臨時事件費支辨ニ關スル件

朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル臨時事件費支辨ニ關スル件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム

        

明治三十九年二月十日

內閣總理大臣  侯爵西園寺公望

大 藏 大 臣   法學
博士
阪 谷 芳 郞


法律第一號

第一條  臨時事件費支辨ノ爲政府ハ一時借入金ヲ爲シ、特別會計ニ屬スル資金ヲ繰替使用シ及公債ヲ募集スルコトヲ得

前項ノ一時借入金及公債ノ額ハ通シテ三億六千三百萬圓以內トス

第二條  臨時事件ニ因リテ生シタル陸海軍所屬ノ復舊其ノ事業ニ要スル經費及滿韓軍備ニ關スル臨時費支辨ノ爲政府ハ特別會計ニ屬スル資金ヲ繰替使用シ及公債ヲ募集スルコトヲ得

前項公債ノ額ハ七千萬圓以內トス

第三條  本法ニ依ル公債ノ發行價格差減額ヲ補塡スル爲必要アル場合ニ於テハ前二條ノ制限以外ニ公債ヲ募集シ又ハ一時借入金ヲ爲スコトヲ得

第四條  前三條ニ依ル一時借入金、特別會計ニ屬スル資金繰替及公債ヲ整理償還スル爲必要アル場合ニ於テハ第一條第二條ノ制限以外ニ公債ヲ募集スルコトヲ得

第五條  政府ハ臨時軍事費出納上一時ノ附則ヲ補充スル爲其ノ歲入ヲ以テ償還スヘキ大藏省證券ヲ發行スルコトヲ得

前項大藏省證券ニ關シテハ前項ニ規定スルモノノ外總テ大藏省證券條例ヲ適用ス

第六條  一時借入金及公債ノ利率、募集借入ノ方法規約、据置年限及償還年限ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

第七條  本法ニ依リテ發行スル公債ニ關シテハ本法ニ規定スルモノノ外整理公債條例ヲ適用ス

この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公󠄁文󠄁書
  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
  3. 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。