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===3. 被告の主張に対する判断===
被告は,2008.12.22原告との間において本件第1借用及び根抵当権設定契約上の遅延利息中弁済期である2007.7.1から2008.12.22までの部分を100,000,000圓に変更する趣旨で本件第2借用及び根抵当権設定契約を行ったものであるところ,右100,000,000圓は,本件第1借用及び根抵当権設定契約上の貸与元金に対する遅延利息であって,被告の本件各不動産に関する根抵当権の被担保債権に含まれるから,仮に本件第1借用及び根抵当権設定契約上の約定利率一部が善良な風俗及びその他の社会秩序に違反し,無効であるとしても,被告は,右配当金額全部を受領すべき権利がある旨の主張を行う。
 
検討するに,右認定事実及び各証拠によって認められる次のような事情,即ち①100,000,000圓を借用する旨の記載のほか,本件第1借用及び根抵当権設定契約上の遅延損害金中,右2007.7.1から2008.12.22までの部分を右100,000,000圓に変更する旨の記載が全くない点,②被告が2009.9.20提出した債権計算書に貸金元金200,000,000圓に対する利息を右100,000,000圓及び右200,000,000圓について2008.12.23から2009.9.29まで年12%の比率により計算した金銭の合計額として記載せず,右200,000,000圓について2007.6.30から2009.9.29まで年12%の比率により計算した54,049,315圓を記載し,右100,000,000圓は,元金部分に記載した点等に照らしてみるとき,本件第2借用及び根抵当権設定契約は,本件第1借用及び根抵当権設定契約上の遅延利息中,一部を変更する契約ではなく,原告及び被告間の追加担保設定契約ないし別途の消費貸借契約であると解することが相当であり,これに反する乙第10号証の記載は信じがたく,別途反証がない。
 
従って,右100,000,000圓は,被告の本件各不動産に関する根抵当権の被担保債権に含まれないと言えるから,被告の右主張は,理由がない[また,被告が本件各不動産に関して任意競売を申請した際,請求金額として350,000,000圓及びこれに対して2007.6.30から支払済みまで年12%の比率による遅延損害金のみを競売申請書に記載して提出した事実,被告が2009.9.20競売裁判所に右100,000,000圓を貸金元金として追加する内容の債権計算書を提出した事実は,先に見たとおりであるところ,申請債権者である被告が右100,000,000圓に対して二重競売申請を行った等の事情がない以上,被告の請求金額は,右競売申請書に記載された債権額を限度として確定され,その後被告が右のとおり債権計算書に被担保債権元金部分を拡張して提出したとしても,右金額分請求金額を拡張することはできないのであり,仮に右100,000,000圓が被告の主張程度本件第1借用及び根抵当権設定契約上の貸与元金に対する遅延損害金として付帯債権に該当するとしても,被告が配当要求の終期を経過したものと見られる右2009.9.20右100,000,000圓を増額する趣旨の債権計算書を提出した以上,更に右金額程度請求金額を拡張することができないのであるから(民事執行法第84条第4項,第5項及び最高裁判所2001.3.23言渡99ダ11526等参照),被告は,本件各不動産に関する任意競売手続において右100,000,000圓の配当を受けること名できないのであり,こういった理由からも被告の右主張は,理由がない]。
 
===4. 結論===
そうすると,原告の本件請求は,右認定範囲内において理由がありこれを認容し,その余の請求は,理由がなくこれを棄却すべきところ,第1審判決は,これと結論を一部異にし不当であるが,被告のみが控訴した本件において不利益変更禁止原則上,控訴人である被告に不利益に第1審判決を変更することはできないというのであるから,被告の控訴の棄却のみをすることとし,主文のとおり判決する。