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[1] 一七日のはじめの日 マガダレネのマリア曉いまだくらきうちに墓にきたりて 石の墓よりとれしをみる
2 つひにシモン ペテロと耶穌のいつくしむところの門徒にはしりゆきてかれらにいひけるは たれか主を墓よりとりしものあり われらいづこにおきしやところをしらず
3 ペテロとそのほかのでしといでゝ 墓にいたりぬ
4 二人たがひにはしり ほかの門徒ペテロよりはやくはしり 先に墓にいたり
5 跼て尸をつゝみし布のおけるをみる されどもいらず
6 シモン ペテロかれにおくれてきたり はかにいり つゝみし布のおけるをみる
7 またその首をつゝみし手ぬぐひは尸をつゝみし布とともにおかず はなれてほかのところにたゝみておけるをみる
8 こゝにはじめに墓へきたりしほかの門徒もいり これをみて信ぜり
9 こはしるせしところのかれのよみがへるべきことをしらざればなり
10 さて門徒はまたおのれのやどへかへれり
11 マリアは墓のそとにたちてなげきつゝ 墓にむかひ跼て
12 ふたりの天の使しろきころもを着 耶穌の尸をおけるところに 一人は首に 一人はあしにをるをみたり
13 天の使かれにいひけるは をんなよ なんぞなげくや かれらにいひけるは わか[が]主をとるものありて いづこにおきしをしらさ[ざ] ればなり
14 このことをいひ ふりむいて耶穌のたちしをみる されども耶穌なることをしらず
15 耶穌かれにいひけるは をんなよ なんぞなげくや たれをたづぬるぞ マリア園をまもる人なりとおもひてかれにいひけるは なんぢもしかれをおふ[ぶ] ひしならば いづこにおきしをわれにつげよ われはこれをとるべし 耶穌かれに マリアよといふ をんなかへりみてかれに ラボニといふ これをとけは[ば]夫子なり
17 耶穌かれにいひけるは われにさはることなかれ いかにとなれば われいまだわが父にのぼらざればなり わが兄弟にゆきていへ われはわが父となんぢらの父 わが神となんぢらの神にのぼると
18 マガダレネのマリアきたりて主を見 又おのれにいひしことを門徒につげり
19 この日のくれがた一七日のはじめの日にて ユウダヤ人をおそるゝによりて 門徒のあつまりしところの門の戸をとぢたるに 耶穌きたりてそのうちにたち かれらに やすんぜよといふ
20 これをいひしのち その手とあばらをかれらにみせしに 門徒主をみてよろこべり
21 またかれらにいひけるは やすんぜよ 父のわれをつかはせしごとく われもなんぢらをつかはす
22 これをいひしのち かれらにいきをふきていひけるは 聖靈をうけよ
23 汝らすべてそのつみをゆるせしものはこれをゆるされり そのつみをさだめしものはこれをさだめらる
24 耶穌きたりしときに十二のでしのひとり ふた子といふトマスはかれらとともにをらず
25 よつてほかのでしかれにいひけるは われら主をみたり トマスかれらにいひけるは われもしその手に釘のあとをみず わがゆびを釘のあとにさゝず 又手をその脅にさゝずんば われは信せ[ぜ]じ
26 八日すぎしのち その門徒又家のうちにをりて トマスもかれとともにをる 門の戸をとぢたるに 耶穌きたりてそのうちにたち なんぢらやすんぜよといふ
27 つひにトマスにいひけるは なんぢのゆびをこゝにのべてわが手を見 なんぢの手をのべてわがあばらにさせよ 信ぜざるなくして信ぜよ
28 トマスこたへてかれにいひけるは わが主よ わが神よ
29 耶穌かれにいひけるは なんぢわれをみたるによつて信ぜり 見ずして信ずるものは福なり
30 耶穌その門徒のまへにこのふみにしるされざるなほほかのあまたのしるしをなせり
31 なんぢら耶穌は神の子キリストと信じ 又信じてその名によりていのちあらんためにこのことをしるされり