「十七条憲法」の版間の差分

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八に曰はく、群卿百寮、早く{{ruby|朝|まゐ}}り{{ruby|晏|おそ}}く{{ruby|退|まか}}でよ。公事{{ruby|監|いとま}}{{ruby|靡|な}}く、{{ruby|終日|ひねもす}}にも尽し難し。是を以て遅く{{ruby|朝|まゐ}}れば急に{{ruby|逮|およ}}ばず。早く{{ruby|退|まか}}れば必ず事{{ruby|尽|つく}}さず。
 
九に曰はく、信は是れ義の本なり。事{{ruby|毎|ごと}}に信有れ。若し善悪成敗、要は信に在り。君臣共に信あるときは何事か成らざらむ。君臣信{{ruby|无|な}}くは、萬の事{{ruby|悉|ことごとく}}に敗れむ<ref group="注釈">勤王文庫の訓ではこの部分の記載はない。</ref>。
 
十に曰はく、{{ruby|忿|いかり}}を{{ruby|絶|た}}ち{{ruby|瞋|いかり}}を棄て、人の違ふことを怒らざれ。人皆心有り。心各執ること有り。彼{{ruby|是|ぜ}}なれば吾は非なり、我是なれば則ち彼非なり。我必ずしも聖に非ず。彼必ずしも愚に非ず。共に是れ{{ruby|凡夫|ぼんぶ}}のみ。是非の理、誰か能く定む可き。相共に賢愚、{{ruby|鐶|みみがね}}の端{{ruby|无|な}}きが如し。是を以て彼の人は{{ruby|瞋|いか}}ると雖も、{{ruby|還|かへつ}}て我が{{ruby|失|あやまち}}を恐る。我独り得たりと雖も、衆に従ひて同く{{ruby|挙|おこな}}へ。
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第一に、なかよくすることが、なにより大切である。さからわないのが{{ruby|肝心|かんじん}}である。{{ruby|人|ひと}}はみんな{{ruby|仲間|なかま}}をくみたがるが、胸のひろいものが少ない。で、なかには君に背き、親にさからい、隣近所の嫌われものになってしまうものなどもある。けれども、上のものと下のものとが、仲よくしあって、むつびあって、よく相談しあえば、物の道理、仕事のすじみちがよくたって、何でも成就しないことはない。
 
第二に、よくよく三つの宝をたっとばねばならぬ。三つの宝というのは、仏と法と僧とである。この三つのものは、一切の生物の心の最後のよりどころであり、すべての国々の政治の大切な根本である。いつの時代でも、いかなる人でも、{{ruby|此|こ}}のおしえを大切にしないものはない。{{ruby|凡|およ}}そ人間というものは、非常な悪人というものは無いものである<ref group="注釈">「非常な悪人というものは無い」 - 原文・読み下しでは「{{ruby|鮮|すくな}}し」であって、無いとは断定していない。</ref>。教えみちびいてゆきさえすれば、必ず{{ruby|善|よ}}くなるものである。それにつけても、三宝にたよらなければならない。三宝によらなければ、まがった心をなおす{{ruby|方|みち}}がない。
 
第三に、天皇の御命令があったら、必ずかしこまらねばならぬ。君は天である。臣は地である。天は{{ruby|凡|すべ}}てのものを覆いつつみ、地は一切のものを載せて持っており、それによって{{ruby|春夏|はるなつ}}秋冬も{{ruby|工合|ぐあい}}よく行われ、四方の気も通じあうのである。{{ruby|若|も}}しも地が、下にいるのがいやだといって、天をつつもうとするなら、{{ruby|此|こ}}の世界はただちにつぶれてしまう。であるから、君が{{ruby|仰|おお}}せられた{{ruby|言|こと}}をば、臣はつつしんで承り、これに従わねばならぬ。{{ruby|上|かみ}}にたつものが実地に行えば、{{ruby|下|しも}}のものはすぐとなびき従うものである。この通りであるから、{{ruby|詔|みことのり}}を承ったら、必ずかしこまっておうけしなさい。そうしなければ自然、自分で自分をほろぼすことになる。
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第九に、まこと、まじめで、うそいつわりを言わぬことは、人の道を守ってゆく根本である。何事をするにも真心で、しんせつにおやりなさい。{{ruby|善|よ}}くなり、成功するもとは、第一に、この真心である。官吏、公吏が、お互いにまじめに真心をつくしあったら、何でも出来る。まじめに事をする考えがなかったら、万事は破滅である。
 
第十に、ぷりぷりするな、腹をたてるな、恐ろしい顏をするな。人がさからったからとて、腹をたてるものでない。人々には、それぞれ心持ちがある。その心持ちはそれぞれ、自分のがんばりになっている。{{ruby|先方|むこう}}がよしと思えば、こちらでは悪いと思う。こちらが{{ruby|善|よ}}いと思えば、{{ruby|先方|むこう}}では悪いと思う。{{ruby|此方|こちら}}はすぐれているともきまっていないだろう、{{ruby|先方|むこう}}はきっと愚だともきまっていなかろう。むこうもこちらも、お互いに、{{ruby|凡夫|ぼんぷ}}<ref group="訳注">訳註:凡人の意。</ref>である。{{ruby|善|よ}}いとか悪いとか、そう、ぞうさなくきめられるものではない。お互いに賢だ愚だといいあっても、つまりは{{ruby|環|わ}}に{{ruby|端|はし}}が無い様なものである、とりとめ様もない。であるから、{{ruby|先方|むこう}}の人がおこったからとて、{{ruby|此方|こちら}}が、つりこまれて一緒に怒ってはいかん。しくじらぬ用心が大切である。たとい、自分だけで{{ruby|善|よ}}いと思っていることがあっても、大勢の人たちにまじっては、{{ruby|強|し}}いてさからわぬ様になさい、一緒におやりなさい。
 
第十一に、下役のものに手柄があったか、しくじりがあったかを、よくよく見抜いて、賞も罰も、必ずまちがいない様にしなさい。{{ruby|此|こ}}の頃、往々、御褒美が功のないところへ与えられたり、罰が罪のない人に加えられたりすることがある。政治にたずさわる人たち、上役の人たちは、よく気をつけて、賞罰を、はっきりと、まちがわぬようにしなさい。
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== 註 ==
=== 原注 ===
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=== 注釈 ===
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