船舶油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律
船舶油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律をここに公布する。
令和元年五月三十一日
法律第十八号
船舶油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律
船舶油濁損害賠償保障法(昭和五十年法律第九十五号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
船舶油濁等損害賠償保障法
目次中
「第五章 責任制限手続(第三十一条-第三十九条)
第六章 一般船舶油濁損害賠償責任及び責任の制限(第三十九条の二・第三十九条の三)
第七章 一般船舶油濁損害賠償等保障契約(第三十九条の四-第三十九条の八)
第八章 雑則(第四十条-第四十四条)
第九章 罰則(第四十五条-第五十条) 」
を
「第五章 タンカー油濁損害に係る責任制限手続(第三十一条-第三十八条)
第六章 一般船舶等油濁損害賠償責任及び責任の制限(第三十九条・第四十条)
第七章 一般船舶等油濁損害賠償保障契約等(第四十一条-第四十六条)
第八章 難破物除去損害賠償責任(第四十七条・第四十八条)
第九章 難破物除去損害賠償保障契約等(第四十九条-第五十四条)
第十章 雑則(第五十五条-第六十四条)
第十一章 罰則(第六十五条-第七十条) 」
に改める。
第一条中「船舶に積載されていた油によつて船舶油濁損害」を「船舶油濁等損害」に、「船舶油濁損害の賠償等」を「船舶油濁等損害の賠償」に改める。
第二条第十二号を同条第二十三号とし、同条第十一号中「タンカー油濁損害賠償保障契約」の下に「、一般船舶等油濁損害賠償保障契約若しくは難破物除去損害賠償保障契約」を加え、同号を同条第二十二号とし、同条中第十号の二を第二十一号とし、第十号を第二十号とし、第九号を削り、第八号を第十八号とし、同号の次に次の一号を加える。
十九 保険者等 次に掲げる者をいう。
イ この法律で定めるタンカー油濁損害賠償保障契約においてタンカー所有者の損害を填補し、又は賠償の義務の履行を担保する者
ロ この法律で定める一般船舶等油濁損害賠償保障契約においてタンカー又は一般船舶の船舶所有者等の損害を填補し、又は賠償の義務の履行を担保する者
ハ この法律で定める難破物除去損害賠償保障契約においてタンカー又は一般船舶の船舶所有者等の損害を填補し、又は賠償の義務の履行を担保する者
第二条第七号の二中「一般船舶油濁損害」を「一般船舶等油濁損害」に、「いう」を「いい、タンカー油濁損害に該当するものを除く」に改め、同号イ中「一般船舶」を「タンカー又は一般船舶」に、「燃料油」を「燃料油等」に改め、同号ロ中「イ」の下に「又はロ」を加え、同号ロを同号ハとし、同号イの次に次のように加える。
ロ タンカー又は一般船舶から流出し、又は排出された燃料油等による汚染により生ずる燃料油条約の締約国である外国の領域内又は燃料油条約第二条(a)(ii)に規定する水域内における損害
第二条第七号の二を同条第十六号とし、同号の次に次の一号を加える。
十七 難破物除去損害 我が国の領域内若しくは排他的経済水域内又は難破物除去条約の締約国である外国であつて難破物除去条約第三条第二項の規定により通告を行つたものの領域内若しくは難破物除去条約の締約国である外国の難破物除去条約第一条第一項に規定する水域内における次に掲げる措置に要する費用の負担により生ずる損害をいい、タンカー油濁損害又は一般船舶等油濁損害に該当するものを除く。
イ 難破物の位置の特定
ロ 港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)その他法令の規定又は難破物除去条約第六条の規定による決定により難破物の除去その他の措置が必要となつた場合における当該難破物の標示
ハ ロの場合における当該難破物の除去その他の措置
第二条第七号を同条第十五号とし、同条第六号イ中「の油」を「の原油等」に、「すべて」を「全て」に、「当該油」を「当該原油等」に、「油に」を「原油等に」に改め、「(貨物」の下に「又は燃料」を加え、「油又は燃料油」を「原油等」に、「第七号の二イ及び第三十九条の五第一項第二号において」を「以下」に、「排他的経済水域等」を「排他的経済水域(排他的経済水域及び大陸棚に関する法律(平成八年法律第七十四号)第一条第一項に規定する排他的経済水域をいう。以下同じ。)内若しくは責任条約の締約国である外国の責任条約第二条(a)(ii)に規定する水域」に改め、同号を同条第十四号とし、同条第五号の三及び第五号の四を削り、同条第五号の二中「一般船舶所有者等」を「船舶所有者等」に改め、「一般船舶の」を削り、同号を同条第十二号とし、同号の次に次の一号を加える。
十三 船舶油濁等損害 タンカー油濁損害、一般船舶等油濁損害及び難破物除去損害をいう。
第二条第五号ただし書中「次号において」を「以下」に改め、同号を同条第十一号とし、同条第四号の二中「油」を「原油等」に改め、同号を同条第十号とし、同条第四号中「油」を「原油等」に改め、同号を同条第九号とし、同条中第三号及び第三号の二を削り、第二号の二を第三号とし、同号の次に次の五号を加える。
四 燃料油条約 二千一年の燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約をいう。
五 難破物除去条約 二千七年の難破物の除去に関するナイロビ国際条約をいう。
六 原油等 原油、重油、潤滑油その他の蒸発しにくい油で政令で定めるものをいう。
七 燃料油等 燃料油、潤滑油その他の船舶の航行のために用いられる油で政令で定めるものをいう。
八 難破物 海難により生じた次のいずれかに該当するものをいう。
イ 沈没し、若しくは乗り揚げた船舶又はその一部
ロ 海上において船舶から失われた物で、沈没し、乗り揚げ、又は漂流しているもの
ハ 沈没又は乗揚げのおそれがある船舶(必要な救助が行われていないものに限る。)
第三条第一項中「油が」を「原油等が」に、「責めに任ずる」を「責任を負う」に改め、同条第二項中「油に」を「原油等に」に、「責めに任ずる」を「責任を負う」に改め、同条第四項中「責めに任じない」を「責任を負わない」に改め、同項第六号中「第二条第六号ロ」を「前条第十四号ロ」に改める。
第五条中「責めに任ずる」を「責任を負う」に改める。
第十二条第二項中「船舶油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁等損害賠償保障法」に改める。
第十三条第一項中「油の」を「原油等の」に改め、同条第二項中「油」を「原油等」に、「に入港」を「(東京湾、伊勢湾(伊勢湾の湾口に接する海域及び三河湾を含む。)及び瀬戸内海その他の国土交通省令で定める海域(以下この項において「特定海域」という。)を含む。第五十九条第一項を除き、以下同じ。)に入港(特定海域への入域を含む。以下同じ。)」に、「出港」を「出港(特定海域からの出域を含む。以下同じ。)」に改める。
第十四条第一項中「油の」を「原油等の」に、「油に」を「原油等に」に、「責めに任ずる」を「責任を負う」に、「てん補する」を「填補する」に改め、同条第二項中「てん補し」を「填補し」に改め、同条第三項中「てん補する」を「填補する」に改める。
第二十条中「油」を「原油等」に改める。
第三十条の三中「、第二十五条第一項中「前条第一項」とあるのは「第三十条の三において準用する前条第一項」と」を削る。
第五章の章名を次のように改める。
第五章 タンカー油濁損害に係る責任制限手続
第三十一条及び第三十六条第一項中「第二条第六号ロ」を「第二条第十四号ロ」に改める。
第三十七条の二中「第三十五条中「前条第三項」とあるのは「第三十七条の二において準用する前条第三項」と、前条第一項」を「同条第一項」に改める。
第三十八条の表第十三条、第十四条第一項、第十五条、第三十三条及び第四十条第一項の項中「第十三条、」を削り、「船舶油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁等損害賠償保障法」に改め、同項の前に次のように加える。
第十三条 | この法律 | 船舶油濁等損害賠償保障法(昭和五十年法律第九十五号)第三十八条において準用するこの法律 |
第三十八条の表第十八条の項中「、第三項又は第五項」を「又は第三項」に、「船舶油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁等損害賠償保障法」に改め、同表第三十条第二項の項を次のように改める。
第三十条第二項 | の供託の日 | の規定による決定に基づき供託する日 |
第三十八条の表第四十七条第一項の項の次に次のように加える。
第四十八条第一項 | 責任制限手続が | 船舶油濁等損害賠償保障法第二条第十三号に規定する船舶油濁等損害(以下「船舶油濁等損害」という。)に係る責任制限手続が |
責任制限手続開始の時又は責任制限手続拡張の時 | 船舶油濁等損害に係る責任制限手続開始の時又は船舶油濁等損害に係る責任制限手続拡張の時 |
第三十八条の表第四十八条第二項の項を次のように改める。
第四十八条第二項 | 船舶油濁等損害賠償保障法 | この法律 |
同法第二条第十三号に規定する船舶油濁等損害 | 船舶油濁等損害賠償保障法第二条第十四号に規定するタンカー油濁損害 |
第三十九条を削る。
第六章の章名中「一般船舶油濁損害賠償責任」を「一般船舶等油濁損害賠償責任」に改める。
第三十九条の二の見出しを「(一般船舶等油濁損害賠償責任)」に改め、同条第一項中「一般船舶油濁損害」を「一般船舶等油濁損害」に、「燃料油」を「燃料油等」に、「一般船舶の一般船舶所有者等」を「タンカー又は一般船舶の船舶所有者等(燃料油条約第一条第三項に規定する船舶の管理人及び運航者を含む。以下この章及び第四十三条において同じ。)」に、「責めに任ずる」を「責任を負う」に改め、同項第三号中「一般船舶所有者等」を「船舶所有者等」に改め、同条第二項中「並びに第四条」を「、第四条並びに第十条から第十二条まで」に、「一般船舶油濁損害」を「一般船舶等油濁損害」に、「一般船舶に」を「タンカー又は一般船舶に」に、「「油」を「「原油等」に、「燃料油」を「燃料油等」に改め、「同項及び同条第三項中」を削り、「一般船舶所有者等」を「タンカー又は一般船舶の第三十九条第一項に規定する船舶所有者等(以下「船舶所有者等」という。)」と、同条第三項中「前二項」とあるのは「第三十九条第一項又は同条第二項において準用する前項」と、同項、第十条及び第十一条中「タンカー所有者」とあるのは「船舶所有者等」と、第十条及び第十一条中「第三条第一項又は第二項」とあるのは「第三十九条第一項又は同条第二項において準用する第三条第二項」と、第十二条第一項中「責任条約」とあるのは「燃料油条約」に改め、第六章中同条を第三十九条とする。
第五十条各号中「第三十九条の六」を「第四十四条及び第五十二条」に改め、同条を第七十条とし、第四十九条を第六十九条とする。
第四十八条第一号中「第三十九条の六」を「第四十四条及び第五十二条」に改め、同条第二号中「又は第三十九条の七第一項」を「、第四十五条第一項又は第五十三条第一項」に改め、同条第三号中「又は第三十九条の七第二項」を「、第四十五条第二項又は第五十三条第二項」に改め、同条第五号中「第四十一条の二第一項」を「第五十八条第一項」に改め、同条第六号中「第四十一条の二第二項」を「第五十八条第二項」に改め、同条第七号中「第四十一条の二第三項」を「第五十八条第三項」に改め、同条第八号及び第九号中「第四十二条第一項」を「第五十九条第一項」に改め、同条に次の一号を加える。
十 第五十九条第二項の規定による報告をせず、若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料の提出をした者
第四十八条を第六十八条とする。
第四十七条第一号中「又は第三十九条の四第一項」を「、第四十一条第一項又は第四十九条第一項」に改め、同条第二号中「又は第三十九条の四第二項」を「、第四十一条第二項又は第四十九条第二項」に改め、同条第三号中「第三十九条の六」を「第四十四条及び第五十二条」に改め、同条第四号中「第三十八条」の下に「、第四十三条第六項又は第五十一条第六項」を加え、同条第五号中「第四十二条の二第二項」を「第六十条第二項」に改め、同条を第六十七条とする。
第四十六条中「賄賂(ろ)」を「賄賂」に改め、同条を第六十六条とする。
第四十五条第一項中「第三十八条」の下に「、第四十三条第六項若しくは第五十一条第六項」を加え、「賄賂(ろ)」を「賄賂」に改め、同条第二項中「賄賂(ろ)」を「賄賂」に改め、同条を第六十五条とする。
第九章を第十一章とする。
第八章中第四十四条を第六十四条とする。
第四十三条の二の見出しを「(指導等)」に改め、同条中「国土交通大臣は」の下に「、前項に定めるもののほか」を加え、「船舶油濁損害」を「船舶油濁等損害」に、「関係者」を「被害者その他の者」に改め、同条を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。
国土交通大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、船舶所有者その他の者に対し、船舶油濁等損害の被害者の保護の充実及び国際約束の適確な実施の確保を図るため必要な指導、助言及び勧告をすることができる。
第四十三条の二を第六十三条とし、第四十三条を第六十二条とする。
第四十二条の二第一項中「又は第三十九条の四」を「、第四十一条」に、「第三十九条の七」を「第四十五条又は第四十九条若しくは第五十三条」に改め、「ときは、」の下に「次の各号に掲げる」を加え、「船長又は所有者等」を「区分に応じ、当該各号に定める者」に改め、同項に次の各号を加える。
一 タンカー 船長又はタンカー所有者
二 第四十一条第一項第一号又は第四十九条第一項第一号に規定する第一種特定船舶(一般船舶に限る。) 船長又は船舶所有者
三 第四十一条第一項第二号又は第四十九条第一項第二号に規定する第二種特定船舶 船長又は船舶所有者等
第四十二条の二を第六十条とし、同条の次に次の一条を加える。
(締約国への報告等)
第六十一条 日本国籍を有するタンカー又は一般船舶の船長は、難破物除去条約の締約国である外国であつて難破物除去条約第三条第二項の規定による通告を行つたものの領域内又は難破物除去条約の締約国である外国の難破物除去条約第一条第一項に規定する水域内に難破物が生じた海難に遭遇したときは、国土交通省令で定めるところにより、船舶所有者の氏名又は名称、難破物の位置その他の国土交通省令で定める事項を、遅滞なく、当該外国に報告しなければならない。ただし、当該タンカー若しくは一般船舶の船舶所有者等その他国土交通省令で定める者又は当該海難に遭遇した他の船舶が報告をしたことが明らかなときは、この限りでない。
2 前項に規定するタンカー又は一般船舶の船長は、同項本文に規定する場合において、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)第三十八条第一項、第二項、第五項若しくは第七項又は船員法(昭和二十二年法律第百号)第十四条の二の規定による通報をしたときは、当該通報をした事項については、前項の規定による報告をすることを要しない。
第四十二条第一項中「又は第三十九条の七各項」を「、第四十五条各項若しくは第五十三条各項」に改め、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、次の各号に掲げる特定船舶の区分に応じ、当該各号に定める者に対し、港湾法その他法令の規定により除去その他の措置が必要となつた難破物に係るこの法律で定める難破物除去損害賠償保障契約に関し報告をさせ、又は当該契約が締結されていることを証する資料の提出を求めることができる。
一 我が国の領域内又は排他的経済水域内における難破物に係る第四十九条第一項第一号に規定する第一種特定船舶 船舶所有者
二 我が国の領域内における難破物に係る第四十九条第一項第二号に規定する第二種特定船舶 船舶所有者等
第四十二条を第五十九条とする。
第四十一条の二第一項中「(一般船舶にあつては、特定海域への入域を含む。以下同じ。)」を削り、「二千トンを超えるばら積みの油の輸送の用に供している」を「総トン数が三百トン以上の」に、「第四十八条第六号」を「第六十八条第六号」に、「又は一般船舶油濁損害賠償等保障契約(以下この章」を「、一般船舶等油濁損害賠償保障契約又は難破物除去損害賠償保障契約(次条第一項及び第六十条第一項」に改め、「事項(以下」の下に「この項及び第三項において」を加え、同条第二項中「当該特定船舶のタンカー所有者若しくは一般船舶所有者等(以下この章において単に「所有者等」という。)又は船長若しくは所有者等の代理人」を「次の各号に掲げる当該特定船舶の区分に応じ、当該各号に定める者」に改め、同項に次の各号を加える。
一 タンカー タンカー所有者又は船長若しくはタンカー所有者の代理人
二 総トン数が千トンを超える一般船舶 船舶所有者又は船長若しくは船舶所有者の代理人
三 総トン数が千トン以下の一般船舶 船舶所有者等又は船長若しくは船舶所有者等の代理人
第四十一条の二を第五十八条とする。
第四十一条を第五十六条とし、同条の次に次の一条を加える。
(最高裁判所規則)
第五十七条 この法律に定めるもののほか、責任制限手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第四十条を第五十五条とする。
第八章を第十章とし、第七章の次に次の二章を加える。
第八章 難破物除去損害賠償責任
(難破物除去損害賠償責任)
第四十七条 難破物除去損害が生じたときは、当該難破物除去損害に係るタンカー又は一般船舶の船舶所有者は、その損害を賠償する責任を負う。ただし、当該難破物除去損害が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 戦争、内乱又は暴動により生じたこと。
二 異常な天災地変により生じたこと。
三 専ら当該船舶所有者及びその使用する者以外の者の悪意により生じたこと。
四 専ら国又は公共団体の航路標識又は交通整理のための信号施設の管理の瑕疵(かし)により生じたこと。
2 第三条第三項、第四条及び第十条の規定は、難破物除去損害の賠償について準用する。この場合において、同項中「前二項」とあり、及び同条中「第三条第一項又は第二項」とあるのは「第四十七条第一項」と、同項及び同条中「タンカー所有者」とあるのは「船舶所有者」と読み替えるものとする。
(難破物除去損害賠償請求事件の管轄)
第四十八条 前条第一項の規定に基づくタンカー又は一般船舶の船舶所有者に対する訴えは、難破物が我が国の領域内又は排他的経済水域内において生じたときは、日本の裁判所に提起することができる。
2 第十一条の規定は、前項の訴えについて準用する。
第九章 難破物除去損害賠償保障契約等
(保障契約の締結強制)
第四十九条 次の各号に掲げる船舶は、当該船舶についてこの法律で定める難破物除去損害賠償保障契約(以下この章において単に「保障契約」という。)が締結されているものでなければ、当該各号に定める航海に従事させてはならない。
一 タンカー又は一般船舶(いずれも総トン数が三百トン以上のものに限る。以下この章において「第一種特定船舶」という。)で日本国籍を有するもの 全ての航海
二 一般船舶(総トン数が百トン以上三百トン未満のものに限る。以下この章において「第二種特定船舶」という。)で日本国籍を有するもの 国際航海
2 前項第一号に掲げる船舶以外の第一種特定船舶及び同項第二号に掲げる船舶以外の第二種特定船舶は、これらについて保障契約が締結されているものでなければ、本邦内の港に入港をし、本邦内の港から出港をし、又は本邦内の係留施設を使用してはならない。
(保障契約)
第五十条 保障契約は、次の各号に掲げる船舶の区分に応じ、当該各号に定める場合において、その賠償の義務の履行により第一種特定船舶所有者等(第一号に掲げる船舶にあつては船舶所有者をいい、第二号に掲げる船舶にあつては船舶所有者等をいう。次項及び第三項において同じ。)に生ずる損害を填補する保険契約又はその賠償の義務の履行を担保する契約とする。
一 第一種特定船舶 当該第一種特定船舶の船舶所有者が当該第一種特定船舶による難破物除去損害の賠償の責任を負う場合
二 第二種特定船舶 当該第二種特定船舶の船舶所有者等が当該第二種特定船舶による難破物除去損害(我が国の領域内における第二条第十七号イからハまでに掲げる措置に要する費用の負担により生ずる損害に限る。)の賠償の責任を負う場合
2 保障契約は、当該契約において第一種特定船舶所有者等の損害を填補し、又は賠償の義務の履行を担保する者が船主相互保険組合、保険会社その他の政令で定める者であるものでなければならない。
3 保障契約は、当該契約において第一種特定船舶所有者等の損害を填補するための保険金額又は賠償の義務の履行が担保されている難破物除去損害の額が、当該契約に係る第一種特定船舶又は第二種特定船舶ごとに、責任制限法第三条第一項の規定に基づき当該第一種特定船舶所有者等がその責任を制限することができる場合における責任の限度額(次条第三項において「責任限度額」という。)に満たないものであつてはならない。
4 保障契約(第一種特定船舶に係るものに限る。)は、難破物除去条約第十二条第六項の規定に適合する限り、その効力を失わせ、又はその内容を変更することができるものでなければならない。
(保険者等に対する損害賠償額の請求等)
第五十一条 第四十七条第一項の規定による第一種特定船舶の船舶所有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、保険者等に対し、損害賠償額の支払を請求することができる。ただし、第一種特定船舶の船舶所有者の悪意によつてその損害が生じたときは、この限りでない。
2 前項本文の場合において、保険者等は、第一種特定船舶の船舶所有者が被害者に対して主張することができる抗弁のみをもつて被害者に対抗することができる。
3 第一項の規定に基づき損害賠償額の支払をする保険者等は、当該損害賠償額の支払に係る債権について、この法律で定めるところにより、責任限度額まで、責任を制限することができる。
4 第八条から第十条まで、第十六条及び第四十八条第一項の規定は、第一項の規定に基づき損害賠償額の支払をする保険者等について準用する。この場合において、第八条中「タンカーごと」とあるのは「第一種特定船舶(第四十九条第一項第一号に規定する第一種特定船舶をいう。)ごと」と、「タンカーに係るタンカー所有者」とあるのは「第一種特定船舶に係る船舶所有者」と、第十条中「タンカー油濁損害」とあるのは「難破物除去損害」と、第十六条中「第三条第一項又は第二項」とあるのは「第四十七条第一項」と、「タンカー所有者」とあるのは「船舶所有者」と読み替えるものとする。
5 第三十一条及び第三十二条の規定は、第三項の規定により保険者等が責任を制限する場合における難破物除去損害に係る責任制限手続について準用する。この場合において、第三十一条中「、本邦内又は排他的経済水域内における損害を防止するための第二条第十四号ロに規定する措置が本邦及び排他的経済水域の外において執られ、かつ、本邦内及び排他的経済水域内において損害が生じなかつたときは、当該措置を執つた者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所又はこの裁判所がないときは、最高裁判所が定める地方裁判所の管轄に専属する」とあるのは、「専属する」と読み替えるものとする。
6 第三項の規定により保険者等が責任を制限する場合における難破物除去損害に係る責任制限手続については、責任制限法第三章(第九条、第十条、第十六条、第四節及び第五十四条を除く。)の規定を準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる責任制限法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
第十三条 | この法律 | 船舶油濁等損害賠償保障法(昭和五十年法律第九十五号)第五十一条第六項において準用するこの法律 |
第十四条第一項、第十五条、第三十三条及び第四十条第一項 | この法律 | 船舶油濁等損害賠償保障法第五十一条第六項において準用するこの法律 |
第十七条第一項 | 船舶所有者等若しくは救助者又は被用者等 | 保険者等 |
第二十八条第一項第四号 | 船舶、救助船舶又は救助者 | タンカー又は一般船舶 |
第四十八条第一項 | 責任制限手続が | 船舶油濁等損害賠償保障法第二条第十三号に規定する船舶油濁等損害(以下「船舶油濁等損害」という。)に係る責任制限手続が |
責任制限手続開始の時又は責任制限手続拡張の時 | 船舶油濁等損害に係る責任制限手続開始の時又は船舶油濁等損害に係る責任制限手続拡張の時 | |
第四十八条第二項 | 船舶油濁等損害賠償保障法 | この法律 |
同法第二条第十三号に規定する船舶油濁等損害 | 船舶油濁等損害賠償保障法第二条第十七号に規定する難破物除去損害 | |
第五十七条 | 並びに制限債権であるときは、その内容及び人の損害に関する債権と物の損害に関する債権との別 | 及び制限債権であるときは、その内容 |
第六十条 | 内容並びに人の損害に関する債権と物の損害に関する債権との別 | 内容 |
第六十一条第二項 | 内容及び人の損害に関する債権と物の損害に関する債権との別 | 内容 |
第七十条第二項 | 事項を人の損害に関する債権と物の損害に関する債権との別に従つて | 事項を |
(保障契約証明書に関する規定の準用)
第五十二条 第十七条から第十九条までの規定は、第一種特定船舶又は第二種特定船舶に係る保障契約について準用する。この場合において、第十七条第一項中「タンカー(責任条約の締約国である外国の国籍を有するタンカーを除く。)」とあるのは「第四十九条第一項第一号に規定する第一種特定船舶(難破物除去条約の締約国である外国の国籍を有するものを除く。)又は同項第二号に規定する第二種特定船舶」と、「保障契約を」とあるのは「同項に規定する保障契約(以下単に「保障契約」という。)を」と、第十九条中「第十四条」とあるのは「第五十条」と読み替えるものとする。
(保障契約証明書の備置き)
第五十三条 次の各号に掲げる船舶は、前条において準用する第十七条第一項に規定する書面(以下この条において「保障契約証明書」という。)が備え置かれているものでなければ、当該各号に定める航海に従事させてはならない。
一 日本国籍を有する第一種特定船舶 全ての航海
二 日本国籍を有する第二種特定船舶 国際航海
2 次の各号に掲げる船舶は、当該各号に定める書面が備え置かれているものでなければ、本邦内の港に入港をし、本邦内の港から出港をし、又は本邦内の係留施設を使用してはならない。
一 前項第一号に掲げる第一種特定船舶以外の第一種特定船舶 保障契約証明書、難破物除去条約の締約国である外国が交付した当該第一種特定船舶について保障契約が締結されていることを証する難破物除去条約の附属書の様式による書面又は外国が交付した難破物除去条約第十二条第十四項に規定する証明書の記載事項を記載した書面
二 前項第二号に掲げる第二種特定船舶以外の第二種特定船舶 保障契約証明書
3 第一項(第二号に係る部分に限る。)及び前項(第二号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、当該保障契約が第二種特定船舶の船舶所有者等の損害を填補し、又は賠償の義務の履行を担保するために必要な資力及び信用を有する保険者等として国土交通大臣の指定するものと締結したものであるときは、当該保障契約の契約書の写しその他国土交通省令で定める保障契約の締結を証する書面をもつて保障契約証明書に代えることができる。
(適用除外)
第五十四条 次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める船舶については、適用しない。
一 この章(前条第二項(第一号に係る部分に限る。)を除く。)の規定 外国が所有する第一種特定船舶であつて、これについて保障契約が締結されていないもの
二 この章の規定 外国が所有する第二種特定船舶
第三十九条の八中「この章の規定は、外国が所有する一般船舶」を「次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める船舶」に改め、同条に次の各号を加える。
一 この章(前条第二項(第一号に係る部分に限る。)を除く。)の規定 外国が所有する第一種特定船舶であつて、これについて保障契約が締結されていないもの
二 この章の規定 外国が所有する第二種特定船舶
第七章中第三十九条の八を第四十六条とする。
第三十九条の七の見出し中「に相当する書面」を削り、同条第一項中「日本国籍を有する一般船舶」を「次の各号に掲げる船舶」に、「第十七条第四項の保障契約証明書に相当する書面」を「第十七条第一項に規定する書面(以下この条において「保障契約証明書」という。)」に、「国際航海」を「当該各号に定める航海」に改め、同項に次の各号を加える。
一 日本国籍を有する第一種特定船舶 全ての航海
二 日本国籍を有する第二種特定船舶 国際航海
第三十九条の七第二項中「前項に規定する一般船舶以外の一般船舶は、前条において準用する第十七条第四項の保障契約証明書に相当する」を「次の各号に掲げる船舶は、当該各号に定める」に改め、同項に次の各号を加える。
一 前項第一号に掲げる第一種特定船舶以外の第一種特定船舶 保障契約証明書、燃料油条約の締約国である外国が交付した当該第一種特定船舶について保障契約が締結されていることを証する燃料油条約の附属書の様式による書面又は外国が交付した燃料油条約第七条第十四項に規定する証明書の記載事項を記載した書面
二 前項第二号に掲げる第二種特定船舶以外の第二種特定船舶 保障契約証明書
第三十九条の七第三項中「前二項の」を「第一項(第二号に係る部分に限る。)及び前項(第二号に係る部分に限る。)の」に、「一般船舶所有者等」を「第二種特定船舶の船舶所有者等」に、「てん補し」を「填補し」に改め、「及び費用の支払」、「前二項に規定する」及び「に相当する書面」を削り、同条を第四十五条とする。
第三十九条の六の見出しを「(保障契約証明書に関する規定の準用)」に改め、同条中「一般船舶に」を「第一種特定船舶又は第二種特定船舶に」に、「一般船舶」と、第十八条第一項中「次条」とあるのは「第三十九条の六において準用する次条」を「第四十一条第一項第一号に規定する第一種特定船舶(燃料油条約の締約国である外国の国籍を有するものを除く。)又は同項第二号に規定する第二種特定船舶」と、「保障契約を」とあるのは「同項に規定する保障契約(以下単に「保障契約」という。)を」に、「前条」を「第四十二条」に改め、同条を第四十四条とする。
第三十九条の五第一項中「次に掲げる損害のいずれをもてん補する」を「次の各号に掲げる船舶の区分に応じ、当該各号に定める場合において、その賠償の義務の履行により第一種特定船舶所有者等(第一号に掲げる船舶にあつては船舶所有者をいい、第二号に掲げる船舶にあつては船舶所有者等をいう。次項及び第三項において同じ。)に生ずる損害を填補する」に改め、「及び費用の支払」を削り、同項各号を次のように改める。
一 第一種特定船舶 当該第一種特定船舶の船舶所有者が当該第一種特定船舶に積載されていた燃料油等による一般船舶等油濁損害の賠償の責任を負う場合
二 第二種特定船舶 当該第二種特定船舶の船舶所有者等が当該第二種特定船舶に積載されていた燃料油等による一般船舶等油濁損害(第二条第十六号ロに掲げるものを除く。)の賠償の責任を負う場合
第三十九条の五第二項中「一般船舶所有者等」を「第一種特定船舶所有者等」に、「てん補し」を「填補し」に改め、「及び費用の支払」を削り、同条第三項中「一般船舶所有者等の第一項第一号に掲げる損害(同項各号に掲げる損害以外の一般船舶所有者等に生ずる損害を含むことができる。)をてん補する」を「第一種特定船舶所有者等の損害を填補する」に、「額が、当該契約に係る一般船舶ごとに、責任制限法」を「一般船舶等油濁損害の額が、当該契約に係る第一種特定船舶又は第二種特定船舶ごとに、責任制限法」に、「一般船舶所有者等が」を「第一種特定船舶所有者等が」に、「以下この条」を「次条第三項」に改め、「であつてはならず、かつ、当該契約において一般船舶所有者等の第一項第二号に掲げる損害をてん補するための保険金額又は当該一般船舶の撤去その他の措置に要する費用の支払が担保されている額が、当該契約に係る一般船舶ごとに、責任限度額に相当する額に満たないもの」を削り、同条第四項を次のように改める。
4 保障契約(第一種特定船舶に係るものに限る。)は、燃料油条約第七条第六項の規定に適合する限り、その効力を失わせ、又はその内容を変更することができるものでなければならない。
第三十九条の五を第四十二条とし、同条の次に次の一条を加える。
(保険者等に対する損害賠償額の請求等)
第四十三条 第三十九条第一項又は同条第二項において準用する第三条第二項の規定による第一種特定船舶の船舶所有者等の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、保険者等に対し、損害賠償額の支払を請求することができる。ただし、第一種特定船舶の船舶所有者等の悪意によつてその損害が生じたときは、この限りでない。
2 前項本文の場合において、保険者等は、第一種特定船舶の船舶所有者等が被害者に対して主張することができる抗弁のみをもつて被害者に対抗することができる。
3 第一項の規定に基づき損害賠償額の支払をする保険者等は、当該損害賠償額の支払に係る債権について、この法律で定めるところにより、責任限度額まで、責任を制限することができる。
4 第八条から第十条まで及び第十六条の規定は、第一項の規定に基づき損害賠償額の支払をする保険者等について準用する。この場合において、第八条中「タンカーごと」とあるのは「第一種特定船舶(第四十一条第一項第一号に規定する第一種特定船舶をいう。)ごと」と、「タンカーに係るタンカー所有者」とあるのは「第一種特定船舶に係る船舶所有者等(第三十九条第一項に規定する船舶所有者等をいう。以下同じ。)」と、第十条中「タンカー油濁損害」とあるのは「一般船舶等油濁損害」と、第十六条中「第三条第一項又は第二項」とあるのは「第三十九条第一項又は同条第二項において準用する第三条第二項」と、「タンカー所有者」とあるのは「船舶所有者等」と読み替えるものとする。
5 第三十一条及び第三十二条の規定は、第三項の規定により保険者等が責任を制限する場合における一般船舶等油濁損害に係る責任制限手続について準用する。この場合において、第三十一条中「第二条第十四号ロ」とあるのは、「第二条第十六号ハ」と読み替えるものとする。
6 第三項の規定により保険者等が責任を制限する場合における一般船舶等油濁損害に係る責任制限手続については、責任制限法第三章(第九条、第十条、第十六条及び第五十四条を除く。)の規定を準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる責任制限法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
第十三条 | この法律 | 船舶油濁等損害賠償保障法(昭和五十年法律第九十五号)第四十三条第六項において準用するこの法律 |
第十四条第一項、第十五条、第三十三条及び第四十条第一項 | この法律 | 船舶油濁等損害賠償保障法第四十三条第六項において準用するこの法律 |
第十七条第一項 | 船舶所有者等若しくは救助者又は被用者等 | 保険者等 |
第二十八条第一項第四号 | 船舶、救助船舶又は救助者 | タンカー又は一般船舶 |
第四十八条第一項 | 責任制限手続が | 船舶油濁等損害賠償保障法第二条第十三号に規定する船舶油濁等損害(以下「船舶油濁等損害」という。)に係る責任制限手続が |
責任制限手続開始の時又は責任制限手続拡張の時 | 船舶油濁等損害に係る責任制限手続開始の時又は船舶油濁等損害に係る責任制限手続拡張の時 | |
第四十八条第二項 | 船舶油濁等損害賠償保障法 | この法律 |
同法第二条第十三号に規定する船舶油濁等損害 | 船舶油濁等損害賠償保障法第二条第十六号に規定する一般船舶等油濁損害 |
第三十九条の四第一項中「日本国籍を有する一般船舶(総トン数が百トン以上のものに限る。以下この章において同じ。)は、これ」を「次の各号に掲げる船舶は、当該船舶」に、「一般船舶油濁損害賠償等保障契約」を「一般船舶等油濁損害賠償保障契約」に、「国際航海(本邦の港と本邦以外の地域の港との間の航海をいう。以下同じ。)」を「当該各号に定める航海」に改め、同項に次の各号を加える。
一 タンカー又は一般船舶(いずれも総トン数が千トンを超えるものに限り、その航行に際し燃料油等を用いることを要しないものを除く。以下この章において「第一種特定船舶」という。)で日本国籍を有するもの 全ての航海
二 一般船舶(総トン数が百トン以上千トン以下のものに限り、その航行に際し燃料油等を用いることを要しないものを除く。以下この章において「第二種特定船舶」という。)で日本国籍を有するもの 国際航海(本邦の港と本邦以外の地域の港との間の航海をいう。以下同じ。)
第三十九条の四第二項中「前項に規定する一般船舶以外の一般船舶は、これ」を「前項第一号に掲げる船舶以外の第一種特定船舶及び同項第二号に掲げる船舶以外の第二種特定船舶は、これら」に改め、「(東京湾、伊勢湾(伊勢湾の湾口に接する海域及び三河湾を含む。)及び瀬戸内海その他の国土交通省令で定める海域(以下この項及び第四十一条の二第一項において「特定海域」という。)を含む。第三十九条の七第二項において同じ。)」、「(特定海域への入域を含む。同項において同じ。)」及び「(特定海域からの出域を含む。同項において同じ。)」を削り、同条を第四十一条とする。
第七章の章名を次のように改める。
第七章 一般船舶等油濁損害賠償保障契約等
第三十九条の三の見出しを「(一般船舶の船舶所有者等の責任の制限)」に改め、同条中「一般船舶油濁損害」を「一般船舶等油濁損害」に、「責めに任ずる一般船舶所有者等」を「責任を負うタンカー又は一般船舶の船舶所有者等」に、「一般船舶所有者等の」を「船舶所有者等の」に改め、第六章中同条を第四十条とする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、二千一年の燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約及び二千七年の難破物の除去に関するナイロビ国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。ただし、次条並びに附則第六条及び第十五条の規定は、同日前の政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条 国土交通大臣は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前においても、この法律による改正後の船舶油濁等損害賠償保障法(以下「新法」という。)の次の各号に掲げる規定の例により、当該各号に定める書面を交付することができる。
一 新法第四十四条において準用する新法第十七条 一般船舶等油濁損害賠償保障契約が締結されていることを証する書面
二 新法第五十二条において準用する新法第十七条 難破物除去損害賠償保障契約が締結されていることを証する書面
2 前項の規定により交付した書面は、その交付後施行日までの間に国土交通省令で定める事由が生じたときを除き、施行日以後は、次の各号に掲げる書面の区分に応じ、当該各号に定める書面とみなす。
一 前項第一号に定める書面 新法第四十五条第一項に規定する保障契約証明書
二 前項第二号に定める書面 新法第五十三条第一項に規定する保障契約証明書
3 第一項第一号及び第二号に定める書面の様式並びに交付及び再交付その他当該書面に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
4 第一項第一号又は第二号に定める書面の交付又は再交付を申請しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、手数料を納付しなければならない。
5 偽りその他不正の手段により第一項第一号又は第二号に定める書面の交付又は再交付を受けた者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第三条 新法の次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める損害について適用し、この法律による改正前の船舶油濁損害賠償保障法(以下「旧法」という。)第二条第七号の二に規定する一般船舶油濁損害の原因となった最初の事実が施行日前に生じた場合における当該一般船舶油濁損害については、なお従前の例による。
一 新法第六章及び第四十三条 新法第二条第十六号に規定する一般船舶等油濁損害の原因となった最初の事実が施行日以後に生じた場合における当該一般船舶等油濁損害
二 新法第八章及び第五十一条 新法第二条第十七号に規定する難破物除去損害の原因となった最初の事実が施行日以後に生じた場合における当該難破物除去損害
2 新法の次の各号に掲げる規定は、この法律の施行の際現に本邦内の港又は係留施設にある船舶で当該各号に定めるものについては、施行日以後初めて本邦内の港から出港をするときまでは、適用しない。
一 新法第四十一条第二項及び第四十五条第二項 日本国籍を有しないタンカー又は一般船舶(いずれも総トン数が千トンを超えるものに限り、その航行に際し新法第二条第七号に規定する燃料油等を用いることを要しないものを除く。)
二 新法第四十九条第二項及び第五十三条第二項 日本国籍を有しないタンカー又は一般船舶(いずれも総トン数が三百トン以上のものに限る。)
3 新法第六十一条の規定は、新法第二条第八号に規定する難破物が生じた最初の事実が施行日前に生じたものである場合には、適用しない。
第四条 次の各号に掲げる一般船舶についてこの法律の施行の際現に締結されている旧法第三十九条の四第一項に規定する保障契約は、当該各号に定める契約とみなす。
一 総トン数が三百トン以上千トン以下の一般船舶 新法第四十一条第一項に規定する保障契約
二 総トン数が百トン以上三百トン未満の一般船舶 新法第四十一条第一項及び第四十九条第一項に規定する保障契約
2 次の各号に掲げる契約に係る旧法第三十九条の七第一項に規定する書面は、当該各号に定める書面とみなす。この場合において、新法第四十四条及び第五十二条中「第十四条」とあるのは「第十四条の規定」と、新法第四十四条中「第四十二条」とあり、及び新法第五十二条中「第五十条」とあるのは「国土交通省令で定める基準」とする。
一 前項の規定により同項第一号に定める契約とみなされる契約(次号に掲げる契約を除く。) 新法第四十五条第一項に規定する保障契約証明書
二 前項の規定により同項第二号に定める契約とみなされる契約 新法第四十五条第一項及び第五十三条第一項に規定する保障契約証明書
(罰則に関する経過措置)
第五条 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第六条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要となる経過措置は、政令で定める。
(地方税法及び国税徴収法の一部改正)
第七条 次に掲げる法律の規定中「船舶油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁等損害賠償保障法」に、「第四十条第一項」を「第五十五条第一項」に改める。
一 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第十四条の十三第一項第四号
二 国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第十九条第一項第四号
(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部改正)
第八条 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。
第四十一条第四項中「責めに任ずべき」を「責任を負う」に改め、同条第五項中「船舶油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁等損害賠償保障法」に、「第二条第六号イ」を「第二条第十四号イ」に改める。
第四十二条の十六第十二項第一号中「船舶油濁損害賠償保障法第二条第六号イ」を「船舶油濁等損害賠償保障法第二条第十四号イ」に改める。
(民事訴訟費用等に関する法律の一部改正)
第九条 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の一部を次のように改正する。
別表第一の一七の項ニ中「船舶油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁等損害賠償保障法」に改める。
(船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部改正)
第十条 船舶の所有者等の責任の制限に関する法律(昭和五十年法律第九十四号)の一部を次のように改正する。
第十条中「船舶油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁等損害賠償保障法」に改める。
第四十八条第二項中「船舶油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁等損害賠償保障法」に、「開始された」を「開始され、又は拡張された」に、「第二条第六号」を「第二条第十三号」に、「タンカー油濁損害」を「船舶油濁等損害」に改める。
(破産法の一部改正)
第十一条 破産法(平成十六年法律第七十五号)の一部を次のように改正する。
第二十四条第一項第五号中「船舶油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁等損害賠償保障法」に改め、「第五章」の下に「、同法第四十三条第五項において準用する同法第三十一条及び第三十二条並びに同法第四十三条第六項において準用する船舶の所有者等の責任の制限に関する法律第三章(第九条、第十条、第十六条及び第五十四条を除く。)若しくは船舶油濁等損害賠償保障法第五十一条第五項において準用する同法第三十一条及び第三十二条並びに同法第五十一条第六項において準用する船舶の所有者等の責任の制限に関する法律第三章(第九条、第十条、第十六条、第四節及び第五十四条を除く。)」を加える。
(特定タンカーに係る特定賠償義務履行担保契約等に関する特別措置法の一部改正)
第十二条 特定タンカーに係る特定賠償義務履行担保契約等に関する特別措置法(平成二十四年法律第五十二号)の一部を次のように改正する。
第一条中「船舶油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁等損害賠償保障法」に改める。
第二条第一号中「第二条第四号」を「第二条第九号」に改め、同条第三号中「第二条第五号」を「第二条第十一号」に改め、同条第六号中「第二条第六号」を「第二条第十四号」に改め、同条第十号中「責めに任ずる」を「責任を負う」に改め、同号に次のように加える。
ハ 総トン数が千トンを超える特定タンカー(その航行に際し油賠法第二条第七号に規定する燃料油等を用いることを要しないものを除く。)について締結されるものにあっては、油賠法第四十二条第一項、第二項及び第四項の規定に適合するものであること。
ニ 総トン数が三百トン以上の特定タンカーについて締結されるものにあっては、油賠法第五十条第一項、第二項及び第四項の規定に適合するものであること。
第二条第十一号中「責めに任ずる」を「責任を負う」に改め、ニをヘとし、ハの次に次のように加える。
ニ 総トン数が千トンを超える特定タンカー(その航行に際し油賠法第二条第七号に規定する燃料油等を用いることを要しないものを除く。)について締結されるものにあっては、当該特定損害保険契約と併せて油賠法第四十二条の規定に適合するものであること。
ホ 総トン数が三百トン以上の特定タンカーについて締結されるものにあっては、当該特定損害保険契約と併せて油賠法第五十条の規定に適合するものであること。
(民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部改正)
第十三条 民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成二十九年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
第三百四十条(見出しを含む。)中「船舶油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁等損害賠償保障法」に改める。
(調整規定)
第十四条 施行日が民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行の日以後となる場合には、前条の規定は、適用しない。
(国土交通省設置法の一部改正)
第十五条 国土交通省設置法(平成十一年法律第百号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第八十八号中「及び一般船舶油濁損害賠償等保障契約」を「、一般船舶等油濁損害賠償保障契約及び難破物除去損害賠償保障契約」に改める。
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