被収容者に係る物品の給与、貸与、自弁等に関する規則

制定文

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監獄法(明治四十一年法律第二十八号)第三十三条第二項及び第五十三条第一項の規定に基づき、並びに同法を実施するため、被収容者に係る物品の給与、貸与、自弁等に関する規則を次のように定める。

第一章 総則

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(趣旨)

第一条
この規則は、被収容者等(刑事施設ニ於ケル刑事被告人ノ収容等ニ関スル法律(明治四十一年法律第二十八号。以下「法」という。)第一条に規定する被収容者(以下「被収容者」という。)及び監置場に留置されている者をいう。以下同じ。)に対する物品の給与及び貸与、被収容者等の自弁の物品の使用及び摂取並びに購入及び差入れに関し、必要な事項を定めるものとする。

(適用除外)

第二条
この規則中の物品の貸与及び自弁の物品の使用に関する規定は、文書、図画については適用しない。

(被監置者)

第三条
監置場に留置されている者については、この規則に特別の定めがある場合を除き、この規則中の被収容者に関する規定を準用する。

(他の法令との関係)

第四条
被収容者等に対する物品の給与及び貸与、被収容者等の自弁の物品の使用及び摂取並びに購入及び差入れについては、他の法令に特別の定めがある場合を除くほか、この規則の定めるところによる。

第二章 物品の給与及び貸与

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(衣類臥具の貸与)

第五条
  1. 被収容者に貸与する衣類臥具は、時季に適し、保健衛生上適切で、かつ、その者の処遇上適当なものでなければならない。
  2. 前項に規定する衣類臥具の品目については、法務大臣が別に定める。

(糧食及び飲料の給与)

第六条
被収容者に給与する糧食及び飲料は、保健衛生上適切なものでなければならない。

(糧食の基準)

第七条
刑事施設の長は、被収容者に対し、法務大臣が別に定める糧食の一人一日当たりの熱量等の基準に従い、これを給与するものとする。

(湯茶の給与)

第八条
刑事施設の長は、被収容者に対し、飲料として、湯茶を給与するものとする。

(刑事施設の医師の意見による糧食及び飲料の給与)

第九条
  1. 刑事施設の長は、被収容者の健康の保持上特に必要があると認める場合又は被収容者に対して治療を施している場合には、前二条の規定によらない糧食及び飲料(酒類を除く。以下同じ。)を給与することができる。
  2. 刑事施設の長は、前項に規定する糧食及び飲料を給与しようとする場合には、あらかじめ、刑事施設の医師の意見を聴くものとする。

(特別の糧食及び飲料の給与)

第十条
  1. 祝日(国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)第二条に規定する国民の祝日をいう。)並びに一月二日及び三日には、刑事施設の長は、第七条及び第八条の規定にかかわらず、特別の糧食及び飲料を給与することができる。
  2. 前項に規定する日のほか、刑事施設において特別な行事を行う場合及び被収容者の処遇上適当と認められる場合も、同項と同様とする。

(刑事施設における日常生活に必要な物品の給与及び貸与)

第十一条
  1. 刑事施設の長は、被収容者に対し、第五条第二項の規定により法務大臣が別に定めることとされる衣類臥具並びに糧食及び飲料のほか、日用品、文房具その他の刑事施設における日常生活に必要な物品を給与し、又は貸与するものとする。
  2. 前項に規定する刑事施設における日常生活に必要な物品の品目については、法務大臣が別に定める。

(被収容者の処遇上相当と認める場合の物品の給与及び貸与)

第十二条
刑事施設の長は、被収容者に対し、第五条第二項の規定により法務大臣が別に定めることとされる衣類臥具並びに糧食及び飲料並びに前条第二項の規定により法務大臣が別に定めることとされる刑事施設における日常生活に必要な物品以外の物品(酒類及びたばこを除く。)について、被収容者の処遇上相当と認める場合には、これを給与し、又は貸与することができる。

(子の養育に必要な物品の給与及び貸与)

第十三条
刑事施設の長は、第十二条の規定により子を養育している被収容者に対し、その子の衣類臥具、糧食、飲料その他その養育に必要と認める物品を給与し、又は貸与するものとする。

第三章 自弁の物品の使用及び摂取

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第十四条

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(刑事被告人の自弁の物品の使用及び摂取)

第十五条
  1. 第三十三条第一項の規定による刑事被告人の自弁の衣類臥具は、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがないと認められるものでなければならない。
  2. 刑事施設の長は、次に掲げる物品で法務大臣が別に定める品目のものについて、刑事被告人が自弁のものを使用し、又は摂取することを申し出た場合には、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがないと認める限り、これを許すものとする。
    一 糧食
    二 し好品
    三 室内装飾品
    四 前三号に掲げるもののほか、刑事施設における日常生活に用いる物品

第十六条

削除

(監置に処せられた者の自弁の物品の使用及び摂取)

第十七条
刑事施設の長は、監置に処せられた者が自衣の着用を申し出た場合及び第十五条第二項第二号から第四号までに掲げる物品で法務大臣が別に定める品目のものについて、自弁のものを使用し、又は摂取することを申し出た場合には、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがないと認める限り、これを許すものとする。

(準用)

第十八条
第十五条条及び前条に規定する者以外の被収容者の自弁の物品の使用及び摂取については、その収容の性質に反しない限り、第十五条の規定を準用する。

(信仰上必要な物品の使用)

第十九条
刑事施設の長は、被収容者が信仰上必要な物品の使用を申し出た場合には、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがないと認める限り、これを許すものとする。

(補装具の使用)

第二十条
刑事施設の長は、被収容者が眼鏡その他の補装具の使用を申し出た場合において、被収容者の健康上又は刑事施設における日常生活上必要であり、かつ、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがないと認めるときは、これを許すものとする。

(子の養育のための自弁の物品の使用等)

第二十一条
刑事施設の長は、第十二条の規定により子を養育している被収容者に対し、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがないと認める場合には、第十三条に規定する物品のほか、その子の養育上適当と認める物品について、自弁のものを使用し、又はその子に摂取させることを許すことができる。

(管理運営上必要な事項)

第二十二条
刑事施設の長は、被収容者の自弁の物品について、あらかじめ、その形状、規格、居室で所持できる数量その他の刑事施設の管理運営上必要な事項を定めるものとする。

(自弁の物品の検査等)

第二十三条
刑事施設の長は、被収容者の自弁の物品について、必要に応じ検査し、その結果、刑事施設の規律及び秩序の維持又は保健衛生に支障を生ずるおそれがあると認める場合には、以後、被収容者に対し、その物品を使用し、又は摂取することを許さないことができる。

(自弁の衣類臥具の洗濯等)

第二十四条
  1. 被収容者の自弁の衣類臥具は、必要に応じて交換、補修又は洗濯をさせるものとする。
  2. 刑事施設において被収容者の自弁の衣類臥具を補修し、又は洗濯する場合には、その費用はその者の負担とする。ただし、費用を負担させることが適当でないと認められる場合は、この限りでない。

第四章 購入及び差入れ

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(購入)

第二十五条
  1. 刑事施設の長は、被収容者が文書、図画、この規則若しくは他の法令の規定に基づきその者が自弁により用いることができることとされる物品又は釈放の際に必要と認められる物品の購入を申し出た場合には、これを許すことができる。
  2. 刑事施設の長は、購入の事務の円滑な実施及び刑事施設における被収容者の物品の適正な管理のため必要があると認める場合には、購入の申出を受け付ける日、購入できる数量その他の事項を定めることができる。

(差入れ)

第二十六条
  1. 刑事施設の長は、被収容者に対し、文書、図画、この規則若しくは他の法令の規定に基づきその者が自弁により用いることができることとされる物品、釈放の際に必要と認められる物品又は金銭の差入れを受けることを許すことができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、差入れを受けることを許さないものとする。
    一 第五十三条第一項に規定する者(以下「差入人」という。)の氏名又は居所が明らかでないとき。
    二 その物品が収容の目的に反し、又は刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがあるものであると認めるとき。
    三 差入人との関係に照らし、その物品又は金銭の差入れを受けることを許すことが被収容者の処遇上適当でないと認めるとき。
  2. 刑事施設の長は、差入れの事務の円滑な実施及び刑事施設における被収容者の物品の適正な管理のため必要があると認める場合には、差入れを受け付ける日、差入れできる数量その他の事項を定めることができる。

(差入人の調査)

第二十七条
刑事施設の長は、差入人の氏名、職業、住所、年齢、被収容者との関係その他必要な事項を調査しなければならない。

(購入及び差入物品の検査)

第二十八条
刑事施設の長は、被収容者が購入した物品及び差入人が刑事施設に持参し、又は送付した物品を受領した場合には、指定する職員にその物品の検査を行わせなければならない。

(医療上必要と認める場合の購入及び差入れ)

第二十九条
  1. 刑事施設の長は、医療上必要と認める場合には、被収容者に対し、糧食及びし好品の購入及び差入れを許さないことができる。
  2. 刑事施設の長は、前項の規定により購入及び差入れを許さないこととする場合には、あらかじめ、刑事施設の医師の意見を聴くものとする。

(特定の事業者が取り扱う物品)

第三十条
刑事施設の長は、物品が検査困難であると認める場合、規格を統一する必要があると認める場合その他刑事施設の管理運営上必要があると認める場合には、被収容者に対し、特定の事業者が取り扱う物品以外のものを購入し、又は差入れを受けることを許さないことができる。

第五章 雑則

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(法務大臣への委任)

第三十一条
この規則に規定するもののほか、被収容者に対する物品の給与及び貸与、被収容者の自弁の物品の使用及び摂取並びに購入及び差入れに関し必要な事項は、法務大臣が別に定める。

附則

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附則 抄

(施行期日)
1 この規則は、平成十五年一月一日から施行する。

(経過措置)

2 所長は、被収容者に係る新聞紙の購入及び差入れについては、当分の間、第二十五条第一項及び第二十六条第一項本文の規定にかかわらず、法務大臣が別に定めるところに従うものとする。

(未決拘禁者ニ対スル自弁物品取扱規則の廃止)

3 未決拘禁者ニ対スル自弁物品取扱規則(昭和三年司法省令第一号)は、廃止する。

(監獄法施行規則の一部改正)

4 監獄法施行規則(明治四十一年司法省令第十八号)の一部を次のように改正する。
以下略

(行刑累進処遇令の一部改正)

5 行刑累進処遇令(昭和八年司法省令第三十五号)の一部を次のように改正する。
以下略

(被収容者の領置物の管理に関する規則の一部改正)

6 被収容者の領置物の管理に関する規則(平成九年法務省令第三十八号)の一部を次のように改正する。
以下略

附則(平成一八年五月二三日法務省令第五八号、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の施行に伴う関係省令の整備に関する省令)

この省令は、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律(平成十七年法律第五十号)の施行の日(平成十八年五月二十四日)から施行する。
 

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