詩四篇・三十一篇・九十一篇 (日本聖公会訳)

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• 底本: エ・エフ・キング 編『小祈祷書』,日本聖公会出版社,明36.4. 国立国会図書館デジタルコレクション:info:ndljp/pid/824561
• 漢字の旧字は新字に置き換えています。
• ふりがなの「えいくわう」は「えいこう」に置き換えた。

詩（し）四（し）篇（へん）

¹ わが義（ぎ）のもとなる神（かみ）よ、きゝたまへ

わが呼（よば）はるときにこたへたまへ

² わがなやみたる時（とき）、爾（なんぢ）余（われ）をくつろがせたまへり

ねがはくは余（われ）をあはれみ、わが祈（いのり）をきゝたまへ

³ 人（ひと）の子（こ）よ汝（なんぢ）ら我（わが）栄（さかえ）を耻（は）ぢしめて、幾（いく）何時（そのとき）をへんとするか

汝（なんぢ）等（ら）空（むなし）き事（こと）を好（この）み、虚偽（いつはり）を慕（したひ）て幾（いく）何時（そのとき）を経（へん）とするか

⁴ 汝（なんぢ）ら知（し）れ、主（しゅ）は己（おのれ）を敬（うやま）ふ人（ひと）を別（わかち）て、己（おの）が有（もの）としたまひしを

われ主（しゅ）によばはらば聴（きき）たまはん

⁵ なんぢら慎（つつし）みをのゝきて、罪（つみ）ををかすなかれ

臥（ふし）床（ど）にておのが心（こころ）にかたりて黙（もだ）せ

⁶ なんぢら義（ぎ）のそなへものをさゝげよ

なんぢら主（しゅ）に依頼（よりたの）め

⁷ 多（おほ）くの人（ひと）はいふ、誰（たれ）か嘉事（よきこと）を余（われ）らに見（み）する者（もの）あらんやと

主（しゅ）よ願（ねがは）くは聖（み）顔（かほ）の光（ひかり）を、われらの上（うへ）に昇（のぼ）らせ給（たま）へ

⁸ 爾（なんぢ）はわが心（こころ）によろこびを與（あた）へたまへり

かれらの穀物（たなつもの）と、酒（さけ）との豊（ゆたか）なる時（とき）の喜（よろこび）にまさりき

⁹ われ安然（やすらか）にして臥（ふ）し、またねむらん

主よわれを坦然（たひらか）に居（をら）しむる者（もの）は唯（ただ）爾（なんぢ）なり

父（ちち）と子（こ）と聖霊（せいれい）に　栄光（えいこう）あれ

元始（はじめ）にあり方今（いま）あり　世々（よよ）かぎりなく在（ある）なり　アーメン

詩（し）三十一（さんじふいつ）篇（ぺん）

¹ 主（しゅ）よ余（われ）爾（なんぢ）に依頼（よりたの）む、願（ねがは）くは何日（いづれのひ）迄（まで）も愧（はぢ）を負（おは）しめ給（たま）ふ勿（なか）れ

爾（なんぢ）の義（ぎ）をもてわれを助（たす）けたまへ

² 爾（なんぢ）の耳（みみ）を傾（かたぶ）けて、速（すみや）かにわれを救（すくひ）たまへ

願（ねがはく）は余為（わがため）に堅（かたき）磐（いは）となり、余（われ）を救（すく）ふ保障（まもり）の家（いへ）と為給（なりたま）へ

³ 爾（なんぢ）はわが磐（いは）、わが城（しろ）なり

聖名（みな）の故（ゆえ）をもて余（われ）を引（ひ）き、余（われ）をみちびきたまへ

⁴ 願（ねがは）くは彼（かれ）等（ら）が密（ひそか）に設（まう）けたる網（あみ）より、余（われ）を引出（ひきいだ）したまへ

そは爾（なんぢ）はわがとりでなり

⁵ わが霊魂（たましひ）を爾（なんぢ）の手（みて）にゆだぬ

主（しゅ）よ眞（まこと）の神（かみ）よ、爾（なんぢ）は余（われ）をあがなひたまへり

父（ちち）と子（こ）と聖霊（せいれい）に　栄光（えいこう）あれ

元始（はじめ）にあり方今（いま）あり　世々（よよ）かぎりなく在（ある）なり　アーメン

詩（し）九十一（くじふいつ）篇（ぺん）

¹ 至（いと）上者（たかきもの）のもと、その隠（かく）れたる所（ところ）にすまふ者（もの）あり

かれは全能者（ぜんのうしゃ）の蔭（かげ）にやどらん

² われ主（しゅ）の事（こと）を宣（のべ）ていはん、主（しゅ）はわが避所（さけどころ）わが城（しろ）なり

わがよりたのむ神（かみ）なりと

³ 神（かみ）汝（なんぢ）を猟人（かりうど）のわなより助（たす）け出（いだ）し

毒（どく）をながす疫（え）病（やみ）より、のがれしめたまはん

⁴ 彼（かれ）其翮（そのはね）をもて汝（なんぢ）を覆（おほ）ひ給（たま）はん、汝（なんぢ）其（その）翼（つばさ）の下（した）にかくれん

その真実（まこと）は盾（たて）なりこだてなり

⁵ 夜（よる）はおどろくべきことあり

昼（ひる）はとびきたる矢（や）あり

⁶ 幽暗（くらき）には歩む疫（え）病（やみ）あり、日午（ひる）には害（そこな）ふ烈（はげし）きやまひあり

されど汝（なんぢ）おそるゝことあらじ

⁷ 千人（せんにん）汝（なんぢ）の左（ひだり）にたふれ、萬人（ばんにん）汝（なんぢ）の右（みぎ）にたふる

されどその災害（わざはひ）は汝（なんぢ）に近（ちかづ）くことなからん

⁸ 汝（なんぢ）の目（め）はたゞこの事（こと）をながめ見（み）るのみ

汝（なんぢ）悪者（あしきもの）のむくいを見（み）ん

⁹ 汝（なんぢ）曩（さき）にいへり、主（しゅ）はわが避所（さけどころ）なりと

汝（なんぢ）至（いと）上者（たかきもの）をそのすまひとなせり

¹⁰ されば災害（わざはひ）汝（なんぢ）にいたらず

苦難（なやみ）汝（なんぢ）の幕（まく）屋（や）にちかづかじ

¹¹ そは至（いと）上者（たかきもの）汝（なんぢ）の為（た）めに其（その）使者（つかひ）輩（たち）におほせ

汝（なんぢ）が歩（あゆ）むもろ〳〵の道（みち）に、汝（なんぢ）を守（まも）らせたまへばなり

¹² かれら手（て）にて汝（なんぢ）の足（あし）をさゝへ

汝（なんぢ）の足（あし）を石（いし）にふれざらしめん

¹³ 汝（なんぢ）は獅（しし）と蝮（まむし）とをふみ

壮（わかき）獅（しし）と蛇（へび）とを足（あし）の下（した）にふみにじらん

¹⁴ かれその愛（あい）を我（われ）に注（そそ）げるが故（ゆえ）に、我（われ）これを助（たす）けん

彼（かれ）わが名（な）を知（しる）が故（ゆえ）に、我（われ）之（これ）をたかき処（ところ）におかん

¹⁵ かれ我（われ）をよばゞ、我（われ）こたへん

我（われ）その苦難（なやみ）の時（とき）に偕（とも）に居（をり）て、之（これ）を助（たす）け之（これ）をあがめん

¹⁶ 我（われ）長（ながき）寿（いのち）をもて、かれを足（たら）はしめ

且（かつ）わが救（すくひ）をかれにしめさん

父（ちち）と子（こ）と聖霊（せいれい）に　栄光（えいこう）あれ

元始（はじめ）にあり方今（いま）あり　世々（よよ）かぎりなく在（ある）なり　アーメン

詩（し）百三十四（ひゃくさんじふし）篇（へん）

¹ よる主（しゅ）のいへに立（た）ち、事（つか）ふるもろ〳〵のしもべよ

主（しゅ）を頌（ほめ）まつれ

² なんぢら聖所（せいじょ）にむかひて手（て）をあげ

主（しゅ）をほめまつれ

³ 願（ねがは）くは主（しゅ）、シオンより汝（なんぢ）をめぐみ給（たま）はんことを

主（しゅ）は天地（あめつち）をつくり給（たま）へるものなり

父（ちち）と子（こ）と聖霊（せいれい）に　栄光（えいこう）あれ

元始（はじめ）にあり方今（いま）あり　世々（よよ）かぎりなく在（ある）なり　アーメン

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