第五「カフィズマ」


第三十二聖詠

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ダワィドえい

じんよ、しゅためよろこべ、讃榮さんえいするはしゃかなふ。

しつもつしゅあがめよ、十弦じうげんきんもつかれうたへ、

あらたなるうたかれうたへ、こゑそろへ、よろこんでかれうたへよ。

けだししゅことば正直せいちょくにして、そのことごとくの行爲しわざ真実しんじつなり。

かれこう審判しんぱんとをこのみ、しゅれんてり。

てんしゅことばにてつくられ、てん全軍ぜんぐん其口そのくちにてつくられたり。

かれうみみづあつめしこととりでごとく、ふちくらをさめたり。

ぜんしゅおそるべし、およかいものかれまへをののくべし。

けだしかれへばすなはちり、めいずればすなはちあらはれたり。

一〇 しゅ邦人ほうじんするところはいし、諸民しょみんはかところやぶり、牧伯ぼくはくするところやぶる。

一一 ただしゅするところながち、そのこころおもひ世世よよつ。

一二 しゅもつかみとなすたみさいはひなり、しゅえらびておのれ嗣業しぎょうとなすぞくさいはひなり。

一三 しゅてんよりかんがみてことごとくのひと

一四 そのするところほうよりことごとくのものかへりみる。

一五 かれ衆人しゅうじんこころつくり、およかれおこなところ鑒察かんさつす。

一六 おう大軍たいぐんりてすくはれず、ゆうたいりょくりてまもられず。

一七 うますくひためむなし、そのたいりょくもつたすくるあたはず。

一八 しゅかれおそるるものと、かれあはれみたのものとをかへりみ、

一九 しゅかれたましひよりすくひ、きんときかれやしなはん。

二〇 われたましひしゅたのむ、かれたすけなり、まもりなり、

二一 こころかれためたのしむ、けだしわれ其聖そのせいなるたのめり。

二二 しゅよ、われなんぢたのむがごとく、なんぢあはれみわれたまへ。


第三十三聖詠

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ダワィドえいダワィドアワィメレフまへりて佯狂ようきょうし、かれはれてり、すなはこれつくれり。

われいづれときにもしゅげん、かれむるはつねくちり。

たましひしゅもつほこらん、温柔おんじゅうなるものきてたのししまん。

われともしゅたふとめ、ともかれあがめん。

われかつしゅたづねしに、かれわれれて、すべてのあやうきよりわれまぬかれしめたまへり。

げてかれあふものてらされたり、かれおもてはぢけざらん。

まづしきものびしに、しゅれて、これそのことごとくの艱難かんなんよりすくへり。

しゅ使つかひしゅおそるるものめぐまもりて、かれたすく。

あじはへよ、しゅ如何いかじんなるをん、かれたのひとさいはひなり。

一〇 およしゅ聖人せいじんよ、しゅおそ れよ、けだしかれおそるるものとぼしきことなし。

一一 わかししとぼしくしてゑ、ただしゅたづぬるものなん幸福こうふくにもくるなし。

一二 小子しょうしよ、きたりてわれけ、しゅおそるるおそれをなんぢをしへん。

一三 ひとくるをのぞみ、また寿ながらへて幸福こうふくんことをほつするか、

一四 なんぢしたあくより、なんぢくちいつはりことばよりとどめよ。

一五 あくけてぜんおこなひ、へいたづねてこれしたがへ。

一六 しゅじんかへりみ、其耳そのみみかれぶをく。

一七 ただしゅおもてあくものむかふ、そのよりほろぼさんためなり。

一八 じんぶに、しゅこれき、かれことごとくのうれひよりまぬかれしむ。

一九 しゅこころいためるものちかし、たましひへりくだものすくはん。

二〇 じんにはうれひおほし、しかれどもしゅこれことごとまぬかれしめん。

二一 しゅかれことごとくのほねまもり、そのいつれざらん。

二二 あく罪人ざいにんころし、じんにくものほろびん。

二三 しゅその諸僕しょぼくたましひすくひ、かれたのもの一人ひとりほろびざらん。

光榮讃詞

第三十四聖詠

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ダワィドえい

しゅよ、われあらそものあらそひ、われたたかものたたかたまへ。

たてよろひとをり、ちてわれたすけ、

つるぎきて、われものみちさへぎり、たましひむかひて、われなんぢすくひなりとへ。

たましひもとむるものは、ねがはくははぢはづかしめけん、われがいせんとはかものは、ねがはくは退しりぞけられてはづかしめられん、

ねがはくはかれ風前ふうぜんちりごとくなり、しゅ使つかひかれはらはん、

ねがはくはかれみちくらくしてすべらかになり、しゅ使つかひかれはん、

けだしかれゆゑなくしてひそかため其網そのあみなるおとしあなもうけ、ゆゑなくしてこれたましひため穿うがてり。

ねがはくはほろびにはかかれいたり、そのひそかためもうけしあみかれおほひ、かれみづかこれおちいりてほろびん。

ただたましひしゅためよろこび、そのほどこせるすくひためたのしまん。

一〇 ことごとくのほねはん、しゅよ、たれなんぢよわものつよものよりすくひ、まづしきものとぼしきものかすむるものよりすくものたる。

一一 不義ふぎなる証者しょうしゃちてわれめ、らざることわれなじふ。

一二 かれあくもつぜんむくい、たましひどくものす。

一三 かれめるときわれあさものいみもつたましひひくくし、われとうふところかへれり。

一四 われかれちしこと、とも兄弟きょうだいごとし、われうれひてき、かうべれしこと、ははするがごとし。

一五 ただわれつまづきたれば、かれよろこびてあつまり、ののしものあつまりてわれめたり、われなん所以ゆえんらず、われそしりてめざりき、

一六 いつはりなる嘲笑者あざけりびとともわれむかひて切歯はがみせり。

一七 しゅよ、なんぢこれることいづれときいたるか、たましひかれあくよりのがれしめ、われひとりなるものししよりのがれしめたまへ。

一八 われなんぢ大会だいかいうち讃榮さんえいし、なんぢ衆民しゅうみんあひだ讃揚さんようせん、

一九 不義ふぎにしてわれあだするものわれちてよろこばず、とがなくしてわれにくものたがひめくばせせざらんためなり。

二〇 けだしかれところへいあらず、すなはじょうへいこのものむかいひいつはりはかりごとまうく。

二一 其口そのくちひらきてわれむかひていはく、嘻嘻よしよしすでたり。

二二 しゅよ、なんぢすでもだなかれ、しゅよ、われはなるるなかれ。

二三 かみしゅよ、ちて、めてためさばきおこなひ、うつたへをさめよ。

二四 しゅかみよ、なんぢりてわれさばたまへ、かれをしてわれちてよろこばしむるなかれ、

二五 そのこころうちに、嘻嘻よしよしわれのぞみごとしとはしむるなかれ、それをしてわれすでこれめりとはしむるなかれ。

二六 およわざはひよろこものは、ねがはくははぢはづかしめけん、われむかひてたかぶるものは、ねがはくははぢあなどりとをかうむらん。

二七 とせらるるをのぞものは、ねがはくはよろこたのしみてつねはん、其僕そのぼく平安へいあんのぞしゅたふとめらるべし。

二八 したなんぢつたへ、日日ひびなんぢげん。


第三十五聖詠

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伶長れいちょううたはしむ。しゅぼくダワィドえい

悪者あくしゃほうこころうちふ、そのまへかみおそるるおそれなし、

けだしかれみづかおのれ目前もくぜんへつらひて、そのほうにくまんとして、これただすにたり、

其口そのくちことばじつにしていつはりなり、かれさとりてぜんおこなふをのぞまず、

かれそのとこりてほうはかり、みづかぜんみちちて、あくにくまず。

しゅよ、なんぢれんてんいたり、なんぢ真実しんじつくもいたる。

なんぢかみやまごとく、なんぢさばきおほいなるふちごとし。しゅよ、なんぢひとけものとをまもる。

かみよ、なんぢあはれみなんたふとき、ひとなんぢつばさかげやすんじ、

なんぢいへあぶらく、なんぢかれなんぢあまながれよりましむ、

一〇 けだし生命いのちみなもとなんぢり、われなんぢひかりおいひかりる。

一一 なんぢあはれみなんぢものに、なんぢこころなほものつねたまへ。

一二 ねがはくはおごりあしわれまず、罪人ざいにんわれはざらん。

一三 ほうおこなもの彼処かしこたふれ、おとされてあたはず。

光榮讃詞


第三十六聖詠

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ダワィドえい

悪者あくしゃねたなかれ、ほうおこなものそねなかれ、

けだしかれくさごとはやられ、青草あをくさごとしぼまん。

しゅたのみてぜんおこなへ、みて真実しんじつまもれ。

しゅもつなぐさめせ、かれなんぢこころのぞみかなへん。

なんぢみちしゅたくしてかれたのめ、かれさん、

なんぢひかりごとく、なんぢただしき午日まひるごとあらはさん。

しゅしたがひてかれたのめ、其道そのみちたついつはりなるひとねたなかれ。

いかりめ、うらみてよ、ねたみてあくなかれ、

けだしあくものたれん、ただしゅたのものがん。

一〇 ひさしからずして悪者あくしゃなきせん、なんぢそのところればるなし。

一一 ただ温柔おんじゅうなるものぎ、平安へいあんおほきをたのしまん。

一二 悪者あくしゃはかりてじんめ、これむかひて切歯はがみす、

一三 しかれどもしゅこれわらふ、そのいたるをればなり。

一四 悪者あくしゃつるぎき、ゆみりて、とぼしきものまづしきものとをたふし、なほみちものさんとほつす、

一五 そのつるぎかへりてそのこころつらぬき、其弓そのゆみられん。

一六 じん所有しょゆうすくなきはおほくの悪者あくしゃとみまさる、

一七 けだし悪者あくしゃひぢられん、ただじんしゅこれたすく。

一八 しゅきずなきものる、かれぎょうながそんせん、

一九 かれ患難かんなんときはぢかうむらず、きんくことをん、

二〇 ただ悪者あくしゃほろび、しゅてきこひつじあぶらごとえ、けむりうちえん。

二一 悪者あくしゃりてつぐのはず、じんあはれみてあたふ、

二二 けだししゅ降福こうふくせられしものぎ、かれのろはれしものたれん。

二三 しゅじんあしかため、そのみちよろこぶ、

二四 かれつまづけどもたふれず、しゅそのりてこれたすくればなり。

二五 われいとけなきよりいまゆるにいたるまで、いまじんてられ、其裔そのすゑしょくふをざりき、

二六 かれ毎日まいにちあはれみほどこし、またあたふ、かれすゑふくけん。

二七 あくけてぜんおこなへ、しからばながきん、

二八 けだししゅあいし、その聖者せいしゃてず、かれながまもられん、ただほうものたふされ、悪者あくしゃすゑたれん。

二九 じんぎ、ながこれらん。

三〇 じんくちえいひ、其舌そのしたかたる。

三一 其神そのかみほうそのこころり、其足そのあしうごかざらん。

三二 悪者あくしゃじんうかがひ、これころさんとほつす、

三三 ただしゅかれそのわたさず、かれさばきくるときかれつみするをゆるさざらん。

三四 しゅたのみ、其道そのみちまもれ、しからばかれなんぢげて、なんぢがしめん、悪者あくしゃたるるときなんぢこれん。

三五 われかつ悪者あくしゃだいにして、はびこることふかしげりたるごときをたり、

三六 しかれどもかれぎて、よ、なきせり、われこれたづねてず。

三七 きずなきものかんがみ、じんよ、けだしくのごとひと将来ゆくすゑ平安へいあんなり、

三八 ただほうものみなたれ、悪者あくしゃ将来ゆくすゑほろびん。

三九 じんすくひしゅよりす、そのうれひときおいしゅその防固かためなり、

四〇 しゅかれたすかれのがさん、かれ悪者あくしゃよりのがかれすくはん、かれしゅたのめばなり。

光榮讃詞