神聖なる聖体礼儀の歌章の次第

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• 底本: ハリストス正教会本会 訳『連接歌集』,ハリストス正教会本会,明42.1. 国立国会図書館デジタルコレクション:info:ndljp/pid/825416（p.188より）
• 原文の「ヘルワィム」は「ヘルヴィム」に改めました。

神聖なる聖体礼儀（リトゥルギヤ）の歌章の次第

第一連祷の後に第一倡和詞（アンティフォン）を歌ふ、第八調。

右列詠隊、　我（わ）が霊（たましひ）よ、主（しゅ）を讃（ほ）め揚（あ）げよ。

主（しゅ）よ、爾（なんぢ）は崇（あが）め讃（ほ）めらる。

右列、　我（わ）が霊（たましひ）よ、主（しゅ）を讃（ほ）め揚（あ）げよ、我（わ）が中心（ちゅうしん）よ、其聖（そのせい）なる名（な）を讃（ほ）め揚（あ）げよ。

左列詠隊、　我（わ）が霊（たましひ）よ、主（しゅ）を讃（ほ）め揚（あ）げよ、彼（かれ）が悉（ことごと）くの恩（おん）を忘（わす）るる毋（なか）れ。

右、　彼（かれ）は爾（なんぢ）が諸（もろもろ）の不（ふ）法（ほう）を赦（ゆる）し、爾（なんぢ）が諸（もろもろ）の疾（やまひ）を療（いや）す、

左、　爾（なんぢ）の生命（いのち）を墓（はか）より救（すく）ひ、憐（あわれみ）と惠（めぐみ）とを爾（なんぢ）に冠（かうむ）らせ、

右、　幸福（こうふく）を爾（なんぢ）の望（のぞみ）に飽（あ）かしむ、爾（なんぢ）が若復（わかがへ）さるること鷲（わし）の如（ごと）し。

左、　主（しゅ）は凡（およ）そ迫害（はくがい）せらるる者（もの）の為（ため）に義（ぎ）と審判（しんぱん）とを行（おこな）ふ。彼（かれ）は己（おのれ）の途（みち）をモイセイに示（しめ）し、己（おのれ）の作為（しわざ）をイズライリの諸（しょ）子（し）に示（しめ）せり。

右、　主（しゅ）は宏（こう）慈（じ）にして矜恤（きょうじゅつ）、寛（かん）忍（にん）にして鴻恩（こうおん）なり、

左、　怒（いか）りて終（をはり）あり、憤（いきどほり）て永（なが）く懐（いだ）かず。我（わ）が不（ふ）法（ほう）に因（よ）りて我（われ）等（ら）に行（おこな）はず、我（わ）が罪（つみ）に因（よ）りて我（われ）等（ら）に報（むく）いず、

右、　蓋（けだし）天（てん）の地（ち）より高（たか）きが如（ごと）く、斯（か）く主（しゅ）を畏（おそ）るる者（もの）に於（お）ける其（その）憐（あわれみ）は大（おほい）なり、

左、　東（ひがし）の西（にし）より遠（とほ）きが如（ごと）く、斯（か）く主（しゅ）は我（わ）が不（ふ）法（ほう）を我（われ）等（ら）より遠（とほ）ざけたり、

右、　父（ちち）の其（その）子（こ）を憐（あわれ）むが如（ごと）く、斯（か）く主（しゅ）は彼（かれ）を畏（おそ）るる者（もの）を憐（あわれ）む。

左、　蓋（けだし）彼（かれ）は我（わ）が何（なに）より造（つく）られしを知（し）り、我（われ）等（ら）の塵（ちり）なるを記（き）念（ねん）す。

右、　人（ひと）の日（ひ）は草（くさ）の如（ごと）く、其（その）榮（さか）ゆること田（た）の華（はな）の如（ごと）し。

左、　風（かぜ）之（これ）を過（す）ぐれば無（なき）に歸（き）し、其（その）有（あ）りし處（ところ）も亦（また）之（これ）を識（し）らず。

右、　唯（たゞ）主（しゅ）の憐（あわれみ）は彼（かれ）を畏（おそ）るる者（もの）に世（よ）より世（よ）に至（いた）り、

左、　彼（かれ）の義（ぎ）は其約（そのやく）を守（まも）り、其（その）誡（いましめ）を懐（おも）ひて、之（これ）を行（おこな）ふ子子（しし）孫孫（そんそん）に及（およ）ばん。

右、　主（しゅ）は其（その）寶（ほう）座（ざ）を天（てん）に建（た）て、其國（そのくに）は萬物（ばんぶつ）を統（す）べ治（をさ）む。

左、　主（しゅ）の諸（もろもろ）の天（てん）使（し）、能力（ちから）を具（そな）へ、其聲（そのこゑ）に遵（したが）ひて其（その）言（ことば）を行（おこな）ふ者（もの）よ、主（しゅ）を讃（ほ）め揚（あ）げよ。

右、　主（しゅ）の悉（ことごと）くの軍（ぐん）、其旨（そのむね）を行（おこな）ふ役者（えきしや）よ、主（しゅ）を讃（ほ）め揚（あ）げよ。

左、　主（しゅ）の悉（ことごと）くの造工（わざ）よ、其（その）一切（いつさい）治（をさ）むる處（ところ）に於（おい）て主（しゅ）を讃（ほ）め揚（あ）げよ。

右列詠隊更に、聲を高くして歌ふ、　光榮（こうえい）は父（ちち）と子（こ）と聖神゜（せいしん）に歸（き）す、

左列、　今（いま）も何時（いつ）も世世（よよ）に、「アミン」。

右列復歌ふ、　我（わ）が霊（たましひ）よ、主（しゅ）を讃（ほ）め揚（あ）げよ、我（わ）が中心（ちゅうしん）よ、其聖（そのせい）なる名（な）を讃（ほ）め揚（あ）げよ。　主（しゅ）よ、爾（なんぢ）は崇（あが）め讃（ほ）めらる。

小連祷の後に第二倡和詞（アンティフォン）を歌ふ。

左列詠隊、　光榮（こうえい）は父（ちち）と子（こ）と聖神゜（せいしん）に歸（き）す。

我（わ）が霊（たましひ）よ、主（しゅ）を讃（ほ）め揚（あ）げよ。我（われ）生（い）ける中（うち）主（しゅ）を讃（ほ）め揚（あ）げん、我（われ）存命（ぞんめい）の中（うち）吾（わ）が神（かみ）に歌（うた）はん。

右列詠隊、　牧伯（ぼくはく）を恃（たの）む毋（なか）れ、救（すく）ふ能（あた）はざる人（ひと）の子（こ）を恃（たの）む毋（なか）れ。

左、　彼（かれ）氣（いき）絕（た）ゆれば土（つち）に歸（かへ）り、凡（およ）そ彼（かれ）が謀（はか）る所（ところ）は卽日（そのひ）に消（き）ゆ。

右、　イアコフの神（かみ）に佑（たす）けらるる人（ひと）は福（さいわい）なり。

左、　主（しゅ）神（かみ）、卽（すなはち）天（てん）地（ち）と海（うみ）と凡（およ）そ其中（そのうち）に在（あ）る物（もの）とを造（つく）り、永（なが）く眞實（しんじつ）を守（まも）り、

右、　窘迫（きんぱく）せらるる者（もの）の為（ため）に判（さばき）をなし、飢（う）うる者（もの）に糧（かて）を與（あた）ふる主（しゅ）を恃（たの）む人（ひと）は福（さいわい）なり。

左、　主（しゅ）は囚人（めしうど）を釋（と）き、主（しゅ）は瞽者（めしひ）の目（め）を開（ひら）き、主（しゅ）は屈（かが）められし者（もの）を起（おこ）し、主（しゅ）は義（ぎ）人（じん）を愛（あい）す。

右、　主（しゅ）は覉客（たびびと）を護（まも）り、孤（みなし）子（ご）と寡婦（やもめ）とを佑（たす）け、惟（ただ）不（ふ）虔者（けんしや）の途（みち）を覆（くつが）へす。

左、　主（しゅ）は永遠（えいえん）に王（おう）とならん、シオンよ、爾（なんぢ）の神（かみ）は世世（よよ）に王（おう）とならん。

今も、第六調。

神（かみ）の独生（どくせい）の子（こ）竝（ならび）に言（ことば）よ、死（し）せざる者（もの）にして、我（われ）等（ら）を救（すく）はん為（ため）に甘（あまん）じて聖（せい）なる生神女（しようしんぢよ）、永貞（えいてい）童女（どうぢよ）マリヤより身（み）を取（と）り、性（せい）を易（か）へずして人（ひと）と為（な）り、十（じふ）字架（じか）に釘（くぎ）うたれ、死（し）を蹈（ふ）み破（やぶ）りしハリストス神（かみ）よ、聖三者（せいさんしや）の一（いつ）として、父（ちち）及（およ）び聖神゜（せいしん）と共（とも）に讃榮（さんえい）せらるる主（しゅ）よ、我（われ）等（ら）を救（すく）ひ給（たま）へ。

次ぎて眞福詞、十二段に、

右列、　主（しゅ）よ、爾（なんぢ）の國（くに）に於（おい）て我（われ）等（ら）を憶（おも）ひ給（たま）へ。

神゜（しん）の貧（まづ）しき者（もの）は福（さいわい）なり、天國（てんこく）は彼（かれ）等（ら）の有（もの）なればなり。

左列、　泣（な）く者（もの）は福（さいわい）なり、彼（かれ）等（ら）慰（なぐさめ）を得（え）んとすればなり。

十段に、

右、　温柔（おんじう）なる者（もの）は福（さいわい）なり、彼（かれ）等（ら）地（ち）を嗣（つ）がんとすればなり。

左、　義（ぎ）に飢（う）ゑ渇（かわ）く者（もの）は福（さいわい）なり、彼（かれ）等（ら）飽（あ）くを得（え）んとすればなり。

八段に、

右、　矜恤（あわれみ）ある者（もの）は福（さいわい）なり、彼（かれ）等（ら）矜恤（あわれみ）を得（え）んとすればなり。

左、　心（こころ）の清（きよ）き者（もの）は福（さいわい）なり、彼（かれ）等（ら）神（かみ）を見（み）んとすればなり。

六段に、

右、　和（わ）平（へい）を行（おこな）ふ者（もの）は福（さいわい）なり、彼（かれ）等（ら）神（かみ）の子（こ）と名（な）づけられんとすればなり。

左、　義（ぎ）の為（ため）に窘逐（きんちく）せらるる者（もの）は福（さいわい）なり、天國（てんこく）は彼（かれ）等（ら）の有（もの）なればなり。

四段に、

右、　人（ひと）我（われ）の為（ため）に爾（なんぢ）等（ら）を詬（ののし）り、窘逐（きんちく）し、爾（なんぢ）等（ら）の事（こと）を譌（いつは）りて諸（もろもろ）の悪（あ）しき言（ことば）を言（い）はん時（とき）は、爾（なんぢ）等（ら）福（さいわい）なり。

左、　喜（よろこ）び楽（たの）しめよ、天（てん）には爾（なんぢ）等（ら）の賞（むくい）多（おほ）ければなり。

右、　光榮（こうえい）は父（ちち）と子（こ）と聖（せい）神（しん）゜に歸（き）す。

左、　今（いま）も何時（いつ）も世世（よよ）に、「アミン」。

或日には、定則の示す如く、左の倡和詞（アンティフォン）を歌ふ。

主（しゅ）を讃榮（さんえい）するは美（び）なる哉（かな）。　救世主（きゅうせいしゅ）よ、生神女（しようしんぢよ）の祈（き）祷（とう）に因（よ）りて我（われ）等（ら）を救（すく）ひ給（たま）へ。

句、　至（し）上（じよう）者（しゃ）よ、主（しゅ）を讃榮（さんえい）し、爾（なんぢ）の名（な）に歌（うた）ふは美（び）なる哉（かな）。　救世主（きゅうせいしゅ）よ、生神女（しようしんぢよ）の祈（き）祷（とう）に因（よ）りて我（われ）等（ら）を救（すく）ひ給（たま）へ。

句、　爾（なんぢ）の憐（あわれみ）を朝（あさ）に宣（の）べ、爾（なんぢ）の眞（まこと）を夜（よ）に宣（の）ぶるは美（び）なる哉（かな）。　救世主よ、生神女の祈祷に因りて我等を救ひ給へ。

句、　主（しゅ）我（わ）が神（かみ）は義（ぎ）にして、其中（そのうち）に不義（ふぎ）なければなり。　救世主よ、生神女の祈祷に因りて我等を救ひ給へ。

光榮、　救世主よ、生神女の祈祷に因りて我等を救ひ給へ。

今も、　救世主よ、生神女の祈祷に因りて我等を救ひ給へ。

第二倡和詞

主（しゅ）は王（おう）たり、彼（かれ）は威（い）厳（げん）を衣（き）たり。　救世主（きゅうせいしゅ）よ、爾（なんぢ）の諸聖人（しょせいじん）の祈（き）祷（とう）に因（よ）りて我（われ）等（ら）を救（すく）ひ給（たま）へ。

句、　主（しゅ）は王（おう）たり、彼（かれ）は威（い）厳（げん）を衣（き）たり、主（しゅ）は能力（のうりょく）を衣（き）、又（また）之（これ）を帯（おび）にせり、　救世主（きゅうせいしゅ）よ、爾（なんぢ）の諸聖人（しょせいじん）の祈（き）祷（とう）に因（よ）りて我（われ）等（ら）を救（すく）ひ給（たま）へ。

句、　故（ゆゑ）に世（せ）界（かい）は堅（けん）固（ご）にして動（うご）かざらん。　救世主よ、爾の諸聖人の祈祷に因りて我等を救ひ給へ。

句、　爾（なんぢ）の啓（けい）示（し）は誠（まこと）に正（ただ）し、主（しゅ）よ、聖徳（せいとく）は爾（なんぢ）の家（いへ）に属（ぞく）して永遠（えいえん）に至（いた）らん。　救世主よ、爾の諸聖人の祈祷に因りて我等を救ひ給へ。

光榮、今も、「神（かみ）の独生（どくせい）の子（こ）竝（ならび）に言（ことば）よ」。

第三倡和詞

來（きた）りて主（しゅ）に歌（うた）ひ、神（かみ）我（わ）が救世主（きゅうせいしゅ）に呼（よ）ばん、　聖者（せいしゃ）の中（うち）に厳（おごそか）に顕（あらは）るる神（かみ）の子（こ）よ、我（われ）等（ら）爾（なんぢ）に「アリルイヤ」を歌（うた）ふ者（もの）を救（すく）ひ給（たま）へ。

句、　讃揚（さんよう）を以（もつ）て其（その）顔（かんばせ）の前（まへ）に進（すす）み、歌（うた）を以（もつ）て彼（かれ）に呼（よ）ばん、　聖者（せいしゃ）の中（うち）に厳（おごそか）に顕（あらは）るる神（かみ）の子（こ）よ、我（われ）等（ら）爾（なんぢ）に「アリルイヤ」を歌（うた）ふ者（もの）を救（すく）ひ給（たま）へ。

句、　蓋（けだし）主は大（おほい）なる神（かみ）、大（おほい）なる王（おう）にして、諸神（しょしん）に勝（まさ）る。　聖者の中に厳に顕るる神の子よ、我等爾に「アリルイヤ」を歌ふ者を救ひ給へ。

句、　地（ち）の深（ふか）き處（ところ）は其（その）手（て）に在（あ）り、山（やま）の巓（いただき）も彼（かれ）に属（ぞく）す、　聖者の中に厳に顕るる神の子よ、我等爾に「アリルイヤ」を歌ふ者を救ひ給へ。

句、　海（うみ）は彼（かれ）に属（ぞく）す、彼（かれ）之（これ）を造（つく）れり、陸（くが）も亦（また）其（その）手（て）の造（つく）りし所（ところ）なり。　聖者の中に厳に顕るる神の子よ、我等爾に「アリルイヤ」を歌ふ者を救ひ給へ。

福音経の聖入の後に歌ふ、

來（きた）りてハリストスの前（まへ）に伏（ふ）し拜（をが）まん、神（かみ）の子（こ）、聖者（せいしゃ）の中（うち）に厳（おごそか）に顕（あらは）るる主（しゅ）よ、我（われ）等（ら）爾（なんぢ）に「アリルイヤ」を歌（うた）ふ者（もの）を救（すく）ひ給（たま）へ。

主日には「聖者の中に厳に顕るる主」に代へて、「死より復活せし主」を歌ふ。

聖（せい）なる神（かみ）、聖（せい）なる勇（ゆう）毅（き）、聖（せい）なる常生（じようせい）の者（もの）よ、我（われ）等（ら）を憐（あわれ）めよ。

両詠隊更（かはる〳〵）三次。光榮、今も、聖なる常生の者よ、我等を憐めよ。

右列詠隊更に高き聲を以て歌ふ、

聖なる神、聖なる勇毅、聖なる常生の者よ、我等を憐めよ。

提綱（ポロキメン）、使徒誦読。「アリルイヤ」。福音経誦読。

主（しゅ）よ、光榮（こうえい）は爾（なんぢ）に歸（き）す、光榮（こうえい）は爾（なんぢ）に歸（き）す。

次ぎて連祷、及びヘルヴィムの歌。

我（われ）等（ら）奥密（おうみつ）にヘルヴィムを像（かたど）り、聖三（せいさん）の歌（うた）を生命（いのち）を施（ほどこ）す三者（さんしゃ）に歌（うた）ひて、今（いま）此（こ）の世（よ）の慮（おもんぱかり）を悉（ことごと）く退（しりぞ）く可（べ）し。

天（てん）使（し）の軍（ぐん）の見（み）えずして舁（にな）ひ奉（たてまつ）る萬有（ばんゆう）の王（おう）を戴（いただ）かん為（ため）なり。「アリルイヤ」、「アリルイヤ」、「アリルイヤ」。

大木曜日にはヘルヴィムの歌に代へて左の讃詞（トロパリ）を歌ふ。

神（かみ）の子（こ）よ、今（いま）我（われ）を爾（なんぢ）が機（き）密（みつ）の筵（えん）に與（あづか）る者（もの）として容（い）れ給（たま）へ、蓋（けだし）我（われ）爾（なんぢ）の仇（あだ）に機（き）密（みつ）を告（つ）げざらん、又（また）爾（なんぢ）にイウダの如（ごと）き接吻（せつぷん）を為（な）さざらん、乃（すなはち）盗賊（とうぞく）の如（ごと）く爾（なんぢ）を承（う）け認（みと）めて曰（い）ふ、主（しゅ）よ、爾（なんぢ）の國（くに）に於（おい）て我（われ）を記（き）念（ねん）せよ。「アリルイヤ」、「アリルイヤ」、「アリルイヤ」。

大「スボタ」にはヘルヴィムの歌に代へて左の讃詞（トロパリ）を歌ふ。

人（ひと）の肉體（にくたい）は悉（ことごと）く黙（もだ）し、畏（おそ）れ戦（をのゝ）きて立（た）つべし、一（いつ）も地（ち）の事（こと）を己（おのれ）の中（うち）に思（おも）ふ可（べ）からず、蓋（けだし）王（おう）の王（おう）、主（しゅ）の主（しゅ）は屠（ほふ）られて信者（しんじや）の食（しょく）に予（あた）へられん為（ため）に來（きた）る、天軍（てんぐん）は凡（およそ）の主制（しゅせい）及（およ）び権柄（けんぺい）と共（とも）に、多（た）目（もく）のヘルヴィムと六翼（りくよく）のセラフィムとは面（おもて）を覆（おほ）ひ、彼（かれ）に先（さきだ）ちて、歌（うた）ひて曰（い）ふ、。「アリルイヤ」、「アリルイヤ」、「アリルイヤ」。

連祷。詠隊、　主憐めよ、又、主賜へよ、

常式の如し。連祷の後に司祭、　衆人に平安。

詠隊、　爾の神゜（しん）にも。

司祭（或は輔祭）、　我（われ）等（ら）互（たがひ）に相愛（あひあい）す可（べ）し、同心（どうしん）にして承（う）け認（みと）めんが為（ため）なり。

詠隊、　父（ちち）と子（こ）と聖神゜（せいしん）、一體（いつたい）にして分（わか）れざる聖三者（せいさんしゃ）を。

聖なる信経

我（われ）信（しん）ず一（ひとつ）の神父（かみちち）全能者（ぜんのうしゃ）、天（てん）と地（ち）、見（み）ゆると見（み）えざる萬物（ばんぶつ）を造（つく）りし主（しゅ）を。又（また）信（しん）ず一（ひとつ）の主（しゅ）イイスス ハリストス、神（かみ）の独生（どくせい）の子（こ）、萬（よろず）世（よ）の前（さき）に父（ちち）より生（うま）れ、光（ひかり）よりの光（ひかり）、真（まこと）の神（かみ）よりの真（まこと）の神（かみ）、生（うま）れし者（もの）にて造（つく）られしに非（あら）ず、父（ちち）と一體（いつたい）にして萬物（ばんぶつ）彼（かれ）に造（つく）られ、我（われ）等（ら）人人（ひとびと）の為（ため）、又（また）我（われ）等（ら）の救（すくひ）の為（ため）に天（てん）より降（くだ）り、聖神゜（せいしん）及（およ）び童貞女（どうていぢょ）マリヤより身（み）を取（と）り、人（ひと）と為（な）り、我（われ）等（ら）の救（すくひ）の為（ため）にポンティイ ピラトの時（とき）十（じふ）字架（じか）に釘（くぎ）うたれ、苦（くるしみ）を受（う）け、葬（はうむ）られ、第三日（だいさんじつ）に聖書（せいしょ）に應（かな）ひて復活（ふくかつ）し、天（てん）に升（のぼ）り、父（ちち）の右（みぎ）に坐（ざ）し、光榮（こうえい）を顕（あらは）して生（い）ける者（もの）と死（し）せし者（もの）とを審判（しんぱん）する為（ため）に還（また）來（きた）り、其國（そのくに）終（をはり）なからんを。

又（また）信（しん）ず聖神゜（せいしん）、主（しゅ）、生（いのち）を施（ほどこ）す者（もの）、父（ちち）より出（い）で、父（ちち）及（およ）び子（こ）と共（とも）に拜（をが）まれ讃（ほ）められ、預（よ）言者（げんしゃ）を以（もつ）て嘗（かつ）て言（い）ひしを。又（また）信（しん）ず一（ひとつ）の聖（せい）なる公（おほやけ）なる使徒（しと）の教会（きょうかい）を。我（われ）認（みと）む一（ひとつ）の洗礼（せんれい）、以（もつ）て罪（つみ）の赦（ゆるし）を得（う）るを。我（われ）望（のぞ）む死（し）者（しゃ）の復活（ふくかつ）、竝（ならび）に來世（らいせい）の生命（いのち）を、「アミン」。

司祭（或は輔祭）、　「正しく立ち」。

詠隊、　安（あん）和（わ）の惠（めぐみ）、讃揚（さんよう）の祭（まつり）を。

司祭、　願（ねが）はくは我（われ）等（ら）の主（しゅ）イイスス ハリストスの恩寵（おんちょう）、神父（かみちち）の仁愛（じんあい）、聖神゜（せいしん）の交親（こうしん）は、爾（なんぢ）等（ら）衆（しゅう）と偕（とも）に在（あ）らんことを。

詠隊、　爾（なんぢ）の神゜（しん）とも。

司祭、　心（こころ）上（うへ）に向（むか）ふべし。

詠隊、　主（しゅ）に向（むか）へり。

司祭、　主（しゅ）に感謝（かんしゃ）すべし。

詠隊、　父（ちち）と子（こ）と聖神゜（せいしん）、一體（いつたい）にして分（わか）れざる聖三者（せいさんしゃ）に伏（ふ）し拜（をが）むは當然（とうぜん）にして義（ぎ）なり。

司祭、　「凱歌（かちうた）を歌ひ」。

詠隊、　聖（せい）、聖（せい）、聖（せい）なる哉（かな）主（しゅ）「サワオフ」、爾（なんぢ）の光榮（こうえい）は天（てん）地（ち）に満（み）つ、至（いと）高（たか）きに「オサンナ」、主（しゅ）の名（な）に因（よ）りて來（きた）る者（もの）は崇（あが）め讃（ほ）めらる、至（いと）高（たか）きに「オサンナ」。

司祭、　「取りて食（くら）へ」。詠隊、　「アミン」。

司祭、　「皆之を飲め」。詠隊、　「アミン」。

司祭、　「爾の賜を爾の諸僕より」。詠隊、　主（しゅ）よ、爾（なんぢ）を崇（あが）め歌（うた）ひ、爾（なんぢ）を讃（ほ）め揚（あ）げ、爾（なんぢ）に感謝（かんしゃ）し、我（わ）が神（かみ）よ、爾（なんぢ）に禱（いの）る。

司祭、　「特に至聖至潔にして」。詠隊歌ふ、

常（つね）に福（さいわい）にして全（まつた）く玷（きず）なき生神女（しようしんぢょ）、吾（わ）が神（かみ）の母（はは）なる爾（なんぢ）を讃（さん）美（び）するは眞（まこと）に當（あた）れり、ヘルヴィムより尊（たつと）くセラフィムに並（ならび）なく榮（さか）え、貞操（みさを）を壊（やぶ）らずして神（かみ）言（ことば）を生（う）みし実（じつ）の生神女（しようしんぢょ）たる爾（なんぢ）を崇（あが）め讃（ほ）む。

若し大ワシリイの聖体礼儀（リトゥルギヤ）ならば左の如し、

恩寵（おんちょう）を満（み）ち被（かうむ）る者（もの）よ、凡（およそ）の造物（ぞうぶつ）、天（てん）使（し）の會（かい）及（およ）び人（ひと）の族（やから）は爾（なんぢ）に因（よ）りて喜（よろこ）ぶ、爾（なんぢ）は聖（せい）にせられし宮（みや）、霊（れい）智（ち）なる楽園（らくえん）、童貞女（どうていぢょ）の誉（ほまれ）なり、神（かみ）は爾（なんぢ）より身（み）を取（と）り、世世（よよ）の先（さき）より在（いま）す我（われ）等（ら）の神（かみ）は嬰兒（おさなご）となり給（たま）へり、蓋（けだし）爾（なんぢ）の胎（たい）を宝（ほう）座（ざ）となし、爾（なんぢ）の腹（はら）を天（てん）より廣（ひろ）き者（もの）となせり。恩寵（おんちょう）を満（み）ち被（かうむ）る者（もの）よ、凡（およそ）の造物（ぞうぶつ）は爾（なんぢ）に因（よ）りて喜（よろこ）ぶ、光榮（こうえい）は爾（なんぢ）に歸（き）す。

連祷。詠隊、　主憐めよ。常式の如し。

　 司祭、　「主宰よ、我等に勇（いさみ）を以て」。詠隊歌ふ、

天（てん）に在（いま）す我（われ）等（ら）の父（ちち）よ、願（ねが）はくは爾（なんぢ）の名（な）は聖（せい）とせられ、爾（なんぢ）の國（くに）は來（きた）り、爾（なんぢ）の旨（むね）は天（てん）に行（おこな）はるるが如（ごと）く地（ち）にも行（おこな）はれん、我（わ）が日用（にちよう）の糧（かて）を今日（こんにち）我（われ）等（ら）に與（あた）へ給（たま）へ、我（われ）等（ら）に債（おひめ）ある者（もの）を我（われ）等（ら）免（ゆる）すが如（ごと）く、我（われ）等（ら）の債（おひめ）を免（ゆる）し給（たま）へ、我（われ）等（ら）を誘（いざなひ）に導（みちび）かず、猶（なほ）我（われ）等（ら）を凶悪（きょうあく）より救（すく）ひ給（たま）へ。

其他常式の如く、謹（つゝし）みて聴（き）くべし、に至る、聖（せい）なる物（もの）は聖（せい）なる人（ひと）に。詠隊歌ふ、

聖（せい）なるは独（ひとり）、主（しゅ）なるは独（ひとり）、神父（かみちち）の光榮（こうえい）を顕（あらは）すイイスス ハリストスなり、「アミン」。

一週間中の領聖詞（キノニク）

主日の領聖詞、第八調。

天（てん）より主（しゅ）を讃（ほ）め揚（あ）げよ、至（いと）高（たかき）に彼（かれ）を讃（ほ）め揚（あ）げよ。「アリルイヤ」。三次。

月曜日の、第一調。

爾（なんぢ）は風（かぜ）を以（もつ）て爾（なんぢ）の使（し）者（しゃ）と為（な）し、焔（ほのほ）を以（もつ）て爾（なんぢ）の役者（えきしゃ）と為（な）す。「アリルイヤ」。三次。

火曜日の、第八調。

義（ぎ）人（じん）は永（なが）く記（き）憶（おく）せられ、悪評（あくひょう）を懼（おそ）れざらん。「アリルイヤ」。三次。

水曜日の、第六調。

我（われ）救（すくひ）の爵（しゃく）を受（う）けて、主（しゅ）の名（な）を籲（よ）ばん。「アリルイヤ」。三次。

木曜日の、第六調。

其聲（そのこゑ）は全（ぜん）地（ち）に傳（つた）はり、其（その）言（ことば）は地（ち）の極（はて）に至（いた）る。「アリルイヤ」。三次。

金曜日の、第六調。

神（かみ）よ、爾（なんぢ）は救（すくひ）を地（ち）の中（なか）に作（な）せり。「アリルイヤ」。三次。

「スボタ」の、第五調。

主（しゅ）よ、爾（なんぢ）が選（えら）びて近（ちか）づけし者（もの）は福（さいわい）なり、彼（かれ）等（ら）の記（き）憶（おく）は世世（よよ）に在（あ）らん。「アリルイヤ」。三次。

聖（せい）錫（しゃく）を挙（きょ）示（し）する時、司祭（或は輔祭）曰く、神（かみ）を畏（おそ）るる心（こころ）と信（しん）とを以（もつ）て近（ちか）づき來（きた）れ。

詠隊歌ふ、主（しゅ）の名（な）に依（よ）りて來（きた）る者（もの）は崇（あが）め讃（ほ）めらる、主（しゅ）は神（かみ）なり、我（われ）等（ら）を照（てら）せり。

司祭、「神よ、爾の民を救ひ」。

詠隊、我（われ）等（ら）已（すで）に眞（まこと）の光（ひかり）を観（み）、天（てん）の聖神゜（せいしん）を受（う）け、正（ただ）しき信（しん）を得（え）て、分（わか）れざる聖三者（せいさんしゃ）を拜（をが）む、彼（かれ）我（われ）等（ら）を救（すく）ひ給（たま）へばなり。

司祭、今（いま）も何時（いつ）も世世（よよ）に、

詠隊、「アミン」。

主（しゅ）よ、願（ねが）はくは我（わ）が口（くち）は讃（さん）美（び）に満（み）てられて、我（われ）等（ら）爾（なんぢ）の光榮（こうえい）を歌（うた）はん、爾（なんぢ）我（われ）等（ら）に神聖（しんせい）にして不死（ふし）なる生命（いのち）を施（ほどこ）す爾（なんぢ）の聖（せい）機（き）密（みつ）を領（う）くるを許（ゆる）したればなり、祈（いの）る、我（われ）等（ら）を爾（なんぢ）の成聖（せいせい）に護（まも）りて、終日（しゅうじつ）爾（なんぢ）の義（ぎ）を習（なら）はしめ給（たま）へ。「アリルイヤ」。三次。

連祷。升（しょう）壇（だん）外の祝文。司祭衆人に代聖錫（アンティドル）を頒つ。

詠隊、願（ねが）はくは主（しゅ）の名（な）は崇（あが）め讃（ほ）められて、今（いま）より世世（よよ）に至（いた）らん。三次。

第三十三聖詠、我（われ）何（いづれ）の時にも主を讃め揚げん云云　終に至る。

司祭、「願はくは主の降福は」。又、ハリストス神（かみ）我（われ）等（ら）の恃（たのみ）よ、光榮（こうえい）は爾（なんぢ）に歸（き）す、光榮（こうえい）は爾（なんぢ）に歸（き）す。

詠隊、光榮（こうえい）は父（ちち）と子（こ）と聖神゜（せいしん）に歸（き）す、今（いま）も何時（いつ）も世世（よよ）に、「アミン」。主（しゅ）憐（あわれ）めよ。三次。福（ふく）を降（くだ）せ。

司祭発放詞を誦す。詠隊萬壽詞を歌ふ。

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