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船の夢 作者:酒井某
こがれこがれて逢ふ瀬は苦労、楽しむ中に何のその。人目づつみのあらばこそ。嬉しい世界に住み馴れて、流れ渡りの船のうち、それも浮世ぞ、帰るにもしかじと鳴きてほととぎす。行方(ゆくゑ)何処(いづく)としら浪の、夜の筵(むしろ)に思い寝の。夢を現に驚かす。風は涼しき楫枕(かじまくら)。
この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。