皇室典範增補 (昭和二十一年十二月二十七日)
天佑ヲ享有シタル我カ日本帝國皇家ノ成典ハ祖宗ノ洪範ヲ紹述シテ敢テ違フコトアルナシ而シテ人文ノ發展ハ寰宇ノ進運ニ隨ヒ制度ノ燦備ハ條章ノ增廣ヲ必トス是ノ時ニ當リ朕ハ祖宗ノ不基ヲ永遠ニ鞏固ニスル所以ノ良圓ヲ惟ヒ且憲章ニ由テ以テ皇族ノ分義ヲ昭ニセムコトヲ欲シ茲ニ皇族會議及樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ皇室典範增補ヲ裁定シ朕カ子孫及臣民ヲシテ之ニ率由シテ愆ルコトナキヲ期セシム
明治四十年二月十一日
宮 內 大 臣子爵田 中 光 顯
內閣總理大臣侯爵西園寺公望
陸 軍 大 臣 寺 內 正 毅
農 商 務 大臣 松 岡 康 毅
海 軍 大 臣 齋 藤 實
大 藏 大 臣 | 法學 博士 |
阪 谷 芳 郞 |
遞 信 大 臣 山縣伊三郞
司 法 大 臣 松 田 正 久
內 務 大 臣 原 敬
文 部 大 臣 牧 野 信 顯
外 務 大 臣子爵林 董
皇室典範增補
第一條 內親王王女王ハ勅旨又ハ情願ニ依リ臣籍ニ入ラシムルコトアルヘシ
第二條 王ハ勅許ニ依リ華族ノ家督相續人トナリ又ハ家督相續ノ目的ヲ以テ華族ノ養子トナルコトヲ得
第三條 前二條ニ依リ臣籍ニ入リタル者ノ妻直系卑屬及其ノ妻ハ其ノ家ニ入ル但シ他ノ皇族ニ嫁シタル女子及其ノ直系卑屬ハ此ノ限ニ在ラス
第四條 特權ヲ剝奪セラレタル皇族ハ勅旨ニ由リ臣籍ニ降スコトアルヘシ
前項ニ依リ臣籍ニ降サレタル者ノ妻ハ其ノ家ニ入ル
第五條 第一條第二條第四條ノ場合ニ於テハ皇族會議及樞密顧問ノ諮詢ヲ經ヘシ
第六條 皇族ノ臣籍ニ入リタル者ハ皇族ニ復スルコトヲ得ス
第七條 皇族ノ身位其ノ他ノ權義ニ關スル規程ハ此ノ典範ニ定メタルモノノ外別ニ之ヲ定ム
皇族ト人民トニ涉ル事項ニシテ各々適用スヘキ法規ヲ異ニスルトキハ前項ノ規程ニ依ル
第八條 法律命令中皇族ニ適用スヘキモノトシタル規定ハ此ノ典範又ハ之ニ基ツキ發スル規則ニ別段ノ條規ナキトキニ限リ之ヲ適用ス
この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。
- 法律命令及官公󠄁文󠄁書
- 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
- 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁
この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。