「おくのほそ道」の版間の差分

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五日權現に詣當山開闢能除大師{{r|の|一本はトアリ}}いづれの代の人といふ事をしらず延喜式に羽洲里山の神社とあり書寫黑の字を里山となせるにや羽洲里山を中略して羽黑山といふにや出羽といへるは鳥の毛羽を此國の貢に獻ると風土記に侍るとやらん月山湯殿を合て三山とす當寺武江東叡に屬して天台止觀の月明らかに圓頓融通の法の灯かゝげそひて僧坊棟をならべ修驗行法をはげまし靈山靈地の驗{{r|郊|効ノ誤リナリ}}人貴ひかつ恐る繁榮長にしてめで度御山といひつべし
 
八日月山にのぼる木綿しめ身に引つけ寶冠に頭を包み强力といふ者に道びかれて雲霧山氣の中に氷雪をふんでのぼる事八里さらに日月の道の雲關に入かとあやしまれ息身凍へて頂上にいたれば日沒て月顯る笹を敷篠を枕として臥て明るを待つ日出で雲消ゆればゆどのに下る谷の坊に鍛冶小屋といふ有り此國のかぢ靈水を撰て{{r|潔齋|一本撰てノ下こゝにトアリ}}して劔を打ち終に月山と銘を切て世に賞せらる彼龍泉に劔を淬とかや干將莫耶のむかしをしたふ道に堪能の執あさからぬ事しられたり
 
岩に腰をかけてしばし休らふほど三尺ばかりなる櫻のつぼみ半開けるありふりつむ雪の下に埋れて春をわすれぬ遲ざくらの花の心わりなし炎天の梅花こゝにかほるがごとし行尊僧正のうたもこゝにおもひ出て猶まさりて覺ゆすべて此山中の微細行者の法式として他言する事を禁ずよりて筆をとゞめて記さず坊にかへれば阿闍梨の需に依て三山順禮の{{r|句々|一本句をトアリ}}たんざくに{{r|書く|一本付すトアリ}}
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   浪こへぬ契ありてや雎鳩のす  曾良
 
酒田の名殘日をかさねて北陸道の雲にのそむ遙々のおもひ胸をいたましめて加賀の府まで百卅里ときく鼠の關をこゆれば越後の地に步行を改めて越中の國一ふりの關にいたる此間九日暑湿の勞に神をなやまし病發りて事を記さず
 
   文月や六日も常の夜には似ず