特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律第二十三条第一項の規定に基づき、特定フロンの排出抑制・使用合理化指針を定めた件
〇 | 環境庁 通商産業省 |
告示第二号
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特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(昭和六十三年法律第五十三号)第二十三条第一項の規定に基づき、特定フロンの排出抑制・使用合理化指針を次のように定めたので、告示する。
昭和六十四年一月四日
特定フロンの排出抑制・使用合理化指針
我が国は、国際的に協力してオゾン層を保護するため、オゾン層の保護のためのウィーン条約(以下「条約」という。)及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書(以下「議定書」という。)に基づき、特定フロン(特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(以下「法」という。)第2条第1項に規定する物質をいう。以下同じ。)の生産量の削減等を実施することとしている。
このため、法は、特定フロンの製造等の規制を行うこととしているが、これに加えて、特定フロンを業として使用する者(以下「使用事業者」という。)が特定フロンの排出の抑制(密閉、吸着、凝縮等を通じ、使用事業者による特定フロンの大気中への放出の抑制に資することをいう。以下同じ。)を図ることが、オゾン層への付加ができる限り軽減する観点から有意義であり、また、使用事業者が特定フロンの使用の合理化(代替品の導入、回収再利用、省フロン型設備の導入等を通じ、我が国全体としての特定フロンの有効利用に資することをいう。以下同じ。)を図ることが、特定フロンの有効利用を図り、特定フロンの供給の削減の円滑な実施を図る観点から有意義である。
このような趣旨から、本指針は、法第23条第1項に基づき、使用事業者が特定フロンの排出の抑制及び使用の合理化に関する自主的な努力を行うために必要な事項を定め、もつて条約及び議定書の円滑な実施を確保することを目的とするものである。
1 一般的対策
⑴ 作業要領の策定
特定フロンの排出の抑制及び使用の合理化を行うために必要な以下の内容を含む作業要領を策定し、特定フロンを使用する作業に従事する者に遵守させること。
① 特定フロンを使用する装置及び設備(以下「特定フロン使用設備」という。)に関する特定フロンの排出の抑制及び使用の合理化のために有効な管理方法
② 特定フロン使用設備を使用する場合の特定フロンの排出の抑制及び使用の合理化のために有効な作業手順
③ その他特定フロンの排出の抑制及び使用の合理化のために有効な対策及び注意事項(必要に応じ、特定フロンが使用されている旨の明示、事業所内における特定フロンの保管等に関する事項を含む。)
⑵ 日常点検・補修の実施
特定フロンの排出の抑制及び使用の合理化を行う観点から、特定フロンの使用設備の損傷、腐食等による特定フロンの漏洩の有無等について日常的に点検を行い、その結果異常が認められた場合には、速やかに補修その他の必要な措置を講ずること。
⑶ 指針の内容等の周知徹底
特定フロンを使用する作業に従事する者に対して、本指針の内容及び本指針に基づく特定フロンの排出の抑制及び使用の合理化のための具体的な方法に関して周知徹底を行うこと。
2 具体的対策
⑴ 既存の特定フロン使用設備の改良
特定フロンの排出の抑制及び使用の合理化のための十分な対策が講じられていない既存の特定フロン使用設備において特定フロンを使用する場合には、技術的可能性を勘案しつつ、気密性の向上等当該設備について必要な改良を行うこと。
特に、既存の洗浄用の特定フロン使用設備については、以下の改良を行うこと。
① 被洗浄物の出入口等密閉することが困難な部分を除き、当該設備の密閉構造化を行うこと。
② 当該設備に、特定フロンの蒸気の冷却・凝縮を行うための機構を設けること。この場合、冷凍機等により十分な冷却を可能にする方式が望ましい。
③ 当該設備のフリーボード(特定フロンの蒸気層の上端から開口部までの空間をいう。)の寸法は、排出の抑制及び使用の合理化の観点から十分な長さとすること。
⑵ 洗浄用の特定フロン使用設備に係る排出抑制・回収設備の導入
洗浄用の特定フロン使用設備については、排出の抑制及び使用の合理化のため、排出抑制・回収設備の導入を図ること。
すなわち、新規に洗浄用の特定フロン使用設備を導入することに際しては、当該設備を①の設備とすることとし、また、洗浄用の特定フロン使用設備を新規に導入する場合であるか否かを問わず、②の設備を導入することが望ましい。
なお、②の設備については、1⑴及び⑵に準じた作業要領の策定及び日常点検・補修の実施を行うとともに、必要に応じて自主的な検査を行い、その結果以上が認められた場合には、速やかに補修その他の必要な措置を講ずること。
① 特定フロンの冷却・凝縮を行う機構を有し、かつ、密閉構造その他の特定フロンの排出の抑制及び使用の合理化に配慮した構造を有する設備
② 活性炭を利用して特定フロンを吸着し、これを冷却により液化する方法その他の方法により排出された特定フロンを回収再利用するための設備
⑶ 代替物質の導入等
特定フロン使用設備又は特定フロンを使用する製品について、特定フロンの使用その他の特定フロンを使用しない又は使用料を減少させる方式の採用の技術的可能性について検討し、環境保全に配慮しつつ、その導入を進めること。
⑷ 洗浄液等の再生
使用により劣化した特定フロンの洗浄液又は特定フロンの洗浄廃液については、特定フロンの使用の合理化のため、再生によりその有効な利用を行うこと。
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