第一「カフィズマ」


第一聖詠

編集
ダワィドえい

悪人あくにんはかりごとかず、罪人ざいにんみちたず、かい亂者らんしゃくらいせずして、

そのこころしゅほうき、ちゅうほうねんするひとさいはひなり。

かれ水邊すいへんゑたるときおよびてそのむすび、そのしぼまざるものごとくならん、かれそのところみなこれげん。

悪人あくにんしからず、すなはちちりめんよりかぜげらるるがごとし。

ゆゑ悪人あくにん審判しんぱんつをず、罪人ざいにんじんかいつをざらん。

けだししゅじんみちる、悪人あくにんみちほろびん。

第二聖詠

編集
ダワィドえい

諸民しょみんなんれぞさわぎ、諸族しょぞくなんれぞいたづらはかる。

諸王しょおうおこり、諸侯しょこうあひはかりてしゅめ、そのあぶらつけられしものむ、

いはく、われそのなはち、そのくさりてんと。

てんものこれわらひ、しゅかれはづかしめん。

其時そのときいきどほりてかれひ、そのいかりもつかれみださん、

いはく、われかれよりてられて、シオンその聖山せいざんおうれり。

われめいべん、しゅわれへり、なんぢわれわれ今日こんにちなんぢめり、

われもとめよ、われ諸民しょみんあたへてなんぢぎょうし、はてあたへてなんぢりょうさん、

なんぢてつつえもつかれち、とうごとかれくだかんと。

一〇 ゆゑ諸王しょおうよ、さとれ、審判者しんぱんしゃよ、まなべ、

一一 おそれてしゅつとめよ、おののきて其前そのまへよろこべよ。

一二 うやまへ、おそらくはかれいかりて、なんぢみちほろびん、けだしそのいかりすみやかおこらん。およかれたのものさいはひなり。

第三聖詠

編集
ダワィドえいそのアワェサロムくるときつくりしところなり。

しゅよ、てきなんおほき、おほくのものわれむ、

おほくのものたましひして、かれかみよりすくひずとふ。

しかれども、しゅよ、なんぢわれまもたてなり、われさかえなり、なんぢこうべぐ。

こえもつしゅぶに、しゅその聖山せいざんよりわれたまふ。

われし、ね、またむ、しゅわれふせまもればなり。

めぐりてわれむる萬民ばんみんは、われこれおそれざらん。

しゅよ、きよ、かみよ、われすくたまへ、けだしなんぢ諸敵しょてきほほち、悪人あくにんくじけり。

すくひしゅる、なんぢ降福こうふくなんぢたみり。

光榮讃詞

第四聖詠

編集
伶長れいちょうこときてうたはしむ。ダワィドえい

かみよ、ときわれたまへ。せまきときなんぢわれひろきあたへたり。われあはれみて、いのりたまへ。

ひとよ、さかえはづかしめらるることいづれときいたるか、なんぢむなしきこのいつはりもとむることいづれときいたるか。

なんぢしゅその聖者せいしゃわかちておのれぞくせしめしをれ、われべば、しゅこれく。

いかりてつみおかなかれ、とこるときなんぢこころはかりて、おのれしづめよ。

まつりささげて、しゅたのめ。

おほくのものふ、たれわれぜんしめさん。しゅよ、なんぢかんばせひかりわれあらはたまへ。

なんぢこころたのしみつるは、かれパンさけあぶらとにゆたかなるときよりまされり。

われ安然あんぜんとしてぬ、けだししゅよ、ひとりなんぢわれなんにしてわたらしめたまふ。

第五聖詠

編集
伶長れいちょうしょうもつせしむ。ダワィドえい

しゅよ、ことばき、おもひさとれ。

おうかみよ、こえたまへ、われなんぢいのればなり。

しゅよ、あしたこえたまへ、われあしたなんぢまへちてたん。

けだしなんぢほうよろこばざるかみなり、悪人あくにんなんぢるをず、

けんものなんぢまへとどまらざらん、なんぢおよほうおこなものにくむ、

なんぢいつはりものほろぼさん、残忍ざんにんけつものしゅこれにくむ。

ただわれなんぢあはれみおほきにりてなんぢいへり、なんぢおそれてなんぢ聖殿せいでん伏拝ふくはいせん。

しゅよ、てきためわれなんぢみちびき、まへなんぢみちたひらかにせよ。

一〇 けだしかれくちには真実しんじつなく、かれこころ悪逆あくぎゃくかれのんどひらけたるひつぎ其舌そのしたにてへつらふ。

一一 かみよ、かれつみさだめ、かれをしてそのはかりごともつみづかやぶれしめ、かれけんはなはだしきにりてこれたまへ、かれなんぢさからへばなり。

一二 およなんぢたのものよろこびてながたのしみ、なんぢかれおほまもらん、なんぢあいするものなんぢもつみづかほこらんとす。

一三 けだししゅよ、なんぢじんふくくだし、めぐみもつたてごとかれめぐらしまもればなり。

第六聖詠

編集
伶長れいちょう八絃はちげんこともつうたはしむ。ダワィドえい

しゅよ、なんぢいきどほりもつわれむるなかれ、なんぢいかりもつわればつするなかれ。

しゅよ、われあはれたまへ、われよわければなり、しゅよ、われいやたまへ、ほねおののき、

たましひはなはだおののけばなり、なんぢしゅよ、いづれときいたるか。

しゅよ、おもてかへし、たましひまぬかれしめ、なんぢあはれみりてわれすくたまへ。

けだしうちにはなんぢおくするなし、はかうちにはたれなんぢ讃揚さんようせん。

われなげきにてつかれたり、まいとこあらひ、なみだにてわれしとねうるほす。

うれひりてれ、もろもろてきりておとろへたり。

およほうおこなものわれはなれよ、けだししゅこえけり、

一〇 しゅねがひたまへり、しゅいのりれんとす。

一一 ねがはくはもろもろてきはづかしめられていたたれん、ねがはくは退しりぞきてにはかはぢん。

光榮讃詞

第七聖詠

編集
あいうたダワィドワェニアミンぞくフスことりて、しゅおうせしところなり。

しゅかみよ、われなんぢたのむ、われことごとくの窘逐者きんちくしゃよりすくひて、われたすたまへ。

ねがはくはかれししごとたましひきて、たすすくものなきときごとこれつんざかざらん。

しゅかみよ、われ何事なにごとをかし、不義ふぎあり、

われゆゑなくてきとなりしひとをもすくひしに、われしたしみあるものあくむくいしならば、

ねがはくはてきたましひひてこれとらへ、生命いのちふみにじり、さかえちりなげうたん。

しゅよ、なんぢいかりもつき、てき暴虐ぼうぎゃくむかへ、ためきて、なんぢさだめし審判しんぱんおこなたまへ、

萬民ばんみんなんぢめぐらん、なんぢ其上そのうへ高處たかきのぼたまへ。

しゅ衆民しゅうみん審判しんぱんす。しゅよ、われわれきずなきとにしたがひてわれ審判しんぱんせよ。

一〇 ねがはくは悪者あくしゃ残害ざんがいたれん、じんなんぢこれかためよ、なるかみよ、なんぢひと心腹しんぷくこころみればなり。

一一 われたてこころただしきものすくかみり。

一二 かみかつゆうにして寛忍かんにんなる審判者しんぱんしゃなり、

一三 またかみは、ひと反正はんせいせざれば、日日ひびきびしくただものなり。かれそのつるぎぎ、其弓そのゆみりてこれけ、

一四 これためうつはそなへ、そのもつ火箭ひやす。

一五 よ、悪者あくしゃ不義ふぎ宿やどし、残害ざんがいはらみ、おのれため詐偽いつはりめり、

一六 おとしあなり、これおはりて、みづかもうけしあなおちいれり、

一七 その残害ざんがいそのこうべかへり、その暴虐ぼうぎゃくそのいただきちん。

一八 われしゅりてしゅあがめ、じょうなるしゅうたふ。

第八聖詠

編集
伶長れいちょうゲフがくもつこれうたはしむ。ダワィドえい

しゅかみよ、なんぢなんぜんおほいなる、なんぢ光榮こうえい諸天しょてんゆ。

なんぢてきゆゑもつて、なんぢ嬰児おさなご哺乳者ちのみごとのくちよりさんそなへたり、てきあだむくゆるものとにことばなからしめんためなり。

われなんぢゆび作爲しわざなる諸天しょてんなんぢてしつきほしとをれば、

すなはちひと何物なにものたる、なんぢこれおもふか、ひと何物なにものたる、なんぢこれかへりみるか。

なんぢかれてん使よりすこしくくだらしめ、かれ光榮こうえいそんこうむらせ、

かれなんぢつくりしものうへて、萬物ばんぶつそのそくふくせしめたり、

すなはちことごとくのひつじうしまたけもの

そらとりうみうお一切いっさいうみおよものなり。

一〇 しゅかみよ、なんぢなんぜんおほいなる。

光榮讃詞