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笹の露 作者:島田両三
酒は量(はかり)なしと宣ひし、聖人上戸(じやうご)にやましましけむ。三十六の失(しつ)ありと諫(いさ)めたまひし、仏(ほとけ)は下戸(げこ)にやおはすらん。何は兎(と)もあれ八雲(やくも)立つ。出雲の神の八(や)しぼりの。酒に大蛇(おろち)を平(たいら)げたまふ。これ皆(みな)酒の徳なれや。大石(おほいし)さけつる畏かしこみも、尊(みこと)の酔(ゑい)の、すすむなり。姫の尊(みこと)の待ち酒を。ささよ、ささとの言の葉に、伝へ伝へて今世(いまよ)の人も、きこし召せ、ささきこし召せ、ささ。劉伯倫(りうはくりん)や李太白(りたいはく)、酒を飲まねば只の人。吉野竜田(たつた)の花紅葉(はなもみじ)。酒がなければ只の所ことよい〳〵、よいの、よいやさ。
この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。