臺灣州制 (昭和十二年九月九日律令第十七号)

臺灣州制中改正ノ件大正十年法律第三號ニ依リ勅裁ヲ得テ玆ニ之ヲ公布ス

昭和十二年九月九日

臺灣總督 小林 躋造

律令第十七號

第三條中「州會」ノ下ニ「及廳協議會」ヲ加フ

第二十八條及第五十六條中「廳地方費」ヲ「廳」ニ改ム

附則

本令施行ノ期日ハ臺灣總督之ヲ定ム

臺灣州制

第一章 總則

編集

第一條

州ハ法人トス官ノ監督ヲ承ケ法令ノ範圍內於テ其ノ公共事務及法律、勅令又ハ律令ニ依リ州ニ屬スル事務ヲ處理ス

第二條

州ノ廢置分合、名稱及區域ハ國ノ行政區劃タル州ノ廢置分合、名稱及區域二依ル

第三條

州ノ廢置分合又ハ區域變更ノ場合ニ於テ財產アルトキハ其ノ處分ハ關係アル州會及廳協議會ノ意見ヲ徵シ臺灣總督之ヲ定ム

第四條

州ノ廢置分合又ハ區域變更ノ場合ニ於テ州ノ事務ニ付必要ナル事項ハ本令ニ規定スルモノヲ除クノ外臺灣總督之ヲ定ム

第二章 州會

編集

第五條

州ニ州會ヲ置キ議長及州會議員ヲ以テ之ヲ組織ス
議長ハ州知事ヲ以テ之充ツ州知事事故アルトキハ其ノ代理者議長ノ職務ヲ代理ス

第六條

州會議員ノ定數ハ二十人以上四十人以下ノ範圍內二於テ臺灣總督之ヲ定ム

第七條

州會議員ノ定數ノ二分ノ一及定數ヲ二分シ難キ場合ニ於ケル其ノ端數ニ相當スル員數ニ議員ハ之ヲ選擧ス

第八條

州會議員ノ選擧ハ各選擧區ニ於テ市會議員及街庄協議會員之ヲ行フ
選擧區及各選擧區ニ於テ選擧スベキ議員ノ配當關シ必要ナル事項ハ臺灣總督之ヲ定ム

第九條

州內ニ於テ市會議員又ハ街庄協議會員ノ選擧權ヲ有スル者ハ州會議員ノ被選擧權ヲ有ス但シ左ニ揭ゲル者ニシテ在職中ノモノ及州市街庄稅滯納處分中ノ者ハ此限ニ在ラズ
一 判官、檢察官、警察官吏及收稅官吏
二 小學校及公學校ノ敎員
選擧事務ニ關係アル官吏及有給吏員ハ其ノ關係區域內ニ於テ被選擧權ヲ有セズ
州ノ官吏及有給ノ吏員其ノ他ノ職員ニシテ在職中ノモノハ其ノ州ノ州會議員ト相兼スルコトヲ得ズ

第十條

州會議員ノ定數ヨリ第七條ノ規定ニ依リ選擧スベキ議員ノ員數ヲ控除シタル員數ハ議員ハ州會議員ノ被選擧權ヲ有スル者ニシテ學識名望アルモノノ中ヨリ臺灣總督之ヲ命ズ

第十一條

市會議員又ハ街庄協議會ハ州會議員ト相兼スルコトヲ得ズ

第十二條

州會議員ハ名譽職トス
議員ノ任期ハ四年トシ總選擧ノ日ヨリ之ヲ 起算ス
議員ノ定數ニ異動ヲ生ジタル爲解任ヲ要スル者アルトキハ臺灣總督ノ定ムル所ニ依リ之ヲ定ム
議員ノ定數ニ異動ヲ生ジタル爲新ニ選擧セ
ラレ又ハ任命セラレタル議員ハ總選擧ニ依リ選擧セラレタル議員ノ任期滿了ノ日迄在任ス

第十三條

州會議員中缺員ヲ生ジタルトキハ六月以內補缺スベシ
前任者ガ選擧ニ依リタル者ナルトキハ選擧ニ依リ任命ニ依リタル者ナルトキハ任命ニ依リテ之ヲ補缺ス
議員ノ定數ニ異動ヲ生ジタル爲選擧及任命ヲ行フ場合ニ於テ議員中缺員アルトキハ併セテ補缺選擧又ハ補缺任命ヲ行フペン
補缺議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在任ス

第十四條

州會ハ州ニ關スル左ノ事件及法令ニ依リ其ノ權限ニ屬スル事件ヲ議決ス
一 歲入出豫算ヲ定ムルコト
二 決算報告ニ關スルコト
三 法令ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手數料、州稅又ハ夫役現品ノ賦課徵收ニ關スルコト
四 州債ヲ起シ竝ニ起債ノ方法、利息ノ定率及償還ノ方法ヲ定メ又ハ之ヲ變更スルコト但シ第六十六條第二項ノ借入金ヲ除ク
五 基本財產及積立金穀等ノ設置及處分ニ關スルコト
六 繼續費ヲ定メ又ハ變更スルコト
七 特別會計ヲ設クルコト
八 歲入出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ又ハ權利ノ拋棄ヲ爲スコト

第十五條

州會ハ其ノ權限ニ屬スル事項ノ一部ヲ州參事會ニ委任スルコトヲ得

第十六條

州會ハ法令ニ依リ其ノ權限ニ屬スル選擧ヲ行フベシ

第十七條

州會ハ州ノ公益ニ關スル事件ニ付意見書ヲ關係行政廳ニ提出スルコトヲ得

第十八條

州會ハ行政廳ノ諮問アルトキハ意見ヲ答申スペシ
州會ノ意見ヲ徵シテ處分ヲ爲スベキ場合ニ於テ州會成立セズ、招集ニ應ゼズ若ハ意見ヲ答申セズ又ハ州會ヲ招集スルコト能ハザルトキハ當該行政廳ハ其ノ意見ヲ俟タズシテ直ニ處分ヲ爲スコトヲ得

第十九條

會議規則及傍聽人取締規則ハ臺灣總督ノ定ムルモノヲ除クノ外州會ノ議決ヲ經テ州知事之ヲ定ム
會議規則ニハ本令、本令ニ基キテ發スル命令又ハ會議規則ニ違反シタル議員ニ對シ州會議決ニ依リテ五日以內出席ヲ停止スル規定ヲ設クルコトヲ得

第二十條

本令ニ規定スルモノヲ除クノ外州會、州會議員竝ニ州會議員ノ選擧及其ノ取締ニ關シ必要ナル事項ハ臺灣總督之ヲ定ム

第三章 州參事會

編集

第二十一條

州ニ州參事會ヲ置キ左ノ職員ヲ以テ之ヲ組織ス
一 州知事
二 內務部長
三 名譽職參事會員

第二十二條

名譽職參事會員ノ定數ハ六人トシ州會ニ於テ議員中ヨリ之ヲ選擧スペシ
州會ハ名譽職參事會員ト同數ノ補充員ヲ選擧スベシ
名譽職參事會員中缺員アルトキハ州知事ハ補充員ノ中ヨリ之ヲ補缺ス其ノ順序ハ選擧ノ時ヲ異ニスルトキハ選擧ノ前後ニ依リ選擧同時ナルトキハ得票數ニ依リ得票同數ナルトキハ年長者ヲ取リ年齡同ジキトキハ抽籤ニ依ル仍缺員アル場合ニ於テハ臨時補缺選擧ヲ行フベシ
名譽職參事會員及其ノ補充員ハ隔年之ヲ選擧スベシ
名譽職參事會員ハ後任者ノ就任スルニ至ル迄在任ス州會議員ノ任期滿了シタルトキ亦同ジ

第二十三條

州參事會ハ州知事ヲ以テ議長トス州知事事故アルトキハ內務部長議長ノ職務ヲ代理ス

第二十四條

州參事會ニ職務權限左ノ如シ
一 州會權限二屬スル事件ニシテ其ノ委任ヲ受ケタルモノヲ議決スルコト
二 州會閉會中州會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ輕易ナルモノヲ州會ニ代リテ議決スルコト
三 州會成立セザルトキ、會議ヲ開クコト能ハザルトキ又ハ州知事ニ於テ州會ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキ州會ノ權限ニ屬スル事件ヲ州會ニ代リテ議決スルコト
四 訴願、訴訟及和解ニ關スル事件ヲ議決スルコト
五 其ノ他法令ニ依リ州參事會ノ權限ニ屬スル事項
前項第二號ノ規定ニ依リ州參事會ニ於テ議決スベキ事件ハ州會ノ議決ヲ經テ州知事之ヲ定ム

第二十五條

第十七條及第十八條ノ規定竝ニ第十九條中會議規則ニ關スル規定ハ州參事會ニ、第二十條ノ規定ハ州參事會及州參事會員ニ之ヲ準用ス

第四章 州官吏及州吏員

編集

第二十六條

州知事ハ州ヲ統轄シ州ヲ代表ス
州知事ノ擔任スル事務ノ槪目左ノ如シ
一 州費ヲ以テ支辨スベキ事件ヲ執行スルコト
二 州會及州參事會ノ議決ヲ經ベキ事件ニ付其ノ議案ヲ發スルコト
三 財產及營造物ヲ管理スルコト但シ特ニ之ガ管理者ヲ置キタルトキハ其ノ事務ヲ監督スルコト
四 收入支出ヲ命令シ及會計ヲ監督スルコト
五 證書及公文書類ヲ保管スルコト
六 法令又ハ州會若ハ州參事會ノ議決ニ依リ使用料、手數料、州稅又ハ夫役現品ヲ賦課徵收スルコト
七 其ノ他法令ニ依リ州知事ノ職權ニ屬スル事項

第二十七條

州知事ハ州ノ行政ニ關シ其ノ職權ニ屬スル事務ノ一部ヲ郡ノ官吏又ハ市街庄ノ官吏若ハ吏員ニ補助執行セシメ又ハ委任スルコトヲ得
州知事ハ州ノ行政ニ關シ其ノ職權ニ屬スル事務ノ一部ヲ州ノ官吏若ハ吏員委任シ又ハ州ノ吏員臨時代理セシムルコトヲ得

第二十八條

州知事ハ吏員指揮監督之ニ對シ懲戒ヲ行フコト得其ノ懲戒處分ハ譴責、二十五圓以下ノ過怠金及解職トス
州知事ハ吏員ノ解職ヲ行ハントスル前其ノ吏員ノ停職ヲ命ズルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ停職期間給料ノ全部又ハ一部ヲ給セザルコトヲ得
懲戒ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間州、廳、市街庄其ノ他之ニ準ズベキモノノ公職ニ就クコトヲ得ズ

第二十九條

州會又ハ州參事會ノ議決又ハ選擧其ノ權限ヲ越エ又ハ法令若ハ會議規則背クト認ムルトキハ州知事ハ其ノ意見依リ又ハ臺灣總督ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付シ又ハ再選擧ヲ行ハシムベシ
但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ州知事ハ臺灣總督ノ指揮ヲ請ヒ直ニ其ノ議決又ハ選擧ヲ取消スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ爲シタル州會又ハ州參事會ノ議決又ハ選擧仍其ノ權限ヲ超エ又ハ法令若ハ會議規則ニ背クト認ムルトキハ州知事ハ臺灣總督ノ指揮ヲ請ヒ其ノ議決又ハ選擧ヲ取消スベシ

第三十條

州會又ハ州參事會ノ議決明ニ公益ヲ害シ又ハ州ノ收支ニ關シ不適當ナリト認ムルトキハ州知事ハ其ノ意見ヌ依リ又ハ臺灣總督ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付スベシ但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ州知事ハ臺灣總督ノ指揮ヲ請ヒ直ニ其ノ議決ヲ取消スコトヲ得
前項規定ニ依リ爲シタル州會又ハ州參事會ノ議決仍明ニ公益ヲ害シ又ハ州ノ收支ニ關シ不適當ナリト認ムルトキハ州知事ハ臺灣總督ノ指揮ヲ請ヒ其ノ議決ヲ取消スコトヲ得

第三十一條

州會成立セザルトキ、會議ヲ開クコト能ハザルトキ又ハ州知事ニ於テ州會ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ州知事ハ州會ノ權限ニ屬スル事件ヲ州參事會ノ議決ニ付スルコトヲ得
州參事會成立セザルトキ又ハ會議ヲ開クコト能ハザルトキハ州知事ハ臺灣總督ノ指揮ヲ請ヒ其ノ議決スベキ事件ヲ處分スルコトヲ得
州會又ハ州參事會ニ於テ其ノ議決スベキ事件ヲ議決セザルトキ又ハ前二條ノ規定ニ依リ州會又ハ州參事會ノ議決ヲ取消シタルトキハ前項ノ例ニ依ル
州參事會ノ決定スベキ事件ニ關シテハ前二項ノ例ニ依ル
前四項ノ規定依ル處置ニ付テハ州知事ハ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ州會又ハ州參事會ニ報告スベシ

第三十二條

州參事會ニ於テ議決又ハ決定スベキ事件ニ關シ臨時急施ヲ要スル場合ニ於テ州參事會成立セザルトキ又ハ州知事ニ於テ之ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ州知事ハ之ヲ專決處分シ次囘ノ會議ニ於テ其ノ處分ヲ州參事會ニ報告スベシ

第三十三條

州知事ハ期日ヲ定メテ州會ノ停會ヲ命ズルコトヲ得

第三十四條

州會及州參事會ノ權限ニ屬スル事項ノ一部ハ其ノ議決ニ依リ州知事ニ於テ專決處分スルコトヲ得

第三十五條

州ニ會計役ヲ置キ官吏又ハ吏員ノ中ヨリ州知事之ヲ命ズ
會計役ハ會計事務ヲ掌ル

第三十六條

州ハ臺灣總督ノ認可ヲ受ケ常設又ハ臨時委員ヲ置クコトヲ得
委員ハ名譽職トス州知事之ヲ任免ス
委員ハ州內ニ住所ヲ有スル者ナルコトヲ要ス
委員ハ州知事ノ命ヲ承ケ委託ヲ受ケタル事務ニ從事ス

第三十七條

前條ニ定ムル者ノ外州ニ必要ノ有給吏員ヲ置キ州知事之ヲ任免ス
有給吏員ノ定數ハ臺灣總督ノ認可ヲ受ケ州知事之ヲ定ム

第三十八條

前條ノ有給吏員ハ州知事ノ命ヲ承ケ事務ニ從事ス

第三十九條

官吏ノ州ノ行政ニ關スル職務關係ハ本令中別段ノ規定アル場合ヲ除夕ノ外國ノ行政ニ關スル其ノ職務關係ノ例ニ依ル

第四十條

本令ニ規定スルモノヲ除クノ外吏員ノ服務紀律及懲戒竝ニ會計役及吏員ノ賠償責任、身元保證及事務引繼ニ關スル必要ナル事項ハ臺灣總督之ヲ定ム

第五章 給料及給與

編集

第四十一條

州會議員、名譽職參事會員其ノ他ノ名譽職員ハ職務ノ爲要スル費用ノ辨償ヲ受クルコトヲ得
費用辨償ニ關シ必要ナル事項ハ州知事之ヲ定ム

第四十二條

有給吏員ノ給料、給與及旅費ニ關シ必要ナル事項ハ臺灣總督之ヲ定ム

第四十三條

有給吏員ニハ退隱料、退職給與金、死亡給與金又ハ遺族扶助料ヲ給スルコトヲ得
退隱料、退職給與金、死亡給與金及遺族扶助料關シ必要ナル事項ハ臺灣總督之ヲ定ム
第一項ノ給與ニ付關係者ニ於テ異議アルトキハ其ノ處分アリタル日ヨリ六十日以內ニ之ヲ州知事ニ申立ツルコトヲ得
前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ州知事ハ三十日以內ニ之ヲ州參事會ノ決定付スベシ

第四十四條

給料、旅費、退隱料、退職給與金、死亡給與金、遺族扶助料、費用辨償其ノ他ノ給與ハ州ノ負擔トス

第六章 州ノ財務

編集

第四十五條

州ハ基本財產ヲ設ケ又ハ特定ノ目的ノ爲積立金穀等ヲ設クルコトヲ得

第四十六條

州營造物ノ使用ニ付使用料ヲ徵收スルコトヲ得
州ハ特ニ一個人ノ爲ニスル事務ニ付手數料ヲ徵收スルコトヲ得

第四十七條

州ハ其ノ公益上必要アル場合ニ於テハ寄附又、補助ヲ爲スコトヲ得

第四十八條

州ハ其ノ必要ナル費用及法律、 勅令又ハ律令ニ依リ州ノ負擔ニ屬スル費用ヲ支撐スル義務ヲ負フ

第四十九條

郡廳舍ノ建築費及修繕費竝ニ郡役所費ハ國費ヲ以テ支弊スルモノヲ除クノ外州ノ負擔トス

第五十條

州稅トシテ賦課スルコトヲ得ベキモノ左ノ如シ
一 國稅附加稅
二 特別稅

第五十一條

州ハ臺灣總督ノ定ムル所ニ依リ其ノ費用ヲ市街庄ニ分賦スルコトヲ得

第五十二條

州內ニ住所ヲ有スル者ハ州稅ヲ納ムル義務ヲ負フ
三月以上州內ニ滯在スル者ハ其ノ滯在ノ初ニ遡リ州稅ヲ納ムル義務ヲ負フ

第五十三條

州內ニ住所ヲ有セズ又ハ三月以上滯在スルコトナシト雖モ州內ニ於テ土地家屋物件ヲ所有シ使用シ若ハ占有シ、州內ニ營業所ヲ設ケテ營業ヲ爲シ又ハ州內ニ於テ特定ノ行爲ヲ爲ス者ハ其ノ土地家屋物件營業若ハ其ノ收入ニ對シ又ハ其ノ行爲ニ對シテ賦課スル州稅ヲ納ムル義務ヲ負フ

第五十四條

合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リ設立シタル法人ハ合併ニ因リ消滅シタル法人ニ對シ其ノ合併前ノ事實ニ付賦課セラルベキ州稅ヲ納ムル義務ヲ負フ
相續人又ハ相續財團ハ臺灣總督ノ定ムル所ニ依リ被相續人ニ對シ其ノ相續開始前ノ事實ニ付賦課セラルベキ州稅ヲ納ムル義務ヲ負フ

第五十五條

納稅者ノ州外ニ於テ所有シ使用シ占有スル土地家屋物件若ハ其ノ收入又ハ州外ニ於テ營業所ヲ設ケタル營業若ハ其ノ收入ニ對シテハ州稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ
州ノ內外ニ於テ營業所ヲ設ケ營業ヲ爲ス者ニシテ其ノ營業又ハ收入ニ對スル本稅ヲ分別シテ納メザルモノニ對シ附加稅ヲ賦課スル場合及住所滯在州ノ內外ニ涉ル者ノ收入ニシテ土地家屋物件又ハ營業所ヲ設ケタル營業ヨリ生ズル收入ニ非ザルモノニ對シ州稅ヲ賦課スル場合ニ付テハ臺灣總督之ヲ定ム

第五十六條

左二揭グルモノニ對シテハ州稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ
一 國ノ事業又ハ行爲及國有ノ土地家屋物件
二 國及州、廳、市街庄其ノ他ノ公共團體ニ於テ公用又ハ公共ノ用ニ供スル土地家屋物件及營造物但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及使用收益者ニ對シテハ此ノ限ニ在ラズ
三 神社寺院祠宇佛堂ノ用ニ供スル建物及其ノ境內地竝ニ敎會所說敎所ノ用ニ供スル建物及其ノ構內地但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及住宅ヲ以テ敎會所說敎所ノ用ニ充ツル者ニ對シテハ此ノ限ニ在ラズ
四 臺灣所得稅令第二十一條ニ揭グル所得前項ニ揭グルモノノ外州稅ヲ賦課スルコトヲ得ザルモノハ臺灣總督之ヲ定ム

第五十七條

州ハ公益上其ノ他ノ事由因リ課稅ヲ不適當トスル場合ニ於テハ臺灣總督ノ定ムル所ニ依リ州稅ヲ課セザルコトヲ得

第五十八條

州ノ一部ヲ利スル營造物ノ設置維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ部內ニ於テ州稅ヲ納ムル義務アル者ニ負擔セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ營造物ヨリ生ズル收入アルトキハ先ヅ其ノ收入ヲ以テ其ノ費用ニ充ツベシ

第五十九條

數人又ハ州ノ一部ニ對シ特ニ利益アル事件ニ關シテハ州ハ不均一ノ賦課ヲ爲シ又ハ數人若ハ州ノ一部ニ對シ賦課ヲ爲スコトヲ得

第六十條

州ハ特別ノ必要アルトキニ限リ夫役又ハ現品ヲ州內一部ノ市街庄其ノ他ノ公共團體又ハ一部ノ納稅義務者ニ賦課スルコトヲ得
學藝、美術及手工ニ關スル勞務ニ付テハ夫役ヲ賦課スルコトヲ得ズ
夫役又ハ現品ハ之ヲ金額ニ算出シテ賦課スベシ
夫役ヲ賦課セラレタル者ハ本人自ラ之ニ當リ又ハ適當ノ代人ヲ出スコトヲ得
夫役又ハ現品ハ金錢ヲ以テ之ニ代フルコトヲ得
第三項及前項ノ規定ハ急迫ノ場合ニ賦課スル夫役又ハ現品ニ付テハ之ヲ適用セズ

第六十一條

州稅ノ賦課ニ關シ必要アル場合ニ於テハ當該官吏又ハ吏員ハ日出ヨリ日沒迄ノ間營業者ニ關シテハ仍其ノ營業時間內家宅若ハ營業所ニ臨檢シ又ハ帳簿物件ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ當該官吏又ハ吏員ハ其ノ身分證明スベキ證票ヲ携帶スベシ

第六十二條

州知事ハ納稅者中特別ノ事情アル者ニ對シ納稅延期ヲ許スコトヲ得
州知事ハ特別ノ事情アル者ニ對シ州參事會ノ議決ヲ經テ州稅ヲ減免スルコトヲ得

第六十三條

州稅、使用料、手數料、過料、 過怠金其ノ他ノ州ノ收入ヲ定期內ニ納メザル者アルトキハ州知事ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スペシ
夫役現品ノ賦課ヲ受ケタル者定期內ニ其ノ履行ヲ爲サズ又ハ夫役現品ニ代フル金錢ヲ納メザルトキハ州知事ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ急迫ノ場合ニ賦課シタル夫役又ハ現品ニ付テハ更ニ之ヲ金額ニ算出ニ期限ヲ指定シテ其ノ納付ヲ命ズベシ
前二項ノ場合ニ於テハ手數料ヲ徵收ス手數料ノ額ハ州知事之ヲ定ム
市街庄ノ官吏又ハ吏員ヲシテ第一項及第二項ノ督促又ハ命令ヲ爲サシメタル場合ニ於ケル手數料ハ其ノ市街庄ノ收入トス
滯納者第一項又ハ第二項ノ督促又ハ命令ヲ受ケ其ノ指定ノ期限迄ニ之ヲ完納セザルトキハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ處分スベシ
第一項及第二項ノ徵收金ニ付テハ國ノ徵收金ニ次デ先取特權ヲ有シ其ノ追徵、還付及時效ニ付テハ國稅ノ例ニ依ル

第六十四條

州稅、使用料及手數料ニ關スル事項ニ付テハ法令ニ定ムルモノヲ除クノ外州會ノ議決ヲ經テ州知事之ヲ定ム
詐偽其ノ他ノ不正ノ行爲ニ依リ使用料ノ徵收ヲ免レ又ハ州稅ヲ逋脫シタル者ニ付テハ州知事ハ州會ノ議決ヲ經テ其ノ徵收ヲ免レ又ハ逋脫シタル金額ノ五倍ニ相當スル金額(其ノ金額五圓未滿ナルトキハ五圓)以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除クノ外州稅、使用料及手數料ノ賦課徵收關シテハ州知事ハ州會ノ議決ヲ經テ十圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得營造物ノ使用ニ關シ亦同ジ

第六十五條

市街庄ハ市街庄內ニ於テ州知事ノ指定シタル州稅其ノ他州ノ收入ヲ徵收シ之ヲ州ニ納入スル義務負フ
市街庄ハ避クベカラザル災害ニ因リ既收ノ徵收金ヲ失ヒタルトキハ其ノ納入義務ノ免除ヲ州知事ニ申請スルコトヲ得
州知事前項ノ申請ヲ受ケタルトキハ七日以內ニ之ヲ州參事會ノ決定ニ付スベシ

第六十六條

州ハ其ノ負債ヲ償還スル爲、州ノ永久ノ利益ト爲ルベキ支出ヲ爲ス爲又ハ天災事變等ノ必要アル場合ニ限リ州債ヲ起スコトヲ得
州ハ豫算內ノ支出ヲ爲ス爲一時ノ借入金ヲ爲スコトヲ得
前項ノ借入金ハ其ノ會計年度內ノ收入ヲ以テ之ヲ償還スベシ

第六十七條

州知事ハ每會計年度歲入出豫算ヲ調製シ年度開始二月前迄ニ州會ノ議決ヲ經ベシ
州ノ會計年度ハ政府ノ會計年度ニ依リ

第六十八條

州知事ハ州會ノ議決ヲ經テ既定豫算ノ追加又ハ更正ヲ爲スコトヲ得

第六十九條

州費ヲ以テ支辨スル事件ニシテ數年ヲ期シテ其ノ費用ヲ支出スベキモノハ其ノ年期間各年度ノ支出額ヲ定メ繼續費ト爲スコトヲ得

第七十條

州ハ預算外ノ支出又ハ豫算超過ノ支出ニ充ツル爲豫備費ヲ設クベシ
特別會計ニハ豫備費ヲ設ケザルコトヲ得
豫備費ハ州會ノ否決シタル費途ニ充ツルコトヲ得ズ

第七十一條

州知事ハ豫算ガ州會ノ議決ヲ經タル後直ニ之ヲ臺灣總督ニ報告シ且其ノ要領ヲ告示スベシ

第七十二條

州ハ特別會計ヲ設クルコトヲ得

第七十三條

州ノ支拂金ニ關スル時效ニ付テハ政府ノ支拂金ノ例ニ依ル

第七十四條

決算ハ翌翌年度ノ通常豫算ヲ議スル會議迄ニ之ヲ州會ニ報告スベシ
決算ハ之ヲ關スル州會ノ議決ト共ニ之ヲ臺灣總督ニ報告シ且其ノ要領ヲ告示スベシ

第七十五條

本令ニ規定スルモノヲ除クノ外州稅、使用料、手數料、豫算調製ノ式其ノ他州ノ財務ニ關シ必要ナル事項ハ臺灣總督之ヲ定ム

第七章 州ノ監督

編集

第七十六條

州ハ臺灣總督之ヲ監督ス

第七十七條

臺灣總督ハ州ノ監督上必要アル場合ニ於テハ事務ノ報告ヲ爲サシヌ、書類帳簿ヲ徵シ及實地ニ就キ事務ヲ觀察シ又ハ出納ヲ檢閱スルコトヲ得
臺灣總督ハ州ノ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得

第七十八條

州ニ於テ法律、勅令又ハ律令ニ依リ負擔シ又ハ當該官廳ノ職權ニ依リ命ズル費用ヲ豫算ニ載セザルトキハ臺灣總督ハ理由ヲ示シテ其ノ費用ヲ豫算ニ加フルコトヲ得
臺灣總督ハ州ノ豫算中不適當ト認ムルモノアルトキハ之ヲ削減スルコトヲ得

第七十九條

臺灣總督ハ州會ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
州會解散ノ場合ニ於テハ三月以內ニ議員ノ選擧及任命ヲ行フベシ但シ特別ノ事由アルトキハ臺灣總督ハ別ニ其ノ期間ヲ定ムルコトヲ得

第八十條

臺灣總督ノ認可ヲ要スル事件ニ付テハ臺灣總督ハ申請ノ趣旨ニ反セズト認ムル範圍內ニ於テ更正シテ認可ヲ與フルコトヲ得

第八十一條

本令ニ規定スルモノヲ除クノ外州ノ監督ニ關シ必要ナル事頂ハ臺灣總督之ヲ定ム

第八十二條

本令中官吏ニ關スル規定ハ待遇官吏ニ之ヲ適用ス

附則

編集
本令施行ノ期日ハ臺灣總督之ヲ定ム
本令施行ノ際必要ナル規定ハ臺灣總督之ヲ定ム
 

この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公󠄁文󠄁書
  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
  3. 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。