海のなかにあり なんぢの徑はおほみづの中にあり なんぢの蹤跡はたづねがたかりき
77:20
編集なんぢその民をモーセとアロンとの手によりて羊の群のごとくみちびきたまへり
第78篇
編集アサフの敎訓のうた
78:1
編集わが民よわが敎訓をきき、わが口のことばになんぢらの耳をかたぶけよ
78:2
編集われ口をひらきて譬喩をまうけ いにしへの玄幽なる語をかたりいでん
78:3
編集是われらが曩にききしところ知しところ又われらが列祖のかたりつたへし所なり
78:4
編集われら之をその子孫にかくさずヱホバのもろもろの頌美と能力とそのなしたまへる奇しき事跡とをきたらんとする世につげん
78:5
編集そはヱホバ證詞をヤコブのうちにたて律法をイスラエルのうちに定めてその子孫にしらすべきことをわれらの列祖におほせたまひたればなり
78:6
編集これ來らんとする代のちに生るる子孫がこれを知みづから起りてそのまた子孫につたへ
78:7
編集かれらをして神によりたのみ神のみわざを忘れずその誡命をまもらしめん爲なり
78:8
編集またその列祖のごとく頑固にしてそむくものの類となり そのこころ修まらず そのたましひ神に忠ならざる類とならざらん爲なり
78:9
編集エフライムのこらは武具ととのへ弓をたづさへしに戰ひの日にうしろをそむけたり
78:10
編集かれら神のちかひをまもらず そのおきてを履ことをいなみ
78:11
編集ヱホバのなしたまへることとかれらに示したまへる奇しき事跡とをわすれたり
78:12
編集神はエジプトの國にてゾアンの野にて妙なる事をかれらの列祖のまへになしたまへり
78:13
編集すなはち海をさきてかれらを過ぎしめ水をつみて堆かくしたまへり
78:14
編集ひるは雲をもてかれらをみちびき夜はよもすがら火の光をもてこれを導きたまへり
78:15
編集神はあれのにて磐をさき大なる淵より汲がごとくにかれらに飮しめ
78:16
編集また磐より流をひきて河のごとくに水をながれしめたまへり
78:17
編集然るにかれら尚たえまなく罪ををかして神にさからひ荒野にて至上者にそむき
78:18
編集またおのが慾のために食をもとめてその心のうちに神をこころみたり
78:19
編集然のみならずかれらは神にさからひていへり 神は荒野にて筵をまうけたまふを得んや
78:20
編集みよ神いはを撃たまへば水ほどばしりいで流あぶれたり 糧をもあたへたまふを得んや神はその民のために肉をそなへたまはんやと
78:21
編集この故にヱホバこれを聞ていきどほりたまひき 火はヤコブにむかひてもえあがり怒はイスラエルにむかひて立騰れり
78:22
編集こはかれら神を信ぜずその救にたのまざりし故なり
78:23
編集されどなほ神はうへなる雲に命じて天の戸をひらき
78:24
編集彼等のうへにマナをふらせて食はしめ天の穀物をあたへたまへり
78:25
編集人みな勇士の糧をくらへり 神はかれらに食物をおくりて飽足らしめたまふ
78:26
編集神は天に東風をふかせ大能もて南の風をみちびきたまへり
78:27
編集神はかれらのうへに塵のごとく肉をふらせ海の沙のごとく翼ある鳥をふらせて
78:28
編集その營のなかその住所のまはりに落したまへり
78:29
編集斯てかれらは食ひて飽たりぬ 神はこれにその欲みしものを與へたまへり
78:30
編集かれらが未だその慾をはなれず食物のなほ口のうちにあるほどに
78:31
編集神のいかり旣にかれらに對ひてたちのぼり彼等のうちにて最もこえたる者をころしイスラエルのわかき男をうちたふしたまへり
78:32
編集これらの事ありしかど彼等はなほ罪ををかしてその奇しきみわざを信ぜざりしかば
78:33
編集神はかれらの日を空しくすぐさせ その年をおそれつつ過させたまへり
78:34
編集神かれらを殺したまへる時かれら神をたづね歸りきたりて懇ろに神をもとめたり
78:35
編集かくて神はおのれの磐いとたかき神はおのれの贖主なることをおもひいでたり
78:36
編集然はあれど彼等はただその口をもて神にへつらひその舌をもて神にいつはりをいひたりしのみ
78:37
編集そはかれらのこころは神にむかひて堅からず その契約をまもるに忠信ならざりき
78:38
編集されど神はあはれみに充たまへばかれらの不義をゆるして亡したまはず屡ばそのみいかりを轉してことごとくは忿恚をふりおこし給はざりき
78:39
編集又かれがただ肉にして過去ばふたたび歸りこぬ風なるをおもひいで給へり
78:40
編集かれらは野にて神にそむき荒野にて神をうれへしめしこと幾次ぞや
78:41
編集かれらかへすがへす神をこころみイスラエルの聖者をはづかしめたり
78:42
編集かれらは神の手をも敵より贖ひたまひし日をもおもひいでざりき
78:43
編集神はそのもろもろの豫兆をエジプトにあらはしその奇しき事をゾアンの野にあらはし
78:44
編集かれらの河を血にかはらせてその流を飮あたはざらしめ
78:45
編集また蝿の群をおくりてかれらをくはしめ蛙をおくりてかれらを亡させたまへり
78:46
編集神はかれらの田產を蟊賊にわたし かれらの勤勞を蝗にあたへたまへり
78:47
編集神は雹をもてかれらの葡萄の樹をからし霜をもてかれらの桑の樹をからし
78:48
編集その家畜をへうにわたしその群をもゆる閃電にわたし
78:49
編集かれらの上にはげしき怒といきどほりと怨恨となやみと禍害のつかひの群とをなげいだし給へり
78:50
編集神はその怒をもらす道をまうけ かれらのたましひを死よりまぬかれしめず そのいのちを疫癘にわたし
78:51
編集エジプトにてすべての初子をうちハムの幕屋にてかれらの力の始をうちたまへり
78:52
編集されどおのれの民を羊のごとくに引いだし かれらを曠野にてけだものの群のごとくにみちびき
78:53
編集かれらをともなひておそれなく安けからしめ給へり されど海はかれらの仇をおほへり
78:54
編集神はその聖所のさかひ その右の手にて購たまへるこの山に彼らを携へたまへり
78:55
編集又かれらの前にてもろもろの國人をおもひいだし準縄をもちゐ その地をわかちて嗣業となし イスラエルの族をかれらの幕屋にすまはせたまへり
78:56
編集然はあれど彼等はいとたかき神をこころみ之にそむきてそのもろもろの證詞をまもらず
78:57
編集叛きしりぞきてその列祖の如く眞實をうしなひ くるへる弓のごとくひるがへりて逸ゆけり
78:58
編集高處をまうけて神のいきどほりをひき刻める像にて神の嫉妬をおこしたり
78:59
編集神ききたまひて甚だしくいかり大にイスラエルを憎みたまひしかば
78:60
編集人々の間におきたまひし幕屋なるシロのあげばりを棄さり
78:61
編集その力をとりことならしめ その榮光を敵の手にわたし
78:62
編集その民を劍にあたへ その嗣業にむかひて甚だしく怒りたまへり
78:63
編集火はかれらのわかき男をやきつくし かれらの處女はその婚姻の歌によりて譽らるることなく
78:64
編集かれらの祭司はつるぎにて仆れ かれらの寡婦は喪のなげきだにせざりき
78:65
編集斯るときに主はねぶりし者のさめしごとく勇士の酒によりてさけぶがごとく目さめたまひて
78:66
編集その敵をうちしりぞけ とこしへの辱をかれらに負せたまへり
78:67
編集またヨセフの幕屋をいなみエフライムの族をえらばず
78:68
編集ユダの族そのいつくしみたまふシオンの山をえらびたまへり
78:69
編集その聖所を山のごとく永遠にさだめたまへる地のごとくに立たまへり
78:70
編集またその僕ダビデをえらびて羊の牢のなかよりとり
78:71
編集乳をあたふる牝羊にしたがひゆく勤のうちより携へきたりてその民ヤコブその嗣業イスラエルを牧はせたまへり
78:72
編集斯てダビデはそのこころの完全にしたがひてかれらを牧ひ その手のたくみをもて之をみちびけり
第79篇
編集アサフのうた
79:1
編集ああ神よもろもろの異邦人はなんぢの嗣業の地ををかし なんぢの聖宮をけがしヱルサレムをこぼちて礫堆となし
79:2
編集なんぢの僕のしかばねをそらの鳥に與へて餌となし なんぢの聖徒の肉を地のけものにあたへ
79:3
編集その血をヱルサレムのめぐりに水のごとく流したりされど之をはうむる人なし
79:4
編集われらは隣人にそしられ四周のひとびとに侮られ嘲けらるるものとなれり
79:5
編集ヱホバよ斯て幾何時をへたまふや 汝とこしへに怒たまふや なんぢのねたみは火のごとく燃るか
79:6
編集願くはなんぢを識ざることくにびと聖名をよばざるもろもろの國のうへに烈怒をそそぎたまへ
79:7
編集かれらはヤコブを呑その住處をあらしたればなり
79:8
編集われらにむかひて先祖のよこしまなるわざを記念したまふなかれ願くはなんぢの憐憫をもて速かにわれらを迎へたまへ われらは貶されて甚だしく卑くなりたればなり
79:9
編集われらのすくひの神よ名のえいくわうのために我儕をたすけ名のためにわれらを救ひ われらの罪をのぞきたまへ
79:10
編集いかなれば異邦人はいふ かれらの神はいづくにありやと 願くはなんぢの僕等がながされし血の報をわれらの目前になして異邦人にしらしめたまへ
79:11
編集ねがはくは汝のみまへにとらはれびとの嘆息のとどかんことを なんぢの大なる能力により死にさだめられし者をまもりて存へしめたまへ
79:12
編集主よわれらの隣人のなんぢをそしりたる謗を七倍ましてその懐にむくいかへしたまへ
79:13
編集然ばわれらなんぢの民なんぢの草苑のひつじは永遠になんぢに感謝しその頌辭を世々あらはさん
第80篇
編集證詞の百合花といへる調にあはせて伶長にうたはしめたるアサフの歌
80:1
編集イスラエルの牧者よひつじの群のごとくヨセフを導きたまものよ 耳をかたぶけたまヘ ケルビムのうへに坐したまふものよ 光をはなちたまヘ
80:2
編集エフライム、ベニヤミン、マナセの前になんぢの力をふりおこし來りてわれらを救ひたまへ
80:3
編集神よふたたびわれらを復し なんぢの聖顔のひかりをてらしたまへ 然ばわれら救をえん
80:4
編集ばんぐんの神ヱホバよなんぢその民の祈にむかひて何のときまで怒りたまふや
80:5
編集汝かれらになみだの糧をくらはせ涙を量器にみちみつるほどあたへて飮しめ給へり
80:6
編集汝われらを隣人のあひあらそふ種料となしたまふ われらの仇はたがひにあざわらへり
80:7
編集萬軍の神よふたたびわれらを復したまへ 汝のみかほの光をてらしたまへ さらばわれら救をえん
80:8
編集なんぢ葡萄の樹をエジプトより携へいだしもろもろの國人をおひしりぞけて之をうゑたまへり
80:9
編集汝そのまへに地をまうけたまひしかば深く根して國にはびこれり
80:10
編集その影はもろもろの山をおほひ そのえだは神の香柏のごとくにてありき
80:11
編集その樹はえだを海にまでのべ その若枝を河にまでのべたり
80:12
編集汝いかなればその垣をくづして路ゆくすべての人に嫡取らせたまふや
80:13
編集はやしの猪はこれをあらし野のあらき獣はこれをくらふ
80:14
編集ああ萬軍の神よねがはくは歸りたまへ 天より俯視てこの葡萄の樹をかへりみ
80:15
編集なんぢが右の手にてうゑたまへるもの自己のために強くなしたまへる枝をまもりたまへ
80:16
編集その樹は火にて燒れまた斫たふさる かれらは聖顔のいかりにて亡ぶ
80:17
編集ねがはくはなんぢの手をその右の手の人のうへにおき自己のためにつよくなしたまへる人の子のうへにおきたまへ
80:18
編集さらばわれら汝をしりぞき離るることなからん 願くはわれらを活したまへ われら名をよばん
80:19
編集ああ萬軍の神ヱホバよふたたび我儕をかへしたまへ なんぢの聖顔のひかりを照したまへ 然ばわれら救をえん
第81篇
編集ギテトの琴にあはせて伶長にうたはしめたるアサフのうた
81:1
編集われらの力なる神にむかひて高らかにうたひヤコブの神にむかひてよろこびの聲をあげよ
81:2
編集歌をうたひ鼓とよき音のことと筝とをもちきたれ
81:3
編集新月と滿月とわれらの節會の日とにラッパをふきならせ
81:4
編集これイスラエルの律法ヤコブのかみの格なり
81:5
編集神さきにエジプトを攻たまひしときヨセフのなかに之をたてて證となしたまへり 我かしこにて未だしらざりし方言をきけり
81:6
編集われかれの肩より重荷をのぞき かれの手を籃よりまぬかれしめたり
81:7
編集汝なやめるとき呼しかば我なんぢをすくへり われ雷鳴のかくれたるところにて汝にこたヘメリバの水のほとりにて汝をこころみたりセラ
81:8
編集わが民よきけ我なんぢに證せん イスラエルよ汝がわれに從はんことをもとむ
81:9
編集汝のうちに他神あるべからず なんぢ他神ををがむべからず
81:10
編集われはエジプトの國よりなんぢを携へいでたる汝の神ヱホバなり なんぢの口をひろくあけよ われ物をみたしめん
81:11
編集されどわが民はわか聲にしたがはず イスラエルは我をこのまず
81:12
編集このゆゑに我かれらが心のかたくななるにまかせ彼等がその任意にゆくにまかせたり
81:13
編集われはわが民のわれに從ひイスフルのわが道にあゆまんことを求む
81:14
編集さらば我すみやかにかれらの仇をしたがへ わが手をかれらの敵にむけん
81:15
編集斯てヱホバをにくみし者もかれらに從ひ かれらの時はとこしへにつづかん
81:16
編集神はむぎの最嘉をもてかれらをやしなひ 磐よりいでたる蜜をもて汝をあかしむべし
第82篇
編集アサフのうた
82:1
編集かみは神のつどひの中にたちたまふ 神はもろもろの神のなかに審判をなしたまふ
82:2
編集なんぢらは正からざる審判をなし あしきものの身をかたよりみて幾何時をへんとするやセラ
82:3
編集よわきものと孤兒とのためにさばき苦しむものと乏しきものとのために公平をほどこせ
82:4
編集弱きものと貧しきものとをすくひ彼等をあしきものの手よりたすけいだせ
82:5
編集かれらは知ることなく悟ることなくして暗中をゆきめぐりぬ 地のもろもろの基はうごきたり
82:6
編集我いへらく なんぢらは神なりなんぢらはみな至上者の子なりと
82:7
編集然どなんぢらは人のごとくに死もろもろの侯のなかの一人のごとく仆れん
82:8
編集神よおきて全地をさばきたまへ 汝もろもろの國を嗣たまふべければなり
第83篇
編集アサフの歌なり讃美なり
83:1
編集神よもだしたまふなかれ神よものいはで寂靜たまふなかれ
83:2
編集視よなんぢの仇はかしがきしき聲をあげ汝をにくむものは首をあげたり
83:3
編集かれらはたくみなる謀略をもてなんぢの民にむかひ相共にはかりて汝のかくれたる者にむかふ
83:4
編集かれらいひたりき 來かれらを斷滅してふたたび國をたつることを得ざらしめイスラエルの名をふたたび人にしられざらしめんと
83:5
編集かれらは心を一つにしてともにはかり互にちかひをなしてなんぢに逆ふ
83:6
編集こはエドムの幕屋にすめる人イシマエル人モアブ、ハガル人
83:7
編集ゲバル、アンモン、アマレク、ペリシテおよびツロの民などなり
83:8
編集アッスリヤも亦かれらにくみせり 斯てロトの子輩のたすけをなせりセラ
83:9
編集なんぢ曩にミデアンになしたまへる如くキションの河にてシセラとヤビンとに作たまへるごとく彼等にもなしたまへ
83:10
編集かれらはエンドルにてほろび地のために肥料となれり
83:11
編集かれらの貴人をオレブ、ゼエブのごとくそのもろもろの侯をゼバ、ザルムンナのごとくなしたまへ
83:12
編集かれらはいへり われら神の草苑をえてわが有とすべしと
83:13
編集わが神よかれらをまきあげらるる塵のごとく風のまへの藁のごとくならしめたまへ
83:14
編集林をやく火のごとく山をもやす熖のごとく
83:15
編集なんぢの暴風をもてかれらを追ひなんぢの旋風をもてかれらを怖れしめたまへ
83:16
編集かれらの面に恥をみたしめたまヘ ヱホバよ然ばかれらなんぢの名をもとめん
83:17
編集かれらをとこしへに恥おそれしめ惶てまどひて亡びうせしめたまへ
83:18
編集然ばかれらはヱホバてふ名をもちたまふ汝のみ全地をしろしめす至上者なることを知るべし
第84篇
編集ギテトの琴にあはせて伶長にうたはしめたるコラの子のうた
84:1
編集萬軍のヱホバよなんぢの帷幄はいかに愛すべきかな
84:2
編集わが霊魂はたえいるばかりにヱホバの大庭をしたひ わが心わが身はいける神にむかひて呼ふ
84:3
編集誠やすずめは窩をえ燕子はその雛をいるる巣をえたり萬軍のヱホバわが王わが神よ これなんぢの祭壇なり
84:4
編集なんぢの家にすむものは福ひなり かかるひとはつねに汝をたたへまつらんセラ
84:5
編集その力なんじにあり その心シオンの大路にある者はさいはひなり
84:6
編集かれらは涙の谷をすぐれども其處をおほくの泉あるところとなす また前の雨はもろもろの惠をもて之をおほへり
84:7
編集かれらは力より力にすすみ遂におのおのシオンにいたりて神にまみゆ
84:8
編集ばんぐんの神ヱホバよわが祈をききたまへ ヤコブの神よ耳をかたぶけたまへセラ
84:9
編集われらの盾なる神よ みそなはして なんぢの受膏者の顔をかへりみたまへ
84:10
編集なんぢの大庭にすまふ一日は千日にもまされり われ惡の幕屋にをらんよりは 寧ろわが神のいへの門守とならんことを欲ふなり
84:11
編集そは神ヱホバは日なり盾なり ヱホバは恩とえいくわうとをあたへ直くあゆむものに善物をこばみたまふことなし
84:12
編集萬軍のヱホバよなんぢに依賴むものはさいはひなり
第85篇
編集伶長にうたはしめたるコラの子のうた
85:1
編集ヱホバよなんぢは御國にめぐみをそそぎたまへり なんぢヤコブの俘囚をかへしたまひき
85:2
編集なんぢおのが民の不義をゆるしそのもろもろの罪をおほひたまひきセラ
85:3
編集汝すべての怒をすてその烈しきいきどほりを遠けたまへり
85:4
編集われらのすくひの神よかへりきたり我儕にむかひて忿怒をやめたまヘ
85:5
編集なんぢ永遠にわれらをいかり萬世にみいかりをひきのべたまふや
85:6
編集汝によりてなんぢの民の喜悦をえんが爲に我儕を活したまはざるか
85:7
編集ヱホバよなんぢの憐憫をわれらにしめし汝のすくひを我儕にあたへたまへ
85:8
編集わが神ヱホバのいたりたまふ事をきかん ヱホバはその民その聖徒に平和をかたりたまへばなり さればかれらは愚かなる行爲にふたたび歸るなかれ
85:9
編集實にそのすくひは神をおそるる者にちかし かくて榮光はわれらの國にとどまらん
85:10
編集あはれみと眞實とともにあひ義と平和とたがひに接吻せり
85:11
編集まことは地よりはえ義は天よりみおろせり
85:12
編集ヱホバ善物をあたへたまへばわれらの國は物產をいださん
85:13
編集義はヱホバのまへにゆきヱホバのあゆみたまふ跡をわれに踏しめん
第86篇
編集ダビデの祈祷
86:1
編集ヱホバよなんぢ耳をかたぶけて我にこたへたまへ 我はくるしみかつ乏しければなり
86:2
編集ねがはくはわが霊魂をまもりたまへ われ神をうやまふ者なればなり わが神よなんぢに依賴める汝のしもべを救ひ給へ
86:3
編集主よわれを憐みたまへ われ終日なんぢによばふ
86:4
編集なんぢの僕のたましひを悦ばせたまへ 主よわが霊魂はなんぢを仰ぎのぞむ
86:5
編集主よなんぢは惠ふかくまた赦をこのみたまふ 汝によばふ凡てのものを豊かにあはれみたまふ
86:6
編集ヱホバよわがいのりに耳をかたぶけ わが懇求のこゑをききたまへ
86:7
編集われわが患難の日になんぢに呼はん なんぢは我にこたへたまふべし
86:8
編集主よもろもろの神のなかに汝にひとしきものはなく汝のみわざに侔しきものはなし
86:9
編集主よなんぢの造れるもろもろの國はなんぢの前にきたりて伏拝まん かれらは聖名をあがむべし
86:10
編集なんぢは大なり奇しき事跡をなしたまふ 唯なんぢのみ神にましませり
86:11
編集ヱホバよなんぢの道をわれに敎へたまへ我なんぢの眞理をあゆまん ねがはくは我をして心ひとつに聖名をおそれしめたまへ
86:12
編集主わが神よ我心をつくして汝をほめたたへ とこしへに聖名をあがめまつらん
86:13
編集そはなんぢの憐憫はわれに大なり わがたましひを陰府のふかき處より助けいだしたまへり
86:14
編集神よたかぶれるものは我にさからひて起りたち暴ぶる人の會はわがたましひをもとめ 斯てなんぢを己がまへに置ざりき
86:15
編集されど主よなんぢは憐憫とめぐみとにとみ怒をおそくし愛しみと眞實とにゆたかなる神にましませり
86:16
編集我をかへりみ我をあはれみたまへ ねがはくは汝のしもべに能力を與へ汝のはしための子をすくひたまへ
86:17
編集我にめぐみの憑據をあらはしたまへ 然ばわれをにくむ者これをみて恥をいだかん そはヱホバよなんぢ我をたすけ我をなぐさめたまへばなり
第87篇
編集コラの子のうたなり讃美なり
87:1
編集ヱホバの基はきよき山にあり
87:2
編集ヱホバはヤコブのすべての住居にまさりてシオンのもろちろの門を愛したまふ
87:3
編集神の都よなんぢにつきておほくの榮光のことを語りはやせりセラ
87:4
編集われはラハブ、バビロンをも我をしるものの中にあげん ペリシテ、ツロ、エテオピアを視よこの人はかしこに生れたりといはん
87:5
編集シオンにつきては如此いはん 此もの彼ものその中にうまれたり至上者みづからシオンを立たまはんと
87:6
編集ヱホバもろもろの民をしるしたまふ時このものは彼處にうまれたりと算へあげたまはんセラ
87:7
編集うたふもの踊るもの皆いはん わがもろもろの泉はなんぢの中にありと
第88篇
編集マハラテ、レアノテの調にあはせて伶長にうたはしめたるコラの子のうたなり 讃美なり、エズフ人ヘマンのをしへの歌なり
88:1
編集わがすくひの神ヱホバよわれ晝も夜もなんぢの前にさけべり
88:2
編集願くはわが祈をみまへにいたらせ汝のみみをわが號呼のこゑにかたぶけたまへ
88:3
編集わがたましひは患難にてみち我がいのちは陰府にちかづけり
88:4
編集われは穴にいるものとともにかぞへられ依仗なき人のごとくなれり
88:5
編集われ墓のうちなる殺されしもののごとく死者のうちにすてらる汝かれらを再びこころに記たまはず かれらは御手より斷滅されしものなり
88:6
編集なんぢ我をいとふかき穴 くらき處 ふかき淵におきたまひき
88:7
編集なんぢの怒はいたくわれにせまれり なんぢそのもろもろの浪をもて我をくるしめ給へりセラ
88:8
編集わが相識ものを我よりとほざけ我をかれらに憎ませたまへり われは錮閉されていづることあたはず
88:9
編集わが眼はなやみの故をもておとろへぬ われ日ごとに汝をよべり ヱホバよなんぢに向ひてわが兩手をのべたり
88:10
編集なんぢ死者にくすしき事跡をあらはしたまはんや 亡にしもの立てなんぢを讃たたへんやセラ
88:11
編集汝のいつくしみは墓のうちに汝のまことは滅亡のなかに宣傳へられんや
88:12
編集汝のくすしきみわざは幽暗になんぢの義は忘失のくにに知るることあらんや
88:13
編集されどヱホバよ我なんぢに向ひてさけべり わがいのりは朝にみまへに達らん
88:14
編集ヱホバよなんぢ何なればわが霊魂をすてたまふや何なればわれに面をかくしたまふや
88:15
編集われ幼稚よりなやみて死るばかりなり我なんぢの恐嚇にあひてくるしみまどへり
88:16
編集汝のはげしき怒わがうへをすぐ汝のおびやかし我をほろぼせり
88:17
編集これらの事ひねもす大水のごとく我をめぐり ことごとく來りて我をかこみふさげり
88:18
編集なんぢ我をいつくしむ者とわが友とをとほざけ わが相識るものを幽暗にいれたまへり
第89篇
編集エズラ人エタンのをしへの歌
89:1
編集われヱホバの憐憫をとこしへにうたはん われ口もてヱホバの眞實をよろづ代につげしらせん
89:2
編集われいふ あはれみは永遠にたてらる 汝はその眞實をかたく天にさだめたまはんと
89:3
編集われわが撰びたるものと契約をむすびわが僕ダビデにちかひたり
89:4
編集われなんぢの裔をとこしへに固うしなんぢの座位をたてて代々におよばしめんセラ
89:5
編集ヱホバよもろもろの天はなんぢの奇しき事跡をほめん なんぢの眞實もまた潔きものの會にてほめらるべし
89:6
編集蒼天にてたれかヱホバに類ふものあらんや 神の子のなかに誰かヱホバのごとき者あらんや
89:7
編集神はきよきものの公會のなかにて畏むべきものなり その四周にあるすべての者にまさりて懼るべきものなり
89:8
編集萬軍の神ヱホバよヤハよ汝のごとく大能あるものは誰ぞや なんぢの眞實はなんぢをめぐりたり
89:9
編集なんぢ海のあるるををさめ その浪のたちあがらんときは之をしづめたまふなり
89:10
編集なんぢラハブを殺されしもののごとく撃碎きおのれの仇どもを力ある腕をもて打散したまへり
89:11
編集もろもろの天はなんぢのもの地もまた汝のものなり世界とその中にみつるものとはなんぢの基したまへるなり
89:12
編集北と南はなんぢ造りたまへり タボル、ヘルモンはなんぢの名によりて歓びよばふ
89:13
編集なんぢは大能のみうでをもちたまふ なんぢの手はつよく汝のみぎの手はたかし
89:14
編集義と公平はなんぢの寳座のもとゐなり あはれみと眞實とは聖顔のまへにあらはれゆく
89:15
編集よろこびの音をしる民はさいはひなり ヱホバよかれらはみかほの光のなかをあゆめり
89:16
編集かれらは名によりて終日よろこび 汝の義によりて高くあげられたり
89:17
編集かれらの力の榮光はなんぢなり 汝の惠によりてわれらの角はたかくあげられん
89:18
編集そはわれらの盾はヱホバに屬われらの王はイスラエルの聖者につけり
89:19
編集そのとき異象をもてなんぢの聖徒につげたまはく われ佑助をちからあるものに委ねたり わが民のなかより一人をえらびて高くあげたり
89:20
編集われわが僕ダビデをえて之にわが聖膏をそそげり
89:21
編集わが手はかれとともに堅くわが臂はかれを強くせん
89:22
編集仇かれをしへたぐることなし惡の子かれを苦しむることなからん
89:23
編集われかれの前にそのもろもろの敵をたふし彼をにくめるものを撃ん
89:24
編集されどわが眞實とわが憐憫とはダビデとともに居り わが名によりてその角はたかくあげられん
89:25
編集われ亦かれの手を海のうへにおき そのみぎの手を河のうへにおかん
89:26
編集ダビデ我にむかひて汝はわが父わが神わがすくひの岩なりとよばん
89:27
編集われまた彼をわが初子となし地の王たちのうち最もたかき者となさん
89:28
編集われとこしへに憐憫をかれがためにたもち 之とたてし契約はかはることなかるべし
89:29
編集われまたその裔をとこしへに存へ そのくらゐを天の日數のごとくながらへしめん
89:30
編集もしその子わが法をはなれ わが審判にしたがひて歩まず
89:31
編集わが律法をやぶりわが誡命をまもらずば
89:32
編集われ杖をもてかれらの愆をただし鞭をもてその邪曲をただすべし
89:33
編集されど彼よりわが憐憫をことごとくはとりさらず わが眞實をおとろへしむることなからん
89:34
編集われおのれの契約をやぶらず己のくちびるより出しことをかへじ
89:35
編集われ曩にわが聖をさして誓へり われダビデに虚偽をいはじ
89:36
編集その裔はとこしへにつづきその座位は日のごとく恒にわが前にあらん
89:37
編集また月のごとく永遠にたてられん空にある證人はまことなりセラ
89:38
編集されどその受膏者をとほざけて棄たまへり なんぢ之をいきどほりたまへり
89:39
編集なんぢ己がしもべの契約をいみ 其かんむりをけがして地にまでおとし給へり
89:40
編集またその垣をことごとく倒し その保砦をあれすたれしめたまへり
89:41
編集その道をすぐるすべての者にかすめられ隣人にののしらる
89:42
編集なんぢかれが敵のみぎの手をたかく擧そのもろもろの仇をよろこばしめたまへり
89:43
編集なんぢかれの劍の刃をふりかへして戰闘にたつに堪へざらしめたまひき
89:44
編集またその光輝をけしその座位を地になげおとし
89:45
編集その年若き日をちぢめ恥をそのうへに覆たまへりセラ
89:46
編集ヱホバよかくて幾何時をへたまふや自己をとこしへに隠したまふや忿怒は火のもゆるごとくなるべきか
89:47
編集ねがはくはわが時のいかに短かきかを思ひたまへ 汝いたづらにすべての人の子をつくりたまはんや
89:48
編集誰かいきて死をみず又おのがたましひを陰府より救ひうるものあらんやセラ
89:49
編集主よなんぢが眞實をもてダビデに誓ひたまへる昔日のあはれみはいづこにありや
89:50
編集89:51
編集主よねがはくはなんぢの僕のうくる謗をみこころにとめたまヘ ヱホバよ汝のもろもろの仇はわれをそしりなんぢの受膏者のあしあとをそしれり 我もろもろの民のそしりをわが懐中にいだく
89:52
編集ヱホバは永遠にほむべきかな アーメン アーメン
第90篇
編集神の人モーセの祈祷
90:1
編集主よなんぢは往古より世々われらの居所にてましませり
90:2
編集山いまだ生いでず汝いまだ地と世界とをつくりたまはざりしとき 永遠よりとこしへまでなんぢは神なり
90:3
編集なんぢ人を塵にかへらしめて宣はく 人の子よなんぢら歸れと
90:4
編集なんぢの目前には千年もすでにすぐる昨日のごとく また夜間のひとときにおなじ
90:5
編集なんぢこれらを大水のごとく流去らしめたまふ かれらは一夜の寝のごとく朝にはえいづる靑草のごとし
90:6
編集朝にはえいでてさかえ夕にはかられて枯るなり
90:7
編集われらはなんぢの怒によりて消うせ 汝のいきどほりによりて怖まどふ
90:8
編集汝われらの不義をみまへに置 われらの隠れたるつみを聖顔のひかりのなかにおきたまへり
90:9
編集われらのもろもろの日はなんぢの怒によりて過去り われらがすべての年のつくるは一息のごとし
90:10
編集われらが年をふる日は七十歳にすぎず あるひは壮やかにして八十歳にいたらん されどその誇るところはただ勤勞とかなしみとのみ その去ゆくこと速かにしてわれらもまた飛去れり
90:11
編集誰かなんぢの怒のちからを知らんや たれか汝をおそるる畏にたくらべて汝のいきどほりをしらんや
90:12
編集願くはわれらにおのが日をかぞふることををしへて智慧のこころを得しめたまヘ
90:13
編集ヱホバよ歸りたまへ斯ていくそのときを歴たまふや ねがはくは汝のしもべらに係れるみこころを變へたまへ
90:14
編集ねがはくは朝にわれらを汝のあはれみにてあきたらしめ 世をはるまで喜びたのしませたまへ
90:15
編集汝がわれらを苦しめたまへるもろもろの日と われらが禍害にかかれるもろもろの年とにたくらべて我儕をたのしませたまへ
90:16
編集なんぢの作爲をなんぢの僕等に なんぢの榮光をその子等にあらはしたまへ
90:17
編集斯てわれらの神ヱホバの佳美をわれらのうへにのぞましめ われらの手のわざをわれらのうへに確からしめたまへ 願くはわれらの手のわざを確からしめたまへ
第91篇
編集91:1
編集至上者のもとなる隠れたるところにすまふその人は全能者の蔭にやどらん
91:2
編集われヱホバのことを宣て ヱホバはわが避所わが城わがよりたのむ神なりといはん
91:3
編集そは神なんぢを狩人のわなと毒をながす疫癘よりたすけいだしたまふべければなり
91:4
編集かれその翮をもてなんぢを庇ひたまはん なんぢその翼の下にかくれん その眞實は盾なり干なり
91:5
編集夜はおどろくべきことあり晝はとびきたる矢あり
91:6
編集幽暗にはあゆむ疫癘あり日午にはそこなふ勵しき疾あり されどなんぢ畏るることあらじ
91:7
編集千人はなんぢの左にたふれ萬人はなんぢの右にたふる されどその災害はなんぢに近づくことなからん
91:8
編集なんぢの眼はただこの事をみるのみ なんぢ惡者のむくいを見ん
91:9
編集なんぢ曩にいへりヱホバはわが避所なりと なんぢ至上者をその住居となしたれば
91:10
編集災害なんぢにいたらず苦難なんぢの幕屋に近づかじ
91:11
編集そは至上者なんぢのためにその使者輩におほせて 汝があゆむもろもろの道になんぢを守らせ給へばなり
91:12
編集彼ら手にてなんぢの足の石にふれざらんために汝をささへん
91:13
編集なんぢは獅と蝮とをふみ壮獅と蛇とを足の下にふみにじらん
91:14
編集彼その愛をわれにそそげるがゆゑに我これを助けん かれわが名をしるがゆゑに我これを高處におかん
91:15
編集かれ我をよはば我こたへん 我その苦難のときに偕にをりて之をたすけ之をあがめん
91:16
編集われ長寿をもてかれを足はしめ且わが救をしめさん
第92篇
編集安息日にもちゐる歌なり 讃美なり
92:1
編集いとたかき者よヱホバにかんしやし聖名をほめたたふるは善かな
92:2
編集あしたに汝のいつくしみをあらはし 夜々なんぢの眞實をあらはすに
92:3
編集十絃のなりものと筝とをもちゐ 琴の妙なる音をもちゐるはいと善かな
92:4
編集そはヱホバよ なんぢその作爲をもて我をたのしませたまへり 我なんぢの手のわざをよろこびほこらん
92:5
編集ヱホバよ汝のみわざは大なるかな汝のもろもろの思念はいとふかし
92:6
編集無知者はしることなく愚なるものは之をさとらず
92:7
編集惡きものは草のごとくもえいで 不義をおこなふ衆庶はさかゆるとも 遂にはとこしへにほろびん
92:8
編集されどヱホバよ汝はとこしへに高處にましませり
92:9
編集ヱホバよ吁なんぢの仇ああなんぢの仇はほろびん 不義をおこなふ者はことごとく散されん
92:10
編集されど汝わが角をたかくあげて 野の牛のつののごとくならしめたまへり 我はあたらしき膏をそそがれたり
92:11
編集又わが目はわが仇につきて願へることを見わが耳はわれにさからひておこりたつ惡をなすものにつきて願へることをききたり
92:12
編集義しきものは棕櫚の樹のごとく榮え レバノンの香柏のごとくそだつべし
92:13
編集ヱホバの宮にうゑられしものはわれらの神の大庭にさかえん
92:14
編集かれらは年老てなほ果をむすび豊かにうるほひ緑の色みちみちて
92:15
編集ヱホバの直きものなることを示すべし ヱホバはわが巌なりヱホバには不義なし
第93篇
編集93:1
編集ヱホバは統治たまふ ヱホバは稜威をきたまへり ヱホバは能力をころもとなし帶となしたまへり さればまた世界もかたくたちて動かさるることなし
93:2
編集なんぢの寳座はいにしへより堅くたちぬ 汝はとこしへより在せり
93:3
編集大水はこゑをあげたり ヱホバよおほみづは聲をあげたり おほみづは浪をあぐ
93:4
編集ヱホバは高處にいましてその威力はおほくの水のこゑ海のさかまくにまさりて盛んなり
93:5
編集なんぢの證詞はいとかたし ヱホバよ聖潔はなんぢの家にとこしへまでも適應なり
第94篇
編集94:1
編集ヱホバよ仇をかへすは汝にあり神よあたを報すはなんぢにあり ねがはくは光をはなちたまへ
94:2
編集世をさばきたまふものよ 願くは起てたかぶる者にそのうくべき報をなしたまヘ
94:3
編集ヱホバよ惡きもの幾何のときを經んとするや あしきもの勝誇りていくそのとしを經るや
94:4
編集かれらはみだりに言をいだして誇りものいふ すべて不義をおこなふ者はみづから高ぶれり
94:5
編集ヱホバよ彼等はなんぢの民をうちくだき なんぢの業をそこなふ
94:6
編集かれらは嫠婦と旅人との生命をうしなひ孤子をころす
94:7
編集かれらはいふ ヤハは見ずヤコブの神はさとらざるべしと
94:8
編集民のなかなる無知よ なんぢらさとれ 愚かなる者よ いづれのときにか智からん
94:9
編集みみを植るものきくことをせざらんや 目をつくれるもの見ることをせざらんや
94:10
編集もろもろの國ををしふる者ただすことを爲ざらんや 人に知識をあたふる者しることなからんや
94:11
編集ヱホバは人の思念のむなしきを知りたまふ
94:12
編集ヤハよなんぢの懲めたまふ人なんぢの法ををしへらるる人は さいはひなるかな
94:13
編集かかる人をわざはひの日よりのがれしめ 惡きもののために坑のほらるるまで これに平安をあたへたまはん
94:14
編集そはヱホバその民をすてたまはず その嗣業をはなれたまはざるなり
94:15
編集審判はただしきにかへり心のなほき者はみなその後にしたがはん
94:16
編集誰かわがために起りたちて惡きものを責んや 誰か我がために立て不義をおこなふ者をせめんや
94:17
編集もしヱホバ我をたすけたまはざりせば わが霊魂はとくに幽寂ところに住ひしならん
94:18
編集されどわが足すべりぬといひしとき ヱホバよなんぢの憐憫われをささへたまへり
94:19
編集わがうちに憂慮のみつる時 なんぢの安慰わがたましひを喜ばせたまふ
94:20
編集律法をもて害ふことをはかる惡の位はなんぢに親むことを得んや
94:21
編集彼等はあひかたらひて義人のたましひをせめ罪なき血をつみに定む
94:22
編集然はあれどヱホバはわがたかき櫓 わが神はわが避所の磐なりき
94:23
編集神はかれらの邪曲をその身におはしめ かれらをその惡き事のなかに滅したまはん われらの神ヱホバはこれを滅したまはん
第95篇
編集95:1
編集率われらヱホバにむかひてうたひ すくひの磐にむかひてよろこばしき聲をあげん
95:2
編集われら感謝をもてその前にゆき ヱホバにむかひ歌をもて歓ばしきこゑをあげん
95:3
編集そはヱホバは大なる神なり もろもろの神にまされる大なる王なり
95:4
編集地のふかき處みなその手にあり 山のいただきもまた神のものなり
95:5
編集うみは神のものその造りたまふところ旱ける地もまたその手にて造りたまへり
95:6
編集いざわれら拝みひれふし我儕をつくれる主ヱホパのみまへに曲跪くべし
95:7
編集彼はわれらの神なり われらはその草苑の民その手のひつじなり 今日なんぢらがその聲をきかんことをのぞむ
95:8
編集なんぢらメリバに在りしときのごとく 野なるマサにありし日の如く その心をかたくなにするなかれ
95:9
編集その時なんぢらの列祖われをこころみ我をためし 又わがわざをみたり
95:10
編集われその代のためにうれへて四十年を歴 われいへり かれらは心あやまれる民わが道を知ざりきと
95:11
編集このゆゑに我いきどほりて彼等はわが安息にいるべからずと誓ひたり
第96篇
編集96:1
編集あたらしき歌をヱホバにむかひてうたへ 全地よヱホバにむかひて謳ふべし
96:2
編集ヱホバに向ひてうたひその名をほめよ 日ごとにその救をのべつたへよ
96:3
編集もろもろの國のなかにその榮光をあらはし もろもろの民のなかにその奇しきみわざを顕すべし
96:4
編集そはヱホバはおほいなり大にほめたたふべきものなり もろもろの神にまさりて畏るべきものなり
96:5
編集もろもろの民のすべての神はことごとく虚し されどヱホバはもろもろの天をつくりたまへり
96:6
編集尊貴と稜威とはその前にあり能と善美とはその聖所にあり
96:7
編集もろもろの民のやからよ榮光とちからとをヱホバにあたへよヱホバにあたへよ
96:8
編集その聖名にかなふ榮光をもてヱホバにあたへ 献物をたづさへてその大庭にきたれ
96:9
編集きよき美しきものをもてヱホバををがめ 全地よその前にをののけ
96:10
編集もろもろの國のなかにいヘ ヱホバは統治たまふ世界もかたくたちて動かさるることなし ヱホバは正直をもてすべての民をさばきたまはんと
96:11
編集天はよろこび地はたのしみ海とそのなかに盈るものとはなりどよみ
96:12
編集田畑とその中のすべての物とはよろこぶべし かくて林のもろもろの樹もまたヱホバの前によろこびうたはん
96:13
編集ヱホバ來りたまふ地をさばかんとて來りたまふ 義をもて世界をさばきその眞實をもてもろもろの民をさばきたまはん
第97篇
編集97:1
編集ヱホバは統治たまふ 全地はたのしみ多くの島々はよろこぶべし
97:2
編集雲とくらきとはそり周環にあり 義と公平とはその寳座のもとゐなり
97:3
編集火ありそのみまへにすすみ その四周の敵をやきつくす
97:4
編集ヱホバのいなびかりは世界をてらす 地これを見てふるへり
97:5
編集もろもろの山はヱホバのみまへ全地の主のみまへにて蝋のごとくとけぬ
97:6
編集もろもろの天はその義をあらはし よろづの民はその榮光をみたり
97:7
編集すべてきざめる像につかへ虚しきものによりてみづから誇るものは恥辱をうくべし もろもろの神よみなヱホバをふしをがめ
97:8
編集ヱホバよなんぢの審判のゆゑによりシオンはききてよろこびユダの女輩はみな樂しめり
97:9
編集ヱホバよなんぢ全地のうへにましまして至高く なんぢもろもろの神のうへにましまして至貴とし
97:10
編集ヱホバを愛しむものよ惡をにくめ ヱホバはその聖徒のたましひをまもり 之をあしきものの手より助けいだしたまふ
97:11
編集光はただしき人のためにまかれ 欣喜はこころ直きもののために播れたり
97:12
編集義人よヱホバにより喜べ そのきよき名に感謝せよ
第98篇
編集歌なり
98:1
編集あたらしき歌をヱホバにむかひてうたへ そは妙なる事をおこなひその右の手そのきよき臂をもて 己のために救をなし畢たまへり
98:2
編集ヱホバはそのすくひを知しめ その義をもろもろの國人の目のまへにあらはし給へり
98:3
編集又その憐憫と眞實とをイスラエルの家にむかひて記念したまふ 地の極もことごとくわが神のすくひを見たり
98:4
編集全地よヱホバにむかひて歓ばしき聲をあげよ 聲をはなちてよろこびうたへ讃うたへ
98:5
編集琴をもてヱホバをほめうたへ 琴の音と歌のこゑとをもてせよ
98:6
編集ラッパと角笛をふきならし 王ヱホバのみまへによろこばしき聲をあげよ
98:7
編集海とそのなかに盈るもの 世界とせかいにすむものと鳴響むべし
98:8
編集大水はその手をうち もろもろの山はあひともにヱホバの前によろこびうたふべし
98:9
編集ヱホバ地をさばかんために來りたまへばなり ヱホバ義をもて世界をさばき 公平をもてもろもろの民をさばきたまはん
第99篇
編集99:1
編集ヱホバは統治たまふ もろもろの民はをののくべし ヱホバはケルビムの間にいます 地ふるはん
99:2
編集ヱホバはシオンにましまして大なり もろもろの民にすぐれてたふとし
99:3
編集かれらは汝のおほいなる畏るべき名をほめたたふべし ヱホバは聖なるかな
99:4
編集王のちからは審判をこのみたまふ 汝はかたく公平をたてヤコブのなかに審判と公義とをおこなひたまふ
99:5
編集われらの神ヱホバをあがめ その承足のもとにて拝みまつれ ヱホバは聖なるかな
99:6
編集その祭司のなかにモーセとアロンとあり その名をよぶ者のなかにサムエルあり かれらヱホバをよびしに應へたまへり
99:7
編集ヱホバ雲の柱のうちにましましてかれらに語りたまへり かれらはその證詞とその賜はりたる律法とを守りたりき
99:8
編集われらの神ヱホバよなんぢ彼等にこたへたまへり かれらのなしし事にむくいたまひたれど また赦免をあたへたまへる神にてましませり
99:9
編集われらの神ヱホバを崇めそのきよき山にてをがみまつれ そはわれらの神ヱホバは聖なるなり
第100篇
編集感謝のうた
100:1
編集全地よヱホバにむかひて歡ばしき聲をあげよ
100:2
編集欣喜をいだきてヱホバに事へ うたひつつその前にきたれ
100:3
編集知れヱホバこそ神にますなれ われらを造りたまへるものはヱホバにましませば我儕はその屬なり われらはその民その草苑のひつじなり
100:4
編集感謝しつつその門にいり ほめたたへつつその大庭にいれ 感謝してその名をほめたたへよ
100:5
編集ヱホバはめぐみふかくその憐憫かぎりなく その眞實よろづ世におよぶべければなり
第101篇
編集ダビデのうた
101:1
編集われ憐憫と審判とをうたはん ヱホバよ我なんぢを讃うたはん
101:2
編集われ心をさとくして全き道をまもらん なんぢいづれの時われにきたりたまふや 我なほき心をもてわが家のうちをありかん
101:3
編集われわが眼前にいやしき事をおかず われ叛くものの業をにくむ そのわざは我につかじ
101:4
編集僻めるこころは我よりはなれん 惡きものを知ることをこのまず
101:5
編集隠にその友をそしるものは我これをほろぼさん 高ぶる眼また驕れる心のものは我これをしのばじ
101:6
編集わが眼は國のうちの忠なる者をみて之をわれとともに住はせん 全き道をあゆむ人はわれに事へん
101:7
編集欺くことをなす者はわが家のうちに住むことをえず 虚偽をいふものはわが目前にたつことを得じ
101:8
編集われ朝な朝なこの國のあしき者をことごとく滅し ヱホバの邑より不義をおこなふ者をことごとく絶除かん
第102篇
編集なやみたる者おもひくづほれてその歎息をヱホバの前にそそぎいだせるときの祈祷
102:1
編集ヱホバよわが祈をききたまへ 願くはわが號呼のこゑの御前にいたらんことを
102:2
編集わが窮苦の日みかほを蔽ひたまふなかれ なんぢの耳をわれにかたぶけ 我がよぶ日にすみやかに我にこたへたまへ
102:3
編集わがもろもろの日は煙のごとくきえ わが骨はたきぎのごとく焚るるなり
102:4
編集わがこころは草のごとく撃れてしほれたり われ糧をくらふを忘れしによる
102:5
編集わが歎息のこゑによりてわが骨はわが肉につく
102:6
編集われは野の鸅鸕のごとく荒たる跡のふくろふのごとくになりぬ
102:7
編集われ醒てねぶらず ただ友なくして屋蓋にをる雀のごとくなれり
102:8
編集わが仇はひねもす我をそしる 猖狂ひて我をせむるもの我をさして誓ふ
102:9
編集われは糧をくらふごとくに灰をくらひ わが飮ものには涙をまじへたり
102:10
編集こは皆なんぢの怒と忿恚とによりてなり なんぢ我をもたげてなげすて給へり
102:11
編集わが齡はかたぶける日影のごとし またわれは草のごとく萎れたり
102:12
編集されどヱホバよなんぢは永遠にながらへ その名はよろづ世にながらへん
102:13
編集なんぢ起てシオンをあはれみたまはん そはシオンに恩惠をほどこしたまふときなり そのさだまれる期すでに來れり
102:14
編集なんぢの僕はシオンの石をもよろこび その塵をさへ愛しむ
102:15
編集もろもろの國はヱホバの名をおそれ 地のもろもろの王はその榮光をおそれん
102:16
編集ヱホバはシオンをきづき榮光をもてあらはれたまへり
102:17
編集ヱホバは乏しきものの祈をかへりみ彼等のいのりを藐しめたまはざりき
102:18
編集來らんとするのちの世のためにこの事をしるさん 新しくつくられたる民はヤハをほめたたふべし
102:19
編集ヱホバその聖所のたかき所よりみおろし天より地をみたまへり
102:20
編集こは俘囚のなげきをきき死にさだまれる者をときはなち
102:21
編集人々のシオンにてヱホバの名をあらはしヱルサレムにてその頌美をあらはさんが爲なり
102:22
編集かかる時にもろもろの民もろもろの國つどひあつまりてヱホバに事へまつらん
102:23
編集ヱホバはわがちからを途にておとろへしめ わが齢をみじかからしめ給へり
102:24
編集我いへりねがはくはわが神よわがすべての日のなかばにて我をとりさりたまふなかれ 汝のよはひは世々かぎりなし
102:25
編集汝いにしへ地の基をすゑたまへり 天もまたなんぢの手の工なり
102:26
編集これらは亡びん されど汝はつねに存らへたまはん これらはみな衣のごとくふるびん 汝これらを袍のごとく更たまはん されば彼等はかはらん
102:27
編集然れども汝はかはることなし なんぢの齢はをはらざるなり
102:28
編集汝のしもべの子輩はながらへん その裔はかたく前にたてらるべし
第103篇
編集ダビデのうた
103:1
編集わが霊魂よヱホバをほめまつれ わが衷なるすべてのものよそのきよき名をほめまつれ
103:2
編集わがたましひよヱホバを讃まつれ そのすべての恩惠をわするるなかれ
103:3
編集ヱホバはなんぢがすべての不義をゆるし汝のすべての疾をいやし
103:4
編集なんぢの生命をほろびより贖ひいだし 仁慈と憐憫とを汝にかうぶらせ
103:5
編集なんぢの口を嘉物にてあかしめたまふ 斯てなんぢは壮ぎて鷲のごとく新になるなり
103:6
編集ヱホバはすべて虐げらるる者のために公義と審判とをおこなひたまふ
103:7
編集おのれの途をモーセにしらしめ おのれの作爲をイスラエルの子輩にしらしめ給へり
103:8
編集ヱホバはあはれみと恩惠にみちて怒りたまふことおそく仁慈ゆたかにましませり
103:9
編集恒にせむることをせず永遠にいかりを懐きたまはざるなり
103:10
編集ヱホバはわれらの罪の量にしたがひて我儕をあしらひたまはず われらの不義のかさにしたがひて報いたまはざりき
103:11
編集ヱホバをおそるるものにヱホバの賜ふそのあはれみは大にして 天の地よりも高きがごとし
103:12
編集そのわれらより愆をとほざけたまふことは東の西より遠きがごとし
103:13
編集ヱホバの己をおそるる者をあはれみたまふことは父がその子をあはれむが如し
103:14
編集ヱホバは我儕のつくられし状をしり われらの塵なることを念ひ給へばなり
103:15
編集人のよはひは草のごとく その榮はのの花のごとし
103:16
編集風すぐれば失てあとなくその生いでし處にとへど尚しらざるなり
103:17
編集然はあれどヱホバの憐憫はとこしへより永遠まで ヱホバをおそるるものにいたり その公義は子孫のまた子孫にいたらん
103:18
編集その契約をまもりその訓諭を心にとめて行ふものぞその人なる
103:19
編集ヱホバはその寳座をもろもろの天にかたく置たまへり その政權はよろづのもののうへにあり
103:20
編集ヱホバにつかふる使者よ ヱホバの聖言のこゑをきき その聖言をおこなふ勇士よ ヱホバをほめまつれ
103:21
編集その萬軍よ その聖旨をおこなふ僕等よ ヱホバをほめまつれ
103:22
編集その造りたまへる萬物よ ヱホバの政權の下なるすべての處にてヱホバをほめよ わがたましひよヱホバを讃まつれ
第104篇
編集104:1
編集わが霊魂よヱホパをほめまつれ わが神ヱホバよなんぢは至大にして尊貴と稜威とを衣たまへり
104:2
編集なんぢ光をころものごとくにまとひ天を幕のごとくにはり
104:3
編集水のなかにおのれの殿の棟梁をおき 雲をおのれの車となし 風の翼にのりあるき
104:4
編集かぜを使者となし熖のいづる火を僕となしたまふ
104:5
編集ヱホバは地を基のうへにおきて 永遠にうごくことなからしめたまふ
104:6
編集衣にておほふがごとく大水にて地をおほひたまへり 水たたへて山のうへをこゆ
104:7
編集なんぢ叱咤すれば水しりぞき 汝いかづちの聲をはなてば水たちまち去ぬ
104:8
編集あるひは山にのぼり或ひは谷にくだりて 汝のさだめたまへる所にゆけり
104:9
編集なんぢ界をたてて之をこえしめず ふたたび地をおほふことなからしむ
104:10
編集ヱホバはいづみを谷にわきいだし給ふ その流は山のあひだにはしる
104:11
編集かくて野のもろもろの獣にのましむ 野の驢馬もその渇をやむ
104:12
編集空の鳥もそのほとりにすみ 樹梢の間よりさえづりうたふ
104:13
編集ヱホバはその殿よりもろもろの山に灌漑たまふ 地はなんぢのみわざの實によりて飽足ぬ
104:14
編集ヱホバは草をはえしめて家畜にあたへ 田產をはえしめて人の使用にそなへたまふ かく地より食物をいだしたまふ
104:15
編集人のこころを歓ばしむる葡萄酒 ひとの顔をつややかならしむるあぶら 人のこころを強からしむる糧どもなり
104:16
編集ヱホバの樹とその植たまへるレバノンの香柏とは飽足ぬべし
104:17
編集鳥はそのなかに巣をつくり鶴は松をその棲とせり
104:18
編集たかき山は山羊のすまひ磐石は山鼠のかくるる所なり
104:19
編集ヱホバは月をつくりて時をつかさどらせたまへり 日はその西にいることをしる
104:20
編集なんぢ黑暗をつくりたまへば夜あり そのとき林のけものは皆しのびしのびに出きたる
104:21
編集わかき獅ほえて餌をもとめ神にくひものをもとむ
104:22
編集日いづれば退きてその穴にふす
104:23
編集人はいでて工をとりその勤勞はゆふべにまでいたる
104:24
編集ヱホバよなんぢの事跡はいかに多なる これらは皆なんぢの智慧にてつくりたまへり 汝のもろもろの富は地にみつ
104:25
編集かしこに大なるひろき海あり そのなかに數しられぬ匍ふもの小なる大なる生るものあり
104:26
編集舟そのうへをはしり汝のつくりたまへる鰐そのうちにあそびたはぶる
104:27
編集彼ら皆なんぢを俟望む なんぢ宜時にくひものを之にあたへたまふ
104:28
編集彼等はなんぢの予へたまふ物をひろふ なんぢ手をひらきたまへばかれら嘉物にあきたりぬ
104:29
編集なんぢ面をおほひたまへば彼等はあわてふためく 汝かれらの氣息をとりたまへばかれらは死て塵にかへる
104:30
編集なんぢ霊をいだしたまへば百物みな造らるなんぢ地のおもてを新にしたまふ
104:31
編集願くはヱホバの榮光とこしへにあらんことを ヱホバそのみわざを喜びたまはんことを
104:32
編集ヱホバ地をみたまへば地ふるひ山にふれたまへば山は煙をいだす
104:33
編集生るかぎりはヱホバに向ひてうたひ 我ながらふるほどはわが神をほめうたはん
104:34
編集ヱホバをおもふわが思念はたのしみ深からん われヱホバによりて喜ぶべし
104:35
編集罪人は地より絶滅され あしきものは復あらざるべし わが霊魂よヱホバをほめまつれヱホバを讃稱へよ
第105篇
編集105:1
編集ヱホバに感謝してその名をよび そのなしたまへる事をもろもろの民輩のなかにしらしめよ
105:2
編集ヱホバにむかひてうたヘヱホバを讃うたへ そのもろもろの妙なる事跡をかたれ
105:3
編集そのきよき名をほこれ ヱホバをたづねもとむるものの心はよろこぶべし
105:4
編集ヱホバとその能力とをたづねもとめよ つねにその聖顔をたづねよ
105:5
編集105:6
編集その僕アブラムの裔よヤコブの子輩よ そのえらびたまひし所のものよ そのなしたまへる妙なるみわざと奇しき事跡とその口のさばきとを心にとむれ
105:7
編集彼はわれらの神ヱホバなり そのみさばきは全地にあり
105:8
編集ヱホバはたえずその契約をみこころに記たまへり 此はよろづ代に命じたまひし聖言なり
105:9
編集アブラハムとむすびたまひし契約イサクに與へたまひし誓なり
105:10
編集之をかたくしヤコブのために律法となし イスラエルのためにとこしへの契約となして
105:11
編集言たまひけるは我なんぢにカナンの地をたまひてなんぢらの嗣業の分となさん
105:12
編集この時かれらの數おほからず甚すくなくしてかしこにて旅人となり
105:13
編集この國よりかの國にゆき この國よりほかの民にゆけり
105:14
編集人のかれらを虐ぐるをゆるし給はず かれらの故によりて王たちを懲しめて
105:15
編集宣給くわが受膏者たちにふるるなかれ わが預言者たちをそこなふなかれ
105:16
編集ヱホバは饑饉たを地にまねき 人の杖とする糧をことごとく碎きたまへり
105:17
編集又かれらの前にひとりを遣したまへり ヨセフはうられて僕となりぬ
105:18
編集かれら足械をもてヨセフの足をそこなひ くろかねの鏈をもてその霊魂をつなげり
105:19
編集斯てそのことばの験をうるまでに及ぶ ヱホバのみことば彼をこころみたまへり
105:20
編集王は人をつかはしてこれを解き もろもろの民の長はこれをゆるし
105:21
編集之をその家司となし その財寶をことごとく司どらせ
105:22
編集その心のままにかの國のきみたちを縛しめ 長老たちに智慧ををしへしむ
105:23
編集イスラエルも亦エジプトにゆき ヤコブはハムの地にやどれり
105:24
編集ヱホバはその民を大にましくはへ之をその敵よりも強くしたまへり
105:25
編集また敵のこころをかへておのれの民をにくましめ おのれの僕輩をあざむき待さしめたまへり
105:26
編集又そのしもベモーセとその選びたまへるアロンとを遣したまへり
105:27
編集かれらはヱホバの預兆をハムの地におこなひ またその國にくすしき事をおこなへり
105:28
編集ヱホバは闇をつかはして暗くしたまへり かれらその聖言にそむくことをせざりき
105:29
編集彼等のすべての水を血にかへてその魚をころしたまへり
105:30
編集かれらの國は蛙むれいでて王の殿のうちにまでみちふさがりぬ
105:31
編集ヱホバいひたまへば蝿むらがり蚤そのすべての境にいりきたりぬ
105:32
編集また雨にかへて霰をかれらに與へもゆる火をかれらの國にふらし
105:33
編集かれらの葡萄の樹といちじくの樹とをうちその境のもろちろの樹ををりくだきたまへり
105:34
編集ヱホバいひたまへば算しられぬ蝗と蟊賊きたり
105:35
編集かれらの國のすべての田產をはみつくしその地のすべての實を食つくせり
105:36
編集ヱホバはかれらの國のすべての首出者をうち かれらのすべての力の始をうちたまへり
105:37
編集しろかね黄金をたづさへて彼等をいでゆかしめたまへり その家族のうちに一人のよわき者もなかりき
105:38
編集エジプトはかれらの出るをよろこべり かれらをおそるるの念そのうちにおこりたればなり
105:39
編集ヱホバは雲をしきて蓋となし夜は火をもて照したまへり
105:40
編集又かれらの求によりて鶉をきたらしめ天の餅にてかれらを飽しめたまへり
105:41
編集磐をひらきたまへば水ほどばしりいで 潤ひなきところに川をなして流れいでたり
105:42
編集ヱホバそのきよき聖言とその僕アブラハムとをおもひいでたまひたればなり
105:43
編集その民をみちびきて歓びつついでしめ そのえらべる民をみちびきて謳ひつついでしめたまへり
105:44
編集もろもろの國人の地をかれらに與へたまひしかば 彼等もろもろのたみの勤勞をおのが有とせり
105:45
編集こは彼等がその律にしたがひその法をまもらんが爲なり ヱホバをほめたたへよ
第106篇
編集106:1
編集ヱホバをほめたたヘヱホバに感謝せよ そのめぐみはふかくその憐憫はかぎりなし
106:2
編集たれかヱホバの力ある事跡をかたり その讃べきことを悉とくいひあらはし得んや
106:3
編集審判をまもる人々つねに正義をおこなふ者はさいはひなり
106:4
編集ヱホバよなんぢの民にたまふ惠をもて我をおぼえ なんぢの救をもてわれに臨みたまへ
106:5
編集さらば我なんぢの撰びたまへる者のさいはひを見 なんぢの國の歓喜をよろこび なんぢの嗣業とともに誇ることをせん
106:6
編集われら列祖とともに罪ををかせり 我儕よこしまをなし惡をおこなへり
106:7
編集われらの列祖はなんぢがエジプトにてなしたまへる奇しき事跡をさとらず 汝のあはれみの豊かなるを心にとめず 海のほとり即ち紅海のほとりにて逆きたり
106:8
編集されどヱホバはその名のゆゑをもて彼等をすくひたまへり こは大なる能力をしらしめんとてなり
106:9
編集また紅海を叱咤したまひたれば乾きたり かくて民をみちびきて野をゆくがごとくに淵をすぎしめ
106:10
編集恨むるものの手よりかれらをすくひ 仇の手よりかれらを贖ひたまへり
106:11
編集水その敵をおほひたればその一人だにのこりし者なかりき
106:12
編集このとき彼等そのみことばを信じその頌美をうたへり
106:13
編集彼等しばしがほどにその事跡をわすれその訓誨をまたず
106:14
編集野にていたくむさぼり荒野にて神をこころみたりき
106:15
編集ヱホバはかれらの願欲をかなへたまひしかど その霊魂をやせしめたまへり
106:16
編集たみは營のうちにてモーセを嫉みヱホパの聖者アロンをねたみしかば
106:17
編集地ひらけてダタンを呑みアビラムの黨類をおほひ
106:18
編集火はこのともがらの中にもえおこり熖はあしき者をやきつくせり
106:19
編集かれらはホレブの山にて犢をつくり鑄たる像ををがみたり
106:20
編集かくの如くおのが榮光をかへて草をくらふ牛のかたちに似す
106:21
編集救主なる神はエジプトにて大なるわざをなし
106:22
編集ハムの地にて奇しき事跡をなし紅海のほとりにて懼るべきことを爲たまへり かれは斯る神をわすれたり
106:23
編集この故にヱホバかれらを亡さんと宣まへり されど神のえらみたまへる者モーセやぶれの間隙にありてその前にたちその烈怒をひきかへして滅亡をまぬかれしめたり
106:24
編集かれら美しき地を蔑しそのみことばを信ぜず
106:25
編集剰さへその幕屋にてつぶやきヱホバの聲をもきかざりき
106:26
編集この故に手をあげて彼等にむかひたまへり これ野にてかれらを斃れしめんとし
106:27
編集又もろもろの國のうちにてその裔をたふれしめ もろもろの地にかれらを散さんとしたまへるなり
106:28
編集彼らはバアルベオルにつきて死るものの祭物をくらひたり
106:29
編集斯のごとくその行爲をもてヱホバの烈怒をひきいだしければえやみ侵しいりたり
106:30
編集そのときピネハスたちて裁判をなせり かくて疫癘はやみぬ
106:31
編集ピネハスは萬代までとこしへにこのことを義とせられたり
106:32
編集民メリバの水のほとりにてヱホバの烈怒をひきおこししかば かれらの故によりてモーセも禍害にあへり
106:33
編集かれら神の霊にそむきしかばモーセその口唇にて妄にものいひたればなり
106:34
編集かれらはヱホバの命じたまへる事にしたがはずしてもろもろの民をほろぼさず
106:35
編集反てもろもろの國人とまじりをりてその行爲にならひ
106:36
編集おのが羂となりしその偶像につかへたり
106:37
編集かれらはその子女を鬼にささぐ
106:38
編集罪なき血すなはちカナンの偶像にささげたる己がむすこむすめの血をながしぬ 斯てくには血にてけがされたり
106:39
編集またそのわざは自己をけがし そのおこなふところは姦淫なり
106:40
編集このゆゑにヱホバの怒その民にむかひて起り その嗣業をにくみて
106:41
編集かれらをもろもろの國の手にわたしたまへり 彼等はおのれを恨るものに制へられ
106:42
編集おのれの仇にしへたげられ その手の下にうちふせられたり
106:43
編集ヱホバはしばしば助けたまひしかどかれらは謀略をまうけて逆き そのよこしまに卑くせられたり
106:44
編集されどヱホバはかれらの哭聲をききたまひしとき その患難をかへりみ
106:45
編集その契約をかれらの爲におもひいだし その憐憫のゆたかなるにより聖意をかへさせ給ひて
106:46
編集かれらを己がとりこにせられたる者どもに憐まるることを得しめたまへり
106:47
編集われらの神ヱホバよ われらをすくひて列邦のなかより取集めたまへ われらは聖名に謝し なんぢのほむべき事をほこらん
106:48
編集イスラエルの神ヱホバはとこしへより永遠までほむべきかな すべての民はアーメンととなふべし ヱホバを讃稱へよ
第107篇
編集107:1
編集ヱホバに感謝せよ ヱホバは惠ふかくましましてその憐憫かぎりなし
107:2
編集ヱホバの救贖をかうぶる者はみな然いふべきなり
107:3
編集ヱホバは敵の手よりかれらを贖ひもろもろの地よ東西北南よりとりあつめたまへり
107:4
編集かれら野にてあれはてたる路にさまよひその住ふべき邑にあはざりき
107:5
編集かれら飢また渇きそのうちの霊魂おとろへたり
107:6
編集斯てその困苦のうちにてヱホバをよばはりたればヱホバこれを患難よりたすけいだし
107:7
編集住ふべき邑にゆかしめんとて直き路にみちびきたまへり
107:8
編集願くはすべての人はヱホバの惠により人の子になしたまへる奇しき事跡によりてヱホバを讃稱へんことを
107:9
編集ヱホバは渇きしたふ霊魂をたらはせ飢たるたましひを嘉物にてあかしめ給へばなり
107:10
編集くらきと死の蔭とに居るもの患難とくろがねとに縛しめらるるもの
107:11
編集神の言にそむき至高者のをしへを蔑しめけれぱ
107:12
編集勤勞をもてその心をひくうしたまへり かれら仆れたれど助くるものもなかりき
107:13
編集斯てその困苦のうちにてヱホバをよばはりたればヱホバこれを患難よりすくひ
107:14
編集くらきと死のかげより彼等をみちびき出してその械をこぼちたまへり
107:15
編集願くはすべての人はヱホバの惠により人の子になしたまへる奇しき事跡によりてヱホバを讃稱へんことを
107:16
編集そはあかがねの門をこぼち くろがねの關木をたちきりたまへり
107:17
編集愚かなる者はおのが愆の道により己がよこしまによりて惱めり
107:18
編集かれらの霊魂はすべての食物をきらひて死の門にちかづく
107:19
編集かくてその困苦のうちにてヱホバをよばふ ヱホバこれを患難よりすくひたまふ
107:20
編集その聖言をつかはして之をいやし之をその滅亡よりたすけいだしたまふ
107:21
編集願くはすべての人ヱホバのめぐみにより人の子になしたまへる奇しき事跡によりてヱホバをほめたたへんことを
107:22
編集かれらは感謝のそなへものをささげ喜びうたひてその事跡をいひあらはすべし
107:23
編集舟にて海にうかび大洋にて事をいとなむ者は
107:24
編集ヱホバのみわざを見また淵にてその奇しき事跡をみる
107:25
編集ヱホバ命じたまへばあらき風おこりてその浪をあぐ
107:26
編集かれら天にのぼりまた淵にくだり患難によりてその霊魂とけさり
107:27
編集左た右たにかたぶき酔たる者のごとく踉蹌てなす所をしらず
107:28
編集かくてその困苦のうちにてヱホバをよばふ ヱホバこれを患難よりたづさへいで
107:29
編集狂風をしづめて浪をおだやかになし給へり
107:30
編集かれらはおのが静かなるをよろこぶ 斯てヱホバはかれらをその望むところの湊にみちびきたまふ
107:31
編集願くはすべての人ヱホバの惠により人の子になしたまへる奇しき事跡によりてヱホバをほめたたへんことを
107:32
編集かれら民の會にてこれをあがめ長老の座にてこれを讃稱ふべし
107:33
編集ヱホバは河を野にかはらせ泉をかわける地に變らせ
107:34
編集また豊かなる地にすめる民の惡によりてそこを鹵の地にかはらせ給ふ
107:35
編集野を池にかはらせ乾ける地をいづみにかはらせ
107:36
編集ここに餓たるものを住はせたまふ されば彼らは己がすまひの邑をたて
107:37
編集畠にたねをまき葡萄園をまうけてそのむすべる實をえたり
107:38
編集ヱホバはかれらの甚くふえひろごれるまでに惠をあたへ その牲畜のへることをも許したまはず
107:39
編集されどまた虐待くるしみ悲哀によりて減ゆき且うなたれたり
107:40
編集ヱホバもろもろの君に侮辱をそそぎ道なき荒地にさまよはせたまふ
107:41
編集然はあれど貧しきものを患難のうちより挙てその家族をひつじの群のごとくならしめたまふ
107:42
編集直きものは之をみて喜びもろもろの不義はその口をふさがん
107:43
編集すべて慧者はこれらのことに心をよせヱホバの憐憫をさとるべし
第108篇
編集ダビデの歌なり讃美なり
108:1
編集神よわが心はさだまれり われ謳ひまつらん 稱まつらん わが榮をもてたたへまつらん
108:2
編集筝よ琴よさむべし われ黎明をよびさまさん
108:3
編集ヱホバよ我もろもろの民のなかにてなんぢに感謝し もろもろの國のなかにてなんぢをほめうたはん
108:4
編集そは汝のあはれみは大にして天のうへにあがり なんぢの眞實は雲にまでおよぶ
108:5
編集神よねがはくはみづからを天よりもたかくし榮光を全地のうへに挙たまへ
108:6
編集ねがはくは右の手をもて救をほどこし われらに答をなして愛しみたまふものに助をえしめたまへ
108:7
編集神はその聖をもていひたまへり われ甚くよろこぱん我シケムをわかちスコテの谷をはからん
108:8
編集ギレアデはわがものマナセはわが有なりエフライムも亦わが首のまもりなりユダはわが杖
108:9
編集モアブはわが足盥なりエドムにはわが履をなげんペリシテよわが故によりて聲をあげよと
108:10
編集誰かわれを堅固なる邑にすすましめんや 誰かわれをみちびきてエドムにゆきしや
108:11
編集神よなんぢはわれらを棄たまひしにあらずや 神よなんぢはわれらの軍とともに出ゆきたまはず
108:12
編集ねがはくは助をわれにあたへて敵にむかはしめたまへ 人のたすけは空しければなり
108:13
編集われらは神によりて勇しくはたらかん われらの敵をふみたまふものは神なればなり
第109篇
編集伶長にうたはしめたるダビデのうた
109:1
編集わが讃たたふる神よもだしたまふなかれ
109:2
編集かれらは惡の口とあざむきの口とをあけて我にむかひ いつはりの舌をもて我にかたり
109:3
編集うらみの言をもて我をかこみ ゆゑなく我をせめて闘ふことあればなり
109:4
編集われ愛するにかれら反りてわが敵となる われただ祈るなり
109:5
編集かれらは惡をもてわが善にむくい恨をもてわが愛にむくいたり
109:6
編集ねがはくは彼のうへに惡人をたてその右方に敵をたたしめたまへ
109:7
編集かれが鞫かるるときはその罪をあらはにせられ又そのいのりは罪となり
109:8
編集その日はすくなく その職はほかの人にえられ
109:9
編集その子輩はみなしごとなり その妻はやもめとなり
109:10
編集その子輩はさすらひて乞丐 そのあれたる處よりいできたりて食をもとむべし
109:11
編集彼のもてるすべてのものは債主にうばはれ かれの勤勞は外人にかすめらるべし
109:12
編集かれに惠をあたふる人ひとりだになく かれの孤子をあはれむ者もなく
109:13
編集その裔はたえその名はつぎの世にきえうすべし
109:14
編集その父等のよこしまはヱホバのみこころに記され その母のつみはきえざるべし
109:15
編集かれらは恒にヱホバの前におかれ その名は地より断るべし
109:16
編集かかる人はあはれみを施すことをおもはず反りて貧しきもの乏しきもの心のいためる者をころさんとして攻たりき
109:17
編集かかる人は詛ふことをこのむ この故にのろひ己にいたる惠むことをたのしまず この故にめぐみ己にとほざかれり
109:18
編集かかる人はころものごとくに詛をきる この故にのろひ水のごとくにおのれの衷にいり油のごとくにおのれの骨にいれり
109:19
編集ねがはくは詛をおのれのきたる衣のごとく帯のごとくなして恒にみづから纏はんことを
109:20
編集これらの事はわが敵とわが霊魂にさからひて惡言をいふ者とにヱホバのあたへたまふ報なり
109:21
編集されど主ヱホバよなんぢの名のゆゑをもて我をかへりみたまへ なんぢの憐憫はいとふかし ねがはくは我をたすけたまへ
109:22
編集われは貧しくして乏し わが心うちにて傷をうく
109:23
編集わがゆく状はゆふ日の影のごとく また蝗のごとく吹さらるるなり
109:24
編集わが膝は断食によりてよろめき わが肉はやせおとろふ
109:25
編集われは彼等にそしらるる者となれり かれら我をみるときは首をふる
109:26
編集わが神ヱホバよねがはくは我をたすけその憐憫にしたがひて我をすくひたまヘ
109:27
編集ヱホバよこれらは皆なんぢの手よりいで 汝のなしたまへることなるを彼等にしらしめたまへ
109:28
編集かれらは詛へども汝はめぐみたまふ かれらの立ときは恥かしめらるれどもなんぢの僕はよろこばん
109:29
編集わがもろもろの敵はあなどりを衣おのが恥を外袍のごとくにまとふべし
109:30
編集われはわが口をもて大にヱホバに謝し おほくの人のなかにて讃まつらむ
109:31
編集ヱホバはまづしきものの右にたちてその霊魂を罪せんとする者より之をすくひたまへり
第110篇
編集ダビデのうた
110:1
編集ヱホバわが主にのたまふ 我なんぢの仇をなんぢの承足とするまではわが右にざすべし
110:2
編集ヱホバはなんぢのちからの杖をシオンよりつきいださしめたまはん 汝はもろもろの仇のなかに王となるべし
110:3
編集なんぢのいきほひの日になんぢの民は聖なるうるはしき衣をつけ 心よりよろこびて己をささげん なんぢは朝の胎よりいづる壮きものの露をもてり
110:4
編集ヱホバ誓をたてて聖意をかへさせたまふことなし 汝はメルキセデクの状にひとしくとこしへに祭司たり
110:5
編集主はなんぢの右にありてそのいかりの日に王等をうちたまへり
110:6
編集主はもろもろの國のなかにて審判をおこなひたまはん 此處にも彼處にも屍をみたしめ 寛濶なる地をすぶる首領をうちたまへり
110:7
編集かれ道のほとりの川より汲てのみ斯てかうべを挙ん
第111篇
編集111:1
編集ヱホバを讃たたへよ 我はなほきものの會あるひは公會にて心をつくしてヱホバに感謝せん
111:2
編集ヱホバのみわざは大なりすべてその事跡をしたふものは之をかんがへ究む
111:3
編集その行ひたまふところは榮光ありまた稜威あり その公義はとこしへに失することなし
111:4
編集ヱホバはその奇しきみわざを人のこころに記しめたまへり ヱホバはめぐみと憐憫とにて充たまふ
111:5
編集ヱホバは己をおそるるものに糧をあたへたまへり またその契約をとこしへに心にとめたまはん
111:6
編集ヱホバはもろもろの國の所領をおのれの民にあたへてその作爲のちからを之にあらはしたまへり
111:7
編集その手のみわざは眞實なり公義なり そのもろもろの訓諭はかたし
111:8
編集これらは世々かぎりなく堅くたち眞實と正直とにてなれり
111:9
編集ヱホバはそのたみに救贖をほどこし その契約をとこしへに立たまへり ヱホバの名は聖にしてあがむべきなり
111:10
編集ヱホバをおそるるは智慧のはじめなり これらを行ふものは皆あきらかなる聰ある人なり ヱホバの頌美はとこしへに失ることなし
第112篇
編集112:1
編集ヱホバを讃まつれヱホバを畏れてそのもろもろの誡命をいたく喜ぶものはさいはひなり
112:2
編集かかる人のすゑは地にてつよく直きものの類はさいはひを得ん
112:3
編集富と財とはその家にあり その公義はとこしへにうすることなし
112:4
編集直き者のために暗きなかにも光あらはる 彼は惠ゆたかに憐憫にみつる義しきものなり
112:5
編集惠をほどこし貸ことをなす者はさいはひなり かかる人は審判をうくるときおのが訴をささへうべし
112:6
編集又とこしへまで動かさるることなからん義者はながく忘れらるることなかるべし
112:7
編集彼はあしき音信によりて畏れず その心ヱホバに依頼みてさだまれり
112:8
編集その心かたくたちて懼るることなく敵につきての願望をつひに見ん
112:9
編集彼はちらして貧者にあたふ その正義はとこしへにうすることなし その角はあがめをうけて挙られん
112:10
編集惡者はこれを見てうれへもだえ切歯しつつ消さらん また惡きものの願望はほろぶべし
第113篇
編集113:1
編集ヱホバをほめまつれ汝等ヱホバの僕よほめまつれヱホバの名をほめまつれ
113:2
編集今より永遠にいたるまでヱホバの名はほむべきかな
113:3
編集日のいづる處より日のいる處までヱホバの名はほめらるべし
113:4
編集ヱホバはもろもろの國の上にありてたかく その榮光は天よりもたかし
113:5
編集113:6
編集われらの神ヱホバにたぐふべき者はたれぞや 寳座をその高處にすゑ己をひくくして天と地とをかへりみ給ふ
113:7
編集まづしきものを塵よりあげ乏しきものを糞土よりあげて
113:8
編集もろもろの諸侯とともにすわらせ その民のきみたちと共にすわらせたまはん
113:9
編集又はらみなき婦に家をまもらせ おほくの子女のよろこばしき母たらしめたまふ ヱホバを讃まつれ
第114篇
編集114:1
編集イスラエルの民エジプトをいで ヤコブのいへ異言の民をはなれしとき
114:2
編集ユダはヱホバの聖所となりイスラエルはヱホバの所領となれり
114:3
編集海はこれを見てにげヨルダンは後にしりぞき
114:4
編集山は牡羊のごとくをどり小山はこひつじのごとく躍れり
114:5
編集海よなんぢ何とてにぐるやヨルダンよなんぢ何とて後にしりぞくや
114:6
編集山よなにとて牡羊のごとくをどるや小山よなにとて小羊のごとく躍るや
114:7
編集地よ主のみまへヤコブの神の前にをののけ
114:8
編集主はいはを池にかはらせ石をいづみに變らせたまへり
第115篇
編集115:1
編集ヱホバよ榮光をわれらに歸するなかれ われらに歸するなかれ なんぢのあはれみと汝のまこととの故によりてただ名にのみ歸したまへ
115:2
編集もろもろの國人はいかなればいふ 今かれらの神はいづくにありやと
115:3
編集然どわれらの神は天にいます 神はみこころのままにすべての事をおこなひ給へり
115:4
編集かれらの偶像はしろかねと金にして人の手のわざなり
115:5
編集その偶像は口あれどいはず目あれどみず
115:6
編集耳あれどきかず鼻あれどかがず
115:7
編集手あれどとらず脚あれどあゆまず喉より聲をいだすことなし
115:8
編集此をつくる者とこれに依頼むものとは皆これにひとしからん
115:9
編集イスラエルよなんぢヱホバに依頼め ヱホバはかれらの助かれらの盾なり
115:10
編集アロンの家よなんぢらヱホバによりたのめ ヱホバはかれらの助かれらの盾なり
115:11
編集ヱホバを畏るるものよヱホバに依頼め ヱホバはかれらの助かれらの盾なり
115:12
編集ヱホバは我儕をみこころに記たまへり われらを惠みイスラエルの家をめぐみアロンのいへをめぐみ
115:13
編集また小なるも大なるもヱホバをおそるる者をめぐみたまはん
115:14
編集願くはヱホバなんぢらを増加へ なんぢらとなんぢらの子孫とをましくはへ給はんことを
115:15
編集なんぢらは天地をつくりたまへるヱホバに惠まるる者なり
115:16
編集天はヱホバの天なり されど地は人の子にあたへたまへり
115:17
編集死人も幽寂ところに下れるものもヤハを讃稱ふることなし
115:18
編集然どわれらは今より永遠にいたるまでヱホバを讃まつらむ 汝等ヱホバをほめたたへよ
第116篇
編集116:1
編集われヱホバを愛しむ そはわが聲とわが願望とをききたまへばなり
116:2
編集ヱホバみみを我にかたぶけたまひしが故に われ世にあらんかぎりヱホバを呼まつらむ
116:3
編集死の繩われをまとひ陰府のくるしみ我にのぞめり われは患難とうれへとにあへり
116:4
編集その時われヱホバの名をよべり ヱホバよ願くはわが霊魂をすくひたまへと
116:5
編集ヱホバは恩惠ゆたかにして公義ましませり われらの神はあはれみ深し
116:6
編集ヱホバは愚かなるものを護りたまふ われ卑くせられしがヱホバ我をすくひたまへり
116:7
編集わが霊魂よなんぢの平安にかへれ ヱホバは豊かになんぢを待ひたまへばなり
116:8
編集汝はわがたましひを死より わが目をなみだより わが足を顛蹶よりたすけいだしたまひき
116:9
編集われは活るものの國にてヱホバの前にあゆまん
116:10
編集われ大になやめりといひつつもなほ信じたり
116:11
編集われ惶てしときに云らく すべての人はいつはりなりと
116:12
編集我いかにしてその賜へるもろもろの恩惠をヱホバにむくいんや
116:13
編集われ救のさかづきをとりてヱホバの名をよびまつらむ
116:14
編集我すべての民のまへにてヱホバにわが誓をつくのはん
116:15
編集ヱホバの聖徒の死はそのみまへにて貴とし
116:16
編集ヱホバよ誠にわれはなんぢの僕なり われはなんぢの婢女の子にして汝のしもべなり なんぢわが縲絏をときたまへり
116:17
編集われ感謝をそなへものとして汝にささげん われヱホバの名をよばん
116:18
編集我すべての民のまへにてヱホバにわがちかひを償はん
116:19
編集ヱルサレムよ汝のなかにてヱホバのいへの大庭のなかにて此をつくのふべし ヱホバを讃まつれ
第117篇
編集117:1
編集もろもろの國よなんぢらヱホバを讃まつれ もろもろの民よなんぢらヱホバを稱へまつれ
117:2
編集そはわれらに賜ふその憐憫はおほいなり ヱホバの眞實はとこしへに絶ることなし ヱホバをほめまつれ
第118篇
編集118:1
編集ヱホバに感謝せよヱホバは恩惠ふかくその憐憫とこしへに絶ることなし
118:2
編集イスラエルは率いふべし その憐憫はとこしへにたゆることなしと
118:3
編集アロンの家はいざ言ふべし そのあはれみは永遠にたゆることなしと
118:4
編集ヱホバを畏るるものは率いふべし その憐憫はとこしへにたゆることなしと
118:5
編集われ患難のなかよりヱホバをよべば ヱホバこたへて我をひろき處におきたまへり
118:6
編集ヱホバわが方にいませばわれにおそれなし 人われに何をなしえんや
118:7
編集ヱホバはわれを助くるものとともに我がかたに坐す この故にわれを憎むものにつきての願望をわれ見ることをえん
118:8
編集ヱホバに依頼むは人にたよるよりも勝りてよし
118:9
編集ヱホバによりたのむはもろもろの侯にたよるよりも勝りてよし
118:10
編集もろもろの國はわれを圍めり われヱホバの名によりて彼等をほろぼさん
118:11
編集かれらは我をかこめり我をかこめりヱホバの名によりて彼等をほろぼさん
118:12
編集かれらは蜂のごとく我をかこめり かれらは荊の火のごとく消たり われはヱホバの名によりてかれらを滅さん
118:13
編集汝われを倒さんとしていたく剌つれど ヱホバわれを助けたまへり
118:14
編集ヱホバはわが力わが歌にしてわが救となりたまへり
118:15
編集歓喜とすくひとの聲はただしきものの幕屋にあり ヱホバのみぎの手はいさましき動作をなしたまふ
118:16
編集ヱホバのみぎの手はたかくあがりヱホバの右の手はいさましき動作をなしたまふ
118:17
編集われは死ることなからん 存へてヤハの事跡をいひあらはさん
118:18
編集ヤハはいたく我をこらしたまひしかど死には付したまはざりき
118:19
編集わがために義の門をひらけ 我そのうちにいりてヤハに感謝せん
118:20
編集こはヱホバの門なりただしきものはその内にいるべし
118:21
編集われ汝に感謝せん なんぢ我にこたへてわが救となりたまへばなり
118:22
編集工師のすてたる石はすみの首石となれり
118:23
編集これヱホバの成たまへる事にしてわれらの目にあやしとする所なり
118:24
編集これヱホバの設けたまへる日なり われらはこの日によろこびたのしまん
118:25
編集ヱホバよねがはくはわれらを今すくひたまへ ヱホバよねがはくは我儕をいま榮えしめたまヘ
118:26
編集ヱホバの名によりて來るものは福ひなり われらヱホバの家よりなんぢらを祝せり
118:27
編集ヱホバは神なり われらに光をあたへたまへり 繩をもて祭壇の角にいけにへをつなげ
118:28
編集なんぢはわが神なり我なんぢに感謝せん なんぢはわが神なり我なんぢを崇めまつらん
118:29
編集ヱホバにかんしやせよ ヱホバは恩惠ふかくその憐憫とこしへに絶ることなし
第119篇
編集アレフ
119:1
編集おのが道をなほくしてヱホバの律法をあゆむ者はさいはひなり
119:2
編集ヱホバのもろもろの證詞をまもり 心をつくしてヱホバを尋求むるものは福ひなり
119:3
編集かかる人は不義をおこなはずしてヱホバの道をあゆむなり
119:4
編集ヱホバよなんぢ訓諭をわれらに命じてねんごろに守らせたまふ
119:5
編集なんぢわが道をかたくたててその律法をまもらせたまはんことを
119:6
編集われ汝のもろもろの誡命にこころをとむるときは恥ることあらじ
119:7
編集われ汝のただしき審判をまなばば 直き心をもてなんぢに感謝せん
119:8
編集われは律法をまもらん われを棄はてたまふなかれ
- ○ベテ
119:9
編集わかき人はなにによりてかその道をきよめん 聖言にしたがひて愼むのほかぞなき
119:10
編集われ心をつくして汝をたづねもとめたり 願くはなんぢの誡命より迷ひいださしめ給ふなかれ
119:11
編集われ汝にむかひて罪ををかすまじき爲になんぢの言をわが心のうちに蔵へたり
119:12
編集讃べきかなヱホバよねがはくは律法をわれに教へたまへ
119:13
編集われわが口唇をもてなんぢの口よりいでしもろもろの審判をのべつたへたり
119:14
編集我もろもろの財貨をよろこぶごとくに汝のあかしの道をよろこべり
119:15
編集我なんぢの訓諭をおもひ汝のみちに心をとめん
119:16
編集われは律法をよろこび聖言をわするることなからん
- ○ギメル
119:17
編集ねがはくは汝のしもべを豊にあしらひて存へしめたまへ さらばわれ聖言をまもらん
119:18
編集なんぢわが眼をひらき なんぢの法のうちなる奇しきことを我にみせたまへ
119:19
編集われは世にある旅客なり 我になんぢの誡命をかくしたまふなかれ
119:20
編集断るときなくなんぢの審判をしたふが故にわが霊魂はくだくるなり
119:21
編集汝はたかぶる者をせめたまへり なんぢの誡命よりまよひづる者はのろはる
119:22
編集我なんぢの證詞をまもりたり 我より謗とあなどりとを取去たまへ
119:23
編集又もろもろの侯は坐して相語りわれをそこなはんとせり 然はあれど汝のしもべは律法をふかく思へり
119:24
編集汝のもろもろの證詞はわれをよろこばせわれをさとす者なり
- ○ダレテ
119:25
編集わが霊魂は塵につきぬ なんぢの言にしたがひて我をいかしたまへ
119:26
編集我わがふめる道をあらはししかば汝こたへを我になしたまへり なんぢの律法をわれに教へたまへ
119:27
編集なんぢの訓諭のみちを我にわきまへしめたまへ われ汝のくすしき事跡をふかく思はん
119:28
編集わがたましひ痛めるによりてとけゆく ねがはくは聖言にしたがひて我にちからを予へたまへ
119:29
編集願くはいつはりの道をわれより遠ざけ なんぢの法をもて我をめぐみたまへ
119:30
編集われは眞實のみちをえらび 恒になんぢのもろもろの審判をわが前におけり
119:31
編集我なんぢの證詞をしたひて離れず ヱホバよねがはくは我をはづかしめ給ふなかれ
119:32
編集われ汝のいましめの道をはしらん その時なんぢわが心をひろく爲たまふべし
- ○へ
119:33
編集ヱホバよ願くはなんぢの律法のみちを我にをしへたまへ われ終にいたるまで之をまもらん
119:34
編集われに智慧をあたへ給へ さらば我なんぢの法をまもり心をつくして之にしたがはん
119:35
編集われに汝のいましめの道をふましめたまへ われその道をたのしめばなり
119:36
編集わが心をなんぢの證詞にかたぶかしめて 貪利にかたぶかしめ給ふなかれ
119:37
編集わが眼をほかにむけて虚しきことを見ざらしめ 我をなんぢの途にて活し給へ
119:38
編集ひたすらに汝をおそるる汝のしもべに 聖言をかたくしたまへ
119:39
編集わがおそるる謗をのぞきたまへ そはなんぢの審判はきはめて善し
119:40
編集我なんぢの訓諭をしたへり 願くはなんぢの義をもて我をいかしたまへ
- ○ワウ
119:41
編集ヱホバよ聖言にしたがひてなんぢの憐憫なんぢの拯救を我にのぞませたまへ
119:42
編集さらば我われを謗るものに答ふることをえん われ聖言によりたのめばなり
119:43
編集又わが口より眞理のことばをことごとく除き給ふなかれ われなんぢの審判をのぞみたればなり
119:44
編集われたえずいや永久になんぢの法をまもらん
119:45
編集われなんぢの訓諭をもとめたるにより障なくしてあゆまん
119:46
編集われまた王たちの前になんぢの證詞をかたりて恥ることあらじ
119:47
編集我わが愛するなんぢの誡命をもて己をたのしましめん
119:48
編集われ手をわがあいする汝のいましめに挙げ なんぢの律法をふかく思はん
- ○ザイン
119:49
編集ねがはくは汝のしもべに宣ひたる聖言をおもひいだしたまへ 汝われに之をのぞましめ給へり
119:50
編集なんぢの聖言はわれを活ししがゆゑに 今もなほわが艱難のときの安慰なり
119:51
編集高ぶる者おほいに我をあざわらへり されど我なんぢの法をはなれざりき
119:52
編集ヱホバよわれ汝がふるき往昔よりの審判をおもひいだして自から慰めたり
119:53
編集なんぢの法をすつる惡者のゆゑによりて 我はげしき怒をおこしたり
119:54
編集なんぢの律法はわが旅の家にてわが歌となれり
119:55
編集ヱホバよわれ夜間になんぢの名をおもひいだして なんぢの法をまもれり
119:56
編集われ汝のさとしを守りしによりてこの事をえたるなり
- ○ヘテ
119:57
編集ヱホバはわがうくべき有なり われ汝のもろもろの言をまもらんといへり
119:58
編集われ心をつくして汝のめぐみを請求めたり ねがはくは聖言にしたがひて我をあはれみたまへ
119:59
編集我わがすべての途をおもひ 足をかへしてなんぢの證詞にむけたり
119:60
編集我なんぢの誡命をまもるに速けくしてたゆたはざりき
119:61
編集惡きものの繩われに纏ひたれども 我なんぢの法をわすれざりき
119:62
編集我なんぢのただしき審判のゆゑに 夜半におきてなんぢに感謝せん
119:63
編集われは汝をおそるる者 またなんぢの訓諭をまもるものの侶なり
119:64
編集ヱホバよ汝のあはれみは地にみちたり 願くはなんぢの律法をわれにをしへたまへ
- ○テテ
119:65
編集ヱホバよなんぢ聖言にしたがひ惠をもてその僕をあしらひたまへり
119:66
編集われ汝のいましめを信ず ねがはくはわれに聡明と智識とををしへたまへ
119:67
編集われ苦しまざる前にはまよひいでぬ されど今はわれ聖言をまもる
119:68
編集なんぢは善にして善をおこなひたまふ ねがはくは汝のおきてを我にをしへたまへ
119:69
編集高ぶるもの虚偽をくはだてて我にさからへり われ心をつくしてなんぢの訓諭をまもらん
119:70
編集かれらの心はこえふとりて脂のごとし されど我はなんぢの法をたのしむ
119:71
編集困苦にあひたりしは我によきことなり 此によりて我なんぢの律法をまなびえたり
119:72
編集なんぢの口の法はわがためには千々のこがね白銀にもまされり
- ○ヨーデ
119:73
編集なんぢの手はわれを造りわれを形づくれり ねがはくは智慧をあたへて我になんぢの誡命をまなばしめたまへ
119:74
編集なんぢを畏るるものは我をみて喜ばん われ聖言によりて望をいたきたればなり
119:75
編集ヱホバよ我はなんぢの審判のただしく又なんぢが眞實をもて我をくるしめたまひしを知る
119:76
編集ねがはくは汝のしもべに宣ひたる聖言にしたがひて 汝の仁慈をわが安慰となしたまへ
119:77
編集なんぢの憐憫をわれに臨ませたまへ さらばわれ生ん なんぢの法はわが樂しめるところなり
119:78
編集高ぶるものに恥をかうぷらせたまへ かれらは虚偽をもて我をくつがへしたればなり されど我なんぢの訓諭をふかくおもはん
119:79
編集汝をおそるる者となんぢの證詞をしるものとを我にかへらしめたまへ
119:80
編集わがこころを全くして汝のおきてを守らしめたまへ さらばわれ恥をかうぶらじ
- ○カフ
119:81
編集わが霊魂はなんぢの救をしたひてたえいるばかりなり 然どわれなほ聖言によりて望をいだく
119:82
編集なんぢ何のとき我をなぐさむるやといひつつ 我みことばを慕ふによりて眼おとろふ
119:83
編集我は煙のなかの革嚢のごとくなりぬれども 尚なんぢの律法をわすれず
119:84
編集汝のしもべの日は幾何ありや 汝いづれのとき我をせむるものに審判をおこなひたまふや
119:85
編集たかぶる者われを害はんとて阱をほれり かれらはなんぢの法にしたがはず
119:86
編集なんぢの誡命はみな眞實なり かれらは虚偽をもて我をせむ ねがはくは我をたすけたまへ
119:87
編集かれらは地にてほとんど我をほろぼせり されど我はなんぢの訓諭をすてざりき
119:88
編集願くはなんぢの仁慈にしたがひて我をいかしたまへ 然ばわれ御口よりいづる證詞をまもらん
- ○ラメテ
119:89
編集ヱホバよみことばは天にてとこしえに定まり
119:90
編集なんぢの眞實はよろづ世におよぶ なんぢ地をかたく立たまへば地はつねにあり
119:91
編集これらのものはなんぢの命令にしたがひ 恒にありて今日にいたる 萬のものは皆なんぢの僕なればなり
119:92
編集なんぢの法わがたのしみとならざりしならば我はつひに患難のうちに滅びたるならん
119:93
編集われ恒になんぢの訓諭をわすれじ 汝これをもて我をいかしたまへばなり
119:94
編集我はなんぢの有なりねがはくは我をすくひたまへ われ汝のさとしを求めたり
119:95
編集惡きものは我をほろぼさんとして窺ひぬ われは唯なんぢのもろもろの證詞をおもはん
119:96
編集我もろもろの純全に限あるをみたり されど汝のいましめはいと廣し
- ○メム
119:97
編集われなんぢの法をいつくしむこといかばかりぞや われ終日これを深くおもふ
119:98
編集なんぢの誡命はつねに我とともにありて 我をわが仇にまさりて慧からしむ
119:99
編集我はなんぢの證詞をふかくおもふが故に わがすべての師にまさりて智慧おほし
119:100
編集我はなんぢの訓諭をまもるがゆゑに 老たる者にまさりて事をわきまふるなり
119:101
編集われ聖言をまもらんために わが足をとどめてもろもろのあしき途にゆかしめず
119:102
編集なんぢ我ををしへたまひしによりて 我なんぢの審判をはなれざりき
119:103
編集みことばの滋味はわが腭にあまきこといかばかりぞや 蜜のわが口に甘きにまされり
119:104
編集我なんぢの訓諭によりて智慧をえたり このゆゑに虚偽のすべての途をにくむ
- ○ヌン
119:105
編集なんぢの聖言はわがあしの燈火わが路のひかりなり
119:106
編集われなんぢのただしき審判をまもらんことをちかひ且かたくせり
119:107
編集われ甚いたく苦しめり ヱホバよねがはくは聖言にしたがひて我をいかしたまヘ
119:108
編集ヱホバよねがはくは誠意よりするわが口の献物をうけて なんぢの審判ををしへたまへ
119:109
編集わが霊魂はつねに危険ををかす されど我なんぢの法をわすれず
119:110
編集あしき者わがために羂をまうけたり されどわれ汝のさとしより迷ひいでざりき
119:111
編集われ汝のもろもろの證詞をとこしへにわが嗣業とせり これらの證詞はわが心をよろこばしむ
119:112
編集われ汝のおきてを終までとこしへに守らんとて之にこころを傾けたり
- ○サメク
119:113
編集われ二心のものをにくみ汝のおきてを愛しむ
119:114
編集なんぢはわが匿るべき所わが盾なり われ聖言によりて望をいだく
119:115
編集惡きをなすものよ我をはなれされ われわが神のいましめを守らん
119:116
編集聖言にしたがひ我をささへて生存しめたまへ わが望につきて恥なからしめたまへ
119:117
編集われを支へたまへ さらばわれ安けかるべし われ恒になんぢの律法にこころをそそがん
119:118
編集すべて律法よりまよひいづるものを汝かろしめたまへり かれらの欺詐はむなしければなり
119:119
編集なんぢは地のすべての惡きものを渣滓のごとく除きさりたまふ この故にわれ汝のあかしを愛す
119:120
編集わが肉體なんぢを懼るるによりてふるふ 我はなんぢの審判をおそる
- ○アイン
119:121
編集われは審判と公義とをおこなふ 我をすてて虐ぐるものに委ねたまふなかれ
119:122
編集汝のしもべの中保となりて福祉をえしめたまへ 高ぶるものの我をしへたぐるを容したまふなかれ
119:123
編集わが眼はなんぢの救となんぢのただしき聖言とをしたふによりておとろふ
119:124
編集ねがはくはなんぢの憐憫にしたがひてなんぢの僕をあしらひ 我になんぢの律法ををしへたまへ
119:125
編集我はなんぢの僕なり われに智慧をあたへてなんぢの證詞をしらしめたまへ
119:126
編集彼等はなんぢの法をすてたり 今はヱホバのはたらきたまふべき時なり
119:127
編集この故にわれ金よりもまじりなき金よりもまさりて汝のいましめを愛す
119:128
編集この故にもろもろのことに係るなんぢの一切のさとしを正しとおもふ 我すべてのいつはりの途をにくむ
- ○べ
119:129
編集汝のあかしは妙なり かかるが故にわが霊魂これをまもる
119:130
編集聖言うちひらくれば光をはなちて 愚かなるものをさとからしむ
119:131
編集我なんぢの誡命をしたふが故に わが口をひろくあけて喘ぎもとめたり
119:132
編集ねがはくは聖名を愛するものに恒になしたまふごとく身をかへして我をあはれみたまへ
119:133
編集聖言をもてわが歩履をととのへ もろもろの邪曲をわれに主たらしめたまふなかれ
119:134
編集われを人のしへたげより贖ひたまへ さらばわれ訓諭をまもらん
119:135
編集ねがはくは聖顔をなんぢの僕のうへにてらし 汝のおきてを我にをしへ給へ
119:136
編集人なんぢの法をまもらざるによりて わが眼のなみだ河のごとくに流る
- ○ツァデー
119:137
編集ヱホバよなんぢは義しくなんぢの審判はなほし
119:138
編集汝ただしきと此上なき眞實とをもて その證詞を命じ給へり
119:139
編集わが敵なんぢの聖言をわすれたるをもて わが熱心われをほろぼせり
119:140
編集なんぢの聖言はいときよし 此故になんぢの僕はこれを愛す
119:141
編集われは微なるものにて人にあなどらるれども汝のさとしを忘れず
119:142
編集なんぢの義はとこしへの義なり汝ののりは眞理なり
119:143
編集われ患難と憂とにかかれども 汝のいましめはわが喜樂なり
119:144
編集なんぢの證詞はとこしへに義し ねがはくはわれに智慧をたまへ 我ながらふることを得ん
- ○コフ
119:145
編集われ心をつくしてよばはれり ヱホバよ我にこたへたまへ 我なんぢの律法をまもらん
119:146
編集われ汝をよばはれり ねがはくはわれを救ひ給へ 我なんぢの證詞をまもらん
119:147
編集われ詰朝おきいでて呼はれり われ聖言によりて望をいだけり
119:148
編集夜の更のきたらぬに先だち わが眼はさめて汝のみことばを深くおもふ
119:149
編集ねがはくはなんぢの仁慈にしたがひてわが聲をききたまへ ヱホバよなんぢの審判にしたがひて我をいかしたまへ
119:150
編集惡をおひもとむるものは我にちかづけり 彼等はなんぢの法にとほくはなる
119:151
編集ヱホバよ汝はわれに近くましませり なんぢのすべての誡命はまことなり
119:152
編集われ早くよりなんぢの證詞によりて汝がこれを永遠にたてたまへることを知れり
- ○レシ
119:153
編集ねがはくはわが患難をみて我をすくひたまへ 我なんぢの法をわすれざればなり
119:154
編集ねがはくはわが訟をあげつらひて我をあがなひ 聖言にしたがひて我をいかしたまへ
119:155
編集すくひは惡きものより遠くはなる かれらはなんぢの律法をもとめざればなり
119:156
編集ヱホバよなんぢの憐憫はおほいなり 願くはなんぢの審判にしたがひて我をいかしたまへ
119:157
編集我をせむる者われに敵するものおほし 我なんぢの證詞をはなるることなかりき
119:158
編集虚偽をおこなふもの汝のみことばを守らざるにより 我かれらを見てうれへたり
119:159
編集ねがはくはわが汝のさとしを愛すること幾何なるをかへりみたまヘ ヱホバよなんぢの仁慈にしたがひて我をいかしたまへ
119:160
編集なんぢのみことばの総計はまことなり 汝のただしき審判はとこしへにいたるまで皆たゆることなし
- ○シン
119:161
編集もろもろの侯はゆゑなくして我をせむ 然どわが心はただ汝のみことばを畏る
119:162
編集われ人のおほいなる掠物をえたるごとくに 汝のみことばをよろこぶ
119:163
編集われ虚偽をにくみ之をいみきらへども 汝ののりを愛す
119:164
編集われ汝のただしき審判のゆゑをもて 一日に七次なんぢを讃稱ふ
119:165
編集なんぢの法をあいするものには大なる平安あり かれらには躓礙をあたふる者なし
119:166
編集ヱホバよ我なんぢの救をのぞみ汝のいましめをおこなへり
119:167
編集わが霊魂はなんぢの證詞をまもれり 我はいたく之をあいす
119:168
編集われなんぢの訓諭となんぢの證詞とをまもりぬ わがすべての道はみまへにあればなり
- ○タウ
119:169
編集ヱホバよ願くはわがよぶ聲をみまへにちかづけ 聖言にしたがひて我にちゑをあたへたまへ
119:170
編集わが願をみまへにいたらせ 聖言にしたがひて我をたすけたまへ
119:171
編集わがくちびるは讃美をいだすべし 汝われに律法ををしへ給へばなり
119:172
編集わが舌はみことばを謳ふべし なんぢの一切のいましめは義なればなり
119:173
編集なんぢの手をつねにわが助となしたまへ われなんぢの訓諭をえらび用ゐたればなり
119:174
編集ヱホバよ我なんぢの救をしたへり なんぢの法はわがたのしみなり
119:175
編集願くはわが霊魂をながらへしめたまへ さらば汝をほめたたへん 汝のさばきの我をたすけんことを
119:176
編集われは亡はれたる羊のごとく迷ひいでぬ なんぢの僕をたづねたまへ われ汝のいましめを忘れざればなり
第120篇
編集京詣のうた
120:1
編集われ困苦にあひてヱホバをよびしかば我にこたへたまへり
120:2
編集ヱホバよねがはくは虚偽のくちびる欺詐の舌よりわが霊魂をたすけいだしたまへ
120:3
編集あざむきの舌よなんぢに何をあたへられ 何をくはへらるべきか
120:4
編集ますらをの利き箭と金萑花のあつき炭となり
120:5
編集わざはひなるかな我はメセクにやどりケダルの幕屋のかたはらに住めり
120:6
編集わがたましひは平安をにくむものと偕にすめり
120:7
編集われは平安をねがふ されど我ものいふときにかれら戦争をこのむ
第121篇
編集京まうでの歌
121:1
編集われ山にむかひて目をあぐ わが扶助はいづこよりきたるや
121:2
編集わがたすけは天地をつくりたまへるヱホバよりきたる
121:3
編集ヱホバはなんぢの足のうごかさるるを容したまはず 汝をまもるものは微睡たまふことなし
121:4
編集視よイスラエルを守りたまふものは微睡こともなく寝ることもなからん
121:5
編集ヱホバは汝をまもる者なり ヱホバはなんぢの右手をおほふ蔭なり
121:6
編集ひるは日なんぢをうたず夜は月なんぢを傷じ
121:7
編集ヱホバはなんぢを守りてもろもろの禍害をまぬかれしめ並なんぢの霊魂をまもりたまはん
121:8
編集ヱホバは今よりとこしへにいたるまで 汝のいづると入るとをまもりたまはん
第122篇
編集ダビデがよめる京まうでの歌
122:1
編集人われにむかひて率ヱホバのいへにゆかんといへるとき我よろこべり
122:2
編集ヱルサレムよわれらの足はなんぢの門のうちにたてり
122:3
編集ヱルサレムよなんぢは稠くつらなりたる邑のごとく固くたてり
122:4
編集もろもろのやから即ちヤハの支派かしこに上りきたり イスラエルにむかひて證詞をなし またヱホバの名にかんしやをなす
122:5
編集彼處にさばきの寳座まうけらる これダビデの家のみくらなり
122:6
編集ヱルサレムのために平安をいのれ ヱルサレムを愛するものは榮ゆべし
122:7
編集ねがはくはなんぢの石垣のうちに平安あり なんぢの諸殿のうちに福祉あらんことを
122:8
編集わが兄弟のためわが侶のために われ今なんぢのなかに平安あれといはん
122:9
編集われらの神ヱホバのいへのために我なんぢの福祉をもとめん
第123篇
編集京まうでの歌
123:1
編集天にいますものよ我なんぢにむかひて目をあぐ
123:2
編集みよ僕その主の手に目をそそぎ 婢女その主母の手に目をそそぐがごとく われらはわが神ヱホバに目をそそぎて そのわれを憐みたまはんことをまつ
123:3
編集ねがはくはわれらを憐みたまヘ ヱホバよわれらを憐みたまへ そはわれらに軽侮はみちあふれぬ
123:4
編集おもひわづらひなきものの凌辱と たかぶるものの軽侮とはわれらの霊魂にみちあふれぬ
第124篇
編集ダビデのよめる京まうでの歌
124:1
編集今イスラエルはいふべし ヱホバもしわれらの方にいまさず
124:2
編集人々われらにさからひて起りたつとき ヱホバもし我儕のかたに在さざりしならんには
124:3
編集かれらの怒のわれらにむかひておこりし時 われらを生るままにて呑しならん
124:4
編集また水はわれらをおほひ 流はわれらの霊魂をうちこえ
124:5
編集高ぶる水はわれらの霊魂をうちこえしならん
124:6
編集ヱホバはほむべきかな我儕をかれらの歯にわたして噛くらはせたまはざりき
124:7
編集我儕のたましひは捕鳥者のわなをのがるる鳥のごとくにのがれたり 羅はやぶれてわれらはのがれたり
124:8
編集われらの助は天地をつくりたまへるヱホバの名にあり
第125篇
編集みやこ詣のうた
125:1
編集ヱホバに依頼むものはシオンの山のうごかさるることなくして永遠にあるがごとし
125:2
編集ヱルサレムを山のかこめるごとくヱホバも今よりとこしへにその民をかこみたまはん
125:3
編集惡の杖はただしきものの所領にとどまることなかるべし斯てただしきものはその手を不義にのぶることあらじ
125:4
編集ヱホバよねがはくは善人とこころ直きものとに福祉をほどこしたまへ
125:5
編集されどヱホバは轉へりておのが曲れる道にいるものを惡きわざをなすものとともに去しめたまはん 平安はイスラエルのうへにあれ
第126篇
編集京まうでの歌
126:1
編集ヱホバ、シオンの俘囚をかへしたまひし時 われらは夢みるもののごとくなりき
126:2
編集そのとき笑はわれらの口にみち歌はわれらの舌にみてり ヱホバかれらのために大なることを作たまへりといへる者もろもろの國のなかにありき
126:3
編集ヱホバわれらのために大なることをなしたまひたれば我儕はたのしめり
126:4
編集ヱホバよ願くはわれらの俘囚をみなみの川のごとくに歸したまへ
126:5
編集涙とともに播くものは歡喜とともに穫らん
126:6
編集その人は種をたづさへ涙をながしていでゆけど禾束をたづさへ喜びてかへりきたらん
第127篇
編集ソロモンがよめる京まうでのうた
127:1
編集ヱホバ家をたてたまふにあらずば 建るものの勤勞はむなしく ヱホバ城をまもりたまふにあらずば衛士のさめをるは徒勞なり
127:2
編集なんぢら早くおき遅くいねて辛苦の糧をくらふはむなしきなり 斯てヱホバその愛しみたまふものに寝をあたへたまふ
127:3
編集みよ子輩はヱホバのあたへたまふ嗣業にして 胎の實はその報のたまものなり
127:4
編集年壮きころほひの子はますらをの手にある矢のごとし
127:5
編集矢のみちたる箙をもつ人はさいはひなり かれら門にありて仇とものいふとき恥ることあらじ
第128篇
編集京まうでの歌
128:1
編集ヱホバをおそれその道をあゆむものは皆さいはひなり
128:2
編集そはなんぢおのが手の勤勞をくらふべければなり なんぢは福祉をえまた安處にをるべし
128:3
編集なんぢの妻はいへの奥にをりておほくの實をむすぶ葡萄の樹のごとく汝の子輩はなんぢの筵に円居してかんらんの若樹のごとし
128:4
編集見よヱホバをおそるる者はかく福祉をえん
128:5
編集ヱホバはシオンより惠をなんぢに賜はん なんぢ世にあらんかぎりヱルサレムの福祉をみん
128:6
編集なんぢおのが子輩の子をみるべし 平安はイスラエルの上にあり
第129篇
編集京まうでのうた
129:1
編集今イスラエルはいふべし彼等はしばしば我をわかきときより惱めたり
129:2
編集かれらはしばしば我をわかきときより惱めたり されどわれに勝ことを得ざりき
129:3
編集耕すものはわが背をたがへしてその畎をながくせり
129:4
編集ヱホバは義し あしきものの繩をたちたまへり
129:5
編集シオンをにくむ者はみな恥をおびてしりぞかせらるべし
129:6
編集かれらは長たざるさきにかるる屋上の草のごとし
129:7
編集これを刈るものはその手にみたず 之をつかぬるものはその束ふところに盈ざるなり
129:8
編集かたはらを過るものはヱホバの惠なんぢの上にあれといはず われらヱホバの名によりてなんぢらを祝すといはず
第130篇
編集京まうでの歌
130:1
編集ああヱホバよわれふかき淵より汝をよべり
130:2
編集主よねがはくはわが聲をきき汝のみみをわが懇求のこゑにかたぶけたまヘ
130:3
編集ヤハよ主よなんぢ若もろもろの不義に目をとめたまはば誰たれかよく立ことをえんや
130:4
編集されどなんぢに赦あれば人におそれかしこまれ給ふべし
130:5
編集我ヱホバを俟望む わが霊魂はまちのぞむ われはその聖言によりて望をいだく
130:6
編集わがたましひは衛士があしたを待にまさり 誠にゑじが旦をまつにまさりて主をまてり
130:7
編集イスラエルよヱホバによりて望をいだけ そはヱホバにあはれみあり またゆたかなる救贖あり
130:8
編集ヱホバはイスラエルをそのもろもろの邪曲よりあがなひたまはん
第131篇
編集ダビデのよめる京まうでのうた
131:1
編集ヱホバよわが心おごらずわが目たかぶらず われは大なることと我におよばぬ奇しき事とをつとめざりき
131:2
編集われはわが霊魂をもださしめまた安からしめたり 乳をたちし嬰兒のその母にたよるごとく 我がたましひは乳をたちし嬰兒のごとくわれに恃れり
131:3
編集イスラエルよ今よりとこしへにヱホバにたよりて望をいだけ
第132篇
編集京まうでの歌
132:1
編集ヱホバよねがはくはダビデの爲にそのもろもろの憂をこころに記たまヘ
132:2
編集ダビデ、ヱホバにちかひヤコブの全能者にうけひていふ
132:3
編集132:4
編集132:5
編集われヱホバのために處をたづねいだし ヤコブの全能者のために居所をもとめうるまでは 我家の幕屋にいらず わが臥床にのぼらず わが目をねぶらしめず わが眼瞼をとぢしめざるべしと
132:6
編集われらエフラタにて之をききヤアルの野にて見とめたり
132:7
編集われらはその居所にゆきて その承足のまへに俯伏さん
132:8
編集ヱホバよねがはくは起きて なんぢの稜威の櫃とともになんぢの安居所にいりたまへ
132:9
編集なんぢの祭司たちは義を衣 なんぢの聖徒はみな歓びよばふべし
132:10
編集なんぢの僕ダビデのためになんぢの受膏者の面をしりぞけたまふなかれ
132:11
編集ヱホバ眞實をもてダビデに誓ひたまひたれば之にたがふことあらじ 曰くわれなんぢの身よりいでし者をなんぢの座位にざせしめん
132:12
編集なんぢの子輩もしわがをしふる契約と證詞とをまもらばかれらの子輩もまた永遠になんぢの座位にざすべしと
132:13
編集ヱホバはシオンを擇びておのが居所にせんとのぞみたまへり
132:14
編集曰くこれは永遠にわが安居處なり われここに住ん そはわれ之をのぞみたればなり
132:15
編集われシオンの糧をゆたかに祝し くひものをもてその貧者をあかしめん
132:16
編集われ救をもてその祭司たちに衣せん その聖徒はみな聲たからかによろこびよばふべし
132:17
編集われダビデのためにかしこに一つの角をはえしめん わが受膏者のために燈火をそなへたり
132:18
編集われかれの仇にはぢを衣せん されどかれはその冠弁さかゆべし
第133篇
編集ダビデがよめる京まうでの歌
133:1
編集観よはらから相睦てともにをるはいかに善いかに樂きかな
133:2
編集首にそそがれたる貴きあぶら鬚にながれ アロンの鬚にながれ その衣のすそにまで流れしたたるるがごとく
133:3
編集またヘルモンの露くだりてシオンの山にながるるがごとし そはヱホバかしこに福祉をくだし窮なき生命をさへあたへたまへり
第134篇
編集京まうでの歌
134:1
編集夜間ヱホバの家にたちヱホバに事ふるもろもろの僕よ ヱホバをほめまつれ
134:2
編集なんぢら聖所にむかひ手をあげてヱホバをほめまつれ
134:3
編集ねがはくはヱホバ天地をつくりたまへるもの シオンより汝をめぐみたまはんことを
第135篇
編集135:1
編集なんぢらヱホバを讃稱へよ ヱホバの名をほめたたへよ ヱホバの僕等ほめたたへよ
135:2
編集ヱホバの家われらの神のいへの大庭にたつものよ讃稱へよ
135:3
編集ヱホバは惠ふかし なんぢらヱホバをほめたたへよ その聖名はうるはし讃うたへ
135:4
編集そはヤハおのがためにヤコブをえらみ イスラエルをえらみてその珍寳となしたまへり
135:5
編集われヱホバの大なるとわれらの主のもろもろの神にまされるとをしれり
135:6
編集ヱホバその聖旨にかなふことを天にも地にも海にも淵にもみなことごとく行ひ給ふなり
135:7
編集ヱホバは地のはてより霧をのぼらせ 雨のために電光をつくりその庫より風をいだしたまふ
135:8
編集ヱホバは人より畜類にいたるまでエジプトの首出をうちたまへり
135:9
編集エジプトよヱホバはなんぢの中にしるしと奇しき事跡とをおくりて パロとその僕とに臨ませ給へり
135:10
編集ヱホバはおほくの國々をうち 又いきほひある王等をころし給へり
135:11
編集アモリ人のわうシホン、バシヤンの王オグならびにカナンの國々なり
135:12
編集かれらの地をゆづりとしその民イスフルの嗣業としてあたへ給へり
135:13
編集ヱホバよなんぢの名はとこしへに絶ることなし ヱホバよなんぢの記念はよろづ世におよばん
135:14
編集ヱホバはその民のために審判をなしその僕等にかかはれる聖意をかへたまふ可ればなり
135:15
編集もろもろのくにの偶像はしろかねと金にして人の手のわざなり
135:16
編集そのぐうざうは口あれどいはず目あれど見ず
135:17
編集耳あれどきかず またその口に氣息あることなし
135:18
編集これを造るものと之によりたのむものとは皆これにひとしからん
135:19
編集イスラエルの家よヱホバをほめまつれ アロンのいへよヱホバをほめまつれ
135:20
編集レビの家よヱホバをほめまつれ ヱホバを畏るるものよヱホバをほめまつれ
135:21
編集ヱルサレムにすみたまふヱホバはシオンにて讃まつるべきかな ヱホバをほめたたへよ
第136篇
編集136:1
編集ヱホバに感謝せよヱホバはめぐみふかし その憐憫はとこしへに絶ることなければなり
136:2
編集もろもろの神の神にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
136:3
編集もろもろの主の主にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
136:4
編集ただ獨りおほいなる奇跡なしたまふものに感謝せよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
136:5
編集智慧をもてもろもろの天をつくりたまへるものに感謝せよ そのあはれみはとこしへにたゆることなければなり
136:6
編集地を水のうへに布たまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり
136:7
編集巨大なる光をつくりたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり
136:8
編集晝をつかさどらするために日をつくりたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
136:9
編集夜をつかさどらするために月ともろもろの星とをつくりたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
136:10
編集もろもろの首出をうちてエジプトを責たまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり
136:11
編集イスラエルを率てエジプト人のなかより出したまへる者にかんしやせよ そのあはれみはとこしへに絶ることなければなり
136:12
編集臂をのばしつよき手をもて之をひきいだしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
136:13
編集紅海をふたつに分たまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
136:14
編集イスラエルをしてその中をわたらしめ給へるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり
136:15
編集パロとその軍兵とを紅海のうちに仆したまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり
136:16
編集その民をみちびきて野をすぎしめたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
136:17
編集大なる王たちを撃たまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり
136:18
編集名ある王等をころしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり
136:19
編集アモリ人のわうシホンをころしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
136:20
編集バシヤンのわうオグを誅したまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり
136:21
編集かれらの地を嗣業としてあたへたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
136:22
編集その僕イスラエルにゆづりとして之をあたへたまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり
136:23
編集われらが微賤かりしときに記念したまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり
136:24
編集わが敵よりわれらを助けいだしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり
136:25
編集すべての生るものに食物をあたへたまふものに感謝せよ そのあはれみはとこしへに絶ることなければなり
136:26
編集天の神にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり
第137篇
編集137:1
編集われらバビロンの河のほとりにすわり シオンをおもひいでて涙をながしぬ
137:2
編集われらそのあたりの柳にわが琴をかけたり
137:3
編集そはわれらを虜にせしものわれらに歌をもとめたり 我儕をくるしむる者われらにおのれを歓ばせんとて シオンのうた一つうたへといへり
137:4
編集われら外邦にありていかでヱホバの歌をうたはんや
137:5
編集エルサレムよもし我なんぢをわすれなばわが右の手にその巧をわすれしめたまへ
137:6
編集もしわれ汝を思ひいでず もしわれヱルサレムをわがすべての歓喜の極となさずばわが舌をわが腭につかしめたまヘ
137:7
編集ヱホバよねがはくはヱルサレムの日にエドムの子輩がこれを掃除けその基までもはらひのぞけといへるを聖意にとめたまへ
137:8
編集ほろぼさるべきバビロンの女よ なんぢがわれらに作しごとく汝にむくゆる人はさいはひなるべし
137:9
編集なんぢの嬰兒をとりて岩のうへになげうつものは福ひなるべし
第138篇
編集ダビデのうた
138:1
編集われはわが心をつくしてなんぢに感謝し もろもろの神のまへにて汝をほめうたはん
138:2
編集我なんぢのきよき宮にむかひて伏拝み なんぢの仁慈とまこととの故によりて聖名にかんしやせん そは汝そのみことばをもろもろの聖名にまさりて高くしたまひたればなり
138:3
編集汝わがよばはりし日にわれにこたへ わが霊魂にちからをあたへて雄々しからしめたまへり
138:4
編集ヱホバよ地のすべての王はなんぢに感謝せん かれらはなんぢの口のもろもろの言をききたればなり
138:5
編集かれらはヱホバのもろもろの途についてうたはん ヱホバの榮光おほいなればなり
138:6
編集ヱホバは高くましませども卑きものを顧みたまふ されど亦おごれるものを遠よりしりたまへり
138:7
編集縦ひわれ患難のなかを歩むとも汝われをふたたび活し その手をのばしてわが仇のいかりをふせぎ その右の手われをすくひたまふべし
138:8
編集ヱホバはわれに係れることを全うしたまはん ヱホバよなんぢの憐憫はとこしへにたゆることなし願くはなんぢの手のもろもろの事跡をすてたまふなかれ
第139篇
編集伶長にうたはしめたるダビデの歌
139:1
編集ヱホバよなんぢは我をさぐり我をしりたまへり
139:2
編集なんぢはわが坐るをも立をもしり 又とほくよりわが念をわきまへたまふ
139:3
編集なんぢはわが歩むをもわが臥をもさぐりいだし わがもろもろの途をことごとく知たまへり
139:4
編集そはわが舌に一言ありとも観よヱホバよなんぢことごとく知たまふ
139:5
編集なんぢは前より後よりわれをかこみ わが上にその手をおき給へり
139:6
編集かかる知識はいとくすしくして我にすぐ また高くして及ぶことあたはず
139:7
編集我いづこにゆきてなんぢの聖霊をはなれんや われいづこに往てなんぢの前をのがれんや
139:8
編集われ天にのぼるとも汝かしこにいまし われわが榻を陰府にまうくるとも 観よなんぢ彼處にいます
139:9
編集我あけぼのの翼をかりて海のはてにすむとも
139:10
編集かしこにて尚なんぢの手われをみちびき汝のみぎの手われをたもちたまはん
139:11
編集暗はかならす我をおほひ 我をかこめる光は夜とならんと我いふとも
139:12
編集汝のみまへには暗ものをかくすことなく 夜もひるのごとくに輝けり なんぢにはくらきも光もことなることなし
139:13
編集汝はわがはらわたをつくり 又わがははの胎にわれを組成たまひたり
139:14
編集われなんぢに感謝す われは畏るべく奇しくつくられたり なんぢの事跡はことごとくくすし わが霊魂はいとつばらに之をしれり
139:15
編集われ隠れたるところにてつくられ地の底所にて妙につづりあはされしとき わが骨なんぢにかくるることなかりき
139:16
編集わが體いまだ全からざるに なんぢの目ははやくより之をみ 日々かたちづくられしわが百體の一だにあらざりし時に ことごとくなんぢの冊にしるされたり
139:17
編集神よなんぢりもろもろの思念はわれに寶きこといかばかりぞや そのみおもひの総計はいかに多きかな
139:18
編集我これを算へんとすれどもそのかずは沙よりもおほし われ眼さむるときも尚なんぢとともにをる
139:19
編集神よなんぢはかならず惡者をころし給はん されば血をながすものよ我をはなれされ
139:20
編集かれらはあしき企圖をもて汝にさからひて言ふ なんぢの仇はみだりに聖名をとなふるなり
139:21
編集ヱホバよわれは汝をにくむ者をにくむにあらずや なんぢに逆ひておこりたつものを厭ふにあらずや
139:22
編集われ甚くかれらをにくみてわが仇とす
139:23
編集神よねがはくは我をさぐりてわが心をしり 我をこころみてわがもろもろの思念をしりたまへ
139:24
編集ねがはくは我によこしまなる途のありやなしやを見て われを永遠のみちに導きたまへ
第140篇
編集伶長にうたはしめたるダビデのうた
140:1
編集ヱホバよねがはくは惡人よりわれを助けいだし 我をまもりて強暴人よりのがれしめたまへ
140:2
編集かれらは心のうちに殘害をくはだて たえず戦闘をおこす
140:3
編集かれらは蛇のごとくおのが舌を利す そのくちびるのうちに蝮の毒ありセラ
140:4
編集ヱホバよ願くはわれを保ちてあしきひとの手よりのがれしめ 我をまもりてわが足をつまづかせんと謀るあらぶる人よりのがれしめ給へ
140:5
編集高ぶるものはわがために羂と索とをふせ 路のほとりに網をはり かつ機をまうけたりセラ
140:6
編集われヱホバにいへらく汝はわが神なり ヱホバよねがはくはわが祈のこゑをきき給へ
140:7
編集わが救のちからなる主の神よ なんぢはたたかひの日にわが首をおほひたまへり
140:8
編集ヱホバよあしきひとの欲のままにすることをゆるしたまふなかれ そのあしき企図をとげしめたまふなかれ おそらくは彼等みづから誇らんセラ
140:9
編集われを圍むものの首はおのれのくちびるの殘害におほはるべし
140:10
編集もえたる炭はかれらのうへにおち かれらは火になげいれられ ふかき穴になげいれられて再びおきいづることあたはざるべし
140:11
編集惡言をいふものは世にたてられず 暴ぶるものはわざはひに追及れてたふさるべし
140:12
編集われは苦しむものの訴とまづしきものの義とをヱホバの守りたまふを知る
140:13
編集義者はかならず聖名にかんしやし直者はみまへに住ん
第141篇
編集ダビデのうた
141:1
編集ヱホバよ我なんぢを呼ふ ねがはくは速かにわれにきたりたまへ われ汝をよばふときわが聲に耳をかたぶけたまへ
141:2
編集われは薫物のごとくにわが祈をみまへにささげ 夕のそなへものの如くにわが手をあげて聖前にささげんことをねがふ
141:3
編集ヱホバよねがはくはわが口に門守をおきて わがくちびるの戸をまもりたまへ
141:4
編集惡事にわがこころを傾かしめて邪曲をおこなふ者とともに惡きわざにあづからしめ給ふなかれ 又かれらの珍饈をくらはしめたまふなかれ
141:5
編集義者われをうつとも我はこれを愛しみとしその我をせむるを頭のあぶらとせん わが頭はこれを辭まず かれらが禍害にあふときもわが祈はたえじ
141:6
編集その審士ははほの崕になげられん かれらわがことばの甘美によりて聴ことをすべし
141:7
編集人つちを耕しうがつがごとく我儕のほねははかの口にちらさる
141:8
編集されど主ヱホバよわが目はなほ汝にむかふ 我なんぢに依頼めり ねがはくはわが霊魂をともしきままに捨おきたまなかれ
141:9
編集我をまもりてかれらがわがためにまうくる羂とよこしまを行ふものの機とをまぬかれしめたまへ
141:10
編集われは全くのがれん あしきものをおのれの網におちいらしめたまへ
第142篇
編集ダビデが洞にありしときよみたる教へのうたなり祈なり
142:1
編集われ聲をいだしてヱホバによばはり 聲をいだしてヱホバにこひもとむ
142:2
編集われはその聖前にわが歎息をそそぎいだし そのみまへにわが患難をあらはす
142:3
編集わが霊魂わがうちにきえうせんとするときも汝わがみちを識たまへり 人われをとらへんとてわがゆくみちに羂をかくせり
142:4
編集願くはわがみぎの手に目をそそぎて見たまへ 一人だに我をしるものなし われには避所なくまたわが霊魂をかへりみる人なし
142:5
編集ヱホバよわれ汝をよばふ 我いへらく汝はわがさけどころ有生の地にてわがうべき分なりと
142:6
編集ねがはくはわが號呼にみこころをとめたまへ われいたく卑くせられたればなり 我をせむる者より助けいだしたまへ 彼等はわれにまさりて強ければなり
142:7
編集願くはわがたましひを囹圄よりいだし われに聖名を感謝せしめたまへ なんぢ豊かにわれを待ひたまふべければ 義者われをめぐらん
第143篇
編集ダビデのうた
143:1
編集ヱホバよねがはくはわが祈をきき わが懇求にみみをかたぶけたまへ なんぢの眞實なんぢの公義をもて我にこたへたまへ
143:2
編集汝のしもべの審判にかかつらひたまふなかれ そはいけるもの一人だにみまへに義とせらるるはなし
143:3
編集仇はわがたましひを迫めわが生命を地にうちすて 死てひさしく世を經たるもののごとく我をくらき所にすまはせたり
143:4
編集又わがたましひはわが衷にきえうせんとし わが心はわがうちに曠さびれたり
143:5
編集われはいにしへの日をおもひいで 汝のおこなひたまひし一切のことを考へ なんぢの手のみわざをおもふ
143:6
編集われ汝にむかひてわが手をのべ わがたましひは燥きおとろへたる地のごとく汝をしたへりセラ
143:7
編集ヱホバよ速かにわれにこたへたまへ わが霊魂はおとろふ われに聖顔をかくしたまふなかれ おそらくはわれ穴にくだるもののごとくならん
143:8
編集朝になんぢの仁慈をきかしめたまへ われ汝によりたのめばなり わが歩むべき途をしらせたまへ われわが霊魂をなんぢに挙ればなり
143:9
編集ヱホバよねがはくは我をわが仇よりたすけ出したまへ われ匿れんとして汝にはしりゆく
143:10
編集汝はわが神なり われに聖旨をおこなふことををしへたまへ 惠ふかき聖霊をもて我をたひらかなる國にみちびきたまヘ
143:11
編集ヱホバよねがはくは聖名のために我をいかし なんぢの義によりてわがたましひを患難よりいだしたまへ
143:12
編集又なんぢの仁慈によりてわが仇をたち 霊魂をくるしむる者をことごとく滅したまへ そは我なんぢの僕なり
第144篇
編集ダビデのうた
144:1
編集戦することをわが手にをしへ 闘ふことをわが指にをしへたまふ わが磐ヱホバはほむべきかな
144:2
編集ヱホバはわが仁慈わが城なり わがたかき櫓われをすくひたまふ者なり わが盾わが依頼むものなり ヱホバはわが民をわれにしたがはせたまふ
144:3
編集ヱホバよ人はいかなる者なれば之をしり 人の子はいかなる者なれば之をみこころに記たまふや
144:4
編集人は氣息にことならず その存らふる日はすぎゆく影にひとし
144:5
編集ヱホバよねがはくはなんぢの天をたれてくだり 手を山につけて煙をたたしめたまへ
144:6
編集電光をうちいだして彼等をちらし なんぢの矢をはなちてかれらを敗りたまへ
144:7
編集上より手をのべ我をすくひて 大水より外人の手よりたすけいだしたまへ
144:8
編集かれらの口はむなしき言をいひ その右の手はいつはりのみぎの手なり
144:9
編集神よわれ汝にむかひて新らしき歌をうたひ 十絃の琴にあはせて汝をほめうたはん
144:10
編集なんぢは王たちに救をあたへ 僕ダビデをわざはひの劍よりすくひたまふ神なり
144:11
編集ねがはくは我をすくひて外人の手よりたすけいだしたまへ かれらの口はむなしき言をいひ その右の手はいつはりのみぎの手なり
144:12
編集われらの男子はとしわかきとき育ちたる草木のごとくわれらの女子は宮のふりにならひて刻みいだしし隅の石のごとくならん
144:13
編集われらの倉はみちたらひてさまざまのものをそなへ われらの羊は野にて千萬の子をうみ
144:14
編集われらの牡牛はよく物をおひ われらの衢にはせめいることなく亦おしいづることなく叫ぶこともなからん
144:15
編集かかる状の民はさいはひなり ヱホバをおのが神とする民はさいはひなり
第145篇
編集ダビデの讃美のうた
145:1
編集わがかみ王よわれ汝をあがめ 世かぎりなく聖名をほめまつらん
145:2
編集われ日ごとに汝をほめ世々かぎりなく聖名をはめたたへん
145:3
編集ヱホバは大にましませば最もほむべきかな その大なることは尋ねしることかたし
145:4
編集この代はかの代にむかひてなんぢの事跡をほめたたへ なんぢの大能のはたらきを宣つたへん
145:5
編集われ汝のほまれの榮光ある稜威となんぢの奇しきみわざとを深くおもはん
145:6
編集人はなんぢのおそるべき動作のいきほひをかたり 我はなんぢの大なることを宣つたへん
145:7
編集かれらはなんぢの大なる惠の跡をいひいで なんぢの義をほめうたはん
145:8
編集ヱホバは惠ふかく憐憫みち また怒りたまふことおそく憐憫おほいなり
145:9
編集ヱホバはよろづの者にめぐみあり そのふかき憐憫はみわざの上にあまねし
145:10
編集ヱホバよ汝のすべての事跡はなんぢに感謝し なんぢの聖徒はなんぢをほめん
145:11
編集かれらは御國のえいくわうをかたり汝のみちからを宣つたへて
145:12
編集その大能のはたらきとそのみくにの榮光あるみいづとを人の子輩にしらすべし
145:13
編集なんぢの國はとこしへの國なり なんぢの政治はよろづ代にたゆることなし
145:14
編集ヱホバはすべて倒れんとする者をささへ かがむものを直くたたしめたまふ
145:15
編集よろづのものの目はなんぢを待 なんぢは時にしたがひてかれらに糧をあたへ給ふ
145:16
編集なんぢ手をひらきてもろもろの生るものの願望をあかしめたまふ
145:17
編集ヱホバはそのすべての途にただしく そのすべての作爲にめぐみふかし
145:18
編集すべてヱホバをよぶもの 誠をもて之をよぶものに ヱホバは近くましますなり
145:19
編集ヱホバは己をおそるるものの願望をみちたらしめ その號呼をききて之をすくひたまふ
145:20
編集ヱホバはおのれを愛しむものをすべて守りたまへど 惡者をことごとく滅したまはん
145:21
編集わが口はヱホバの頌美をかたり よろづの民は世々かぎりなくそのきよき名をほめまつるべし
第146篇
編集146:1
編集ヱホバを讃稱へよ わがたましひよヱホバをほめたたへよ
146:2
編集われ生るかぎりはヱホバをほめたたへ わがながらふるほどはわが神をほめうたはん
146:3
編集もろもろの君によりたのむことなく 人の子によりたのむなかれ かれらに助あることなし
146:4
編集その氣息いでゆけばかれ土にかへる その日かれがもろもろの企圖はほろびん
146:5
編集ヤコブの神をおのが助としその望をおのが神ヱホバにおくものは福ひなり
146:6
編集此はあめつちと海とそのなかなるあらゆるものを造り とこしへに眞實をまもり
146:7
編集虐げらるるもののために審判をおこなひ 飢ゑたるものに食物をあたへたまふ神なり ヱホバはとらはれたる人をときはなちたまふ
146:8
編集ヱホバはめしひの目をひらき ヱホバは屈者をなほくたたせ ヱホバは義しきものを愛しみたまふ
146:9
編集ヱホバは他邦人をまもり 孤子と寡婦とをささへたまふ されど惡きものの徑はくつがへしたまふなり
146:10
編集ヱホバはとこしへに統治めたまはん シオンよなんぢの神はよろづ代まで統治めたまはん ヱホバをほめたたへよ
第147篇
編集147:1
編集ヱホバをほめたたへよ われらの神をほめうたふは善ことなり樂しきことなり 稱へまつるはよろしきに適へり
147:2
編集ヱホバはヱルサレムをきづきイスラエルのさすらへる者をあつめたまふ
147:3
編集ヱホバは心のくだけたるものを醫しその傷をつつみたまふ
147:4
編集ヱホバはもろもろの星の數をかぞへてすべてこれに名をあたへたまふ
147:5
編集われらの主はおほいなりその能力もまた大なりその智慧はきはまりなし
147:6
編集ヱホバは柔和なるものをささへ惡きものを地にひきおとし給ふ
147:7
編集ヱホバに感謝してうたへ琴にあはせてわれらの神をほめうたヘ
147:8
編集ヱホバは雲をもて天をおほひ地のために雨をそなへ もろもろの山に草をはえしめ
147:9
編集くひものを獣にあたへ並なく小鴉にあたへたまふ
147:10
編集ヱホバは馬のちからを喜びたまはず 人の足をよみしたまはず
147:11
編集ヱホバはおのれを畏るるものと おのれの憐憫をのぞむものとを好したまふ
147:12
編集ヱルサレムよヱホバをほめたたへよ シオンよなんぢの神をほめたたへよ
147:13
編集ヱホバはなんぢの門の關木をかたうし 汝のうちなる子輩をさきはひ給ひたればなり
147:14
編集ヱホバは汝のすべての境にやはらぎをあたへ いと嘉麥をもて汝をあかしめたまふ
147:15
編集ヱホバはそのいましめを地にくだしたまふ その聖言はいとすみやかにはしる
147:16
編集ヱホバは雪をひつじの毛のごとくふらせ霜を灰のごとくにまきたまふ
147:17
編集ヱホバは氷をつちくれのごとくに擲ちたまふ たれかその寒冷にたふることをえんや
147:18
編集ヱホバ聖言をくだしてこれを消し その風をふかしめたまへばもろもろの水はながる
147:19
編集ヱホバはそのみことばをヤコブに示し そのもろもろの律法とその審判とをイスラエルにしめしたまふ
147:20
編集ヱホバはいづれの國をも如此あしらひたまひしにあらず ヱホバのもろもろの審判をかれらはしらざるなり ヱホバをほめたたへよ
第148篇
編集148:1
編集ヱホバをほめたたへよ もろもろの天よりヱホバをほめたたへよ もろもろの高所にてヱホバをほめたたへよ
148:2
編集その天使よみなヱホバをほめたたへよ その萬軍よみなヱホバをほめたたへよ
148:3
編集日よ月よヱホバをほめたたへよ ひかりの星よみなヱホバをほめたたへよ
148:4
編集もろもろの天のてんよ 天のうへなる水よ ヱホバをほめたたへよ
148:5
編集これらはみなヱホバの聖名をほめたたふべし そはヱホバ命じたまひたればかれらは造られたり
148:6
編集ヱホバまた此等をいやとほながに立たまひたり 又すぎうすまじき詔命をくだしたまへり
148:7
編集龍よ すべての淵よ地よりヱホバをほめたたへよ
148:8
編集火よ霰よ雪よ霧よみことばにしたがふ狂風よ
148:9
編集もろもろの山もろもろのをか實をむすぶ樹すべての香柏よ
148:10
編集獣もろもろの牲畜はふもの翼ある鳥よ
148:11
編集地の王たち もろもろのたみ 地の諸侯よ 地のもろもろの審士よ
148:12
編集少きをのこ 若きをみな 老たる人 をさなきものよ
148:13
編集みなヱホバの聖名をほめたたふべし その聖名はたかくして類なく そのえいくわうは地よりも天よりもうへにあればなり
148:14
編集ヱホバはその民のために一つの角をあげたまへり こはそもろもろの聖徒のほまれ ヱホバにちかき民なるイスラエルの子輩のほまれなり ヱホバを讃稱へよ
第149篇
編集149:1
編集ヱホバをほめたたへよ ヱホバに對ひてあたらしき歌をうたへ 聖徒のつどひにてヱホバの頌美をうたヘ
149:2
編集イスラエルはおのれを造りたまひしものをよろこび シオンの子輩は己が王のゆゑによりて樂しむべし
149:3
編集かれらをどりつつその聖名をほめたたへ 琴鼓にてヱホバをほめうたべし
149:4
編集ヱホバはおのが民をよろこび 救にて柔和なるものを美しくしたまへばなり
149:5
編集聖徒はえいくわうの故によりてよろこび その寝牀にてよろこびうたふべし
149:6
編集その口に神をほむるうたあり その手にもろはの劍あり
149:7
編集こはもろもろの國に仇をかへし もろもろの民をつみなひ
149:8
編集かれらの王たちを鏈にてかれらの貴人をくろかねの械にていましめ
149:9
編集録したる審判をかれらに行ふべきためなり 斯るほまれはそのもろもろの聖徒にあり ヱホバをほめたたへよ
第150篇
編集150:1
編集ヱホバをほめたたへよ その聖所にて神をほめたたへよ その能力のあらはるる穹蒼にて神をほめたたへよ
150:2
編集その大能のはたらきのゆゑをもて神をほめたたへよ その秀ておほいなることの故によりてヱホバをほめたたへよ
150:3
編集ラッパの聲をもて神をほめたたへよ 筝と琴とをもて神をほめたたへよ
150:4
編集つづみと蹈舞とをもて神をほめたたへよ 絃簫をもて神をほめたたへよ
150:5
編集音のたかき鐃鈸をもて神をほめたたへよ なりひびく鐃鈸をもて神をほめたたへよ
150:6
編集氣息あるものは皆ヤハをほめたたふべし なんぢらヱホバをほめたたへよ