碑 (牧野虚太郎)


湖水にちかい森の
清潔な誓のなげられたあたり
髪を伏せ 遠い肌に
素足のやうな眠りがいとなまれている
距離がむなしくめぐり
いくとせか
樹々が傾ける青い窓に
影は身をかはし
永劫にふれた指の
かたくなな表情にたほれてゐた
いつか路につらなり
言葉の彫琢につきそはれて
玻璃のかなしい時をあけ
雲のやうな庭をとほり
郷愁の傷つかぬがままに
うたは遠くなつていた