癩療養所の創設 (沖縄民政府公報)

• 1947年2月10日軍政府特別布告第13号
• 出典:1947年2月20日沖縄民政府公報第1号
• 発効:1947年2月10日 → 第12条
• 廃止:1964年2月13日 → 軍政府特別布告第13号の廃止について
• 註: 以下のリストに掲載される漢字はJIS X 0208外の異体字であり、Unicode表のBMP（基本多言語面、0面）が正しく表示できない環境によっては正しく記されない可能性がある。尚U+FA30からU+FA60の文字は、JIS X 0213対応のフォント（IPAフォント等）による記述を行っている。

  • 凡例

    親字 → 異体字 (Unicode番号) ; 異体字の説明。

  • 告 → 吿 (U+543F) ; 「靠」の「非」を除いた字形
  • 諸 → 諸 (U+FA22) ; 「者」の部分が「偖」の旁部分となる字形
  • 海 → 海 (U+FA45) ; 「毋」の部分が「母」となる字形
  • 者 → 者 (U+FA5B) ; 「偖」の旁部分となる字形
  • 説 → 說 (U+8AAA) ; 旁が「兌」となる字形
  • 状 → 狀 (U+72C0) ; 偏が「爿」となる字形
  • 絶 → 絕 (U+7D55) ; 7、8画目の部分が「刀」となる字形
  • 歩 → 步 (U+6B65) ; 7画目を除いた字形
• 註: 原文では第2条に「療所」と書かれているが、後にペン書きで「養」を追加されているが、これが法的な手続による正誤であるか不明である。また、いくつかの文字で通常より小さい活字を使用しており、活字不足が原因であろうと判断できるが、あくまで憶測でしかない。これら事象について当ページでは、原文に忠実に記すことにする。
• 註: このページでは、法令沿革が不明なため現在表示されている文章が最新の条文（廃止・消滅・実効性喪失しているのならば、その直前の条文を指す。）という保証はできません。なお特に説明がない場合は、公布された直後の条文を載せています。

米陸軍政府

特別布吿第十三號

南西諸島及其ノ近海住民ニ吿グ

公衆ノ健康ノ保護竝ニ其ノ保持ヲ期スルタメラ癩病ニ冒サレタル者ヲ隔離シ且ツ南西諸島ニ癩療養所ヲ創設シ之ガ維持ヲ規定スルヲ必要ト認ムルヲ以テ餘南西諸島及其ノ近海諸島軍政府長官米國陸軍准將フレデリツク、エルヘイデンハ茲ニ次ノ如ク布吿ス

第一條　 用語ノ解說

本布吿及コレニ關聯スル總テノ塲合ニ於テ癩病トハ「ミーコバクデウムレブラエ」ナル特定菌ニヨル慢性傳染病ニシテ癩患者トハらい病ニ冒サレタル者ヲ謂フ

第二條　 らい療養所ノ創設

感染若クハ傳染シ得ル狀態ニアルらい病ニ冒サレテヰル者ヲ爲スタメ民政府ハ隔絕セル塲所ニらい療所ヲ創設シ且之ヲ維持スベシ

第三條　 管轄

らい療養所ハ各行政區劃ニ於ケル當該民政府公衆衞生部長ノ監督運營統制ヲ受クベシ

第四條　 職務

各民政府公衆衞生部長ハ感染シ得ル狀態ニアルらい病ニ冒サレタル者若クハ其ノ疑アル者ノ診斷、隔離、養護及治療ノタメ施設ヲナスヲ以テ其ノ法的職務トス

第五條　 らい患者ニ關スル報吿

らい病ニ罹レル者若クハ其ノ疑アル者アリタル場合ハ醫師及ビ醫師以外ノ者ト雖モ凡テ遲滯ナク之ヲ民公衆衞生部長若クハ其ノ部下ニ報吿スルヲ要ス民公衆衞生部長若クハ其ノ部下ハ同報吿ヲ接受セルニ於テハ直チニ其ノ措置ヲ講ズベシ

第六條　 治療

らい病ニ罹リ若クハ其ノ疑アル者ハ民公衆衞生部長若クハ其ノ正式ニ權能ヲ附與サレタル代表者ノ意見ニシテ全治力若クハ非感染性又ハ無病ノ證明ヲ受クルマデハらい療養所ニ收容サレ治療及ビ隔離ヲ受クベシ

第七條　 らい患者幇助禁止事項

何人ト雖モらい病ヲ隱蔽シらい患者ヲ隱匿シらい患者逃亡ヲ援助シ及至ハらい患者ノ連行ヲ妨害スルハ違法タルベシ

第八條　 禁止區域

何人タリト雖モ正式ノ許可ナクシテらい療養所ニ指定セラレタル塲所若クハ地域ニ入リ又ハ在ルハ違法タルベシ

第九條　 罰則

本布吿ノ規定ヲ犯ス者ハ何人ト雖モ特別軍事法廷ニ於テ定罪ノ上處罰即チ罰金体刑又ハ其ノ兩刑若クハ法廷ノ決定スル其ノ他ノ刑罰（ばつ）ニ處セラルベシ

第十條　 命令作成權

軍政府副長官ハ公衆衞生部長ヲ通ジ本布吿ノ目的達成ニ必要ト思惟スル命令若クハ規程ヲ作製シ且ツ隨時コレヲ修正スルコトヲ得

第十一條　 翻譯

本布吿若クハ本官ノ權能ノ下ニ發布スル其ノ他ノ布吿命令若クハ規程ノ英語原文ト其ノ翻譯文ノ間ニ矛盾又ハ曖昧ノ点生ジタルトキハ英文ヲ以テ本体トス

第十二條　 有効期日

本布吿ハ一九四七年二月十日ヨリ有効トス

本官署名ノ下ニ

一九四七年二月十日

軍政府長官琉球列島

司令長官　 陸軍准將

フレデリツク、エル、ヘイデン

公文

軍政府副長官步兵大佐

ウイリアム、エイチ、クレイグ