聖使徒行實

第九章

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 サウルはなほしゅ門徒もんとむかひて、恐喝おどし殺氣さつきとをき、司祭長しさいちやうきて、

 そのダマスクの諸會堂しょくわいだうするしょもとたり、みちしたがものはば、男女なんにょろんぜず、これしばりて、イエルサリムにかんためなり。

 かれきて、ダマスクにちかづけるときたちまちてんよりひかりありて、かれめぐてらせり。

 かれたふれて、かれこゑけり、いはく、サウル、サウル、なんわれ窘逐きんちくする。

 かれへり、しゅよ、なんぢたれたる。しゅへり、われなんぢ窘逐きんちくするイイススなり。なんぢとげむはかたし。

 かれをのゝおそれてへり、しゅよ、なにさんことをほつするか。しゅかれへり、ちて、まちれ、彼處かしこおいなんぢおこなふべきことなんぢげられん。

 かれともける人人ひとびとおどろきてち、こゑきて、たれをもざりき。

 サウルよりきて、ひらきたれども、ところなかりき。彼等かれら其手そのてきて、ダマスクにれたり。

 かれ三日みつかあひだることなく、またくらむことなかりき。

一〇 ダマスクに一人ひとり門徒もんと、アナニヤとづくるものあり、しゅ異象いしやううちかれへり、アナニヤ、かれへり、しゅよ、われこゝり。